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なぜあのムービーが印象に残るのか。カットシーンのクオリティの高さの正体から,演出テクニックの基礎を学ぶ[ゲームメーカーズスクランブル]
ゲーム制作に携わる人はもちろん参考になる内容だが,プレイヤー目線でも,なぜあのシーンが印象に残るのか,という理由を考える手がかりが得られるものだと感じた。
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本講演では,ゲームにおけるカットシーン演出で,アセットを魅力的に見せるためのカメラワークやレイアウトの工夫といった基礎テクニックに加え,そもそもカットシーンとは何か,その役割といったことが解説された。
講演を担当したLee氏は,ゲーム会社で十数年キャリアを積み,現在もゲーム会社でコンシューマタイトルの開発に携わっている。本業の傍ら,帰宅後もアニメーションなどの自主制作を行っている。
Some of my work from 2024 pic.twitter.com/mVOFFwOs5S
— ????? (@leedoppo) December 27, 2024
自主制作で携わっている作品は下記のとおりで,現在は4タイトルを掛け持ちしている。本業の傍ら,ものすごくハードな活動をしており,自身でも限界を感じ始めている,と笑っていた。
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また,CG・映像特化メディア「CGWORLD.jp」では,自身のオリジナルキャラクター「流流」をテーマに,リグ,モーション制作に関する連載を続けている。
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CGWORLD.jp 連載「流流とはじめる、簡単リグ&モーション制作」第1回
ハードなクリエイター生活を送るLee氏は,本講演について,基礎知識や考え方を初心者に分かりやすく伝えることで,「自分にもできそう」という自信をつかんでほしいとコメントした。
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すべては「見せ方」で決まる
Lee氏は,「見せ方が命」といいながら,最初にルネサンス期の芸術家ミケランジェロの彫刻「キリストの復活」を例に説明を始めた。
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大阪・関西万博のイタリア館にて,万博終了日の10月13日まで展示されており,実際にその作品を見たLee氏は,作品のプロポーションに注目したいとコメントした。
キリストの復活は,高さ205cmで台の上に置かれているため,来場者は自然と見上げる形で鑑賞することになる。美しいプロポーションは,この下から見上げる構図に隠れており,正面から見た場合は,比較的現実的で親近感を覚える体型をしているという。
※該当の写真については,「キリストの復活 ミケランジェロ」などで画像検索を行ってほしい。
また,古代ギリシャ時代に建設されたパルテノン神殿(ギリシャ・アテネのアクロポリス)も例に挙げた。この建造物の柱は,エンタシスという技法を用いており,柱の中心部分が少し膨らんだ形状をしている。
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まっすぐな柱の場合,下から見上げると,目の錯覚で中心部分が細く見えてしまうので,それを防ぐための技法だという。
これらに共通するのは,どのように見られるのか,つまり,「見え方」を意識して制作されている点だ。実物の例を紹介したところで,Lee氏はゲームでの話に進んだ。
「クオリティが高い」という印象の正体
ゲームをプレイしたり,PVを見たとき,「クオリティが高いな」と思った経験のあるプレイヤーは多くいるだろう。あくまで印象の話なので,抽象的で理由の説明は難しい。
ここでLee氏は,アセット自体の品質よりも「ぱっと見の印象がすべて」だと強調した。モデルの細かい部分やアニメーションのテクニカルな部分に注目するのは,業界のプロやマニアなど,目の肥えたごく一部の人である。
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そして,その印象は「見せ方」で決まるというわけだ。逆に,見せ方が残念だと,頑張って作ったアセットも台無しになってしまう可能性がある。
たとえば,学生のポートフォリオでも,制作したキャラクターモデルにポーズをつけない,画像の解像度が粗い,デモリールの肝心な部分が始まるまでが長い,といった場合,作品自体は悪くないのに,見せ方のせいで損をしていることになる。
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シンプルなアセットでも,見せ方次第で,見栄えを改善できる。それを体現しているのが,Lee氏自身だという。
Lee氏は,キャラクターモデリングやキャラクターデザインといったことは本業でほとんど担当していないうえ,苦手意識もあるという。
自身のオリジナルキャラクター・流流については,「詰め切れていない部分がたくさんあるし,もっとクオリティの高いモデルやアニメーションはいっぱいある」と前置きした。
その分,作品を公開するときは,見せ方を徹底的にこだわっているそうだ。結果として,見た人からポジティブな反応を得られているのだと分析した。
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ここで重要なのは,すべてをさらけ出す必要はない,ということだ。良いところを積極的に見せ,物足りないアングルなどはあえて写さないようにする。
つまり,「奇跡の1枚」を目指すのである。プロでも時間や予算といったリソースが限られているため,この考え方はプロ,アマ関係なく,重要な考え方だという。
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カットシーンって何?
Lee氏は,カットシーンについて,ゲーム内のカメラワークを伴う演出シーンのことと定義した。単にムービーやデモシーンとも呼ばれる。
そして,「そもそもカットシーンって必要なんでしょうか?」という問いを投げかけた。
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本業でカットシーンを制作した経験も多くあるLee氏だが,ゲームがしっかりと成立するのであれば,カットシーンはなくてもいい,とした。
ゲームを買う人は,カットシーンが見たくてゲームを買うことはあまりない。カットシーンを含むPVなどを見て興味を持つことはあるが,最終的にはゲームを遊びたいからこそ,購入するのである。
また,カットシーンはあくまで映像なので,再生されているあいだ,プレイヤーは操作できず,見ているだけになる。そもそも,制作コストも高めだ。
だからこそ,Lee氏は,カットシーンについて,いきなり作ろうと決めるのではなく,本当に必要なのか,カットシーン以外の表現で実現できないか,検討することを推奨した。
カットシーンの役割
カットシーンを制作する理由は,ゲームにおいて役割があるからだ。Lee氏は,その役割について,5つの例を挙げた。
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・ナビゲーション
遊び方を分かりやすく説明したり,次に行く目的地を示したりすることで,リッチなヘルプ機能としての役割を発揮する。
・世界観の補強
世界観やキャラクターを,カットシーンで深掘りして,プレイヤーをゲームの世界にどんどん引き込んでいく。
・リアクション
ミッションクリアなどの演出がこれにあたり,プレイヤーの行動に対して,ゲーム内から反応を返すことで,達成感を与える。
・興味の持続
ゲームは最後まで遊んでもらうことが重要で,プレイヤーのモチベーションを保つことが必要だ。興味を引き続けるための仕掛けとして,カットシーンは有効だという。
・広告
カットシーンは映像なので,宣伝に使いやすい。ゲームプレイ映像だけでPVを構成しようとすると,地味なものになりがちである。
Lee氏の過去の経験では,ゲームの仕様すら固まっていない状態で,PVだけが先に完成していたこともあり,宣伝における映像の重要性の高さを感じたこともあったという。
シネマティックとカットイン
カットシーンの演出内容は,主に「シネマティック系」と「カットイン系」の2つに分けられる。前者は,セリフや演技を主体とした映画のようなもので,長尺になりやすい。
後者は,必殺技の固定演出(バンクとも),キャラクターの登場シーン,クリア演出といった短尺の演出を指す。講演では,このカットイン系の話がメインに取り扱われた。
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カットイン系の演出は,キャラクターの魅力や状況説明を,短時間でプレイヤーに伝える必要があり,作品によって個性や工夫が出やすいという。
Lee氏は,カットインの例として,カプコンのレトロアーケード「X-Men Vs. Street Fighter」と,スクウェア・エニックスの初代「ファイナルファンタジーVII」を紹介した。
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前者は,キャラクターの顔をアップで描いたイラストを横から差し込むという形だ。現在では3Dを使った派手なカメラワークが一般的だが,当時の2D環境でも顔をしっかり大きく映すことで盛り上げるという工夫が行われているという。
ファイナルファンタジーVIIでは,通常のバトルシーンからスムーズに,派手なリミット技や召喚獣の演出を入れており,かっこいい戦闘シーンを実現している。
実際に,Lee氏がゲーム開発の道を志すきっかけにもなった演出だそうだ。
クオリティを高く見せる「画作り」とは
Lee氏は,カットシーンで重要なことは,短いことであると説明した。とくにSNS用の動画については,「6秒がベスト説」を唱えている。
タイムラインで動画が流れてきたとして,人間の興味が持続するのは6秒程度だという。人間の集中力は想像以上に短いので,同じ情報量なら短くした方がいいという意見だ。
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情報量をコントロールして,適切な情報量が乗った画面は,印象がよく見える。つまり,クオリティが高く見える。
ここで,どう見られるかを設計することを「画作り」という。
画作りは,ライティングによる陰影やモーションの躍動感に加え,コントラストや色彩,質感など,さまざまな要素で構成されている。考慮すべき点は多くあるが,土台となる一番重要なものはレイアウトだという。
実際,レイアウトは土台として,映像制作のフローの上流工程(開発初期の工程)に位置することが多いそうだ。
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レイアウトとは,シーンの演出内容をもとに,必要な要素を画面に配置していく作業だ。基礎が緩いと家が崩壊してしまうのと同様に,レイアウトが悪いと,全体の印象もぱっとしなくなる。
Lee氏は,「ほかの要素を試行錯誤する前に,とりあえずレイアウトを見直すのが早いかも」と続けていた。
レイアウトのテクニックはいくつかあるが,初心者のうちは,いろいろと使いこなそうとすると,分からなくなってしまう。そのため,まずは,三分割法を覚えると良いそうだ。
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これは,縦横に三分割した線の交点に,見せたい被写体を配置する手法だ。写真撮影などでも用いられる技術である。
Lee氏曰く,三分割法はこれだけで十分に戦えるものであり,この基礎をとにかく何度も使い回していくのが重要だそうだ。
また,もう1つのテクニックとして,コントラストも紹介された。色や明暗,質感など,どんな要素でもメリハリをつけると,その境界線部分に目が行く。
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人間が顔を見るとき,瞳に視線が吸い込まれるのも,本能的な部分もあるかもしれないが,瞳にコントラストが生まれやすいから,という見方もあるそうだ。白目,虹彩,瞳孔,まつ毛など,コントラストの出やすいパーツが揃っているのである。
カメラを動かす前に「意図」を考える
Lee氏曰く,演出において,キャラクターのモーションよりも,カメラワークのほうが重要だという。レイアウトは,このカメラワークによって決まるからである。
カメラには,何を見せたいのか,という意図を明確にする必要がある。そのキャラクターの表情を見せたいのか,技の威力がどれだけすごいのかを表現したいのか,といったことだ。
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Lee氏が本業で新人に「必殺技のモーションを作成したのですが,カメラのつけ方が分からなくて」と相談されたときは,モーションの特徴や見せ場を質問して,そこからカメラを逆算して決めていくような教え方をしたという。
つまり,いきなりカメラを動かすよりも,やりたいことを先に考える方が良いのだ。
ここで重要なのが,あくまで主役は被写体であること。カメラの主張が激しいと,画面が見づらくなり,被写体のかっこいいアクションが台無しになってしまう。
基本的に,カメラは慎ましく,その存在感を感じさせないのが,ちょうどいいバランスとなるという。
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また,CGアニメーションは,カメラを自由に動かせるので,現実では不可能な撮影も実現可能だ。しかし,カメラに説得力を持たせるには,現実のカメラマンやドローンなどで撮影したときをイメージした動きが重要という。
意識したいのは,「トラック」(被写体を追いかけるカメラワーク)や「パン」(カメラを固定して向きだけを変えるカメラワーク),「ズーム」などを同時に使わない,被写体の動きを予期したかのような先回りはしない,移動方向を変えたり止まったりするときに慣性をイメージする,といったことだ。
なお,現実を忠実に再現するのではなく,あくまで説得力を持たせることが重要なので,速い動きならとんでもなく足が速いカメラマンという設定や,縦横無尽に動くカメラならドローンでの空撮という設定など,現実世界の延長線上を意識すると良いという。
ヒーローショーは「やられ役」が主役
Lee氏は,かつてヒーローショーのスーツアクターをやっていたという先輩からの話をもとに,「身体を開く」というカットシーン演出に通ずるテクニックを紹介した。
演者は舞台,観客は席を離れて自由に動き回ることはできず,演者と観客の間には,常に一定の距離がある。
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観客が舞台の上で起こっていることを理解できるように,演者は,セリフを話す際,隣のキャラクターに話しかけているのに,身体は観客席の方に向け直して,今誰が話しているかを明確にする。
アクションシーンでも,パンチを繰り出す予備動作のシルエットをしっかり見せたり,武器で攻撃するにしても身体が武器で隠れないようにしたり,といった工夫が行われている。
3DCGのモーションでも,見る側のことを考えられて作られているものは,予備動作やシルエットが分かりやすいものとなっている。
たとえば,剣を斜めに構えて,今からこの剣で攻撃することを予告したり,前傾姿勢になって攻撃の直前を示したり,攻撃をした後も,腕や肩を伸ばして,どの方向に攻撃したかを示していたり,といったのが具体例だ。
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また,攻撃を受ける側である「やられ役」の演技も重要だ。とくにヒーローショーでは,やられ役が上手ければ,ヒーローのアクションが素人でも成立することもあるそうだ。
講演では,攻撃側のモーションは一切変えずに,やられ役のリアクションだけを変化させた例が紹介された。やられ役の吹っ飛ぶ距離が伸びると,攻撃がとてつもなく重いものに変わったように感じる。
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もちろん,攻撃とリアクションの差が激しすぎると違和感が出てしまうので,釣り合いを見ながら調整するのが必要である。
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このやられ役は,人間だけではない。Lee氏は,漫画「バキ」で中国武術界の頂点・郭 海皇が,霊長類最強の男・範馬勇次郎を壁に追いやるシーンを引用した。郭 海皇は146歳で,やせ細った老人の見た目だが,弱々しくこぶしを突き出した瞬間にコンクリートの壁が粉々になる。
このシーンのやられ役は,危機一髪で攻撃を避ける範馬勇次郎と,粉々に砕けた壁であり,2つのリアクションで迫力を生み出している。
演出の実例紹介:ショット(カット)編
ショットとは,映像の区切りのことだ。カメラと被写体の距離や画角に応じて,ショットサイズが決まり,「ロングショット」「アップショット」といったものに区分される。
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ロングショットは,引きのカメラのこと。背景や人物の位置関係など,シーン全体を見渡せる状況説明に便利なショットである。とくに状況説明のショットは,マスターショットとも呼ばれる。
ロングショットを冒頭に入れると,今から起こる演出内容が理解しやすくなり,最後に持ってくる場合は,オチとして機能させることができる。
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反対に,被写体に寄せたショットのことをアップショットと呼ぶ。視聴者を強制的にキャラクターへ注目させることができる。
注目される分,アセットのディテール勝負になりがちで,カットシーンで不用意に使うと,「キャラ班や背景班が飛んできてお叱りを受けることになりかねないので,事前に相談してから使おう」とLee氏はコメントしていた。
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演出の実例紹介:カメラワーク編
カメラワークについては,「フィックス」「フォロー」「パララックス」「シェイク」の4つが紹介された。同じモーションでも,カメラワークの違いだけで,印象を大きく変えられる。
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#理由もなく再掲していいタグ
— ????? (@leedoppo) August 28, 2025
カメラのチカラ?? pic.twitter.com/darGufJrm7
・フィックス
カメラをほとんど動かさない基本のカメラワーク。被写体のアクションがしっかりしていれば,カメラを動かさない方が良い場合もある。
これだけでも十分にカットシーンを作れるので,初心者の人は,アングルを決めていきながら,フィックスで構成するところから始めると良いそうだ。
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・フォロー
被写体を追いかけるカメラワーク。走っているキャラクターに並走するものや,ビームやエネルギー弾などを追いかける演出などで用いられる。
フォローの利点は,画面内で被写体の位置があまり変わらず,背景が流れていくため,画面として見やすく,ダイナミックでスピード感もある映像を作れる。
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・パララックス
パララックス(parallax)は,日本語で視差を意味する。視差効果とは,視点の変化によって対象の見え方に差が生じ,奥行きや立体感を感じさせる現象である。
これを利用したカメラワークが旋回カメラなどだ。被写体を中心にカメラが弧を描いて回る演出で,ダンスシーンなどで用いられている。
かっこいい演出であると同時に,被写体と背景で視差が生まれ,映像の立体感や情報量を増やせる利点がある。
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・シェイク
カメラ揺れのこと。比較的地味な部分だが,こだわることで品質を上げられるポイントだという。カメラが揺れるということは,どこからか衝撃を受けているはずであり,その衝撃のベクトルを意識することで,説得力が増す。
単軸だけで揺らすと単調になるので,複数の軸を組み合わせると良い。業務では,プログラマが揺れを担当することもあるが,画作りの一環として,アート側がディレクションすることを,Lee氏は推奨した。
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カット割りのテクニック
カット割りとは,1つのシーンを複数のショットに分けて,それをどうつなげるかを決める作業だ。映像ならではの表現であり,現実世界や演劇にはない表現だ。
カット割りをすることで,シーンを一瞬で切り替えて,時間や場所を別の状態へ飛ばすことができる。映像の時間を圧縮し,視聴者の視線を見せたいものへ移動させられる。
短い時間のカットシーンでも,カット割りを駆使することで,テンポよく,情報量のある演出に仕上げられるのだ。
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カット割りの基本は,メリハリをつけることである。似たようなアングルのショットが続くと,うまく映像がつながらない。レイアウトやショットサイズ,ショットの長さなどにメリハリをつけることで,違和感のない映像に仕上げられる。
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このときのカメラワークでやりがちなのが,カットの終わりにカメラの移動が収束して,動きを止めてしまうことだそうだが,Lee氏曰く,意図がない限りカメラは動かし続けた方が良いとのこと。
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とくにプレイアブルシーンに割り込む演出は,シーンの連続性が重要なので,カメラが止まるとその連続性が失われてしまう。
実業務では,プログラマやイベントスクリプト担当の人が,よかれと思ってイージング(速度に緩急をつける処理)を入れて,カメラが収束するように調整してしまうこともあるので,意図の共有が重要である。
まとめと質疑応答
Lee氏は,講演タイトルにもある「アセット」という言葉の意味について,個人/会社の資産や貴重品,価値のあるものと定義した。
「お金を適当に放置する人はいないですよね」と前置きし,「アセットも作って適当に実装するのではなくて,ちゃんと計画的に資産運用してほしい」という話だ。
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アセットは見せ方で印象が変わるし,画作りでクオリティを上げられる。アセットは資産なので,よく見せる工夫をしよう,とまとめた。
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また,質疑応答では,多くの質問が寄せられた。たとえば,カメラワークの学習方法については,iPhoneなどで構わないので,現実のカメラで撮影して,レンズの特性やよりよく撮るためにはどうすればいいか,考えてみるところから始めると良いという。
アニメなどの映像と,ゲームのカットシーンの違いについては,ゲームはカットシーン後にゲームプレイが続くことを挙げた。ゲーム体験を止めないために,カメラを落ち着かせすぎないのが重要である。
アセットの品質に関する質問もあった。アセットの品質よりも見せ方が重要としたが,実際のゲームプレイでは,そうはいかない。
Lee氏曰く,横スクロールゲームなら横から見た姿を,FPSなら背中や尻などといった,ゲームでメインとなる視点から見られるポイントというのは変わってくるので,それを意識して,見られるポイントに注力するのが良いという。
また,本業と自主制作の両立についても質問があった。Lee氏は生粋のクリエイターのようで,「むしろ作らないほうがストレス」と答えていた。24:00くらいまで仕事をし,そこから家に帰って4:00ごろまで自主制作をするということもあるそうだ。
本業ではディレクション業務が増えているため,創作欲を満たすために自主制作をしている面もあるという。
本講演では,ゲームのカットシーンのコツが披露された。普段何となく,ハイクオリティだな,と思う映像に隠された工夫を垣間見られたような気がする。
また,紹介されたテクニックは,映像制作をしていなくても,日常的な写真や動画撮影にそのまま使える内容も多くあり,世界の解像度が一段上がったように感じられた。
Lee氏のX(@leedoppo)
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