第9回「ARC Raiders
機械の駆動音が遠くで響き,瓦礫の山がかつての文明を物語る。我々が生きていくためのすべては,機械生命体ARCが支配する地上世界に残されている。レイダーとなった君は,危険を顧みず地上へと旅立たなければならない。目的はいたってシンプル。価値ある物資を回収し,生きて帰ること。しかし,それは容易ではない。無機質な殺意を向けるARC,そして同じ目的を持つ他のレイダーが,君の行く手を阻むだろう。さあ,装備を整え,地上へ向かうエレベーターに乗り込め。
人間界のゲームに心奪われた魔王・赤城朱音(あかしろ あかね)。目つきも口調も悪いが実はお嬢様な龍恩寺凛(りゅうおんじ りん)。ボードゲームとミニチュアが大好きな天然ギャル・新山穂香(にいやま ほのか)。――そこは私立四亀学園。放課後の空き教室には,今日も3人の姿があった。
ねぇねぇ、朱音ちゃ〜ん。3人で遊べるよさげなゲームないかな?
頭をフル回転させるやつと、シナジーを考えるやつと、スリルがたまらんやつがあるが、どれがいいかのう?
え〜? じゃあスリルがたまらないやつー!
同じく。テスト勉強で頭がパンクしてたとこだし、頭脳系はパス。
ならば「ARC Raiders」がいいかものう。
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それ聞いたことあるな。確か、最近流行ってる脱出型シューターだろ?
そのとーり。舞台は機械の軍勢ARCに支配され荒廃した未来の地球。ワシらは地上を探索するレイダーとなり、物資を収集して地下都市へと帰還する任務に就くのじゃ。
荒廃した地球ってことは〜、当然ただのお使いってわけにはいかないんでしょう?
うむ。地上にはドローンから大型ロボットまで敵対勢力のARCがうようよしていて、めちゃくちゃ危険じゃ。それと同じくらい厄介なのが……。
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ほかのプレイヤー(レイダー)だな。
いかにも! 資源は取り合いじゃから、相手が武闘派なら挨拶の前に弾丸が飛んでくるぞい。略奪目当てで待ち伏せされることもあるくらいじゃ。
わ〜! 世紀末って感じ〜!
狩られたくないなら、とにかく音に気を配ることじゃ。
足音とか発砲音で位置バレするもんな。
それに、収集スポットによってはこじ開けるときに大きな音が鳴るから、このあたりはとくに注意が必要じゃ。
行動するときは“壁に耳あり障子に目あり”の精神が大事ってことだね!
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脱出型シューターものなら、敵に倒されて帰還不可になった時点で持ち物を落とすんだよな?
そのとーり! って、凛はこのジャンルの民なのか? ワシのセリフをことごとく奪いおる!
まぁ「Escape from Tarkov」とか「Hunt: Showdown 1896」をちょっとな。
さすがチャカとドンパチが似合うJKナンバーワーン!
茶化すなって! ずっと気になってたんだが、このゲームってTarkovとなにが違うんだ?
おおっ、ぶっこんできたのう!
だって気になるだろ?
基本の流れは同じじゃが、細かい仕様が結構違うぞい。分かりやすいところだと、三人称視点じゃからプレイ感が全然違うしのう。それにヘルスは部位ごとではないし、ややこしい状態異常もない。
へ〜、リアル志向ではないんだな。
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いい意味でカジュアル路線じゃな。それにARC Raidersはプレイヤーへの救済措置が多くて、プレイのハードルがかなり低めじゃ。
でも帰還できなかったら持ち物が全部パーになるんでしょ〜。救済措置があるようには思えない厳しさじゃない?
ふっふっふ。“すべて”ではないぞい。やられてもアイテムを持ち帰れる「安全ポケット」という仕組みがあるのじゃ。まぁこれはTarkovでもおなじみじゃな。
な〜んだ、じゃあそこに全部入れておけば……。
と、思うかもしれんがそこまで万能ではない。スロットは少ないし、銃は対象外じゃ。
それな〜。装備品をロストするのが結構こたえるんだよな。死に戻るうちに装備品のストックがなくなると、武器がないから出撃できない……みたいな状況になってさー。
あるあるじゃな〜。じゃが、このゲームはそのあたりの配慮もしっかりしておる。仮に装備品がすっからかんでも、無料ロードアウトを使えば最低限の装備を身につけて出撃できるぞい。
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おっ、Scav的なやつか?
まぁ似たようなもんじゃ。しかもこれには、回数制限もクールダウンもない。
優しさ〜っ! じゃあ手詰まりの心配はないってわけだ。
ジャンル特有のヒリヒリとしたスリルは残しつつ、モチベを下げやすい要素をマイルドにしてるって感じ?
うむ。そのあたりがよく研究されておってな、プレイしてみると遊びやすさと分かりやすさを重視しとるのが分かるぞい。とにかくジャンルの初心者にも優しい設計なのじゃ。
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それで、肝心の脱出はどうやるの?
エレベーターを呼んで地下に帰るんじゃが、起動すると派手な音と光が出てな〜……周囲の敵に位置がバレバレになるんじゃよ。
え〜。それって「ここにいるよー! 私を撃ってー!」って、言ってるようなものじゃん!
そうじゃな。音を聞きつけたARCやら、ほかのプレイヤーやらがワラワラと集まってくるから、油断しておるとハチの巣にされるのじゃ。
エレベーターにすぐ飛び乗ればハチの巣にならなくて済む、とかはないのか?
ないのう。そもそも扉が開くまでわりと待たねばならんし、乗り込んだらスイッチを押して扉を閉じねばならんし。気合じゃな! かっかっかっ!
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気合て……。
いらん危険を避けるならハッチを使う方法もあるが、これには特別な鍵が必要になるからの〜う。
エレベーターで帰る間際にダウンしちゃったら、かなり萎えぽよになりそう。
確実ではないがダウンしていても帰れるぞい。
そうなの!?
這いずり移動中でもスイッチを押せるからのう。息の根を止められなければ、ワンチャンあるかもしれん。
それアツいなー!
ね〜! 帰還間際の攻防でドラマが生まれそう。
めっちゃあるぞ〜。絶望から一転して奇跡の脱出とか、追い詰められたところをほかのレイダーに救われて共に脱出、とかもあったのう。
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それこそNPCとプレイヤーの区別がつきやすいから、プレイヤー間で無理に敵対せずに共闘する流れも生まれやすそうだな。
まさにじゃな〜。マッチ中に「ドンシュー(Don't shoot!)」のジェスチャーをしとったら、1人また1人と野良の仲間が増えていってのう。みなで共に地上を脱出したときは、魔王として軍を率いていた頃を思い出したわい。
随分へっぴり腰の魔王だな。
出た〜! 朱音ちゃんの魔王設定〜!
設定じゃないわい! ワシのカリスマ性は魔界でも……。
はいはい。ダウンロードも終わったことだし早速やるかー。
わーい! 3人でチームを組めるんだよね? 穂香は殿ポジションがいいなー!
じゃあ魔王大先生には先駆けポジションに入ってもらって、カリスマ性を存分に発揮してもらおうか。
お、おぬしら……ワシを囮にする気じゃな……。
さー、スペランザの未来のために出撃だー!
おー!
























