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Blackwell世代のミドルクラスGPU「GeForce RTX 5060 Ti」「GeForce RTX 5060」が発表に。ノートPC向けも5月中に登場
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本稿では,NVIDIAが発表した両GPUの概要と特徴をまとめてみたい。
GPUの実質的な規模は前世代から大きく変わらず
まずは製品の概要から見ていこう。今回,発表となったのは,グラフィックスメモリ容量のバリエーションを含むと次の3製品になる。
- GeForce RTX 5060 Ti,16GBモデル
- GeForce RTX 5060 Ti,8GBモデル
- GeForce RTX 5060 8GB
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GeForce RTX 5060 Tiは,16GBモデルと8GBモデルが米国時間4月16日に発売予定だ。一方,無印のGeForce RTX 5060は,少し遅れて5月中に発売予定とされている。発表となった製品の主なスペックを,前世代やミドルクラスの現行製品「GeForce RTX 5070」と比較した表を掲載しておこう。
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本稿執筆時点では,GeForce RTX 5070 Tiのスペックはおおむね公開されているが,GeForce RTX 5060は,シェーダプロセッサ数や演算性能が明らかになっている程度だ。そのため表では,シェーダプロセッサ数とアーキテクチャから推測できる範囲の情報をまとめている。
価格だが,GeForce RTX 5060 Tiは,前世代よりもやや価格を抑えており,16GBモデルが70ドル安い429ドル(約6万1200円),8GBモデル20ドルも安い379ドル(約5万4100円)になった。
一方,GeForce RTX 5060は,前世代から据え置きの299ドル(約4万2700円)だ。高価と言われるDDR7メモリを使用しつつ,価格を抑えてきたことは評価できるだろう。
肝心の性能だが,レンダリング性能を左右するシェーダプロセッサ(CUDA Core)数は,GeForce RTX 5060 Tiが前世代から約6%増の4608基,GeForce RTX 5060は前世代比25%増の3840基だ。
規模の差があまり大きくないシェーダにおいても,GeForce RTX 5060は前世代比で約1.27倍の演算性能があると,NVIDIAはアピールしている。一方,「GeForce RTX 4060 Ti」は公称22TFLOPSを謳っていたので,GeForce RTX 5060 Tiは,約1.1倍の性能向上という計算になる。
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Blackwell世代で大幅に刷新されたAIアクセラレータ「Tensor Core」や,レイトレーシングユニット「RT Core」の性能向上率は,さらに高い。Tensor Coreは,新たに対応した数値表現形式「FP4」を用いた場合の演算性能は,前世代2倍以上に向上したという(関連記事)。
また,第4世代になったRT Coreも,前世代比で約2倍という大幅な性能向上を,NVIDIAはアピールしていた。
そのほかにも,Blackwell世代で新設された,AIタスクをシェーダとRT Coreに適切に振り分ける「AI Management Processor」(AMP)の搭載によりAI性能が向上していること(関連記事)も,強化点に挙げられている。
また,ディスプレイ出力が「DisplayPort 2.1b」に対応したことも,NVIDIAは併せて強調していた。DisplayPort 2.1では,「Ultra High Bit Rate 20」(UHBR20)および「Display Stream Compression」(DSC)に対応したことにより,4K解像度では最大リフレッシュレート480Hz,8K解像度でも165Hzで表示できるそうだ。
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なお,NVIDIAは,デスクトップPC向けGeForce RTX 5060 Ti/5060と併せて,ノートPC向け「GeForce RTX 5060 Laptop GPU」の投入も予告している。
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スペックの詳細などは現時点で未発表だが,NVIDIAによると高い電力性能を持ち,メーカー想定売価で1099ドル(約15万7200円)からという,手頃な価格で入手できるゲーマー向けノートPCが実現できると予告している。販売開始は5月中の予定だ。
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DLSS 4はネイティブ以上の画質を実現する
GeForce RTX 5060シリーズの概要は以上のとおり。NVIDIAは,性能向上をアピールしているものの,シェーダの規模を見る限りでは,前世代から大幅な性能向上を期待できるかどうかは,微妙な印象を受ける。
少し話はそれるが,GeForce RTX 4060 Tiが採用しているGPUコア「AD106」は,ノートPC向け「GeForce RTX 4070 Laptop GPU」にも採用されており,こちらはシェーダコア数が4608基だった。デスクトップPC向けGeForce RTX 4060 Tiは,AD106の一部のシェーダプロセッサを無効化したGPUだったわけだ。
GeForce RTX 5060 TiのGPUコア「GB206」が,フルスペック版かどうかは明らかになっていないが,仮にフルスペック版とすると,フルスペック版AD106コアとシェーダの規模は変わっていないことになる。
世代が変わってもシェーダの規模が変わっていなそうというのはゲーマーにとって歓迎できるニュースではないだろう。そこでNVIDIAが強く打ち出しているのが,Blackwell世代で実装された「DLSS 4」による超解像&マルチフレーム生成による性能向上だ。
たとえば,解像度を引き上げる超解像技術についてNVIDIAは,「新たに開発したTransformerモデルによる超解像処理は,かつての画像処理によるものとはまったく異なる」と強調する。
事実,客観的なイメージクォリティテストでも,ネイティブ解像度のレンダリングによる画像より,DLSS 4による超解像のほうが画質が高いと評価されるほどだと,NVIDIAは主張していた。
また,複数フレームを生成してフレームレートを引き上げるマルチフレーム生成では,フレームレートが上がっても原理的に遅延は変わらないか,むしろ悪化する可能性が懸念される。しかしNVIDIAは,マルチフレーム生成を使用しても,遅延は前世代より抑えられていると言う。
つまり,GeForce RTX 5060シリーズならば,Transformerモデルによる美しいグラフィックスと高フレームレート,そして低遅延を両立させることができるというわけである。
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GeForce RTX 5060シリーズの評価も,DLSS 4をどう評価するかにかかってきそうだ。もちろん,国内の実売価格がどうなるかも,評価を大きく左右するだろう。製品の国内発売に期待したい。
NVIDIAのGeForce RTX 50シリーズ製品情報ページ
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GeForce RTX 50
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