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[E3 2011]「NINJA GAIDEN 3」でリュウ・ハヤブサが斬るのは“敵”ではなく“人”――プロデューサーの早矢仕洋介氏にシリーズ最新作について話を聞いてきた
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印刷2011/06/10 18:44

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[E3 2011]「NINJA GAIDEN 3」でリュウ・ハヤブサが斬るのは“敵”ではなく“人”――プロデューサーの早矢仕洋介氏にシリーズ最新作について話を聞いてきた

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 コーエーテクモゲームスから2012年に発売予定であることが発表された「NINJA GAIDEN 3」PS3 / Xbox360)。E3 2011前から新作発表を匂わせるトレイラーが公開されていたことから,「ついに来たか!」と思っているファンも多いことだろう。
 NINJA GAIDENシリーズといえば,派手なアクション,過激な演出や斬る爽快感が魅力のアクションゲーム。難度が高いことでもおなじみであったため,アクションゲームが苦手な人には,手を伸ばしにくいシリーズだったという印象があったのも否めない。
 今回,E3 2011の会場でTeam NINJAのプロデューサー早矢仕洋介氏に,「NINJA GAIDEN 3」について話を聞く機会を得たので,そのインタビューをお届けしよう。プレイアブル出展されていたバージョンをプレイして気になった点や,シリーズとしてどう間口を広げる施策を取ろうと考えているのかなどを聞いてきたので,本作が気になっている人は,ぜひ最後まで読み進めてほしい。

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「NINJA GAIDEN 3」公式サイト


リュウ・ハヤブサを“ジャパニーズ ダークヒーロー”として表現。“敵”を斬るのではなく“人”を斬るということとは?


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。
 「NINJA GAIDEN 3」は,コーエーテクモゲームスになってから初めてのNINJA GAIDENシリーズ作品になりますよね。それによって,制作の過程で何か影響などはありましたか?

Team NINJAプロデューサー 早矢仕洋介氏
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早矢仕洋介氏(以下,早矢仕氏):
 直接,コーエーの開発の中にどっぷりということではないですが,旧コーエーの方に,開発や技術的なこと,開発以外のことに関しても大きくサポートしてもらっています。一緒になったから,ここまで引き上げられているのかなと思います。

4Gamer:
 「3」の制作で強く意識しているのは,どのようなことですか?

早矢仕氏:
 「今の時代にふさわしいアクションゲームとはなんだろうか」というのを考えていますね。
 今までのどんなアクションゲームでもそうですが,刀で斬ったときに人に当たったか当たっていないかに関わらず,斬った側の動きが変わらないじゃないですか。でも実際に刀で斬ったら抵抗,人の身体だったら“骨”を感じると思います。
 だから,我々としては“断骨”という要素を入れて,人を斬ったときに“骨”を感じるアクションを,「3」のキモとして表現しています。

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4Gamer:
 確かに,なんとなくですが分かります。デモをプレイしたときに,人を“斬った”感覚はもちろんですが,空振りしたときには「あ,外れた」と思えたんですよね。

早矢仕氏:
 それが狙いです(笑)。今までのものから技を変えましたとか,武器を増やしましたとかではなく,アクションの手触りにこだわって作っています。

4Gamer:
 アクションといえば,いわゆるクイックタイムイベント(QTE)のような,操作が求められるイベントシーンがありました。これは本作から採り入れられた要素ですよね?

早矢仕氏:
 そうですね。ただ,これをQTEと呼ばれる方も多いのですが,単純に「○,×,△の順にボタンを押せ」といったものではありません。
 攻撃ボタンだったり回避だったり,イベントで表示されるボタンは,ゲーム中にできるアクションで使うボタンと変わらないんですよ。きっとNINJA GAIDENが好きな人であれば,表示がなくてもできると思います。
 しかし今回は,NINJA GAIDENを触ったことがない人にもプレイしてもらいたいと思い,チュートリアルの意味を含めて,ボタンを表示するようにしました。

4Gamer:
 NINJA GAIDENシリーズは,難度の高いゲームというイメージが強いですよね。シリーズ未経験者にはハードルが高いというか。

早矢仕氏:
 実際に触ってみて,イメージとの差はどうでした? 難しいと思いましたか?

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4Gamer:
 丁寧にプレイすれば,思っていたよりもちゃんとクリアできるんだと思いました。攻撃一辺倒ではなく,防御や回避の意識をしっかり持てば,なんとかなるかなと。
 ところで,難度にイージーモードはないんですか? 間口を広げる意味では,あってもいいんじゃないかと思うのですが。

早矢仕氏:
 我々自身もよく話しているんですが,“EASY”というのはちょっと屈辱的じゃないですか。EASYを用意するくらいなら別のアプローチをしようと思っているので,そこは続報をお待ちいただければと思います。

4Gamer:
 施策はすでに準備しているんですね。

早矢仕氏:
 アクションゲームだと,そもそも能力に個人差があるじゃないですか。ですが,そこはやはり皆さんに遊んでもらえるようにしようと考えています。決して難しいだけのゲームにはしないということは,お伝えしておきます。

4Gamer:
 どのようなものになるのか,楽しみにしています。

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4Gamer:
 デモをプレイした印象としては,リュウ・ハヤブサの動きがダイナミックで派手,人を斬ったら血がドバドバ出るなど,いかにもNINJA GAIDENといった感じでした。ただ,斬って手や足が取れるといった欠損表現はなかったように記憶しているのですが,そこはどうなっているんでしょうか?

早矢仕氏:
 「人を斬る」ということはそれだけじゃないよね,という思いが我々にはありますから,「3」では人を斬るということを,よりデフォルメして表現しています。

4Gamer:
 「それだけじゃない」というのは,どういうことでしょうか?

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早矢仕氏:
 人を斬ると,斬られた側は当然痛いですよね。でも欠損表現では,肉片が単なるオブジェクトになってしまいます。「3」では,斬られたあとも人なんです。痛がっているし,苦しんでいる。それによって一層,人を斬るということをストレートに表現できると思っています。
 NINJA GAIDENに残酷な描写は必要だと思っていますが,それは過剰なゴア表現ではなく,バイオレンスなんです。ゴアではなくバイオレンスとより真剣に向き合い,欠損表現のような直接的な表現ではない形で,「バイオレンスを表現するということはこうじゃないか」というのを,「3」のテーマにしています。

4Gamer:
 そういえば,デモで敵を倒して止めを刺す前に,敵が痛みを訴えている表現が入っているのを思い出しました。痛がるだけじゃなく,そこから逃げだそうとしているのを見て,なんだか生々しいなと感じました。

早矢仕氏:
 ですが,過剰なゴア表現ではないと思っています。日本人の方で欠損表現が生理的に苦手という方も,今作に関してはより広く遊んでいただけるのではないでしょうか。

4Gamer:
 ちなみに,血が出る量などの表現が日本版で変わることはありますか?

早矢仕氏:
 現状はとくには考えていません。

4Gamer:
 今回は,なぜ敵を切るではなく,人を斬ることにこだわったのでしょうか。

早矢仕氏:
 今回,我々は「3」のコンセプトを“ジャパニーズ ダークヒーロー”と名付けています。単純な忍者ではない,我々が提示する日本としてのダークヒーロー,それが「NINJA GAIDEN 3」なんです。
 リュウ・ハヤブサは,単なる敵を斬っているわけではなく人を斬っているんだよ,人を斬るということはこういうことだよ,ということを皆さんに感じてもらうため,ストーリーも含めて,リュウ・ハヤブサを描いていこうと考えています。
 これまでは,リュウ・ハヤブサが性格を表に出さずにとにかく敵を倒していく,それこそが忍者だという,アクションだけにフォーカスしたゲームになっていましたが,「3」ではアクションはもちろん,それ以外の楽しみ方もできるゲームになるように考えています。

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4Gamer:
 ゲームではありますが,人を斬るというテーマとして重いものを取り扱っていますよね。その一方で,前作の巨大な大仏だったり,今回のデモだとロボットのようなボスだったりと,世界観としてはカッ飛んでいるので,最初に見たときは驚きました。NINJA GAIDENってもっと殺伐としてストイックなゲームだと,勝手に思い込んでいたので(笑)。

早矢仕氏:
 それが,我々なりのエンターテインメントですから(笑)。

4Gamer:
 細かい話になりますが,新要素以外にも「3」では前作と違うところがありますよね。たとえば,前作では敵から黄色い玉が出ましたが,「3」ではそれがない,というように。

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早矢仕氏:
 NINJA GAIDENはその時代時代に即したゲームですが,たとえばセーブの仕方1つとってもそうであるように,「NINJA GAIDEN 2」の頃のゲームのトレンドと,今のトレンドは当然違います。
 黄色い玉も,これまでは倒した敵から出て,それを集めてお金にして何かを買う/強くするという要素でしたが,それは今の時代で考えると,「なぜ敵から黄色い玉が出てくるのか」ということになりますよね。
 我々は,今この時代のゲームとしてのリアリティを大事にしているので,過去にあったゲームの骨格のような部分でも,どんどん手を入れています。

4Gamer:
 トレンドでいえば,最近のゲームではオンラインへの対応要素が必須と言えるほどになっていますが,「3」にもオンライン要素は入るんですか?

早矢仕氏:
 ええ,もちろんです。オンラインに本格的に対応していて,対戦要素と協力要素のどちらも用意します。
 今回E3に出展したものはストーリーメインのバージョンでしたが,オンラインに関しても,実際に触れるものができたときに,あらためて皆さんに詳しくお伝えしたいと思います。

4Gamer:
 今回のE3で,海外のプレイヤーにNINJA GAIDEN 3はどのように受け止められましたか?

早矢仕氏:
 日本のゲームという括りでみると,アクションゲームは日本に一日の長がある思っています。その中で,NINJA GAIDEN 3に関しては良いゲームだと率直に言ってもらえているので,嬉しいですね。海外の皆さんも,シューターだけじゃなくて,アクションも遊びたいと思っているんですよ。

4Gamer:
 あと,任天堂のカンファレンスではWii Uが発表されましたが,早速「Ninja Gaiden 3: Razor's Edge(仮)」がラインナップとして上がっていましたよね。PS3とXbox 360だけだと思っていたので驚きました。

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早矢仕氏:
 はい。「NINJA GAIDE 3」は3つのハードで展開していくことになります。
 NINJA GAIDENシリーズは,基本的にPS3とXbox 360で展開していますが,任天堂さんのハードでも,2008年にニンテンドーDSで「NINJA GAIDEN Dragon Sword」をリリースしています。
 Wii Uのコントローラには画面が表示できて,タッチでゲームが遊べるという機能があるので,Wii Uでは,NINJA GAIDEN 3の新しい遊び方をご提供できるのでは,と考えているところです。

4Gamer:
 まずはPS3とXbox 360でリリースして,その後Wii Uで……という流れになるのでしょうか?

早矢仕氏:
 そうですね。Wii U版の開発は順調に進めておりますので,近いうちにプレイアブルでお見せする機会を用意できればと思っています。

4Gamer:
 そちらも楽しみにしています。
 それでは最後に,4Gamer読者に向けてメッセージをお願いします。

早矢仕氏:
 我々自身,日本のゲームデベロッパとして,世界中の皆さんにしっかりと遊んでもらえるものを作りたいと思っています。
 今回の「NINJA GAIDEN 3」に関しては,そういった意気込みを感じてもらいたいという思いで,いきなりプレイアブル出展とさせていただきました。今回いただいたフィードバックは,今後の開発に生かしていきたいと思います。
 もちろん,日本の皆さんにも触ってもらえる機会は用意したいと思っています。日本だと9月に東京ゲームショウがありますので,そこに出せるように頑張ります。
 NINJA GAIDENは難しいというイメージがあるので,尻込みする人もいると思います。しかし我々は,今の時代のNO.1を目指して作っているので,アクションゲームが好きな人は,遊ぶ機会ができたら一度触ってみてください。今作は,それに応えるだけの出来だと思っています。

4Gamer:
 ありがとうございました。


「NINJA GAIDEN 3」公式サイト

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(2011年6月7日収録)

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