
レビュー
独自クーラー搭載GeForce RTX 50は,どこまで性能を引き出せる?
INNO3D GeForce RTX 5080 X3 OC
INNO3D GeForce RTX 5070 Ti X3
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どちらもオリジナルのクーラーを採用しつつ,NVIDIAが提唱するグラフィックスカードのガイドライン「SFF-Ready Enthusiast GeForce Card」に準拠した「SFF-Ready」を謳うグラフィックスカードだ。SFF-Readyとは,小さめのデスクトップPCにも搭載可能なグラフィックスカードのガイドラインで,ざっくり言えば,ミニタワーPCケースに搭載できるサイズの目安をクリアしたカードだ。コンパクトなゲームPCを作りたい人には,両製品を選ぶ大きな利点と言っていい。
両製品の概要を紹介するとともに,その性能を検証していこう。
軽量で扱いやすいOCモデルRTX 5080 X3 OC
まずは,上位モデルであるRTX 5080 X3 OCから見ていこう。
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NVIDIA純正カード「GeForce RTX 5080 Founders Edition」のGPUコアのブーストクロックが2617MHzなので,33MHzのオーバークロックが行われているわけだ。
一方,メモリクロックは,GeForce RTX 5080 Founders Editionが1500MHzのところ,RTX 5080 X3 OCは1875MHzと,375MHzのオーバークロックが設定されていた。リファレンスに対して1.25倍の設定で,有意に大きなメモリ帯域が期待できそうだ。
参考までに,GPU-Zで「モンスターハンターワイルズ ベンチマーク」(以下,モンハンワイルズ ベンチ)実行時のクロックを記録したところ,GPUコアクロック最大2820MHz,メモリクロックは設定どおり1875MHzに達していた。GPUの実測最大クロックは,GeForce RTX 5080 Founders Editionと大差ないようだが,初期設定値が大きいので,高クロックの持続時間が長いといったあたりは期待できるだろう。
カードの外観を見ていこう。カード長は実測で約301mm。カード厚は実測約49.5mmで,2.5スロットを占有するサイズだ。カードの高さは実測約105mmである。
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ちなみに,NVIDIAが定義しているSFF-Readyのガイドラインでは,カード長は304mm,カード厚50mm以内で,カードの高さはケーブルの取り回しを含め151mm以内に収めることを求めている。RTX 5080 X3 OCは,高さもガイドラインに対して46mmの余裕があるので,ケーブルの取り回しを含めて十分にSFF-Readyを満たしているわけだ。
コンパクトサイズに加えて,軽さも特徴といえる。最近は重量級のグラフィックスカードが多いので,RTX 5080 X3 OCを手に持ったときに軽さに感心させられたくらいだ。実測では1kgを少し上回る1151gで,PCI Express(以下,PCIe)スロットにかかる負担も,少なくて済むだろう。
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映像出力インタフェースは,DisplayPortが3系統にHDMIが1系統の計4系統を備える。こちらも今どきのグラフィックスカードとしては標準的な構成だ。
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グラフィックスカード本体の大部分は,冷却システムが占めており,基板自体は約165mmほどの長さしかない。カード裏はアルミ製のバックプレートで補強されているが,基板のない後部は大きなエアフロー用のスリットが設けられ,エアが抜ける設計になっている。軽量ながらも冷却性能は高そうで,安心して利用できるグラフィックスカードと言っていいだろう。
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INNO3D独自のGPUクーラーは,7本のヒートパイプで左右のヒートシンクを結合した2ピースタイプだ。GPUおよびメモリをカバーするヒートプレートは銅製で,ベイパーチャンバーを使用しているという。
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冷却ファンは88mm径を3基備えており,アイドル時に停止する機構も備える。INNO3Dによると,GPU温度が40℃を下回るか,消費電力が40Wを下回るとファンが停止するので,アイドル時は基本的に無音だ。
2スロットに収まるスリムなRTX 5070 Ti X3
続いてRTX 5070 Ti X3の仕様や外観を見ていこう。
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ただ,モンハンワイルズ ベンチ実行中の動作クロックをGPU-Zで記録したところ,最大では2865MHzと,リファレンス仕様より400MHz以上高いクロックを記録した。また,最大クロックで動作している時間も長い。RTX 5070 Ti X3の冷却性能が高いために,実質的な最大クロックがやや高めに出ている可能性はありそうだ。
製品の外見は,上位モデルのRTX 5080 X3 OCをやや薄型にしたようなスタイルだ。サイズはカード長が実測で約301mm,厚さは実測約41.6mmで,2スロットを占有する。このクラスのグラフィックスカードとしては,薄型と評していいだろう。
カードの高さは実測約98.5mmで,当然ながらSFF-Readyのガイドラインに十分に収まるサイズ感だ。
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カードが薄いので,とくに重さを感じることはなかった。実測重量は1kgをわずかに超える程度で,サイズ,重量ともに扱いやすいカードだ。小型のPCケースにも楽に収めることができるだろう。
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映像出力インタフェースは,DisplayPortが3基にHDMIが1基とこちらも標準的な構成だった。
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冷却システムは,RTX 5080 X3 OCの小型版に思えるが,INNO3Dによると本機独自に設計したそうだ。6本のヒートパイプで3ピースのヒートンシンクブロックを結合した構造を採用する。
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3連の冷却ファンはアイドル時ストップに対応する。ファンは,GPUが40℃を下回るか消費電力が26Wを切ると停止しする。アイドル時は完全に無音だ。
基板がない部分を空気が抜ける構造はRTX 5080 X3 OCと同じで,十分な冷却性能が得られるだろう。
モンハンワイルズ ベンチを交えて性能をチェック
それでは,両製品の性能をチェックしていくことにしよう。
今回は比較対象として,前世代となるGeForce RTX 40シリーズ搭載製品から,「GeForce RTX 4080 SUPER」を搭載するPALiT Microsystems製の「GeForce RTX 4080 SUPER GamingPro」と,「GeForce RTX 4090」を搭載するMSI Computer製の「GeForce RTX 4090 SUPRIM X 24G」を用意した。
見どころは,オーバークロックモデルであるRTX 5080 X3 OCが,どこまでGeForce RTX 4090に迫れるのか,またRTX 5070 Ti X3が,どこまでGeForce RTX 4080 SUPERに迫れるかだろう。
実行したテストは,4Gamerのベンチマークレギュレーション30に準拠するが,次期レギュレーションを先取りする形で「バイオハザード RE:4」に代えてモンハンワイルズ ベンチを採用した。
モンハンワイルズ ベンチでは,「ウルトラプリセット」を指定したうえで,「アップスケーリング(超解像技術)」では「NVIDIA DLSS」を有効にするが「フレーム生成」はオフにしている。
また,ゲームにおけるDLSS4のマルチフレーム生成の効果を確かめるために,「Starfield」に代えて「Cyberpunk 2077」のテストを行った。Cyberpunk 2077はDLSS 4に対応済みであり,ゲーム内の設定で生成するフレーム数を設定できる。そこで,グラフィック品質のプリセットに「ウルトラ」を選択し「DLSS Multi Frame Generation」の設定を「x2,x3,x4」に切り替えた3パターンでテストした。
GeForce RTX 40世代に関してはDLSS Multi Frame Generationの設定項目が現れないので,Frame generationを有効とした設定のみとなる。
ゲームの解像度はいつもどおり,3840×2160ドット,2560×1440ドット,1920×1080ドットの3パターンだ。ベンチマークレギュレーション30のタイトルではグラフィックス品質に高負荷よりの設定を採用している。
テストに使用した機材は表のとおり。
CPU | Ryzen 9 9950X |
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マザーボード | ASUSTeK Computer |
メインメモリ | G.Skill International Enterprise |
グラフィックスカード | INNO3D GEFORCE RTX 5080 X3 OC |
INNO3D GEFORCE RTX 5070 Ti X3 |
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MSI GeForce RTX 4090 SUPRIM X 24G(GeForce RTX 4090,グラフィックスメモリ容量24GB) | |
Palit GeForce RTX 4080 SUPER GamingPro(GeForce RTX 4080 SUPER,グラフィックスメモリ容量16GB) | |
ストレージ | GIGABYTE AORUS NVMe Gen4 SSD 2TB |
電源ユニット | SilverStone Technology SST-ST1200-G |
OS | Windows 11 Pro 24H2 |
チップセットドライバ | AMD Chipset Software |
グラフィックスドライバ | GeForce 572.47 Driver |
RTX 5070 Ti X3はGeForce RTX 4080 SUPERに肉薄
まずは,恒例の3DMark(version 2.31.8372)から順にテスト結果を見ていこう。「Fire Strike」の総合スコアをまとめたものがグラフ1となる。
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前世代の競合と比べてみると,RTX 5080 X3 OCは,GeForce RTX 4090の84〜96%程度のスコアだった。描画負荷が低い無印のFire Strikeなら,96%まで迫るが,4K解像度相当のFire Strike Ultraでは84%に留まる形だ。CUDAコア数と動作クロック比を考えればRTX 5080 X3 OCは健闘しているが,規模の差はいかんともしがたいといったところか。
一方のRTX 5070 Ti X3は優秀で,GeForce RTX 4080 SUPERに対して102〜104%程度と,わずかながらも高いスコアを記録している。GPUの規模は,GeForce RTX 4080 SUPERのほうが大きいにも関わらずだ。ひとつ考えられるのは,RTX 5070 Ti X3はオーバークロックモデルではないにも関わらず,動作中のGPUクロックがかなり高めに推移すること。それにより,Fire Strikeでも前世代の上位モデルを上回ることができた可能性はあるだろう。
続くグラフ2は,DirectX 12世代のテストである「Time Spy」の総合スコアをまとめたものだ。
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RTX 5080 X3 OCとGeForce RTX 4090のスコア差は,おおむねFire Strikeと整合的で,Time Spy Extremeが約86%,描画負荷が低いTime Spyでは約94%のスコアだった。一方,RTX 5070 Ti X3は,GeForce RTX 4080 SUPERの約98%前後と届かなかったが,差は約2%程度で,肉薄している性能を見せている。
続いては,3DMarkにおける新世代のDirectX 12テストとなる「Steel Nomad」のスコアを見てみよう(グラフ3)。
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RTX 5080 X3 OCは,GeForce RTX 4090と比べて約86%のスコアだった。一方のRTX 5070 Ti X3は,GeForce RTX 4080 SUPERの約99%と前世代の上位モデルに近いスコアを残した。傾向としては,Time Spyなどと同等だ。
Steel Nomadは,レイトレーシングを含まないグラフィックス性能のテストなので,GeForce RTX 50世代で更新されたレイトレーシングアクセラレータの恩恵が得られないことを考えれば妥当な結果だろう。
GeForce RTX 4090には届かないとはいえ,Steel Nomadにおいては,RTX 5080 X3 OCがGeForce RTX 4080 SUPERに対しては約125%と,十分に世代の違いを感じさせるスコアを記録していることにも触れておく必要があるだろう。
グラフ4は,DirectX 12 Ultimateに対応したテストである「Speed Way」の結果である。
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RTX 5080 X3 OCは,GeForce RTX 4090比で約84%のスコアに留まった。RTX 5070 Ti X3は,GeForce RTX 4080 SUPERの約102%と,わずかに上回るスコアを残している。傾向は,Fire Strike UltraやSteel Nomadに近い。Speed Wayは,レイトレーシングを含む新しい世代のグラフィックスをテストするので,もう少し違った結果が出るのではないかと予想していたが,そうでもないようだ。
次の「Port Royal」(グラフ5)は,レイトレーシング性能を測定するテストである。
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このテストでも,RTX 5080 X3 OCはGeForce RTX 4090の約83%のスコアに留まった。ただ,GeForce RTX 4080 SUPER比では約123%と,十分に好成績を残せている。
一方のRTX 5070 Ti X3は,GeForce RTX 4080 SUPERに対して約104%と,有意に高いスコアを残した。GPUコア数では,GeForce RTX 4080 SUPERのほうが上であることを考えると,RTX 5070 Ti X3で高めに推移するGPUクロックや,新世代のレイトレーシングユニットの効果が出ているのかもしれない。
次のグラフ6は,「NVIDIA DLSS feature test」の3840×2160ドットの結果をまとめたものだ。DLSS 4では,2xと3xのテストを実施し,DLSS 3の結果と合わせてグラフ化している。
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フレーム挿入を用いるDLSS 3やDLSS 4は,挿入するフレーム数に応じてフレームレートが伸びるので,スコア自体は,とくに興味深い結果ではない。少し面白いのは,DLSS 3におけるフレームレートの伸び率がGeForce RTX 40世代とGeForce RTX 50世代で異なるところだ。
RTX 5080 X3 OCの場合,DLSS offに対してDLSS 3のフレームレートは。約3.4倍,RTX 5070 Ti X3は約3.5倍を記録した。一方のGeForce RTX 4090は,約3倍,GeForce RTX 4080 SUPERで3.4倍と,GeForce RTX 50世代の伸び率よりはやや低いようだ。
DLSS 3と同等のフレーム挿入数になると考えられるDLSS 4 x2における伸び率が,GeForce RTX 50世代の2製品で3.6倍前後になることと関係しているのだろう。つまり,GeForce RTX 50世代の方がフレーム挿入の効率が上がっている可能性がある。
以上,3DMarkの結果をまとめると,RTX 5080 X3 OCは,前世代の上位モデルGeForce RTX 4090には及ばないものの,GeForce RTX 4080 SUPERに対しては十分に高いスコアを記録した。とくにSteel NomadやSpeed Wayといった新しい世代のグラフィックスのテストにおいては,約1.2倍を超えるスコアを残している。
一方のRTX 5070 Ti X3は,なかなか優秀で,GeForce RTX 4080 SUPERとほぼ同等か,わずかに上回るスコアを記録した。これを踏まえた上でゲームの結果を見ていこう。
グラフ7〜9は,「Call of Duty: Modern Warfare III」(以下,CoD:MW3)の結果である。グラフィック品質は「極限」プリセットを使用し,DLSSはオフである。
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平均フレームレートを見ると,RTX 5080 X3 OCは,GeForce RTX 4090の86〜99%程度で,GeForce RTX 4080 SUPERに対しては,106〜122%程度を記録している。いずれも高負荷ほど差が大きくなるのは,GPU性能として理屈どおり。3DMarkの結果からすると,妥当な結果だろう。
RTX 5070 Ti X3は,3840×2160ドット時の平均フレームレートがGeForce RTX 4080 SUPERとほぼ並び,1920×1080ドットでは約102%と,わずかだが上回った。これも3DMarkの結果と整合性がある。
ただ,グラフィック描画が重い極限プリセットとしては,どのGPUも優秀で,2560×1440ドット以下なら快適にプレイできるだろう。3840×2160ドット時に快適の目安である平均150fpsを超えられたのは,GeForce RTX 4090のみだが,RTX 5080 X3 OCも肉薄している。
グラフ10にモンハンワイルズ ベンチの総合スコアを,またグラフ11に平均フレームレートをまとめた。
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総合スコアでは,RTX 5080 X3 OCがGeForce RTX 4090の86〜97%程度,GeForce RTX 4080 SUPERに対して104%〜110%程度のスコアとなった。いずれも解像度が高いほど,差が大きくなる。数値こそ異なるものの,傾向としてはここまでのテストと変わらない。
RTX 5070 Ti X3は,GeForce RTX 4080 SUPERを1〜4%程度上回っている。こちらもここまでのテストと同じ傾向と言っていいだろう。いずれの解像度でも,スコア2万以上の最高評価判定が得られるので,その意味では,どちらを選んでも差はあまり大きく感じられないかもしれない。
次のForniteでは,グラフィックス品質を「最高」プリセットとし,DLSSを使用しない設定でテストを実行した。結果はグラフ12〜14だ。
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平均フレームレートに注目すると,RTX 5080 X3 OCは,GeForce RTX 4090の92〜95%程度,GeForce RTX 4080 SUPERに対しては104〜105%程度のスコアとなった。GeForce RTX 4090には届かないが,GeForce RTX 4080 SUPERは上回るという結果だが,差はここまでのタイトルに比べると小さい。
一方,RTX 5070 Ti X3の平均フレームレートは,GeForce RTX 4080 SUPERの92〜98%程度に留まった。ここまでの結果とは傾向が違うが,全体に差が小さいので,FortniteではCPUがボトルネックになってしまっているような印象もある。
快適さの目安である135fps以上を残せたのは,2560×1440ドットで上回ったRTX 5080 X3 OCとGeForce RTX 4090だ。その点では,RTX 5080 X3 OCが優秀と言っていいだろう。
次のグラフ15は,「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(以下,FFXIV黄金のレガシー ベンチ)の総合スコアをまとめたものだ。
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RTX 5080 X3 OCの総合スコアは,GeForce RTX 4090の83〜91%程度,GeForce RTX 4080 SUPER比では99〜115%程度となった。おおむねFire Strikeなどと同じ傾向にある。
一方のRTX 5070 Ti X3は,GeForce RTX 4080 SUPERに対して93〜98%程度と,届かなかった。強いて言えばFortniteの結果に近い印象だろうか。RTX 5070 Ti X3はここまでを総合するに,グラフィックス負荷が高めのタイトルではGeForce RTX 4080 SUPERを上回るが,グラフィックス負荷が軽めのタイトルでは,必ずしもそうではないようだ。
スクウェア・エニックスが最高評価としている「スコア15000以上」を基準にすると,2560×1440ドット以下ですべてのGPUがクリアした。3840×1440ドットでクリアしたのは,RTX 5080 X3 OCとGeForce RTX 4090の2製品だ。4K解像度を高画質でプレイしたいなら,RTX 5080 X3 OCに分があるということになる。
FFXIV黄金のレガシー ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートを,グラフ16〜18にまとめた。
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3840×1440ドットの最小フレームレートを見ると,RTX 5070 Ti X3とGeForce RTX 4080 SUPERは60fps台半ばに留まっている。
「F1 24」の結果をグラフ19〜21にまとめた。グラフィックス品質は「超高」プリセットを設定し,アンチエイリアシングに「DLSS」を選択してテストを実行した。
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平均フレームレートに注目すると,RTX 5080 X3 OCは,GeForce RTX 4090の77〜90%程度,GeForce RTX 4080 SUPERに対しては101〜110%程度となっている。差にブレはあるが,ここまでの結果と同じ傾向だろう。解像度が高いほど,差が大きくなるのも同じだ。
RTX 5070 Ti X3は,GeForce RTX 4080 SUPERの90〜97%程度に留まった。やはりグラフィックス負荷が軽めのゲームだと,GeForce RTX 4080 SUPERに届かない傾向にあるのが,F1 24からも伺える。
とはいえ,3840×2160ドットを含めて,すべての製品が快適にプレイできる目安の100fpsを超えている。その意味では,どの製品を選んでもF1 24を不自由なくプレイできるだろう。
レギュレーションタイトルの最後となる「Cities: Skylines II」の結果を,グラフ22〜24にまとめた。グラフィック品質はレギュレーションどおり「中」プリセットを選択。「NVIDIA DLSS Super Resolution」の設定を「最高品質」にしてテストしている。
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平均フレームレートでは,RTX 5080 X3 OCがGeForce RTX 4090の86〜94%程度,GeForce RTX 4080 SUPERに対しては100〜112%程度となっていて,解像度が高いほど差が大きくなっている。ここまでの傾向どおりだろう。
RTX 5070 Ti X3は,GeForce RTX 4080 SUPERに及ばず,96〜97%程度の平均フレームレートになっている。ゲームではGeForce RTX 4080 SUPERに届かないという傾向を,Cities: Skylines IIでも見せているわけだ。
もっとも,DLSSを使用する限り,どの製品でも目安となる30fpsを余裕で超えている。どの製品を選んでも,Cities: Skylines IIを快適にプレイできるだろう。
最後に,ゲームにおけるDLSS 4の効果を調べるために実施した,「Cyberpunk 2077」の結果をグラフ25〜27にまとめておこう。
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DLSS 4 x2を基準にフレームレートの向上率を調べてみると,3840×2160ドットおよび2560×1440ドットでは,RTX 5080 X3 OCとRTX 5070 Ti X3はともにDLSS 4 x3で約1.4倍,DLSS 4 x4で約1.7倍になっている。
だが,1920×1080ドット時は,RTX 5080 X3 OCだとDLSS 4 x3が1.5倍弱になる一方で,RTX 5070 Ti X3は1.4倍弱に留まった。3DMarkのDLSS feature testでは,RTX 5070 Ti X3のフレームレート向上率が優秀だったが,Cyberpunk 2077では逆になったわけだ。理由は不明ながらも,ゲームだと必ずしも3DMarkと同じようにはならない,ということが確認できたのは収穫だ。
また,GeForce RTX 40世代のDLSS 3も,フレームレートとしてはなかなか優秀なところを見せていることも触れておこう。
両製品とも消費電力は性能と釣り合う結果に
最後に,消費電力とGPU-Zで測定したGPU温度を見ておこう。ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の最大消費電力を計測した。
テストにあたっては,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」とした。
結果はグラフ28のとおり。
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3DMarkを除外してゲームを見ていくと,RTX 5080 X3 OCで最大を記録したのはCyberpunk 2077時の約552Wだった。GeForce RTX 4080 SUPERでは同じくCyberpunk 2077時に約574Wを記録しており,GeForce RTX 4090に至ってはF1 24実行時に約711Wを叩き出しているのに比べれば,ゲームにおけるRTX 5080 X3 OCの電力対性能比は高いと言っていい。
RTX 5070 Ti X3は,CoD:MW3実行時に記録した約518Wが最大だった。GeForce RTX 4080 SUPERに肉薄する性能のわりに,消費電力は低めと評していい結果で,世代の差を感じさせるところだ。アイドル時も,RTX 5070 Ti X3が唯一100Wを切っているので,運用コストが低めで済みそうなのも魅力だろう。
GPU温度も調べてみよう。GPU-Zを常駐させてログを有効にし,モンハンワイルズ ベンチを30分間実行し続けて,ログに記録されたGPU温度の最大値と,30分間アイドル状態にしたときのGPU温度をアイドル時として記録した。
結果をまとめたものがグラフ29となる。
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アイドル時の温度は,おおむね横並び。RTX 5070 Ti X3を除けば,最大値も横並びと評していい。だが,RTX 5070 Ti X3だけが,最大で72℃に達していた。おそらく,RTX 5070 Ti X3で記録されている極めて高い動作クロックと,この温度は関係しているだろう。
メーカーの資料だと,作動時温度の最大は72℃となっていて,上限を超えたとは言えないものの,上限ギリギリで動作していたようだ。RTX 5070 Ti X3がときに優秀な性能を見せたのは,このギリギリの動作がもたらしたものかもしれない。
逆に言えば,RTX 5080 X3 OCはかなりの余力を残しているように見えるので,さらなるオーバークロックを試みることができそうな印象だ。
ミニタワークラスのPCに搭載するなら選択肢となりうる製品
RTX 5080 X3 OCとRTX 5070 Ti X3の概要と性能を見てきた。性能については,GeForce RTX 50世代のこのクラスとして納得できるもので,とくにRTX 5070 Ti X3の性能は,目を引くものがある。また,RTX 5080 X3 OCは冷却性能が高く,余裕を持って動作しているようなので,オーバークロックして遊びたいゲーマーにもおすすめできそうだ。
どちらの製品もSFF-Ready準拠のコンパクトさと,重量が軽く扱いやすいことを特徴としているので,とくにミニタワークラスのPCに高性能GPUを搭載させることを考えているゲーマーに,お勧めできる製品とまとめられるだろう。
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