ヒャダイン/前山田健一 / 歌手・作詞家・作曲家・編曲家・プロデューサー
第10回「あれ? 信長の顔っていつから変わったんだ?」
ども。最近,もっぱらのストレス解消法がゲームをすること。しかも戦国系ヒーローアクション! そんなヒャダインでございます。
具体的にいうと
「戦国無双3」(
Wii)と
「戦国BASARA3」(
PlayStation 3 /
Wii)なんですけどね。どちらも通算400時間ほど遊び続けております。ディープなファンに言わせたら,まだまだかもしれませんが,自分的にはかなりやりこんでいるつもりです。
そうそう,先日
「戦国BASARA3 宴」(
PlayStation 3 /
Wii)を買ったら,なんと戦国BASARA3のデータを一部移行できると!!! なんて素敵なシステムなのかしらん!! チューンナップした武器とかは移行できないものの,キャラクターのレベルなどはそのまま。
えー,全キャラクターレベルを100にしていたんですが,戦国BASARA3ではこれが上限だったんですね。それが,宴では200まで上げられる。要するにデータ移行しても,100から。そう。まだまだレベル上げを楽しめるのであります。
そして使えるキャラが増えたり,日本遊戯なるミニゲームがあったり,まあどっぷりですよ,どっぷり。おかげで武将の名前に詳しくなっちゃって,
クイズ番組で武将名にまつわる問題が出ても,けっこう正解できちゃったり。ありがとう,戦国無双シリーズ&戦国BASARAシリーズ!
でね。ゲームに限らず,戦国ものがブームになったことで,武将のグラフィックスが史実シカトで,浅井長政が金髪だったり秀吉の嫁が忍者だったり,果ては武将全員が女性化していたりと,長年真面目に歴史を研究された方々にとっては,おそらく噴飯ものであろう事態になっちまっています。でも,僕はこの現象がたまらなく好きです。自由だなーって思います。
あと,一番最初に思いついた人は凄いな,とも思う。実在の人物をまったく違うものに描くなんて,普通はなかなか思いつかないですよね。うんうん。こういう発想の柔らかさは,クリエイターにとって大切だと思います。あ,もちろん受け取る側にとってもね。柔らかにいろんなものを受け止められれば,楽しめることだって増えるわけですから。
えー,話を戻します。戦国武将達の姿がこんなことになっている中,織田信長だけは,なかなかブレがないんですよね。
昨今のアニメやゲームにおける信長の見た目はだいたいこんな感じ。
え:ひゃだいん
 |
絵が下手ですみませんね。伝わりますか? あれですよ。前髪ふさふさロンゲをちょんまげ風に頭上で縛って,逆毛をたててワイルドさを演出。ひげもダンディーで洋風の甲冑を身にまとうこともしばしば。
それぞれ解釈は違えど,頭の上のブロッコリーみたいなちょんまげはもはやデフォルトですよね。信長のアイコンですよね。アイコニックですよね。
でも,織田信長の有名な肖像画といえば,織田信長の一周忌に長興寺に寄進されたという,アレですよね(
Google画像検索結果一覧)。
つるっぱげで,申し訳程度のちょんまげが後頭部にちょこんと。わしっぱなで目が若干離れていて,淡白なお顔立ち。まさに醤油顔。英語で言うと,ソイソースフェイス。イエヤァ。
しかしまあ性格は「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」でおなじみの破天荒独裁型! 若い頃は恣意的にうつけものを演じて周辺国を油断させたり,海外の文化を積極的に取り入れたり,と,まあ,イケイケな将軍ナンバーワンなんですが。
これが,
どのタイミングでブロッコリーになったのか。もしかしたら「うつけもの時代」の肖像画が残っていて,その名残なのかもしれませんが,それにしてもなぜこうも違うイメージになったんでしょうか。
 「戦国無双3 Empires」の織田信長 |
 「戦国BASARA3 宴」の織田信長 |
って考えたとき,やはり避けられないのが
「信長の野望」ではないかと思うのです。歴史ゲームといえば,光栄(現 コーエーテクモゲームス)。あの,ゲーム起動させたときの「コーエー☆」って音を聞くだけで,「ああ,俺は今から戦国時代へと旅に出るんだ。さようなら平成」ってなったもんです。
というわけで,
信長の野望シリーズにおける信長の肖像をネットを駆使して調べてみた。
初代・信長の野望。パッケージには前述のような肖像画。頭部がすっきりしてるやつですね。で,ゲーム内もそんな感じ。これが1983年。
「信長の野望」
 |
「信長の野望・全国版」
 |
そして次作
「信長の野望・全国版」になると,パッケージのセンターには甲冑がどどーーんとあるんですが,顔の部分が真っ白に塗りつぶされている。こわっ。ホラー? いや,あれですよ。へたれた観光地に行ったらある,アレ。アレにそっくりです。木製のパネルで顔だけ空いてるやつ。あれ,面白いですよね。ぴったりハマる人っているのでしょうか。顔だけくりぬいてるんだし,そこに顔を入れて写真を撮って二次元にしたら,ぴったりハマってもおかしくないはずなのに,必ず立ちのぼる違和感。ふーむ。ああいうのをひたすら撮りまくる「どうでしょう」的なロケ,したいなあ。ていうか,「どうでしょう」みたいなことしたいなあ。
閑話休題。さて,全国版パッケージに信長の肖像はないんですが,ゲーム内では前作の頭髪と同様のバージョン。これが1986年。
そして次作
「信長の野望・戦国群雄伝」,1988年発売。パッケージは,「オメエ誰だよ」な将軍の顔が三つほどドドドドーン。ここでも前作までを踏襲したバージョンかな,と思いきや……。
「信長の野望・戦国群雄伝」
 |
 |
生えてた!!!! 信長に,生えてる!!!!! 僕らが最近よく見かけるほうの信長だよ!!!
1988年の代表的な出来事といえば……。
・リクルート事件
・地価の値上がり,すなわちバブル
・ゴルバチョフ書記長によるペレストロイカ
・高井麻巳子さんが秋元康さんと結婚
・B'zデビュー
うーん,華々しい時代ですね。なんか,イケイケ。1988年のヒット曲は,光GENJI「パラダイス銀河」,田原俊彦「抱きしめてTONIGHT」,ラ・ムー「愛は心の仕事です」。うん。イケイケ。
あと大河ドラマ! 「武田信玄」(主演 中井貴一さん)。信長役は石橋 凌さん。ARBですよ。ロックンロールですね。そして平均視聴率39.2%,最高視聴率はなんと49.2%! ほぼ50%! 50%って5割ですよ。極論すると世の中の半分が観ていたぐらいの大ヒットドラマ。なお,前年の大河ドラマは渡辺 謙さん主演の「独眼竜政宗」で,平均視聴率39.7%と,大河ドラマの過去最高平均視聴率を保持しているそうです。
てことは,時代背景として戦国時代ブームが来ていたと考えてもおかしくないでしょう。その年に信長の野望・戦国群雄伝が出たっていうことから,信長に髪が生えたのもそのあたりの流行が関係していたのかも知れません。
戦国ブームの中,信長がキツネ目で頭を光らせているのでは,やはり具合が悪いのかもしれないですからね。ここで,ふさふさイケメン信長を光栄(当時)さんが投入!! そしてこれが,徐々にスタンダードになっていったのかもしれません!
とまあ,とりあえず信長の野望シリーズで検証(妄想?)してみました。信長がふさふさになったのは1988年。バブル期で,大河ドラマによる戦国時代ブームという,時代背景があったと。
そんな頃に,最強かつ悲劇のヒーローとして君臨する者を,よりヒロイックに演出するために,信長はイケメン化されたんじゃないでしょうか。
そこからちょんまげ,ブロッコリー織田信長がデフォルトになっていくんですが,近年の加速ぶりはやはりすごいですね。
「織田信奈の野望」に至っては,萌えて萌えて仕方がありません。
そんな中,戦国BASARA3 宴では,若本規夫さんの抑えた低い艶やかな声で,第六天魔王として真っ赤っかなオーラをまとい,鬼火力を駆使する織田信長を操作できるわけです。そして天海こと明智光秀との邂逅なども楽しめて,とても充実内容。いやー,織田信長ってかっこいいですね。
もし,織田信長のグラフィックスの正確な変遷を知っているぜ! っていう方がいらっしゃいましたら,ぜひぜひご教示いただければな,と思います。
■■ヒャダイン/前山田健一(歌手・作詞家・作曲家・編曲家・プロデューサー)■■ ヒャダイン氏の1stベストアルバム「20112012」が発売される11月28日(水)まで,1か月を切りました。このアルバム,ただのベスト盤ではなく,新曲や新録曲もバッチリ収録。フィーチャリングゲストとして,野宮真貴さんやVERBALさん,サカモト教授さんなども参加しているとのこと。さらなるスペシャルゲストもいるそうです。また,店舗別の購入特典として,レア音源やブロマイドなども手に入るそうなので,早めの予約がオススメです。詳しくは公式サイトで! |