インタビュー
「スペシャルフォース2」の8月は息をもつかせぬ,4回連続アップデート。「常夏」「海賊」「カルマ」「新女性キャラクター」のキーワードが示すものとは?
それぞれのアップデートを象徴する「常夏」「海賊」「カルマ」「新女性キャラクター」という四つのキーワードが,どう反映されるのか,同作のプロデューサーである佐野 亘氏に話を聞いてきた。
アップデート1:「常夏」
4週連続アップデートの最初を飾るのは「常夏」。すでに公式サイトにて片鱗が明かされているように,夏の気分を楽しめる二つのアップデートが実装される。
●「Rita.I」が夏らしいセクシールックに!
ゲーム内のイベントで入手できるほか,通常どおりの購入もできるため,入手条件をしっかりとチェックしておこう。
彼女は本作初の女性キャラクターなんですが,実装当初は,既存の兵士達からかけ離れた体型にするわけにはいきませんでした。FPSというジャンルの性質上,ほかのキャラクターと同様の当たり判定を実現しないといけなかったからです。
そうした点もあって彼女は硬派なキャラクターになっていたんですが,海外のお客様から「セクシーじゃない」「男みたいだ」というお声を多くもらったんです。そこで今回は大きくセクシー路線に舵を切ったというわけです。
これまでのスペシャルフォース2は正統派のイメージだったんですが,お客様の声にお答えしてMOBA要素を導入した「ヒーロー」モードを導入するなど(関連記事),いろいろな施策を行ってきました。いわば世界観の幅が広がってきたんですが,今回のアップデートではそうした部分が一気に吹き出したという感じです。
ただ,ベースに硬派な世界観があるからこそ,こうした変化を楽しんでいただけるのではないかと思っています。(佐野氏)
●豪雨も晴れて気分爽快の新マップ「ヘビーサマー」
地形こそヘビーレインと同様だが,イメージは真反対で,雨が降り続く陰鬱なジャングルだったはずが,快晴のリゾート風になっている。重苦しかった空には七色の虹が架かり,木陰には美しい蝶が舞う。川の上流にはスライダーと思しき施設があり,「SUMMER FESTIVAL」と書かれた横断幕がプレイヤーを出迎えてくれるなど,とてもヘビーレインと同じ場所とは思えないほどの変化を遂げている。
Unreal Engine 3による木漏れ日のライティングも美しく,思わず周囲を散策したくなるが,ルール自体はいつものスペシャルフォース2と変わらないので,相手チームから倒されてしまわないよう,自己責任のうえで楽しんでいただきたい。
なお,ヘビーサマーは期間限定マップとなるため,気になる人はしっかりと期間内にプレイして南国気分を満喫しよう。
ヘビーレインとヘビーサマーは地形やギミックはほとんど同じなんです。しかし,ヘビーサマーは晴れているので視界が開けているんですね。戦い方もだいぶ変わってくると思います。(佐野氏)
●新武器「QBZ97 Tempest」
QBZ97 Tempestは,公式サイトでシルエットのみが公開されていた新武器。アサルトライフル「QBZ97」に龍の装飾を施してあり,鈍色の龍が宝玉を掴んだ姿がいかにも豪華だ。
SIGやK2よりも高いダメージを与えることができるが,その分反動は大きめ。だからといってじゃじゃ馬というわけではなく,反動はあくまでも制御可能な範囲に収まっており,使いやすさ重視だ。装弾数が平均的な武器よりも5発多いのも見逃せないポイントだろう。
アップデート2:「海賊」
夏といえば海! 海といえば海賊……ということなのか,8月14日には第2次アップデートとして,海賊がテーマのアイテム類が実装される。
「バーソロミューの帽子」は,海賊船長がかぶっているような帽子(ナポレオン帽)。片眼をカバーする「バッカニーアの眼帯」と組み合わせれば,まごうことなき海賊ルックになる。
顔全体をマスクするのが「銀鉱の髑髏」。不気味なドクロ仮面が銃を構えて迫ってくる様はかなり怖いものがあり,ちょっとした怪談気分も味わえそうだ。
いずれもゲーム内ポイント「SP」で入手できるほか,イベントでも手に入れられるようになっている。快適な海賊ライフのため,入手条件を確認しておこう。
黒髭の爆弾はグレネードの一種です。見た目だけではなく,投げるときのモーションも変化します。普通のグレネードは片手で投げるんですが,黒髭の爆弾は両手で抱えて放り投げるんです。大爆発しそうなイメージですが,有効範囲自体は通常のグレネードと変わりません。ゲームバランスを考慮したうえでの調整となっていますので,安心して使ってください。
バーソロミューの帽子とバッカニーアの眼帯は別々のアイテムですので,既存のアイテムと組み合わせてのコーディネイトもお楽しみいただけます。
海賊アイテムオンリーの大会は予定していないんですが,期間中に大会がありますので,これを着て参加される方もおられるかもしれませんね。(佐野氏)
アップデート3:「カルマ」
8月21日実装予定の第三次アップデートのキーワードは「カルマ」。NHN PlayArt+カルマといえば,「戦場のカルマ」を思い浮かべた勘のよい読者諸兄も多いのではないだろうか。
残念ながら,日本版の戦場のカルマは2012年5月にサービス終了してしまったが,この作品の「ベースキャンプ」マップが,スペシャルフォース2に実装される。
今回実装されるスペシャルフォース2版は,掩蔽壕の壁にスプレーアートが描かれているなど,現代風の装いとなっている。障害物の配置やマップ構造自体は戦場のカルマ版と同様とのことで,ファンにとっては懐かしい戦場となりそう。なお,ベースキャンプは期間限定マップではなく,今後いつでも遊べるようになるとのことだ。
これまでスペシャルフォース2では,旧スペシャルフォースのマップを実装してきたという経緯もあり,オフラインイベントでは「戦場のカルマのマップも実装しないのか?」というお問い合わせを多くいただいていたんです。スペシャルフォース2がスタートするタイミングで戦場のカルマが終了しましたので,移住されてきたお客様も結構おられるんですね。
戦場のカルマは弊社の社内でも人気がありまして,昼休みにみんなでプレイしたりしていました。僕自身,戦場のカルマの担当だったこともあって思い入れがありますし,開発会社もスペシャルフォース2と同じということで,日本側から実装を提案したんです。(佐野氏)
僕らは「かつて訓練所だったベースキャンプが,現代では市場になっている」というコンセプトを提示したんですが,諸々あって現在の形にまとまりました。
実は,このベースキャンプはいくつかの実装候補の中の一つなんです。反響次第では,戦場のカルマからの別のマップもスペシャルフォース2に実装されるかもしれません。(佐野氏)
アップデート4:「新女性キャラクター」
ヘソ出しのショートパンツというセクシーな服装だが,単なるお色気要員ではない。耳にはインカム,上半身にはハードな革のジャケット,脚にはサブ武器のホルダーを装備……と,いかにも現代の戦士といった出で立ちで,前述した露出度の高さとの対比がとても印象的だ。
通常販売に加え,ゲーム内のイベントでも手に入れられるので,この機会を逃さずゲットしておこう。夏を迎えてセクシールックとなったRita.Iとの競演も楽しみだ。
Rita.Iがリアルな体型なら,彼女は理想化された体型といったところでしょうか。顔も小さく,プロポーションもいい,いわゆるモデル的,ゲームキャラクター的なスタイルです。特殊部隊の面々が戦うスペシャルフォース2としては結構な冒険ですね。(佐野氏)
Rita.Iの実装後,「もっとセクシーで可愛らしい女性を」というご要望があり,中国からの提案で作られたキャラクターとなります。
ただ,内部的な当たり判定などはほかの兵士達と同じですので,彼女を使ったからといって,システム的に有利や不利が発生することはありませんのでご安心ください。(佐野氏)
あわせて,サイレンサー付きのアサルトライフルが実装される。に,発砲時の音を抑えるサイレンサー(消音器)が付いたのだから注目の的となりそうだ。
お祭りムードのアップデートを実装する意味,そして今後の展望とは?
今回の4連続アップデートの狙いなどについて佐野氏に話を聞いてみたので,ぜひご覧いただきたい。
佐野氏:
4Gamer:
ここしばらくのスペシャルフォース2は,かなりバラエティに富んだアップデートを実装しているという印象があります。
AI相手に立ち回りを訓練できる「AI[TDM]」モードや,AOS(MOBA)要素を取り入れた「ヒーロー」モードなど,スタンダードな対戦以外の部分も充実してきていますね。
佐野氏:
これまで硬派なイメージがあった本作ですが,間口を広げて多くのお客様に遊んでもらうためにこうしたアップデートを実装しているんです。
例えば,ヒーローモードでは地球外生命体「クロステリアン」を引き連れて戦い,経験値を溜めてレベルを上げたり,ゲーム内マネーで武器を買ったりしてパワーアップするなど,RPG的な要素が含まれていまして,実装後は多くの方にプレイしていただいています。
実はヒーローモードの開発にはかなり手間が掛かっているんです。テストサーバーを開放してテストプレイを行い,その結果をフィードバックして現在のバランスとなっているんですよ。
4Gamer:
AI[TDM]モードはAIキャラクターがいろいろと喋りますね。プレイヤーを煽ってくるなど,結構迫力があると思いました。
佐野氏:
AIキャラクターが喋る内容は,日本オリジナルのもので,海外版のメッセージをすべて差し替えました。
ちなみに,日本版ではAIキャラクターがすべて悪魔の名前となっていますが,海外版ではもう少しファニーな名前が付けられています。
4Gamer:
どちらもいわゆるガチな対戦とは違ったコンテンツですね。夏の時期だからこそ対戦に注力したアップデートになるのかと思いきや,少し意外でした。
佐野氏:
新しいお客様も増えてきましたので,間口を広げたほうがよいのではないかと考え,現状のお祭りムードのアップデートとしています。
4Gamer:
佐野氏:
これは中国が発案した新キャラクターなんですが,彼女の実装を受け,日本からも新キャラクターを提案しようという動きがあります。現時点ではまったく具体的な形にはなっていないんですが,女子高生などを実装できるといいなと考えていますね。
4Gamer:
女子高生とは思い切ったキャラクターですね。
佐野氏:
実は,女子高生というアイデアは開発会社Dragonflyのスタッフのお気に入りなんですよ。
4Gamer:
8月24日には公式オフライン大会「スーパーリーグ 2nd シーズングランドファイナル」が予定されていますね。
佐野氏:
ご応募いただいたお客様の中から,抽選に当たった方をご招待させてもらうんですが,すでに数多くのご応募をいただいており,かなりの倍率となっています。
会場は当社の社内ですが,社内だからこそできる新しい試みを行い,選手の方も観戦に来られた方も楽しめるような催しにしたいと考えています。具体的には「対戦スペース」と「観戦スペース」を二つに分けたいと思っているんです。
4Gamer:
対戦と観戦をそれぞれ別の部屋で行うということですか?
佐野氏:
そうです。これまでですと,選手の方が対戦している横で実況を行っていました。実況内容が選手の方に聞こえてしまうため,競技の公平性を保つためにはいろいろな制限が必要だったんです。
4Gamer:
例えば,"敵がどこにいる""配置がどうなっている"など,細かな解説ができないといった部分ですね。
佐野氏:
従来の大会ではそうした部分をなんとか回避してきたんですが,今回はスペースを分けることにより,選手の方はより集中して対戦していただけますし,観客の方は詳細な解説を聞きつつ試合を楽しめます。
4Gamer:
ネット配信で試合を見られる方にも大きなメリットですね。
佐野氏:
対戦の立ち回りを勉強されているお客様もより楽しく試合を見ていただけます。
大会の舞台で注目されつつ試合をするということはかなりのプレッシャーになります。オンライン大会では強いけれど,オフライン大会になると緊張してしまう,という選手さんもおられるんですが,試合を別室で行うことで,普段通りの実力を発揮していただけるんではないかと思います。
4Gamer:
普段とは違った盛り上がりの大会になりそうですね。
佐野氏:
トーナメントだけでなく,「FA-MAS Whiteバージョン」のプレゼントやリアルガチャ,4週目のアップデートの先行体験など,来てくださった方に100%楽しんでいただける内容にしたいですね。
スペシャルフォース2は,今後も多くの国でサービスされていきます。ゆくゆくは世界大会を目指したいところですが,それまではアップデートや大会などで,しっかりと日本国内を盛り上げていきたいですね。
4Gamer:
期待しています。本日はありがとうございました。
公式大会でシリアスな対戦シーンを盛り上げつつ,AIと戦うAI[TDM]や,一風変わったルールのヒーローモードを実装するなど,間口を広げる取り組みも行う。スペシャルフォース2の夏は,隙のない二面作戦であるように思えた。
風光明媚なヘビーサマーで,イメチェンしたRita.Iとセクシーな新キャラクターが競演し,海賊ルックに身を包んだ男共が爆弾を投げ合う。こうしたお祭りムードの面白さは,本編である特殊部隊(スペシャルフォース)どうしの戦いがしっかりしているからこそのものだ。
あわせて,オフラインでは,8月24日にスーパーリーグ2ndシーズングランドファイナルが控えている。ゲーム大会がイベント化してしばらく経つが,対戦と観戦を完全に分けるという試みがどういった結果をもたらすかも興味深い。
なお,同イベントはオンラインでの中継も行われる予定だ。残念ながら当選できなかった人は,自宅でより濃密な実況と解説を楽しもう。
「スペシャルフォース2」公式サイト
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