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[CJ2023]AIイラストはまだまだプロの品質に満たない――ゲームイラストを制作する“HIKE 中国支社”などに,AI話を聞き回って
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印刷2023/07/30 11:53

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[CJ2023]AIイラストはまだまだプロの品質に満たない――ゲームイラストを制作する“HIKE 中国支社”などに,AI話を聞き回って

 2023年7月28日から31日にかけて,中国で開催されている同国最大規模のゲームイベント「ChinaJoy 2023」。そのBtoBコーナーに,イラスト制作事業などを手がける「HIKE 中国支社」の姿があった。

 HIKEは日本の企業で,2023年2月1日にQBIST(キュービスト),CREST(クレスト),SANETTY Produceが合併して生まれた新会社だ。今回は,中国支社に“AIイラスト”の話を聞いてきた。

画像集 No.001のサムネイル画像 / [CJ2023]AIイラストはまだまだプロの品質に満たない――ゲームイラストを制作する“HIKE 中国支社”などに,AI話を聞き回って

 今年のChinaJoyではテキスト,プログラム,サウンドやボイス,そしてイラストなどのAI関連技術が多く見受けられた。

 しかし,ゲームユーザーが触れるBtoCブースで「AIやってます!」などと大々的にアピールされている例はほぼ皆無で,主戦場はBtoB側である。そのうえで,AIが大々的に取り上げられまくっているかというとそうでもなく,セールスポイントの一要素として羅列されている程度で,今回取材したHIKE中国支社などもまた,そのくらいだった。

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 ぶしつけながら,ブースに控えていた責任者に「最近の中国では,AIイラスト問題ってどうですか」と尋ねてみた。すると日本語で,

 「プロのクオリティにはまだまだ満たないです」

 そう返ってきた。あらかじめ書いておくと,同社はイラスト制作において,現段階ではAI技術をいっさい使っていないという。

 ただ,話を進めると,AIイラストにはやはり危機感を抱いているらしい。それは日々の糧を得るための仕事の話なのか,クリエイターに寄り添ったアイデンティティの話なのかには踏み込めなかったが,そうした危機を持っている一方,「それでも研究はしています」とのこと。

 AIイラストによる出力は現状,商業用イラスト制作の実用に耐えるとは思っていないという。だが,彼らはAIイラスト技術を“Photoshopなどのペイントツールの一つ”として捉えていると言う。
 現状は中国でも,法的な課題はクリアになっていないようだが,それでもイラスト業界的には「大量のラフ出し」用途で活用されはじめているという。

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 次いで「イラストレーターの“仕事”はどうなりそうですか」と尋ねたところ,それには「なくなることはない」と返ってきた。
 というのも,誰もが手軽に何百枚とイラストを量産できたところで,“素人が使うより,プロが活用するほうが絶対にいい”からだそうだ。

 分かりやすい例は,AIイラストで出力し,レタッチしてオリジナルに仕立てる方法だろうが,どのターンでもプロならではの技術でやるほうが,よりハイクオリティな成果物に近づけやすいのだとか。

 けれど,それでも仕事ではまだまだ使えない。その理由は,ゲームなどの会社間取引でのコンテンツ制作時は,例えばキャラクターイラストの場合だと「事細かな仕様書の要望に添って手がける」からだ。
 細部の精度が求められる場合,現行の生成回数勝負のAIイラスト技術では,クライアントの要望に応えられる成果物を出力するのは不可能なのだろう。

 重ねて「将来的にも,イラストのお仕事は安泰だと思うか」と尋ねた。彼は,最初と同じ言葉で断言した。

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 補足のために,CJ2023会場のBtoBコーナーで,HIKE以外の中国市場で活動するイラスト制作会社にも話を聞かせてもらった。

 なかでも,3Dの専門会社・成都天火科技有限公司のブースにうかがったときは「3D系のAIですか? 2Dと比べると,こっちはまだまだ対岸の火事ですねー」といったニュアンスの中国語が返ってきた。

 確かに,3Dに関するAI話はあまり目にしなかった気がする。実際,「2D関係の知り合いは衝撃を受けてましたけどねー」と言っている当人からは,AIに対する危機感は現時点ではほとんど感じ取れなかった。

 とはいえだ。「将来的にも,3Dのお仕事は安泰だと思うか」と聞くと,苦笑しながら「……危ないかもですね(笑)」といったニュアンスの中国語が返ってきた。生の意見を聞かせてもらい,謝謝(シエシエ)。

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 余談だが,AIイラストに関しては4Gamerでもさまざまな角度でインタビューを試みている……が,打診への音沙汰なしはもはや慣れた。真っ向から「……ムリです」もしばしば。取材までの距離が遠い。

 一番ホットな例だと,記事の校了直前に「取材時から状況が変わりすぎて……ムリです」とボツになったことも。ここ1年はAIイラストの日進月歩がすさまじく,イラスト系プラットフォームのお気持ち表明などもあって,世間のAI事情と風向きが一瞬で変わりまくってきたためだ。

 将来的に,いついかなる手のひら返しをしなくてはならないか分かったもんじゃない現状。言質はそれ自体が企業リスクであることはこちらもよく分かる。AIイラストサービスにしても,適法でない側面が解消されない限り,メディア的に利用も肯定もスタンスを出しづらいが。
 AIイラストを語りたくて仕方のない人は,ぜひご一報を――。

 そんなラブレターを,中国・上海の深夜にしたためた次第である。

「HIKE(日本本社)」公式サイト


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「ChinaJoy 2023」公式サイト

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