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[CJ 2008#01]思わず乾いた笑いが洩れる“カジュアルアクションゲーム”「American McGee’s Grimm」インプレッション&プレイムービー
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印刷2008/07/16 21:31

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[CJ 2008#01]思わず乾いた笑いが洩れる“カジュアルアクションゲーム”「American McGee’s Grimm」インプレッション&プレイムービー

 昨年(2007年)のChinaJoy取材では,上海に陣取ってグリム童話のゲームを作っていると噂のAmerican McGee氏を訪ね,中国でゲームを開発することの魅力や新作の概要についてインタビューを行った。

画像集#002のサムネイル/[CJ 2008#01]思わず乾いた笑いが洩れる“カジュアルアクションゲーム”「American McGee’s Grimm」インプレッション&プレイムービー

 その新作,「American McGee’s Grimm」が今年はもうリリース間近である(7月31日に第一話配信)。こうなればプレイさせてもらわない手はない。そんなわけで,引っ越したばかりのSpicy Horse(麻辣馬)を再び訪ね,一足お先に「American McGee’s Grimm」をプレイさせてもらった。ChinaJoy直前の時間のないタイミングでの訪問となってしまったが,発売前に見られたのは幸運である。そのときに聞いたゲーム概要と合わせて,どんなゲームなのかあらためて説明しよう。
 なお,シナリオ(と呼んでもよいだろう)の一本一本が大変短いという本作の性格上,あまり多くのことを公開しないでほしいとお願いされている。なんとなく重要な部分が書かれていないインプレッションになってしまっていることを,ご容赦いただきたい。

ゲームとしての「主人公」は,この人Puss。……成すべき仕事にたいへん合致した外見のヒトである
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 まずはゲームジャンル。昨年段階では,なんとなく「Alice in Nightmare」を彷彿とさせるアクションアドベンチャーゲームを想像していたが,あにはからんや,これがマウス操作のカジュアルアクションゲームである。主人公は各童話の主人公ではなく,神様に童話の世界を悲しくしたり,寒くしたり,破壊したりするよう命じられた人相の悪い男だ。

 本作の発売形式は,すでに伝えられているようにちょっと特殊。1週間ごとに1話が追加されていくエピソディックスタイルで,全24話という形。ちなみに24時間限定無料という奇抜なマーケティングは,ダウンロード後24時間が体験版扱いということのようだ。

Pussが通るや,草や木は枯れ,人はなぜか背中に火がついてもがいたりする
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1エピソード内のシーン数が分かる画面。ちなみに童話「長靴をはいたネコ」(cat in boots)のはずのタイトルが,「puss in boots」になっているなど,芸が細かい
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 1エピソード=1本の童話で,McGee氏によれば「エピソードの長さによって異なる」そうだが,1エピソードはだいたい6〜7Scene(シーン)に分かれている。プレイ内容によりふさわしい形に言い換えると,要するに「6〜7ステージで構成されている」わけだ。前述のようにプレイを始めるに当たって,主人公は神様から,「Nasty」(=不快)といったプレイ目標をフキダシで告げられる。ありがたくない神様もいたものである。
 そこからローポリゴンの3Dで作られたステージ内を走り回ると,主人公の行く先々が自動的に破壊されたり,寒くなったりする。操作はフルマウスで,左ボタンを長押しすることによって主人公がポイントした方向に進む。右クリックはジャンプになっており,各ステージのマップにある階段状の凹凸や谷間を軽快に登ったり飛び越えたりしつつ,マップ内に不幸をまき散らしていくのが当面のプレイ目標だ。
 マップを不幸にしていくことで主人公はレベルアップし,より広いエリアをいっぺんに不幸にできるようになる。なお,主人公は全エピソードで共通のようだが,主人公のレベルはエピソードごとでクローズしており,ほかのエピソードには持ち越されない。

 さてこのゲーム,エピソード開始以降,童話の通常のストーリーをリアルタイムレンダリングムービーで見られるのだが,そのためのボタンには「Light Side」とか書かれている……。ってことは「Dark Side」もあるわけで,McGee氏によれば1本のエピソードをまるまるクリアした(全ステージを制覇した)あとに「Dark Side」ボタンが有効化されるという。そこではもちろん,見る影もなく変わり果ててしまった物語が,同じくリアルタイムレンダリングムービーで見られるのだ。

これはどちらも,「Light Side」のレンダリングムービー
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 正直プレイしてみるまで「物語を悲しくすることが,ゲームとしてどう面白いのだろうか?」と疑問に思っていたのだが,なんというか,1エピソード30分というハイペースで速やかに「不幸化」が成し遂げられると,乾いた笑いが楽しめる水準に達するのだなあと実感した。あの「Alice in Nightmare」を作った(つまり,ルイス・キャロルの暗い情熱をきちんと汲んだ)McGee氏のことであるから,何かとんでもないオチを付ける形を想像していたものの,そうではなくて今回は,展開の落差そのものをオチにするという作風のようだ。
 通りすがりの人に火がついてもがくとか,森や畑がみるみる枯れていくといった,ある種不謹慎な笑いには,子供の持つナチュラルな残酷さがぴったりな気がした(そして大人さえも,そういう不謹慎さを呼び起こされるという意味で侮りがたい)本作だが,血の描写などの関係で,大人向けレーティングの作品になっているのだという。

画像集#012のサムネイル/[CJ 2008#01]思わず乾いた笑いが洩れる“カジュアルアクションゲーム”「American McGee’s Grimm」インプレッション&プレイムービー
 McGee氏いわく「忙しい現代人に向けて尺の短いエピソディックスタイルで提供される」本作は,「Alice in Nightmare」のようなホラー仕立てではなく「コミカルでユーモラス」な作品になるというものの,American McGee節はしっかり健在の様子。パブリッシング予定について聞いてみたところ,「まずは北米だが,可能な限り全世界展開したい」とのことであった。

 訪問の最後に,新しい作品の開発予定について聞いてみたところ,まだ詳細は言えないが,欧米向けを1本,中国向け(!)を1本用意しているという。それこそ『本当は恐ろしいグリム童話』ではないが,American McGee氏一流のひだの細かい精神的な衝撃を,中国という新しい開発環境で今後どのように発揮してくれるのか,併せて楽しみだ。ともあれ,いまは「American McGee’s Grimm」の順調なリリースを祈りたい。


なお,以下にその場で撮影したプレイムービーを掲載しておく。周囲を汚染(?)しながら走り回る主人公の様子などが確認できるので,ぜひこちらもチェックしてみてほしい。


 こちらのムービーは,主人公Pussがエピソードの概略を説明している様子なのだが,実はこれ,エピソードクリア後に見られるようになる「Dark Side」のストーリー説明部分。先ほど説明した「Light Side」とはうって変わって,風景や人物の雰囲気が,とても童話とは思えないくらい全体に暗いことが分かるだろう。



 これは,McGee氏自身が操作したアクションシーンを撮影したもの。明るい世界を破壊するというコンセプト通り,主人公キャラクターが通った周囲がどんどん枯れたり腐ったり燃えたりしていくのが分かる。



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    American McGee’s Grimm

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