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前代未聞のゲーム開発・販売バラエティ番組「電脳遊戯最高会議」の収録現場で“議長”の大和田伸也さんにインタビューしてきた
だが,「ゲームを遊ぶ」「ゲームを語る」番組は数あれど,「ゲームを作る」番組となると,すぐ思い浮かぶだろうか? フジテレビの動画配信サービス「FOD」で7月28日に配信がスタートする「電脳遊戯最高会議」は,新進気鋭のクリエイターたちが,わずか1か月間でゲームを開発する姿を追い,そのゲームを審査する番組だ。
そして,ゲームは番組の配信と同じタイミングでリリースされるとのこと。「開発の様子を見たあと,すぐにそのゲームをプレイする」というユニークな体験ができるわけで,これまでにない番組になりそうだ。
4Gamerは,そんな「電脳遊戯最高会議」の収録現場を取材したので,そのレポートを,番組のMCを務める大和田伸也さんのインタビューとともにお届けしよう。
世界平和のためにゲームを開発する秘密機関とは!?
「電脳遊戯最高会議」は,“東京の下町にある中華料理店の奥に,世界平和のため,秘密裏にゲームを開発する機関が存在する……!”という設定で展開される。今回の取材場所となったのは,クリエイターによるゲームのプレゼンや,ゲームの審査が行われる会議室だ。
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「最高会議」だけあり,その内装は豪華そのもの。スタッフの話によると,この番組には映画「キングスマン」へのオマージュが散りばめられているそうで,会議室の雰囲気も同作を意識したものだという。だが,それよりも強い存在感を放っていたのが,最高会議議長を務める大和田さんだった。
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三つ揃えのスーツをピシッと着こなした大和田さんは,重厚なセリフ回しで番組を進行する。オープニングで「ようこそ! 電脳遊戯の世界へ!」という決めゼリフを発したときに,カメラの映像をチェックしていたスタッフたちから感嘆の声が上がるほどの最高会議議長ぶりだ。
収録は長時間にわたったのだが,大和田さんは疲れを見せることもなく,カメラが回っていないときにも次のシーンのセリフを繰り返している姿が印象的だった。
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大和田さんが,誰もいない会議室でメガネをかけると,ホログラムのような姿で現れるのが,ゲームの審査を行うエージェントたち。こちらの演出もキングスマンのオマージュだ。
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そのメンバーは,スタンミじゃぱんさん,mittiiiさん,赤見かるびさん,天鬼ぷるるさん,しょぼすけさん,ぷげらさんの6人。いずれも人気のゲーム配信者やVTuberで,普段の配信では感情豊かなところを見せているが,ここではエージェントらしく,クールな雰囲気を漂わせている。椅子に深く座ってまっすぐ前を見つめ,大和田さんから何かを聞かれたときのみ,顔をそちらに向けて答えるといった感じだ。
![]() スタンミじゃぱんさん |
![]() mittiiiさん |
![]() 赤見かるびさん |
![]() 天鬼ぷるるさん |
![]() しょぼすけさん |
![]() ぷげらさん |
そんな最高会議にやってくるゲームクリエイターは,中道慶謙さんとけんきさんの2人。中道さんは「SUPER DRINK BROS.」「Smash Hockey」などを手がけた個人開発者であり,けんきさんはプロゲーマーとして活躍するかたわらで,FPS「Project F」をリリースした経験を持つ,いずれも新進気鋭のクリエイターだ。
![]() 中道慶謙さん |
![]() けんきさん |
2人には,それぞれ違ったテーマでのゲーム作りが依頼されている。電脳遊戯最高会議の目的は,ゲームの力によって世界平和を実現することなので,中道さんには「緑の大切さを知らしめるゲーム」,けんきさんには「本当か? 嘘か? 情報リテラシーを養うゲーム」という,社会問題を解決するテーマだ。
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今回の収録は,そのゲームの完成後に行われたもので,クリエイター自身によるゲームのプレゼンテーションと,エージェントによる試遊がメインとなった。
印象的だったのは,大和田さんと2人のクリエイターのやりとり。大和田さんは「いかがだったかな,この1か月間は?」などと,議長らしく問いかけるのだが,2人の受け答えは堂々としたもので,なかなか絵になっていた。
中道さんとけんきさんのゲーム開発の様子は,密着取材のVTRにまとめられている。詳しい内容は配信映像で確認してほしいが,かなり対照的で,かつ2人それぞれの人間性や,大事にしていることなどが感じられるものになっていた。その後のプレゼンは,わずか5分程度の短い時間で,ゲームシステムがどのように解説されるかに注目してほしい。
それに続いて,エージェントによる試遊となるのだが,ここでのエージェントはホログラムではなく“生身”となって,普段通りのわちゃわちゃした姿を見せてくれる。今回の2タイトルはいずれも対戦型なので,笑いあり,叫びあり,煽りありのにぎやかなプレイだ。
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そして最後は,電脳遊戯最高会議によるジャッジ。2人のクリエイターが1か月で開発したゲームは,社会問題の解決につながる面白いものになったのか? エージェントたちの感想をもとに,議長がジャッジを下すシーンは緊張感あふれるものになった。
……といった感じで収録が進んだ「電脳遊戯最高会議」は,「番組を通してゲームを開発する」「配信と同時にゲームが販売される」といった画期的な試みの数々によって,これまでにないゲーム番組となっている。特に,「ゲームは見るだけでなく,自分で遊んでこそ」という人の期待に応えてくれそうだ。
また,一定の年齢以上の人たちは,「豪勢なセットを舞台に,大物芸能人が仕切り,真剣に遊びをやる」といったところに,かつてフジテレビで放送されていた「料理の鉄人」や「TVブックメーカー」のような雰囲気を感じると思うので,そのあたりにも注目してほしい。
収録後,短いながらも大和田さんにインタビューできたので,その模様もお届けしよう。
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4Gamer:
長時間の収録でお疲れのところお時間をいただき,ありがとうございます。大和田さんは,ゲーマーのあいだではポケモンのぬい活や,YouTubeでのゲーム実況などでも知られていますが,ゲームに親しむきっかけは何だったのでしょうか。
大和田伸也さん(以下,大和田さん):
ゲームはもともと好きで,昔からやっているんですよ。最初は,京都で撮影があったとき,待ち時間に遊んだゲーム&ウオッチかな。
4Gamer:
おお,ゲーム&ウオッチからとなると,ゲーム歴としては40年以上になりそうですね。
大和田さん:
最近も,スプラトゥーンとかを遊んで,面白いなと。YouTubeでも,ポケモンをプレイしながらキャラクターのセリフを読み上げていると,若い方も含めた多くの方が喜んでくださるのが嬉しくて。飼っていた柴犬(ペロ,ちこ)の名前をポケモンにつけてプレイしていると,みなさんがコメントで呼んでくれたりするんですよ。
4Gamer:
配信を見ている人たちと一緒に遊んでいる感じで,いいですね。Xのポスト(外部リンク)からも,ポケモン愛が伝わってきます。
大和田さん:
ポケモンというゲームは,自分のポケモンと一緒に旅をしたり,戦ったりするわけですよね。そうしているうちに,ぬいぐるみとかフィギュアとかが気になって,集めるようになりました。最初は「いい歳をして恥ずかしい」みたいな気持ちもあったんですけれど,あるとき,旅行先で青年がぬいぐるみと一緒に写真を撮っているのを見て,面白いなと思って。
4Gamer:
画面の外にも楽しみ方が広がっていて,素敵だと思います。今回の「電脳遊戯最高会議」では,議長という役どころですが,演じてみていかがでしたか。
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大和田さん:
実は私も「キングスマン」が好きで,スーツを着てメガネをかけた写真をアップしたら,話題になったことがあったんですよ。自分が出演した作品では「環境野郎Dチーム」という深夜番組が好きなんですが,そのときと同じような,“大きな芝居”を意識しました。
4Gamer:
ゲームの審査についてのご感想も聞かせてください。2本とも,わずか1か月で開発されたものでしたが。
大和田さん:
いやぁ,ゲームそのものも深くて感心しましたが,何よりクリエイターの方の考え方や才能に驚きました。こういう新しくてディープな世界があるんだなと。
4Gamer:
刺激を受けましたか。
大和田さん:
そうですね。収録の合間にも少し話しましたが,お二人とも頭がいいことが伝わってきましたし,格好いいですよね。中道さんは俳優にも負けないくらいじゃないかな。ゲーム配信者のみなさんも,個性豊かで面白いですね。VTuberの方との共演も初めてで新鮮でしたし,どういう仕組みで演じているのか,気になりました。
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4Gamer:
ゲームを題材にした番組の数は,まだそれほど多くないと思うのですが,大和田さんは今後どんな展開があり得る,または可能性があるとお考えですか。
大和田さん:
まだ“入りたて”ということもあって,はっきりとした考えがあるわけではないのですが,いろいろな可能性があると思いますね。
ゲームの技術を番組作りに生かすこともできると思います。収録の合間にクリエイターの方と少しお話ししたんですが,ドラマの背景もゲームのように作れるとか。長期間のドラマ撮影だと,撮影開始直後にあった雪がそのうち溶けてしまうので,雪を運んできて人海戦術でそれっぽく見せたりするんですが,ゲームの技術を使えばその苦労もなくなりそうですね。そんな風に,いろいろな分野に広がっていけるような気がします。
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4Gamer:
中道さんとけんきさんは,この番組を見て,子どもたちを中心に「ゲームを作ってみよう」と思う人が増えてほしいと話していましたが,大和田さんはいかがですか。
大和田さん:
我々の世代も飛び込めそうな気がします。私も少しは飛び込んでいたつもりでしたけれど,「もっとすごい世界があるんだ」と感じましたし,ジャンルは違っても,ものづくりに関わる者として共感できるところがありました。
中道さんは今回のゲーム作りでかなり悩んでいましたが,あるアイデアを思いついてから一気に制作が進み始めましたよね。私も,舞台などのシナリオがなかなか書けずに悩むことがあるんですが,ある時にパッとアイデアが浮かぶと,全部が楽になるんです。
4Gamer:
その瞬間がものづくりの醍醐味かもしれませんね。そろそろお時間のようですので,最後に,今回の記事を読んで「電脳遊戯最高会議」に興味を持った人へメッセージをお願いします。
大和田さん:
今回の2つのゲームは,一見単純なように見えるけれど実は奥が深くて,「ここで粘れば勝てるのか」「考えすぎると逆に失敗するんだ」といった学びもありました。ふだんはカジュアルなゲームをリラックスしてプレイすることが多いので,これまでだったら「自分向きじゃないな」と思うようなゲームだったんですが,見ているうちにやりたくなって来たので,みなさんもそうなるといいですね。
4Gamer:
ありがとうございました。
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「電脳遊戯最高会議」配信ページ
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