連載
第8回「MechWarrior 5: Mercenaries」
西暦3015年。人類が広大な宇宙へと進出して幾星霜,内宇宙と呼ばれる宙域は,終わりなき戦いの舞台と化していた。君は,復讐を誓う若き傭兵部隊のリーダーとなり,愛機バトルメックと共に裏切りと策謀が渦巻く紛争地帯へと身を投じる。これは,一人の傭兵が伝説の部隊を築き上げるまでの,血と硝煙の物語である。
人間界のゲームに心奪われた魔王・赤城朱音(あかしろ あかね)。目つきも口調も悪いが実はお嬢様な龍恩寺凛(りゅうおんじ りん)。ボードゲームとミニチュアが大好きな天然ギャル・新山穂香(にいやま ほのか)。――そこは私立四亀学園。放課後の空き教室には,今日も3人の姿があった。
ふふっ、ふひひ。無骨なボディが奏でるダンディな鋼鉄の音……はぁ〜、たまらない。
なにがたまらないんだ?
えへへ〜、今「MechWarrior 5: Mercenaries」にハマってて〜。見て! このゴテゴテなバトルメックの重厚感、最高でしょ!
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おん? メックと聞いて駆けつけてみれば、なんじゃMechWarriorではないか! 懐かしいのう〜。
見た感じ懐かしいっていうほど古いゲームでもなくないか。
そうだねぇ。発売自体は結構前だけど、最近日本語化されたばかりだし〜。
ワシが知るMechWarriorはミニチュアゲームのほうじゃ。シリーズの祖たる「バトルテック」から数えれば、1980年代から続く歴史あるシリーズなのじゃよ。
へ〜、そんな昔からあるのか。
シリーズのバックボーンとか全然知らなかったけど、関係なくハマってた〜。
とは言っても、ワシは5に関してはノータッチじゃ。部隊を率いて戦場に繰り出すであろうことしか分からん。
大体合ってるよ。宙域内の勢力と傭兵契約を結んで、バトルメックに乗って紛争地帯にカチコミするの。部隊を維持するマネジメント要素と、メックを操縦して暴れまわるアクション要素を楽しめるんだ〜。
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アクションものなのか? にしては、メックのデザインがスマートじゃないというか……。
ずんぐりむっくりじゃな!
そう思うよね〜。でもでも、何度も戦場を共にしているうちに、この無骨な感じがすっごくカッコよく見えてくるんだよ!
そうじゃ、そうじゃ! 鋼鉄の戦士の美学が分からんとは、凛はまだまだお子ちゃまじゃな。
おいっ、お前もこっち側だったろーが!
朱音ちゃん手のひらクルクルだ〜!
手のひら返しな……。なんていうか、動きがモッサリしてて、メカっていうより戦車っぽくないか?
そうなのー! メックの操作はまさに戦車。上半身と下半身の動きが連動してないから、下半身での進行方向の調整しつつ、上半身の旋回で自分の視界をコントロールしないといけないの。
ほんとだ。視界を真横にズラしても、下半身の進行方向は変わらないな。
むぅ〜。敵と撃ち合っておると、足が疎かになって壁に激突してしまうのう。独特じゃなぁ。
この操作感がまたいいんだよ〜。一挙手一投足に鉄の塊を動かす重みを感じられるから、そこにロマンを見出せる人だったらドストライクだと思うの。
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「ARMORED CORE」みたいなスピード感のあるやつを想像してたけど、路線が違うんだな。
ぜ〜んぜん違うよ。基本足が遅いし、なんなら回避アクションもないからね〜。
回避がないって、撃ち合いになったらどうするんだ?
殺られる前に力でねじ伏せる!
いくらなんでも脳筋すぎないか?
かっかっか! 力こそパワー。穂香らしいのう!
メックバトルは攻撃を機体で受けてなんぼなんだよ! もちろん被弾箇所を調整するとか、遮蔽物に身を隠すとかして、ダメージコントロールはしなきゃだけどね。
被弾するのが前提となると、無傷で帰れることはなさそうじゃの。
それね〜。毎回黒焦げになって帰ってくる。
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どんな戦いをしたらこうなるんだ……?
殺るか殺られるかの泥臭い戦いをしてるの! ギリギリ生還できたときのアドレナリン、ほんとすごいんだから〜!
ところで、カスタマイズ要素はどうなっておるんじゃ?
メックのパーツを組み替えて、自分だけの機体が作れるよ!
へ〜。しかもこれ、部位ごとに装甲の厚さを変えられるんだな。これなら被弾が多い箇所を壊れにくくできるじゃん。
ご名答〜! ちなみ穂香は、腕周りの装甲を厚めにしつつ、両腕と両肩に高火力レーザーを積むカスタマイズが好き〜!
ほほーう。レーザー撃ちまくりで楽しいのう! じゃが、やっぱり足が遅いのう。
じゃあジェットパックを積める足の速い子に乗ってみる?
なんじゃ、あるならはやくくそれを……。
でも装甲が紙なんだよね〜。
当たらなければどうということは……。
斥侯役で採用してるけど、集中砲火を受けると即溶けしちゃって〜。
やっぱり、のーさんきゅーじゃ……。
速いメックは脆くて、装甲が厚いメックはノロいのか。メックにも一長一短があるんだな。
そそ! 速い機体で一撃離脱を狙うか、重装甲で耐えながら戦うか、このあたりはお好みでって感じかな。
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メックを買うのもそうだし、武器を揃えてパイロットも雇用して、ってなると資金繰りが大変そうだな。ましてや戦場で壊れでもしたら……。
そうなの! 壊れたパーツを買い直したり、装甲を修理したりしてるうちに100万くらいポーンと飛んじゃうし……移動するだけでお金かかるし……パイロットは全治80日とかザラなのに……月々のお給料払わなくちゃで……うっうっ。
なんか世知辛いな。
でもね、そこがいいの! 単純にやりくりが楽しいっていうのもあるんだけど、傭兵部隊を率いてるリアルを感じられるんだよね。
主人公が超人的な能力持ちでもなければ、特別なパトロンがついてるわけでもない。となると、それぐらい世知辛いほうがリアルじゃな。
あと、そのときの部隊の状況に合わせて、報酬の按分を交渉できるのも面白いところかも。サルベージした機体を横流ししてもらうとか、大破したときのために保険をかけてもらう、みたいな交渉を雇い主とできるんだよ。
契約交渉から部隊の維持管理まで、すべてを自分で決める。まさに傭兵稼業をロールプレイできるってわけか。やりがいがありそうだな。
それにね、自分がとった行動によって宙域の情勢が変わったり、組織との関係性も変わったりするんだよ。
ほほーう! ちゃんとゲームの中の世界が生きておるんだのう。それはロールプレイが捗りそうじゃ。
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ふふふ。このゲームは最大4人で協力プレイができるし、本編さえ持ってればホストが購入したDLCのデータでも遊べるよ。穂香は全部買っちゃった。
それってあれかのう、自分のセーブデータにメックやらパーツやらを持ち帰ることは……?
できないねぇ。ホストが所有するパイロットと機体を使って、一緒に戦えるだけなんだ〜。
なんじゃー、それは残念。じゃが、ほのかが持っておるDLCの恩恵を受けられるなら全然アリじゃな。これはワシらで最強のJK傭兵部隊を目指すっきゃないのう!
やったー! じゃあ朱音ちゃんが斥侯役で、凛ちゃんは突撃役ね! 穂香は後方から援護射撃頑張るから!
……なぁ、一つ確認したいんだが、フレンドリーファイアはどうなってるんだ?
もちろんあるよ。さっきも目の前を横切った味方をレーザーで溶かしちゃった。
アタシ、寒気がしてきた。
ワシら、生きて帰れるかのう……。
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