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“一家に一台”の時代は意外と早く来る? 三者三様の開発アプローチが印象的だったロボットたちを紹介[CJ2025]
4Gamer「ChinaJoy 2025」記事一覧
「ChinaJoy 2025」公式サイト
サッカーのデモは,安全性アピールのため
このエリアで多くの人を集めていたのが,Booster Roboticsのロボット「Booster T1」によるサッカーのデモ。筆者が訪れたときはPK戦のようなものをやっていたのだが,キックのフォームはなかなか綺麗で,しっかりとライナー性のシュートをゴールに決めていた。担当者に聞いてみると,関節の自由度を生かしたインサイドキックも使えるという。
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会場では人がゲームパッドのようなもので操作していたが,Booster Roboticsが参加する大会では,自律制御が条件になっているとのことで,「Booster T1」も自律でのサッカーが可能だ。
人による操作と自律制御で試合をしたらどちらが強いのかと聞いてみたところ,「自律制御のほうがスムーズに行動できる」とのこと。前述のインサイドキックのように,アクションの種類が非常に多いため,もはや人の操作では最適な行動がとれないようだ。実際,会場では操作する人がボールの位置を把握できずに空振りするシーンもあった。
全高118cm,重量約30kgの「Booster T1」は,家事などを担当する家庭用ロボットを目指して開発されているとのこと。なぜサッカーのデモを見せるのか,という質問には「安全性をアピールするため」との答えが返ってきた。
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ロボットによるサッカーの大会では,ロボット同士の接触に大きなペナルティがあるのだが,その目的は「人に怪我をさせない」ためなのだという。確かに,動きが激しいサッカーの試合でも接触を避けられるロボットなら,家の中でぶつかることはなさそうだ。
片腕で5kgの物体を持ち上げて運べる
Cyan Roboticsも,家庭用ロボットを目指して開発されている「Orca I」をブースに展示。こちらは全高145cm,重量40.5kgと,「Booster T1」よりひとまわり大きく,いかにも頑丈そうな作りだ。
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今回はブース内を少し歩いて手を振るぐらいのデモしか確認できなかったのだが,「Orca I」も自律制御が可能で,すでに簡単な家事ならこなせる性能を持っているという。物を運んだり,衣類を「シャツ」「ズボン」「靴下」などに分類したりできるようだ。片腕で5kgのものを持ち上げたうえで安定して歩行できるとのことなので,なかなかの力持ちと言えそう。
Xでは,コーヒーメーカーを使いこなす様子も披露されている。
Need a coffee fix? Orca I’s got you covered!?
— Cyan Robotics (@Cyan_Robotics) January 20, 2025
With human-like dual-arm skills, this robot can brew coffee, mix cocktails, and handle life’s little tasks.
Interested in collaborating with us? Feel free to reach out:marketing@cyanborg.com#Robotics #coffelovers pic.twitter.com/TiaGIjbR4T
さらには,AIによって自然言語を理解するだけでなく,頭部のディスプレイで感情表現もできるという。開発者によると,本当に家庭に入るまでには解決しないといけない問題があるようだが,デモを見たり,話を聞いたりしていると,「うちにも欲しい」となるロボットだ。
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「Detroit: Become Human」を思わせる精巧さ
北京海百川科技も開発中の家庭用ロボットを出展していたが,こちらは腕や頭といったパーツごとの展示。だが,その精巧さは他と一線を画していた。
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ロボットではなく,“人”を作ろうとしているのが伝わってくるものとなっていて,例えば頭部は人間と同じような形状の頭蓋骨の内部に,眼となる2つのカメラが収められ,そこにはまぶたとなる機構も付いている,といった感じだ。ブースには,頭部にかぶせる“ガワ”も用意されていた。
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手の指も,人間と同じように第一関節から第三関節まであり,それぞれで曲げることができる。腕の形状も人間と同じような曲線で構成されたものだ。
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「すべてのパーツが揃った完成形を見てみたい」と思わせてくれるロボットだが,研究所のほうでは実際に組み上げられて,歩行や挨拶が可能なモデルがあるとのことだった。
ほかのロボットと比べると,指の細さなどが実用上どう影響してくるかが気になったため,「どれくらいの重さを持ち上げられますか」と聞いてみたところ,「人間の繊細な動作を目標にしているものなので」と,教えてはもらえなかった。
アンドロイドが主人公のアドベンチャーゲーム「Detroit: Become Human」や,映画「ターミネーター」を思わせるこのロボットは,デモこそなかったが,夢やロマン度ではずば抜けていた。
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