東京ゲームショウ2010のマイクロソフトブースにて,2010年1月に発売されたスノーボードゲーム「
ストークト」の続編となる,「
Stoked: Big Air Edition」(以下,Big Air Edition)がプレイアブル展示されていた。
Stokedは,ヘリコプターで雪山に降り立ち,むき出しの岩や倒木などがあるバックカントリー(自然のままの雪山)でスノーボードを楽しめるゲーム。「いかにもゲームだな」というような非現実的なトリック(技)はなく,時間経過などで晴天から曇り,もしくは吹雪になるなど天候がどんどん変化していく。ほかにも実在のブランドのスノーボードギアで,自身の分身となるスノーボーダーをカスタムできるなど,全体的にリアルな作りになっている。
今回のTGSで遊べたプレイアブルデモでは,前作に出てきた山が再び登場するのを確認できた。フィールドは広く,いろいろな場所に“チャレンジポイント”(指定された種類のトリックに挑戦したり,レースが発生したりするポイント)があるため,これを全部クリアしようとすれば,相当ボリュームはあるだろうし,なかなか難度も高めでやり応えは十分ありそうな印象だ。
デモはゲームのメニュー周りやHUDなど,テキスト部分が日本語にローカライズされていたが,関係者に話を聞くと,まだまだ完成には程遠い初期のバージョンで,これから作業を進めて完成度を高めていきたいとのことだった。
Big Air Editionのシステムは前作を踏襲しており,操作方法も基本的に変わらない。左スティックでスノーボーダーのコントロール,右スティックを下から上に弾くとオーリー(いわゆるジャンプ)をする。
オーリーの後に左スティックを上下左右に倒せば,その方向にスノーボーダーが回転し,滞空中にRトリガー,Lトリガー,もしくは両方を引けばトリックを出せる。複雑なように見えて,実はただ滑る程度なら,使用するボタンは意外と少ない。
ほかにも「ハッカー」(高速でスピンするスタイル)や,「スタイリッシュ」(ゆっくり回転し,きれいにトリックを見せるスタイル)といった上級テクニックも,前作のままの操作方法で受け継がれており,前作の経験者ならすんなり入っていけそうだ。
前作Stokedは,発売後にプレイヤーからたくさんのフィードバックが寄せられたそうで,これをもとに改良を重ね,より遊びやすいよう作られているというBig Air Edition。
とくに嬉しいのは,雪山で挑めるチャレンジモードの改善だろう。前作では,例えば「Method Airを決めろ」と画面に指示が出ても,「どうやって出すんだっけ?」となると,一度ポーズをかけてトリックマニュアルを確認しなければならなかった。遊び始めのうちは頻繁にこの作業が発生し,それがテンポを悪くしている一因にもなっていたのだ。
それがBig Air Editionでは,出すべきトリックのコマンドが常時画面に表示されるようになっており,非常に分かりやすく,気持ちよくチャレンジに挑める。
チャレンジに失敗してリトライするときのロードが一瞬で終わるため,待たされるストレスが少なくて済むというのも,評価できるポイントだろう。
ほかにはトリックを決めた際,着地時のバランスが見直された。多少無茶な姿勢で着地しても,前作より転びにくくなっているのだ。実際やってみたところ,「今の,前作なら確実に転んでいるよなあ」という着地でも,転ばずになんとかバランスを保っていたりするのを確認できた。ただ,転びにくくなったとはいえ,着地時の体勢による評価は残っているため,できるだけキレイに着地するということは今回も心がけたいところ。
Big Air Editionの新要素としては,新たに山が2つ追加されるほか,トリックの種類も増えるそうで,よりゲームの幅が広がりそうではある。
面白い要素としては,ドロップポイント(スタート地点)が地上何フィートにあるのかが表示されているという点。例えば「1340フィート」と表示されている場合は,麓からそれだけ高い位置にいるということを示しており,滑り始めるとフィート数が減少していく。現在のフィート数が表示されている数値を追い抜いた場合は,「もう滑る場所がないから,ヘリで移動してみて」ということを示しているのだという。ハイスコアの更新を狙うときなど,この数値を参考に,どこでどれくらい稼ぐかといったことを計算しやすそうだ。
また,一定以上の速度が出るとブラーが発生し,視覚的によりスピードを感じやすくなっていた。前作を発売した後,プレイヤーから「スピード感が足りない」と意見を寄せられたそうで,ブラーを導入することになったらしい。
プロスノーボーダーが多数登場するのも特徴の一つに挙げられるが,こちらは契約上の問題もあって詳しく聞くことはできなかった。ただ,前作に登場した選手は引き続き登場することを匂わせていた。
遊んでみた限り,前作の良いところはそのままに,悪い部分をできるだけ改善して,より完成度の高いスノーボードゲームに近づけようとしている印象を受ける。このBig Air Editionは,販売元であるラッセルに,プレイヤーからリクエストの声が多数届いたのが,発売するきっかけとなったそうだ。これから寒くなり,ウインタースポーツが盛り上がる季節になるので,それに合わせて発売されることを期待したい。