インタビュー
[インタビュー]岸田メル氏が“ブルリフ”でやり残したこと。シリーズ集大成となる「BLUE REFLECTION Quartet」で,目指すところを聞いてきた
- 「BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣」(PS4 / PS Vita / PC,2017)
- 「BLUE REFLECTION RAY/澪」(テレビアニメ,2021)
- 「BLUE REFLECTION TIE/帝」(PS4 / Switch / PC,2021)
- 「BLUE REFLECTION SUN/燦」(iOS / Android / PC,2023,サービス終了済)
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そして,本日(2026年3月27日)配信されたブルリフ公式番組にて,シリーズ4作品を網羅した「BLUE REFLECTION Quartet: 少女たちのキセキ」(PC / PS5 / Switch2 / Switch)が発表となった。7月30日の発売が予定されている。
「BLUE REFLECTION Quartet: 少女たちのキセキ」,7月30日に発売。シリーズ4作品をまるごと楽しめる
コーエーテクモゲームスは本日(2026年3月27日),「BLUE REFLECTION Quartet: 少女たちのキセキ」を7月30日に発売すると発表した。本作は,少女たちの等身大の青春を描くヒロイックRPG「BLUE REFLECTION」シリーズ4作品を楽しめるタイトルだ。
ファンにとって嬉しいサプライズとなった,「BLUE REFLECTION Quartet: 少女たちのキセキ」(以下,Quartet)だが,このタイミングでのリブートにはどんな狙いが込められているのか。そして気になる続編の可能性は? 気になるところをキャラクターデザインおよびシリーズ総監修の岸田メル氏に聞いてきた。
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シリーズ全作品を網羅し,時系列を整理した決定版
4Gamer:
本日はお時間をいただきありがとうございます。シリーズ総集編ともいえる「Quartet」ですが,なぜこのタイミングなのか。制作に至る切っ掛けからお聞かせいただけますか。
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僕も2025年の初め頃に,ガストさんから本作のお話を聞いたんですよ。シリーズ開始から10年に達しようとしていることや,未だに熱量を持って応援してくれている皆さんが大勢いますので,さまざまなメディアに点火していた「ブルリフ」の総まとめを作ろうということだと理解しました。僕としては,「ガストさんがやる気ならいつでも!」という気持ちでしたね。
4Gamer:
岸田メルさんはシリーズ立ち上げの当初から,長野にあったガストの開発室に泊まりがけで詰めるほど,深く関わってこられたと聞いています。今回の「Quartet」では,どんな立ち位置なんでしょうか。
岸田氏:
監修として,上がってきた諸々の素材をチェックさせてもらっています。新規に作成した3Dモデルや,宣伝素材などなど。あとは,パッケージイラストなどを描き下ろしました。開発スタッフの皆さんも,僕がどういう思いなのか,何を大事にしてるかをよく分かってくだっているので,チェックといってもスムーズなものでした。
新しい主題歌も,ボーカルを選ぶにあたっては強く要望を出したりしましたが,それ以外はとくになにも口を出すところはなかったです。
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4Gamer:
長年の信頼関係あってこそ,というわけですね。
岸田氏:
信頼関係のうえに,これまで積み上げてきたコンテンツがありますから。なので新しいものを作っても,元のコンセプトから外れることはないんです。
4Gamer:
今回の「Quartet」は過去作のリマスターに留まらず,さまざまな改修が加えられているとのこと。具体的には,どんなところが変わっているのでしょうか。
岸田氏:
基本的にはシリーズの時系列を整理し,まとめてプレイするにあたってシナリオや世界観をより理解しやすく,スムーズに遊べるような改修を行っています。
ご存じのように,シリーズの4作品はリリース順と作中の時系列にズレがあります。例えば2作目のアニメ「澪」と3作目のアプリ「燦」は物語上,深いつながりがあるのですが,アプリ側のスケジュールが遅れてしまい,連続してリリースすることができませんでした。
「Quartet」では,この両者の話がうまくつながるように調整し,時系列順で物語を追えるようになっています。また「幻」から「澪」や,「澪」から「燦」へのつながりなど,書き下ろしのシナリオを追加することで,より楽しめる作りになっていますよ。
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4Gamer:
ではまず,今回新たに制作したという「燦」のアレンジについて詳しく聞かせてください。これはアプリそのものではなく,ストーリーの部分のみを収録しているとのことですが,サービスが終了したタイトルの再展開としては,なかなか面白い試みですね。
岸田氏:
そうですね。「燦」はメインシナリオを再構築し,アドベンチャーパートの合間にイベントバトルが挟まる形をとっています。バトルシステムもアプリと異なりますし,成長要素もありませんので,ある種の演出として楽しんでもらえたらと。
4Gamer:
アドベンチャーパートはどんな形になるでしょうか。
岸田氏:
主人公を操作して学校の中をめぐりつつ,3Dキャラクターによるイベントシナリオを体験していく形ですね。アプリではメインシナリオが順次実装されていく方式でしたが,今回は一息に体験できるものになっています。アプリになかった完全新規のエピソードもあるので,アプリをプレイ済の人も楽しめると思います。
4Gamer:
これだけでもかなりボリュームがありそうですね。
岸田氏:
すべての物語とバトルを合わせれば,「燦」のパートだけで8時間くらいは遊べると思います。「Quartet」全体のプレイ時間だと……70〜80時間ほどでしょうか。
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4Gamer:
「澪」はテレビアニメとして放映されたシリーズですが,これもゲーム化される?
岸田氏:
全24話のアニメをそっくりそのままゲームにしたわけではありません。アニメの最終盤を中心に再構築していて,主人公である陽桜莉を操作して,瑠夏と一緒に精神世界「コモン」の3Dフィールドをめぐり,想いの結晶である「フラグメント」を集めながらストーリーを追体験できます。
4Gamer:
なるほど。ストーリーを追体験する部分は,アニメの素材が使用されているのでしょうか。
岸田氏:
アニメのスチルもありますし,3Dモデル化されたキャラクターたちによる掛け合いもあります。なので単なるアニメのダイジェストではなく,再構成版というのが正しいですね。
4Gamer:
アニメを視聴済みの人も楽しめると?
岸田氏:
実はストーリー上にちょっとした仕掛けがあるので,視聴済の人も楽しめると思います。それに各タイトルのつながりは,これまでプレイヤーの皆さんの想像や考察に頼る部分が大きかったですが,「澪」がこの形で収録されることで,「幻」と「燦」のつながりがより分かりやすくなると思います。
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4Gamer:
「幻」と「帝」はどうでしょう。どちらもコンソール向けとして発売されたタイトルですが,再録にあたって強化されたポイントはありますか。
岸田氏:
開発チームによると,画面の高解像度化や水面の反射表現の向上,あとは細かな利便性の向上などが入っています。プラットフォームによっては,4K解像度でのプレイも可能だそうです。
4Gamer:
濡れた生地の表現が印象的なシリーズですが,こうした部分の強化も期待できますか?
岸田氏:
これはですね……まず技術的には強化されています。ただ,当時と今では社会の風潮や表現基準が変わっていますので,いわゆる「肌色要素」はマイルドな調整になっています。
4Gamer:
ああ,それは仕方ないというか……。
岸田氏:
とはいえ安易に画面を塗りつぶしたり,謎の光で隠すようなことはしていません。開発スタッフが頑張ってくれて,直接的ではないけれど,オリジナル版にあったエッセンス――僕らがやりたかったビジュアルは変わらず感じていただけるような表現に落とし込んでいただきました。
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4Gamer:
「帝」にはプレイアブルキャラクターの追加もあるそうですが,これはどういったキャラクターが追加されるのでしょうか。
岸田氏:
戦闘キャラクターとして使えるようになったきららをはじめ,「澪」と「燦」から計8人が登場します。「帝」に元からいたキャラクターとは仕様がちょっと異なりますが,強化して成長させることも可能なのでお楽しみに。
4Gamer:
続報に期待したいと思います。では,シナリオ面はいかがですか。追加キャラクター絡みのシナリオがあるのでしょうか。
岸田氏:
追加キャラクターたちが交流するようなイベントシーンはないですね。それをやってしまうと情報量が膨大になって,「分かりやすくする」という「Quartet」のコンセプトから外れてしまいますし,「帝」の物語はすでに完成しているものなので,手を加えたくありませんでした。
ただフォトモードに登場させられるので,そこでほかのキャラクターと絡めて撮影を楽しんでもらうといいのではないかと。
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4Gamer:
ああ,それは楽しそうです。ということは,純粋なゲストキャラクターということでしょうか。
岸田氏:
いえ,そうではありません。彼女らがなぜ「帝」に登場するかは,「澪」や「燦」をプレイすると分かるようになっています。
4Gamer:
では,今作ではじめて「BLUE REFLECTION」シリーズに触れるという人は,どういう順番でプレイするのがいいんでしょうか。
岸田氏:
「Quartet」のタイトルセレクト画面では時系列順に並んでいて,それぞれがどの世界線にあるか分かるようになっているので,素直に「幻」「澪」「燦」「帝」とプレイするのがいいと思います。
作中に登場する用語の解説やキャラクターの相関図,出来事をまとめた年表などを収録した「REFERENCE」もありますので,初めてプレイする人は,そちらで用語や関係性を確認しながら遊んでいただくのもいいと思います。
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4Gamer:
それは便利ですね。既存のプレイヤーとしても,裏設定みたいなのが分かるとなると興味が惹かれます。
岸田氏:
そういったものも若干ですがありますね。ただ,敢えて描いてこなかった余白を埋めるものではないので,例えば敵である「原種」の正体なんかは謎のままです。でも,全部クリアしていただいた方に向けて,ちょっとしたよいものを用意していますので,ぜひクリアしてほしいです。
4Gamer:
ああ,それは楽しみですね。どんなものが用意されているのか,ヒントだけでもいただけますか?
岸田氏:
絶賛検討中なので,今まさにどうしようか悩んでいるところです(笑)。ただ,ほかでは見られない,とってもイイ感じのものになるようにしたいと考えていますので,お楽しみに!
4Gamer:
分かりました(笑)。ところでパッケージアートは,これは日菜子と愛央,陽桜莉……そして詩帆でしょうか。各タイトルのヒロインが揃い踏みといった構図ですが,コンセプトとしてはどういうものだったんでしょう。
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岸田氏:
シリーズを通して表現したかった,「屋上」「青空」「若干の逆光」「キャラクターたちが佇ずむ風景」といった要素を,ものすごくストレートに配置した感じですね。逆光だけど暗さは感じない,自然光を感じるコントラストの中に,動きはないけれど前向きな,心の強さを感じさせる表情というのを心掛けています。
4Gamer:
ああ,確かにシリーズを象徴する一枚ですね。ちなみになんですが,ご自身の昔のイラストを見てどう思われますか。何か変化を感じますか。
岸田氏:
自分としては,時代の流行に寄せることは考えていないので,「今見るとキツイな」というような感覚はあまりないんですよね。一昔前に比べると,はやり廃りの回転はとても早くなったと感じますが,自分の絵柄はウケているものを取り込んで作ったものではないので,そうそう時代遅れになることはないんじゃないかと思います。
4Gamer:
岸田メルさんとしては,「BLUE REFLECTION」シリーズがここまで続いたのには,どんな理由があったと思いますか。
岸田氏:
うーん……やっぱり,ほかに似たものがないからじゃないでしょうか。初代である「幻」の発売から9年が経ちましたが,未だに唯一無二のものだと感じています。同じスタッフが作ったとしても,僕が監修から外れていたら,きっとまったく違ったものになっていたでしょうし。それを好きだと言っていただけるのは,クリエイター冥利に尽きるというものです。
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4Gamer:
「Quartet」が発表されたことで,ファンとしては新たな展開も期待したくなりますが,その辺りはいかがでしょうか。
岸田氏:
まずは「Quartet」の発売をお待ちいただき,ぜひ手に取っていただけたらと思います。皆さんに盛り上げっていただけたら,どんな展開にだってつなげられますから。このシリーズでやろうとしていたことはまだまだ残っているので,機会をいただけるならこれからも挑戦していきますよ。それが「BLUE REFLECTION」という名前になるかは分かりませんけど。
4Gamer:
ではイラストレーターの岸田メルとして,今後挑戦してみたいことはどうでしょうか。
岸田氏:
……いや,これまですべてやってきたので,今さらこれというのはないですね。あとは不労所得がほしいです(笑)。
4Gamer:
コスプレとかは?
岸田氏:
あれはもう日常なので,やりたいとかやりたくないじゃないんですよね。PRにつながるなら,どんどんやっていくつもりです(笑)。
4Gamer:
分かりました(笑)。最後に,本作のリリースを心待ちにしているファンに向けてメッセージをいただけますか。
岸田氏:
ファンの皆さんにとっては「ブルリフ」の思い出に浸りつつ,新しい側面にも触れることのできる,満足度の高いタイトルになっていると思います。さらに映画に例えるなら,これ一本で「アベンジャーズ」までひととおりが入っているみたいなものですから,布教にもベストです。名前は知っているけれど,まだ遊んでない人が周りにいましたら,ぜひ本作を渡してファンを広げてもらえたらと思います!
4Gamer:
そこからアニメに進んでもいいですしね。
岸田氏:
もちろんです。世界観やストーリーが分かりやすく整理されているので,プレイ後にアニメを見たら,また新たな発見があると思いますよ。
4Gamer:
発売を楽しみにしています。本日はありがとうございました。
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- ライター:箭本進一
- カメラマン:佐々木秀二
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