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[GDC 2025]巨像騎士と戦うアクションアドベンチャー「壊滅の潮汐」(Tides of Annihilation)のバトルシステムについて開発者に聞く
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2025年2月配信のState of Playで発表された「壊滅の潮汐」は,潮汐という超自然現象に襲われて壊滅的な被害を受けた現代のロンドンが舞台となる。
建物が破壊され,あらゆる生命が異形と化して瞬時に朽ち果ててしまった中,唯一生き残った主人公のグウェンドリンが,現実と幻想が混じり合ったような世界で巨大な敵に立ち向かい,秘められた真実を明らかにしていく。
Eclipse Glow Studiosは,セガやUbisoftで経験を積んだ人材が3年ほど前に中国の成都で結成した新興メーカーで,現在は100人ほどの開発チームに成長しているという。そんな彼らの第1作となる「壊滅の潮汐」は,美形の主人公による三人称視点のアクションアドベンチャーで,「デビル メイ クライ」や「Stellar Blade」を彷彿させる,まさにアジアで生み出されるアクションアドベンチャー独特の雰囲気をまとっている。
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「壊滅の潮汐」の大きな特徴となるのが,「騎士バトルシステム」だ。本作のストーリーは,イギリスの「アーサー王伝説」に大きくインスパイアされたものとなっており,バトルでは騎士の亡霊を召喚して,グウェンドリンの戦いをサポートさせる。グウェンドリンと騎士のコンビネーションが重要になるようだ。
戦いの相手となるのは,山のようにそびえる巨像騎士。その体内に広がる宮殿を探索していくことで,巨像騎士にまつわる壮大な物語を体験していくという。
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チェン氏には,このバトルシステムについて聞いてみた。
4Gamer:
「壊滅の潮汐」のトレイラーでは,騎士の亡霊のような存在を発動して戦っていますが,どのようなシステムなのでしょうか。
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騎士は「スペクトラルナイト」(Spectral Knight)という,霊体のような存在で,さまざまなアビリティを持つ10体以上のスペクトラルナイトが登場します。プレイヤーはそのうち2体を選んで,主人公とあわせた3体でプレイできます。
また,この2体のセットはもう1つ作っておくことができ,状況によってセットを変え,異なるコンボ技を駆使して戦えるようになっています。
4Gamer:
スペクトラルナイトは,円卓の騎士たちの亡霊なのでしょうか。
チェン氏:
円卓の騎士にインスパイアされたキャラクターたちですが,円卓の騎士の登場人物そのものではありません。「壊滅の潮汐」は,アーサー王伝説をリスペクトして題材として使っていますが,アーサー王伝説をトレースするものではないので。
彼らの名前も,風を操る「ウインドナイト」や,高いパンチ力を持つ「フィストナイト」といったもので,固有の人物名ではありません。伝説で知られる「12人」にこだわらず,現時点で「10人以上のスペクトラルナイト」とアナウンスしているのも,ゲームバランスを優先しているからです。
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4Gamer:
では,なぜ中国をはじめとしたアジアではなく,イギリスを舞台に選んだのでしょうか。
チェン氏:
それは,やはり我々開発チームのメンバーの多くが,アーサー王伝説が好きだったからです(笑)。もちろん,異なる国の物語を扱うわけですから,イギリスまで実際に赴いて取材しましたし,彼らが考える伝説の枠からはみ出したり,彼らの心情を傷つけたりといったことがないよう,現地でのプレイテストをとおして注意を払っています。
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4Gamer:
スペクトラルナイトを召喚するのに,何か条件のようなものがあるのでしょうか。バトルでキルされるのかも気になるところです。
チェン氏:
パワーゲージを溜めたり,マナのようなものを消費したりといった要素はなく,アクション時にボタン1つで召喚できます。イメージとしては主人公のスキルの1つに近いでしょう。召喚されると各々の技を繰り出しては消えていくので,キルされることもありませんし,何度も繰り返して召喚できます。
4Gamer:
主人公のグウェンドリンも,相当なスキルを持っているようですが,どのような背景があるのでしょうか。
チェン氏:
グウェンドリンは,ロンドンを襲った厄災を生き延びた唯一のサバイバーで,その過程で「グレイフォッグ」(灰色の霧)をコントロールする能力を得ます。まだ生きているかもしれない妹を探しつつ,グウェンドリンは自分についても学んでいくことになるのです。
4Gamer:
昨年,「黒神話:悟空」がグローバルマーケットで大きく注目されるなど,ここ数年で中国のゲーム開発能力がレベルアップしたような印象を受けますが,どのようにお考えですか。
チェン氏:
そうですね。我々の開発チームには,日本で「龍が如く」の開発に参加していた経歴を持つ者もいますが,中国のゲーム開発者たちもノウハウを吸収しながら,ある時期からグローバル市場を目指すようになったのは間違いないと思います。
そういう意味では,「黒神話:悟空」のような成功例が出たことは我々にとっても勇気づけられるもので,3年前から開発していた「壊滅の潮汐」の方向性も間違っていないと思っています。
4Gamer:
ワクワクする巨像との戦いだけでなく,描き込まれた環境アートからキャラクターの表情に至るまで,すでにかなりのクオリティが感じられます。
チェン氏:
そう言っていただけると,開発チームのメンバーも喜ぶと思います。ご存じのように,DLSS 4やPS5 Proなどもサポートしており,見ごたえのあるゲームグラフィックスを目指して開発を続けています。
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4Gamer:
State of Playで公開されたトレイラーも100万ビューを超えるなど,高い注目を集めているようです。
チェン氏:
ありがたいことです。日本の皆さんからもフィードバックを受けて,これからゲームを仕上げていくうえで注意深く参考にさせてもらっています。ゲーマーの皆さんが何を求めているのかを我々も知りたいですから,これからもご意見をいただきたいと思っています。
4Gamer:
ありがとうございました。