企画記事
「桃太郎電鉄2 〜あなたの町も きっとある〜」で“つながる”を知り,楽しもう。令和の定番となったSwitchのシリーズ作品の歩みから考える桃鉄の魅力
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「東日本編」「西日本編」の2マップに分かれ,物件駅数も物件数もシリーズ史上最多! というパワーアップを遂げた本作。全国津々浦々な遊びはこれまでの桃鉄のまま,日本をさらに深く楽しみ,そして知ることができるゲームになっている。
2020年11月に発売された「桃太郎電鉄 〜昭和 平成 令和も定番!〜」でNintendo Switchをプラットフォームに新たに動き出してから,完全新作としてはこれで3作目。ひとりで気ままに&友だちや家族と集まってワイワイ遊べる桃鉄は,Switchというハードとの相性のよさもあってまさに“令和の定番”として定着している。
本稿では,そんなSwitchで続いてきたシリーズの流れを軽く振り返りつつ,新作の面白さや魅力を紹介していきたい。
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あらためて「桃鉄」シリーズをおさらい
桃鉄シリーズは,日本全国を旅しながら楽しむすごろくタイプのボードゲーム。ルーレットで決まる目的地を目指し,サイコロを振って線路(ときには空路や航路)を進んでいくのが基本の流れだ。途中の駅で物件やアイテムを購入しながら目的地を目指し,誰かがゴールすると次の目的地がまたルーレットで決まる。
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道中ではイベントが起きたり,ボンビー(貧乏神)がついたりと,わちゃわちゃしたハプニングが常に付きまとう。決算で毎年の収益を確認しながら資産を増やしていき,最終的に総資産が一番多かった人が勝利という分かりやすさと盛り上がりやすさが,広い層に愛される理由のひとつだ。
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シリーズの始まりは1988年,ファミコン向けに登場した初代「桃太郎電鉄」。その後,PCエンジン,ゲームボーイ,スーパーファミコンなどで別機種版や続編が生まれ,現在の桃鉄のスタイルが形づくられていく。そこから家庭用ゲーム機から携帯ゲーム機だけでなく,携帯アプリといった形でも展開し,長く親しまれてきた。
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2020年11月には「桃太郎電鉄 〜昭和 平成 令和も定番!〜」(以下,桃鉄 令和)がSwitch向けに発売。遊びのベースはそのままに,グラフィックス表現や物件数,キャラクターデザインなどが新しくなり,ネットワーク対戦にも対応したことで,Switchで気軽に遊びやすいスタイルが広がった。
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続く2023年には「桃太郎電鉄ワールド 〜地球は希望でまわってる!〜」(以下,桃鉄ワールド)が登場。ニンテンドーDS版「桃太郎電鉄WORLD」以来となる世界を舞台にした桃鉄では球体マップを使った表現が取り入れられ,地球をぐるりと旅する感覚をそのまま楽しめる作品になっている。
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東と西にマップが分かれ,物件駅数&物件数はシリーズ最多。いろいろゲーム2本分なボリュームの「桃鉄2」
そうしてSwitchでの展開が続いてきたなかで登場したのが,本作「桃太郎電鉄2 〜あなたの町も きっとある〜」(以下,桃鉄2)。東日本と西日本でマップが分かれ,遊びの幅がぐっと広がったことが大きな特徴だ。
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基本の遊び方はこれまでと変わらないものの,東日本では冬の北海道で豪雪に見舞われたり,西日本では鳴門海峡で潜水艦に乗って海底を探検できたりと,同じ桃鉄でも東と西で体験の雰囲気がかなり違う。
東日本マップは北海道から中部までの559駅,西日本マップは近畿から沖縄までの431駅を収録し,合わせておよそ1000駅というボリュームになった。
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「桃鉄 令和」が日本全体で339駅だったので,東日本と西日本の単体で比べても本作のほうがその数は圧倒的に多い。「あなたの町も きっとある」というサブタイトルの通りで,それだけ駅も物件も,地元の人ならなおさら感じるであろう「こんな場所まで駅に!?」「アレが物件に!?」というものが増えている。
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マップ全体の描写も緻密になっていて,ランドマークや名所がより写実的に表現され,都道府県の広さや町の位置関係もこれまでより現実に近くイメージできるようになった。
とくにSwitch2版では,マップの表示を「ひろびろモード」と通常の視点を切り替えられるようになり,ゲームをテンポよく進めたいときはマップ全体を見渡せるひろびろモードで,旅気分で細かい駅や風景を眺めたいときは通常の視点で,と遊び方に合わせて見え方を変えられるのもいいところだ。
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各地にちなんだイベントも東西それぞれに用意されていて,東北三大祭りや京都三大祭り,宇都宮と浜松のギョーザにまつわる話など,地域の特色がそのまま遊びに反映されている。
そこへ登場する名産怪獣は,その名のとおり各地域の名産がモチーフになっている。その振る舞いは良い結果になる場合もあれば困ったことにもなるなど,その土地ならではの存在感と親しみのあるキャラクターばかりだ。
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その土地に関連する偉人や有名人が仲間になる歴史ヒーローももちろん登場。仲間にするとゲームを少し有利に進められるだけでなく,その人物にちなんだ要素で地域の歴史に触れられるようになっている。
地域によって登場する人数に差はあるものの,その土地にゆかりのある人を自然と知れるのが桃鉄らしいところだ。
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桃鉄で忘れてはいけない存在がボンビー(貧乏神)だ。おなじみのミニボンビーやキングボンビーに加えて,東日本編と西日本編それぞれにゲストボンビーが登場する。
物件の収益率をマイナスしてくる東日本編限定のパーセントボンビー,デビル系カードを撒き散らす西日本編限定のデビルボンビーといったように,みためはもちろん“お邪魔”の仕方も異なるので,このあたりでもどちらのマップを選ぶかでゲーム展開や注意すべきことが変わるだろう。
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目的地を目指すうえでも,さまざまなアクシデントに対処するうえでも重要となるのがカードだ。1度に振れるサイコロの数を増やしたり,物件を安く買えたり,うんちで相手を足止めしたりと,手に入れたカードをどう使うかが勝敗に大きく関わってくる。
周囲のプレイヤーを自分の近くに呼び寄せる「苦しゅうないカード」,うんちがついて追い抜かれなくなる「うんちストーカード」といった新しいカードも追加。出てくるカードは東日本と西日本のどちらのマップでも共通なので,効果を覚えておけば,その場の状況に応じて有利に立ち回り,アクシデントにしっかり対処できるはずだ。
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ゲームを楽しみながら,経済や地方を学べるのも桃鉄の魅力。JTBパブリッシングによる解説文が表示される「虫メガネで解説」機能は今回も健在で,調べられる駅数はたくさんあり,さらに物件駅やランドマークだけでなく,地名付きのカード売り場の駅やナイスカード駅なども説明文が入っている。これまたすごい情報量とボリュームだ。
なお物件名や解説などは任意でルビやふりがな表示をON/OFFできる。小さな子どもと遊ぶ人はぜひ活用してほしい(地名がよくクイズになる“日本の最北部出身者”としては,大人にもONにするのをお勧めしたい)。
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「桃鉄2」を遊んで感じた“つながること”と“知ること”の楽しさ,大切さ
遊び方そのものはいつもの桃鉄のまま,東と西で分かれた2つのマップによって“2本分のボリューム”ともいえる楽しさがあるのが「桃鉄2」の魅力だ。けれどそれ以上に,今回あらためて強く感じたことがある。
それは“つながること”と“知ること”の楽しさと大切さだ。
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まずは,地域と人を知るという意味でのつながり。桃鉄は日本各地を旅行しているような気分で遊べるゲームで,駅ごとの特産品や名産にちなんだ物件,地域のお祭りや出来事,偉人など,その土地ならではのものに自然と出会える。
遊んでいるうちに「この地域ってこういうものがあるんだ」と興味がわき,ちょっと親しみが生まれる。そんな体験は昔から桃鉄ならではの良さだと思う。
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世界を旅する「桃鉄ワールド」では,制限されずに誰もが世界を回れることで,その国や地域を知り,つながりを考えるきっかけを与えてくれた。「桃鉄2」は日本という一つの国の隣り合う地域同士の,距離が近いからこそ知らなかったこと,気づかなかった地域性に出会える楽しさがある。
そして,いろいろな文化や考えかたをもつ国や地域,そして人がすべて線路でつながっているということ。世界と日本(の東西)でスケールこそ違うけれど,“お互いを知ることが大事だ”と感じられる部分は共通だ。
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そしてもうひとつの“つながる”は,Switchというゲーム機を通じたつながりだ。
昔から桃鉄をプレイしていた人なら,友だちと集まって遊んだり,年末年始に家族でワイワイ楽しんだり,仲良くケンカ(?)した記憶がある人も多いと思う。
ゲームの遊ばれ方や家庭用ゲーム機のスタイルが変わり,そういった“みんなで同じ画面を囲む時間”はどうしても減っていった部分がある。そこに,持ち運べて,持ち寄れて,テレビでも遊べるという柔軟なスタイルを持ったSwitchが登場したことは,桃鉄のような“お茶の間のゲーム”にとって大きな意味がある。
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Switchでのシリーズ展開になってからオンライン対戦にも対応し,さらに「桃鉄2」のSwitch2版では,1本のソフトがあれば複数のハードで遊べる「おすそわけ通信」や,みんなの顔を見ながらプレイできる「カメラプレイ」(※Ver.1.0.4以上へのアップデートで使用可能)という新しい遊び方も加わった。近くの人とも離れた場所の人とも一緒に遊べて,さらにお互いの表情も分かる。新しい機能によってこの“つながって遊ぶ”も強化されているのだ。
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マップは東と西に分かれているが,1本でひとつのゲームとして大きな日本を形づくっているような印象がある。
「とはいえ日本全国を1枚絵のマップで巡りたい!」というときは「桃鉄 令和」,もっと広く世界を旅したい気分の日には「桃鉄ワールド」,そして東西の日本を深く知りたいなら「桃鉄2」。それぞれで違うので,どれかではなく,どれも遊びたくなるのがSwitchの桃鉄シリーズを通しての魅力だと思う。
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都道府県や地方,町や村,日本の隅々にあるものと人を線路でつなぎ,知るきっかけになる。そしてゲーム機を通じて,プレイヤー同士もつながる。「桃鉄2」は,そんな“つながる楽しさ”がいろんな形でぎゅっと詰まった1本だ。
いろいろお伝えしてきたが,難しく考えず,まずはすごろくゲームやパーティゲームとして遊んでみるのが一番。「大金持ちだ!」と喜び,ボンビーをなすりつけられて「ムキー!」となりながら旅している途中,気になった名産品や町があったらちょっと調べてみる……みたいに,ゲームの楽しみ方を広げられたらいいと思う。
東でも西でも,ひとりでもみんなでも,気軽に遊んで日本を巡ってみてほしい。きっと新しい「面白い!」や「へぇ!」がたくさん見つかるはずだ。
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- 関連タイトル:
桃太郎電鉄2 〜あなたの町も きっとある〜 Nintendo Switch 2 Edition 東日本編+西日本編
- 関連タイトル:
桃太郎電鉄2 〜あなたの町も きっとある〜
- 関連タイトル:
桃太郎電鉄 〜昭和 平成 令和も定番!〜
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桃太郎電鉄ワールド 〜地球は希望でまわってる!〜
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- Nintendo Switch 2:桃太郎電鉄2 〜あなたの町も きっとある〜 Nintendo Switch 2 Edition 東日本編+西日本編
- Nintendo Switch 2
- テーブルゲーム
- CERO A:全年齢対象
- KONAMI
- プレイ人数:1〜4人
- Nintendo Switch:桃太郎電鉄2 〜あなたの町も きっとある〜
- Nintendo Switch:桃太郎電鉄 〜昭和 平成 令和も定番!〜
- Nintendo Switch:桃太郎電鉄ワールド 〜地球は希望でまわってる!〜
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- 編集部:Junpoco
(C)さくまあきら (C)Konami Digital Entertainment JR東日本商品化許諾済
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