インタビュー
[インタビュー]「ぎるぐる GiLGuL」は,役者と開発者のイメージが合わさり,より良いものになった。高柳知葉さんと奈良輪和史氏が語る,ゲームを通じて伝えたいこと
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「ぎるぐる GiLGuL」は,生と死の間に存在する世界「間世」を舞台に,生に執着する少女「三津真央」と死を望む者たちの物語を描いた“ドラマツルギーリアルタイムタクティカルアドベンチャー”で,6月にはSteam版が発売されている。
主人公・真央の視点で選択肢に答えながら進んでいくアドベンチャーパートと,仲間たちと共に魑魅魍魎を倒すリアルタイムタクティカルパートを搭載しており,ボリューム満点のシナリオと,戦略ゲ―ムの2種類を楽しめる。
本作のシナリオは,仏教における「四苦八苦」の概念が反映されているのが特徴の1つだ。老いを恐れる巽 美玖(老苦),欲しいのものを手に入れる欲が誰よりも強い鬼首姫奈(求不得苦) など,旅の中で真央が出会うキャラクターたちも四苦八苦がモチーフになっている。
一癖も二癖もあるキャラクターたちと出会い真央がどのように成長していくのか,真央と出会ったキャラクターたちがどのような選択をしていくのかが,物語の見どころだ。
今回4Gamerでは,Switch版発売のタイミングで,本作の企画・シナリオを担当したProduction Exabilities代表の奈良輪和史氏と,主人公の三津真央を演じた高柳知葉さんにインタビューする機会を得た。「ぎるぐる GiLGuL」の出発点や高柳さんが真央を演じる際に心がけた点など,さまざまな話を聞いているので,最後まで読み進めてほしい。
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「ぎるぐる GiLGuL」で描くのは,現代日本における人間の悩みや苦しみ
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。今回はSwitch版の発売に合わせて,改めて「ぎるぐる GiLGuL」についていろいろと聞かせてもらえればと思います。
まず,「ぎるぐる GiLGuL」はどういった経緯で開発が始まったのでしょうか。
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2023年の10月に,弊社のプロデューサーとPax Australiaに行ったのが最初のきっかけでした。
そのときにいろいろな方に話を聞いたり,出展されていたゲームを見たりして「現代日本をテーマにしたものを作りたいね」という話があったんです。
4Gamer:
現代日本がテーマというのは,5月の発表会でも触れられていましたね(関連記事)。
奈良輪氏:
あとは「NEEDY GIRL OVERDOSE」がリリースされ,大きな反響があったあとのタイミングでもあったので,“闇”というのも1つのキーワードとして浮かんでいました。
現代日本の闇を描いたストーリードリブンのゲームを,Production Exabilitiesだったらどう作るのか。悩みや苦しみという人間の根源的なものを物語の中で描いてみたいという思いから作られたのが,「ぎるぐる GiLGuL」でした。
4Gamer:
奈良輪さんの考える,現代日本における人間の悩みや苦しみとは何なのでしょうか。
奈良輪氏:
今の世の中に人々が感じている“閉塞感”というのは,悩みや苦しみの1つになると思います。特に若い世代ではそれが顕著で,20代くらいの開発者から息苦しさを感じるとよく聞いていたんです。
4Gamer:
社会の“閉塞感”というのは,近年でよく聞くワードです。ゲームや音楽,小説などの創作物でも“閉塞感”を題材にしたものがよく見られますし。
奈良輪氏:
その苦しさの原因はなんだろうと考えた際に,インターネットやSNSなどで,見えたくないものまで見させられているところにあると思ったんです。
4Gamer:
不意に他人同士の争いが目に飛び込んで気分が落ち込んだり,他人と自分の能力を比較して自己嫌悪に陥ったりという話はよく聞きますよね。
奈良輪氏:
そうなんですよ。実は私自身はこの歳まで好き放題に生きてきたので,あまり息苦しさを感じたことはないんです。ただ,それって生まれてきた時代による部分も大きいと思うんです。
たとえば,私は15,16歳くらいのときに物書きになろうと思ったんですが,当時は「俺より文章を書くのがうまい人なんて,いないだろう」という謎の自信があったんですよ。
もちろん,歳を重ねていくうちにそんなことはないと気づかされるんですが,あの無敵感がなければ,多分今の仕事には就いていないとも思っています。
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4Gamer:
若いのころの成功体験や自信が人生を変えたと。
奈良輪氏:
ただ,今はSNSで自分よりうまくやれる人が見えてしまうので,どうしても比べてしまう。自分と他人を比較してしまって「私にはできない」「仕事にできない」と感じてしまう。人と人を比較するということが,現代における一番の苦しみなんじゃないかなと思いますし,本作に登場するキャラクターの造形にもつながっています。
4Gamer:
本作は仏教における「四苦八苦」の概念が1つのテーマになっています。現代社会における人の苦しみを描くうえで,仏教の世界観を取り入れようと思ったのは,何故でしょうか。
奈良輪氏:
仏教の世界観を取り入れたのは,根っこを突き詰めると,現代における人間の悩みにつながると思ったのが理由です。
生きることは苦しいものだし,歳をとるのも不安になる。病気になったら辛いですし,愛する人と別れたら悲しい。こうした仏教の世界観を見ると,人間の悩みって根本的な構造は,2500年前も今も変わってないんです。
4Gamer:
苦しみの見えかたや現れかたが変わっているだけということでしょうか。
奈良輪氏:
そうだと思います。あと仏教を取り入れたのは,日本的なものを取り入れたかったというのも理由の1つですね。
4Gamer:
「ぎるぐる GiLGuL」には,テキストアドベンチャーのパートに加えて,拠点を取っていくタクティカルパートが用意されています。
単に物語を見せることにフォーカスするなら,アドベンチャーパート1本で行くこともできたと思うのですが,そうしなかった理由を聞かせてください。
奈良輪氏:
アドベンチャーパートはそれで面白くはあるんですが,物語だけ書いてしまうと,それは小説やボイスドラマでいいんじゃないかと思ったんです。
インタラクティブな要素が欲しかったというのもありますし,アドベンチャーゲームを作るのであれば,アドベンチャーと何かを掛け合わせて作るというのが,我々のスタイルなんです。今回は相性がよさそうなタクティカルアクションを合わせてみたという感じでしょうか。
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4Gamer:
本作では,登場キャラクターそれぞれが四苦八苦を象徴しており,それぞれのドラマも苦しい描写があり,重いものが多い印象です。これらを通じて奈良輪さんがプレイヤーに伝えたいことは何でしょうか。
奈良輪氏:
私が本作を通じて伝えたいのは,「もっと好きに生きていいんだよ」とか「よりよく生きていこう」ということです。
本作に登場する少女たちは,さまざまな選択をしていきますが,物語の中でキャラクターの選択や決断を決して批判したり,非難したりすることはありません。
キャラクターやプレイヤーが考えて決めたことだからそれでいい,なぜならそれはあなたの選択であり,主人公の真央ちゃんの選択なんだから。
4Gamer:
あなたの選択に良いも悪いもないということでしょうか。
奈良輪氏:
今の若い世代は,社会によって自己肯定感が低くされているんじゃないかと思うんです。だから“閉塞感”に苦しんでいる。生きることはそんなに悪いことじゃないし,より良く生きようという人間賛歌がテーマとしてあるんです。
そう思わないと人は生きていけないと思いますし,せめてそうであってほしいという私の願望も入っている部分がありますが。
キャラクターと同じ目線で物語を追えたからこその演技
4Gamer:
高柳さんは「ぎるぐる GiLGuL」のシナリオを初めて見たとき,どのような印象を受けましたか。
高柳知葉さん(以下,高柳さん):
最初に見たときは率直に「重いシナリオだな」と思いました。特に私が担当させてもらった真央ちゃんは,生い立ちが原因で,いろいろなことへの執着を手放しているけど,生きるということにはすごく執着しているというキャラクターなんです。
物語の序盤は特にそこに焦点が当たっているので,かなり暗く感じました。
4Gamer:
エンディングまで演じきったあとには印象が変わりましたか。
高柳さん:
間世を進んでいく中で彼女が今の考えに至った理由だったり,彼女の過去だったりを知っていくと印象が大きく変わりました。一見するとものすごくマイナスな選択に見えても,彼女たちにとっては前向きな選択をしているんです。
ネガティブな部分もありますが,その裏返しでポジティブな部分もある。根はすごく強い子で,この強さがあるから歯を食いしばって前に向かっていける子なんだなと。
「ぎるぐる GiLGuL」の収録はシナリオの執筆と並行して行われたので,私も最後まで物語を知らない状態で収録を進めていたんですが,物語が後半になるにつれて,真央ちゃんへの理解がどんどん深まっていきました。
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4Gamer:
ということは,最初の収録では,物語の序盤しか高柳さんは知らない状態だったと。
高柳さん:
そうですね。奈良輪さんは昼間に収録現場でディレクションをして,終わったあとにシナリオを書かれていました。
奈良輪氏:
役者さんに新鮮な台本をお届けしたかった……というのは冗談で,単にスケジュールが厳しかっただけです(笑)。
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ただ,そのおかげで私も真央ちゃんと同じく先の見えない状態で収録に挑めましたし,ある意味真央ちゃんの物語を追体験できたと思います。
もやがかかって先の見えない旅の中で,いろいろな人たちと巡り会う。その出会いを通じてそれまでにはなかった真央ちゃんの感情が生まれる。そして最後には真央ちゃんが大きな選択をしてエンディングを迎える。こうした体験を真央ちゃんと同じ目線でできたのは,演じるうえでとてもプラスになったと思います。
4Gamer:
物語をすべて把握しているうえで収録に挑む場合と知らない状態で収録に挑むのとでは,大分心持ちも変わりそうです。やはり演技にも影響が出てくるのでしょうか。
高柳さん:
作品によって設定や物語を先に知っていたい場合と,知っていたくない場合がありますね。何も知らない状態では演じるほうが自然な演技になることもありますし,逆に知っているからこそ,キャラクターの背景や事情,その後のシーンを踏まえて演じられることもあります。
この部分は本当に作品次第ですが,「ぎるぐる GiLGuL」に関しては何も知らない状態で演じられてよかったと思います。
4Gamer:
収録の際に印象的だったことはありますか。
高柳さん:
そうですね……ほかの演者さんと掛け合いで撮影したシーンは,特に印象に残っています。ゲームのボイス収録は,基本的に1人ずつブースに入ってセリフを録音していくことが多くて,アニメのように掛け合いでやることはあまりないんです。
「ぎるぐる GiLGuL」も基本的に1人での収録だったんですが,後半のすごく重要なシーンだけは,掛け合いでやりましょうと言っていただいたんです。
4Gamer:
キャラクターをより引き出せた手ごたえがあったのでしょうか。
高柳さん:
はい。1人での収録だと,相手がどういう芝居をするかというのを予想することしかできないんです。
1人のときは,録り終わっているほかのキャラクターのボイスを聞かせてもらって,対話するキャラクターの印象や理解を深めて会話シーンのボイスを収録していました。掛け合いでやれると,そのイメージが鮮明になりますし,すごくキャラクターの感情を引き出せたシーンになったと思いますね。
4Gamer:
奈良輪さんとしては,なぜ掛け合いでの収録を入れようと思ったのでしょうか。スケジュールが厳しいという話もあったので,1人での収録オンリーという選択もあったと思うのですが。
奈良輪氏:
このゲームのハイライトの1つでもあるところだったので,掛け合いで収録したかったんです。ここは真央ちゃんともう1人の重要なキャラクターの会話なんですが,彼女がなぜ今の考えに至ったかが語られるシーンでもあるんです。
もちろん,1人での収録でも感情は乗せてもらえるんですが,役者さんたちに掛け合いをしてもらうことで,より感情が乗ると思ったので,少し無理を言ってスケジュールを調整してもらいました。
高柳さん:
私としても,このシーンは本当に掛け合いでやれてよかったと思っています。
高柳さんから出たものが真央ちゃん。役者と開発者のイメージが合わさり,より良いものが生まれた
4Gamer:
高柳さんは,真央ちゃんのようなタイプのキャラクターを演じられた経験はあるのでしょうか。
高柳さん:
いえ,かなり珍しいと思います。最初に真央ちゃん役でオファーをいただいたときは,「私をこういう配役で使っていただけるんだ」とびっくりしましたし,私にとっても挑戦だったなと思います。
4Gamer:
あまり口数が多くないキャラクターですよね。セリフにも「……」が多くて,息づかいや少ない言葉に感情を乗せる必要がありそうだなと思いました。
高柳さん:
真央ちゃんは口数が多くはないんですけど,ものすごくいろいろなことを考えているんだろうなと捉えていました。
それこそ「……」の部分は,彼女が考えている瞬間だと思うので,今真央ちゃんの中でどのような思いが巡っているのかを,私自身も注意して考えながら演じていましたね。キャラクターをつかむまでも,相談させてもらいながら作っていきました。
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4Gamer:
あまり演じたことのないタイプのキャラクター像というのは,どのようにして作っていくのでしょうか。自分の中でひたすら考えたり,視聴したことのある作品のキャラクターを参考にしたりするなど,いろいろとやりかたがあるとは思いますが。
高柳さん:
真央ちゃんの場合は何かを参考にして寄せていくというよりは,彼女のアイデンティティやキャラクター性を自分の中で想像して積み上げていった形のほうが近いかもしれません。
役者ってよく感覚派と理論派みたい大きな括りがあると思うんです。私は極端に偏っているわけではないですが,どちらかといえば感覚派寄りだと思っています。ただ,真央ちゃんは普段よりもかなり理論寄りで考えて取り組みました。
4Gamer:
それは高柳さん自身と真央ちゃんが違うタイプだったからということでしょうか。
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そうですね。感覚で演じられるときって,やっぱり自分とタイプが近い子のときだなと思います。
表面上は全然違うキャラクターでも,根っこの部分で少し自分と似ている感覚があると,「この子ならこういうときは,こういうリアクションになるだろう」といった演技が自然と体から出てくる感覚があるんです。
真央ちゃんも次第にその感覚が出てくるようになったんですが,それは収録の後半になってからでした。
最初にキャラクターを構築していく段階では,真央ちゃんの育った環境や人生を踏まえて,「彼女はこの場面では,きっとこういう考えかたをするだろう。だからこういう返しをするだろう」という風に,自宅で台本と向き合って考える時間が長かったですね。
4Gamer:
高柳さんにとっては挑戦だったということですが,真央役を高柳さんにオファーした決め手は何だったのでしょうか。
奈良輪氏:
プロットを書きながらなんとなく声のイメージを考えるんです。一番最初に思い浮かんだのは,ビッケ役の伊藤ゆいなさんだったんですが,それとやり取りをしている真央ちゃんの声のイメージを考えたときに高柳さんの声が浮かんできたんですよ。
まあ,単に私が高柳さんの声が好きだったというのもありますが(笑)。
高柳さん:
ありがとうございます(笑)。
奈良輪氏:
一応お伝えしておきますが,キャラクターの配役はすべて私が決めているわけではないですよ(笑)。リードディレクターやリードプログラマーとも話していますし,イメージに合わせて演者さんを決めています。ただ,真央ちゃんに関しては,「高柳さん以外ありえないと思う」と言って,私の意見を通してもらいました。
高柳さん:
あまり演じたことのないタイプのキャラクターでしたが,ハマると思ってくださったのは嬉しかったですね。
4Gamer:
高柳さんが真央ちゃんにハマると思った理由は何だったのでしょうか。
奈良輪氏:
私は音響監督もやっているのですが,そのときに一番聞いているのが,演者さんの“地の声”なんです。アニメやキャラクターの声というよりは,高柳さんがディレクションに受け応えしている声を聞いて,真央ちゃんにハマると思いました。
4Gamer:
奈良輪さんから真央ちゃんを演じるうえで,高柳さんにオーダーはあったのでしょうか。
奈良輪氏:
基本的に何かこちらからオーダーをしたということはなかったと思います。「高柳さんから出たものが真央ちゃんだから」ということを高柳さんにも伝えた気がしますね。
高柳さん:
確かにそうでした。恐らく奈良輪さんの中では「この先の展開はこうなるからこう演じてほしい」という明確なビジョンがある場面はあったと思うんですが,それはそれとして役者が持ってきたものをすごくリスペクトして受け止めてくださったんですよね。「そういうふうに来たならそれもありだな」ということもおっしゃってましたし。
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奈良輪氏:
私の中でスタジオワークって,役者さんが持ってきてくれたものと自分のイメージがぶつかり合って上がっていく場所だと思っているんです。
私がいくら言おうが,役者さんがイメージを持てなければそれは正解じゃないし,役者さんが持って来てくださったイメージと,自分のイメージが合わさったときに初めて作品として完成するんです。
4Gamer:
自分のイメージより,役者のイメージを優先することが多いのでしょうか。
奈良輪氏:
こう言ってしまうと,自分を持ってないと思われてしまうかもしれませんが,理想像のようなイメージは何となく持っています。ただ,100%の理想像は作らずに役者さんと作っていく感じですね。
4Gamer:
高柳さんの演技を見て「こうきたか!」と思ったシーンはありますか。
奈良輪氏:
私は,「無礼(なめ)るな!」というシーンですかね。これは真央ちゃんが,生きることの責任を放棄しようとするキャラクターに放つセリフなんですが,私のイメージでは,強く言い放つようなイメージだったんです。ただ,高柳さんはここを「無礼るな……!」と1回トーンを落として来て,その後にもう1回語気を強めてきたんです。
このシーンは,「そうきたか!」と思わされた瞬間でしたし,すごくいいなと思って,高柳さんのイメージを採用させてもらいました。
4Gamer:
まさに奈良輪さんのイメージと高柳さんのイメージが合わさって昇華されていったシーンだったと。
奈良輪氏:
私の理想像に押し込めてやってもらうなら,それは高柳さんじゃなくてもできますし,役者さんにやっていただく意味もないじゃないですか。
私は高柳さんの考える真央ちゃんの芝居が聞きたかったですし,高柳さんのイメージにもかなり出してもらって良いものになったと思います。
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「ぎるぐる GiLGuL」に込められているのは,苦しいことや恐ろしいことあっても生きようというメッセージ
4Gamer:
ひととおり本作をプレイさせてもらって感じたのですが,後半になるにつれて登場するキャラクターの行動理念が理解できなくなってくるように思いました。このあたりは意図している部分なのでしょうか。
奈良輪氏:
そうですね。後半になるにしたがって,人としてのクズ度や理解できなさが上がってくると思ってもらえればと(笑)。
4Gamer:
個人的には物語中盤に出てくる鬼首姫奈が印象的でした。ほしいもののためにあそこまでするのかという。
奈良輪氏:
姫奈は収録のときにも役者さんたち全員から「許せない!」と口をそろえて言われたキャラクターですね。
彼女は欲しいものを手に入れるためなら何でもするという「欲」の強い少女なんですが,本当に手段を選ばないんですよね。裏表があまりないというか,本当に自分の欲望に忠実に生きているみたいなキャラクターです。
高柳さん:
私も姫奈ちゃんはちょっと許せないですね(笑)。
「ぎるぐる GiLGuL」って,人間誰しもいろいろな側面があるのは当然だよ,捉えかたによって負の部分も変わるよね,みたいなエピソードが多いんです。ただ,姫奈は人の持っている嫌な部分を見させられるので,「ここでこんな子を出してくるなんて!」と思いました。
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4Gamer:
ただどんなに残酷な考えを持っているキャラクターも,何故その考えかたをするに至ったかが丁寧に描写されていた印象があります。
相互理解の重要性というのも,昨今で声高に叫ばれていることの1つだと思いますが,彼女は彼女なりの言い分が分かるようになっているのは,こうした意図はあったのでしょうか。
奈良輪氏:
その点は人間のさまざまな側面を描いていくうちに自然と生まれてきた部分ではあるかもしれません。
私が「ぎるぐる GiLGuL」を書き終わって思ったのは,「人間って怖いな」ということでしたね。これはフィクションの物語なので,救いがありますが,現実だと救いがないなんてことは普通にあります。自分で書いておいて何ですが,人間ってどこまで落ちられるんだろう,どこまで他者を顧みないで生きられるんだろうと思いましたね。
ただ「ぎるぐる GiLGuL」の根底にあるのは,人間賛歌です。苦しいことや恐ろしいことがある世の中だけど,それでも生きようという考えなんですよね。プレイしたあとはきっと前向きな気持ちになれると思いますよ。
4Gamer:
暗い描写はあるものの,ポジティブな物語ということですね。個人的にはビッケのうざ可愛いキャラクター性には,かなり助けられた覚えがあります。
奈良輪氏:
彼女はいじられ役兼カンフル剤みたいな感じの立ち位置ですからね(笑)。ネットミームもガンガン喋るんで,そういったところにも注目していただければと思います。
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4Gamer:
戦闘中にも滅茶苦茶喋りますしビッケは本当にいいキャラしていると思います(笑)。
さて,そろそろお時間も迫ってまいりましたので,最後にこれを読んで「ぎるぐる GiLGuL」に興味を持った人にメッセージをお願いします。
奈良輪氏:
人生が辛いなと思っている人と人生がすごく楽しいと思っている人の両方にやってもらいたいです。
苦しい人は,プレイしていただければ,どこか救いになる部分がきっとあると思います。苦しいときは何でも苦しいと思いますが,それを乗り越えた部分にいい部分が見えてくるので,頑張ろうかなと思ってもらえればいいなと思います。
人生が楽しいなと思う人は,本作をプレイして存分に堕ちてもらえればなと思います(笑)。
高柳さん:
「ぎるぐる GiLGuL」は,1つのシーンでもプレイする人の状況によって感じかたが変わると思うので,どんな人でも楽しめるゲームだと思います。
それこそ収録の時も「今日の私ならこのエンディングがベストエンディングだと思いますけど,違う日ならどうなんだろう」ということを現場でもよく話していました。
ゲームを遊んでもらうと,自分自身や身の周りにいる人たちにちょっと優しくなれると思います。
あと,キャラクターの心の中や痛みをいろんな思いを込めて演じましたので,そこにも注目してほしいです。人間っていろいろな思いを抱えながら生きてるよねという部分が表現できていると思いますし,プレイした方が「明日もまた一歩生きてみようかな」と思ってもらえるとうれしいです。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「ぎるぐる GiLGuL」公式サイト
- 関連タイトル:
ぎるぐる GiLGuL
- 関連タイトル:
ぎるぐる - この記事のURL:
キーワード
- Nintendo Switch:ぎるぐる GiLGuL
- Nintendo Switch
- PC:ぎるぐる
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- ストラテジー
- Production Exabilities
- Skeleton Crew Studio
- プレイ人数:1人
- インタビュー
- 編集部:だび
- カメラマン:佐々木秀二
(C)Production Exabilities, All rights reserved. Licensed to and Published by Skeleton Crew Studio. Supported by TOKYU LAND CORPORATION.


















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