2009年9月10日,AMDは,CPUとGPUの融合を進める「Fusion」コンセプトの一環として,新ブランド
「VISION」を立ち上げると発表した。
VISIONとは何なのか。8月下旬に来日し,VISIONについて説明したAMDのDirk Meyer(ダーク・マイヤー)社長兼CEOは,VISIONブランドとそれに関連したロゴプログラム立ち上げについて,次のように述べている。
Dirk Meyer氏(President and CEO,AMD)
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「たくさんのコンポーネントブランドが次々と登場してくるなかで,消費者は,『どんなブランドがあって,それらにどんなメリットがあるのか』を理解するのが難しくなってきている。(もちろん)そういったものは説明されてきたが,消費者にはなかなか分かりづらいものがあった。
そこで発表するのが,新しいGo-to-market(※市場開拓,市場参入の意)の戦略である。販売の場で,コンポーネントブランドの名前を言うのではなく,
『何ができるのか』『そのプラットフォームにどんな機能が用意されているのか』を,一つのメッセージで伝えていきたい。それが『VISION』だ。
従来よりも,お客様が理解しやすい,もっとシンプルなストーリーを,打ち出していきたいと考えている」
VISIONのコンセプトを端的に表したスライド。「Stop Talking about Processors. Start Talking about Usage」(プロセッサについて語るのはやめて,使い方について語ろう」と謳われる
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Windows 7と同時に立ち上がる予定のVISIONは,ひとまずノートPC用に展開され,2010年には,デスクトップPCにも広がる予定。最低要件としては,「ATI Avivo HD」「ATI PowerPlay」「ATI Stream」各テクノロジーのサポートと,HDMI出力,DirectX 10.1のサポート,マルチコアCPU,UVDの搭載が挙げられており,これを満たすノートPCについて,搭載するCPUとGPU別に,それぞれ「できること」が,以下のとおり訴求されていく。
1.VISION
- Casual Gaming:カジュアルゲームのプレイ(※4Gamer的には,Flashゲームやブラウザゲームとほぼ同義)
- Listen to Music:音楽再生
- Photo viewing:写真再生
- Watch DVD movies:DVD-Video再生(※Youtube再生も含む)
- Rich Internet Browsing:インタラクティブなWebサイトのブラウジング
2.VISION PREMIUM
- Multitasking:マルチタスク処理
- Live TV on the PC:テレビ鑑賞
- Mainstream Gaming:一般的なゲームのプレイ(※4Gamer的にはカジュアルゲームとほぼ同義)
- Convert CDs to MP3s:CD-DAのリッピングとMP3形式へのトランスコード
- Basic Photo editing:基礎的な写真編集
- Watch Blu-ray/HD movies:高解像度ビデオ再生
- iPod video conversion:iPodで再生できるビデオフォーマットへのトランスコード
- Webcam:Webカメラ(を利用したビデオチャット)
3.VISION ULTIMATE
- Multitasking:マルチタスク処理
- Record TV shows:テレビ録画
- Online gaming(MMO):オンラインゲームのプレイ
- Edit/mix music:音楽編集
- Advanced Photo editing:高度な写真編集
- Create/edit movies:ムービーの作成・編集
Meyer氏は,VISION,VISION PREMIUM,VISION ULTIMATEを順に「Good,Better,Best」,あるいは「See,Share,Create」(見る,共有する,創造することができる)と位置づける。もちろん言うまでもなく,上位ランクは,下位ランクで「できること」のすべてに対応する。
AMDでは,搭載するCPUとGPUの組み合わせの最小構成を,液晶ディスプレイサイズが15インチ前後の「メインストリームノートPC」と,AMDが「Ultrathin」と呼ぶ薄型ノートPCごとに設定しているが,その条件を満たすノートPCでも,TurionやAthlon,あるいはATI Mobility Radeonのロゴシールは貼られず,3ランクのVISIONロゴだけが貼られるという。スペック表を見れば,従来どおり,CPUやGPUのモデルナンバーをチェックできるが,もはやCPUやGPU単位での訴求は,行われなくなるというわけである。先ほど,Meyer氏の示したスライドにあるとおり,CPUやGPUは,VISIONというブランドの中に溶けていくイメージなのだ。
メインストリームノートPCと薄型ノートPCにおける,ランク「VISION tier」ごとの最小構成。プラットフォームの開発コードネームでいうと,「Tigris」「Congo」のマシンが対象となる
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日本発のマーケティングキャンペーン「AMD HD! Experience」は,ソリューション特化型の概念として継続される
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日本AMDでは,当面,最もシンプルなVISIONで,「See」(見る)を訴求していく予定。Hewlett-Packardの「HP Pavilion Notebook PC dv2」が一定の成功を収めているので,こういったラインから日本市場を攻略していく,ということなのだろう。
なお,デスクトップPCでは,現在のところ,「Dragon」「Spider」といった,プラットフォームの開発コードネームがブランド的にアピールされているが,「開発コードネームが存在する以上,呼び名自体は残るが,2010年以降は,VISIONブランドで訴求されることになる」(日本AMD 土居憲太郎氏)とのことだった。
説明会場に置かれていたMSI製のVISION PREMIUMノートPC「MSI 1684」。16インチディスプレイ採用製品で,「Turion II Ultra M600/2.4GHz」と「ATI Radeon 4200」を搭載するとされる
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静態展示されていた,Hewlett-Packard「HP Pavilion Notebook PC dv6a」試作機。標準のVISIONロゴ付き
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ブランドとモデルナンバーの多様化によって,最近は,自作PCユーザーですら,CPUやGPUのモデルナンバーから,100%正確にスペックや性能を予測するのが困難になってきている。となれば,あまりPCに関する知識のないユーザーは,もっとワケが分からないはずで,その意味で,「できること」ベースのランク分けというアイデアは,歓迎されてしかるべきだろう。
適切な運用さえなされれば,量販店の店頭において,非常に分かりやすい指標となるはずなので,AMD,そして日本AMDの取り組みに注目していきたい。