8歳の女の子でも鈴鹿サーキットを攻略できる本格派カーシミュレータ？ すべての車好きに楽しんでもらいたい「Forza Motorsport 3」

　マイクロソフトは，2009年10月22日にXbox 360用ソフト「Forza Motorsport 3」を発売する。本作は緻密なグラフィックスと物理演算で，とことん“リアルさ”にこだわった人気カーシミュレーションゲームの最新作。100種類以上のコース，400種類以上のマシンが登場するほか，自由度の高いチューニングやペイントが行えるのが大きな魅力だ。
　今回，4Gamerはマイクロソフトにお邪魔し，開発元である“TURN 10 STUDIOS”のシニアゲームデザイナー，谷口 潤氏から直接本作の魅力を紹介してもらった。本稿では谷口氏のコメントを交えつつ，ゲームの特徴をお伝えしていこう。

すべてのシステムが前作よりパワーアップ

あの“富士見街道”もコースとして登場！

TURN 10 STUDIOSのシニアゲームデザイナー，谷口潤氏

　マニアを唸らせる多数のコースが登場する本作。谷口氏はまず，その中でもとくに注目の“富士見街道”について紹介してくれた。もともとは初代「Forza」で人気を博したコースが，本作ではリファインされてカムバック。谷口氏によると「実はTURN 10 STUDIOSには，日本の車やアニメが好きなスタッフがたくさんいます。今回富士見街道をリファインするということで，「頭文字D」へのトリビュートを盛り込んだり，「AKINA」に出てくる4連続コーナーを再現したりしました」とのことで，開発にも特別力を注いだようだ。
　そして実際にコースを走って見せてくれたのだが，車をぶつけたときのダメージは細かく再現されているし，コクピットビューで見える計器類もしっかり動いており，そのグラフィックスの美しさとリアルさへのこだわりには「凄い」としか言いようがなかった。


　さらに驚いたことに，走行時のタイヤのよじれをビジュアルで再現しているだけでなく，しっかり熱量まで計算しているとのことで，もはや車に対する“愛”を超えた，“執念”さえ感じさせるクオリティである。
　また，本コースは「富士山を見渡せる北関東のどこか」を想定しているらしく，実際に途中で富士山が見える場面もあった。

　また，本作では走行中にミスをしてしまった場合に，ワンボタンで好きなところまで時間を巻き戻せるという“リワインド”システムが搭載されている。これはペナルティなしで，レース中何度でも使用可能という親切設計だ。谷口氏いわく，このシステムは「6歳から65歳まで簡単操作で遊べるように」ということで実装されたという。ちなみに，なぜ上が65歳なのかは不明だ。
　リワインドはドリフトの練習にも最適。本作ではドリフトが成功するとポイントが加算されるようになっており，オンラインのランキングボードには，純粋なタイムのほか，ドリフトポイントも登録されるという。クラッシュギリギリのリスキーなドリフトほど，加算されるポイントは高くなるようだ。


　富士見街道を走りながら一通りの説明を終えたのち，「日本の峠を走れるというのも，本作の大きな魅力の一つだと思います」と語った谷口氏。なお富士見街道は，本来レース用ではないため道幅が狭く，本作に収録されている日本のコースのなかでも，とくにドライビングテクニックが要求されるとのことだ。

　続いて谷口氏は，オンライン関連のシステムについて説明。前作では車を売り買いできるカーオークションが非常に好評だったが，本作にも“ストアフロント”というメニューがあり，自分だけのバーチャルショップが開けるという。ここではチューニングデータやデザイン，バイナルを売買/フリー配布することができるほか，ほかのプレイヤーがアップしたリプレイや写真の閲覧が可能。評価やダウンロード数の高い順に検索する機能もあり，目的のショップへスムースにアクセスできるようになっているようだ。
　ちなみに本作では，チューニングデータを購入すると，パーツの情報も共有できるという。また，相手がフレンドならばデータをギフトとしてプレゼントすることも可能とのこと。

　バイナルの作成に関してもよりパワーアップしており，本作では方眼紙のような機能を使ってデザインできるようになった。
　前作では，見る人のド肝を抜くような発想でアニメキャラを描いたりするペインターがいたことから，世界中で話題になった同システム。今後，どのようなバイナルがショップに登場するのか非常に楽しみなところだ。

初心者でも楽しめる親切設計

すべての車好きに贈るゲーム

　谷口氏によるゲームの説明が終わったあとは，専用シート＋6ディスプレイという豪華な環境（公式ではサポートしていない設定）で，実際に富士見街道でのドライブを体験。
　最初に，コーナーで自動的にブレーキをかけてくれる「オートブレーキアシスト機能」をONにした状態では，無免許の筆者でもそこそこ快適に走ることができた。景色を楽しむ余裕すらあり，相当調子に乗っていたのだが，次にオートブレーキ機能をOFFにして走ってみたところ，打って変わって惨憺たる結果に……。連続クラッシュは当然として，その場でグルグル回転するわ，逆走するわで，現実なら崖下へ転落するか逮捕コースまっしぐらな走りを披露してしまい，筆者が運転免許証を取得してはいけないということと，オートブレーキ機能の優秀さを実証することになった。


　オートブレーキだけでなくリワインドもそうだが，本作のシステムはコアなレースゲームファンだけでなく，初心者でも快適に楽しめるよう実に良く考えられている。
　ではなぜ間口を広くしようという発想に至ったのか？　その点について質問したところ，谷口氏は以下のように語った。

谷口氏：
　本作はカーシミュレーションゲームと謳ってはいますが，ドライバーだけでなく，ドリフターやペインター，チューナーなど，形は違っても車に関わるすべての人達に手にとってほしいのです。前作ではシミュレーションを重視したために「難しい」とおっしゃるお客さんもかなりいまして，“どうしたら本物のレーシングゲームを提供しつつ，幅広い層に楽しんでもらえるのか”と考えた結果，リワインドやオートブレーキが有力な候補として出てきました。身内の話になりますが，8歳の娘が鈴鹿サーキットを走れたときには“間違っていなかった”と嬉しくなりましたね。


　発売まで1か月を切っている「Forza Motorsport 3」。運転免許証を持っていない筆者でも，そして8歳の娘さんでも楽しめるのだから，車好きなら迷わず「買い」だろう。
　レースだけでなくオリジナルのバイナルを世界中に発信するも良し，チューニングに命を懸けるも良し，自分なりの楽しみ方をぜひ見つけてほしい。