インタビュー
「ファイナルファンタジーXIV」パッチ6.1直前,吉田直樹氏インタビュー。パッチ6.0を振り返りながら,新たな冒険について聞いた
今回のパッチは,パッチタイトルにもある通り,メインストーリーが“新たなる冒険”の幕開けとなる。そして,新コンテンツとして,アライアンスレイド「ミソロジー・オブ・エオルゼア」や,新PvP「クリスタルコンフリクト」が実装される。さらに,NPCとパーティを組んでダンジョンを攻略できる「コンテンツサポーターシステム」や,データセンター(以下,DC)トラベルといった新システムも登場する。また運営規模拡大のため,日本DCを3つから4つに増やし,既存ワールドを振り分けるワールドリグループも実施される。
今回も,多数のアップデートが入るパッチ6.1について,本作のプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏(以下,吉田氏)にインタビューを行った。新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大防止のため,インタビューはZoomを使用して行っている。
「ファイナルファンタジーXIV」公式サイト
「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ」公式サイト
世界で多数の賞を獲得した
パッチ6.0「暁月のフィナーレ」を振り返る
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。今回のインタビューは「暁月のフィナーレ」(パッチ6.0)の公開後としては初となります。せっかくなので,パッチ6.0を公開し終えた吉田さんの今のお気持ちを教えてください。
吉田氏:
未だにちょっと複雑な心境です。「暁月のフィナーレ」は正式サービス開始を2週間延期させていただきましたが,発売日を発表してから延期したというのは,僕自身のキャリアの中で実は初めてのケースだったので,思っていたよりもダメージが大きかったみたいです……。
4Gamer:
「暁月のフィナーレ」が楽しくて,個人的にはすっかり忘れていました。
吉田氏:
ありがとうございます。でも,2週間もお待たせしてしまったことに加え,ものすごい大混雑が発生してしまったことも大きかったのです。世界中の半導体不足が原因の物理的な問題なので,どうにもできなかったことではあるのですが……。いずれにしてもプレイヤーの皆さんに遊んでいただくのに,多大な苦労や迷惑をかけてしまったという点は,すごく反省しています。この反省点は未だに僕の中では全然消えていなくて,もう二度とこんなことにならないよう,これからもしっかりやっていこう,と胸に刻んでいます。
4Gamer:
実際,ゲームを遊んだプレイヤーからの感想はいかがでしたか。
吉田氏:
プレイヤーの皆さんの反応は「すごく良かった」というお声が多くて,ほっとしています。僕らとしても,とてもご好評いただいた「漆黒のヴィランズ」があった中で,それとはまた別のカタルシスを,ゲーム体験としてしっかり届けられたと思いますし,その点に関しては開発も運営チームも本当によくやってくれたので,そこは改めて褒めてあげたいところです。「暁月のフィナーレ」はこれまでで最大級の拡張パッケージをお届けできたのではないかと,自負しています。
4Gamer:
パッチ6.0公開前に「Answers」の歌詞の和訳が修正されました。旧「FFXIV」の頃からずっとある曲ですが,歌詞を読んでみるとパッチ6.0にも関連しているような内容だと思いました。「Answers」はハイデリン・ゾディアーク編のストーリー作りに影響しているのでしょうか。
吉田氏:
まず歌詞の修正ですが,恐らく旧「FFXIV」チームはあまりにも忙しかったからだと思うのですが,「ちょっと訳がずれているよね」という部分があったため,改めてニュアンスがおかしいところは我々で正式に修正させてもらいました。
この楽曲は,ハイデリンでもあるヴェーネスからの問いかけで,それに対して,冒険者が答えを出していく,というふうに決めていたので,ストーリーに対する影響はかなり大きいです。リードストーリーデザイナーの石川も言っていますが,僕も「Answers」の歌詞にある,「聞いて」「感じて」,そして最後が「考えて」なのがいいところだと思っていて。「FFXIV」の物語は,プレイヤーの皆さんに何か一つでも現実世界で生きていく上での糧になってくれるといいな,とか,何かしら考える要素があってほしいな,と思って作っているところがあるので,僕たちが植松さんに発注した曲ではないのですが,「FFXIV」を象徴する曲として,うまくハマってくれたのではないでしょうか。
4Gamer:
実際に「Answers」をストーリーにつなげようというのは,いつ頃意識されたのでしょうか。
吉田氏:
旧「FFXIV」を“時代の終焉”で終わらせるときに「Answers」を使っているので,そういう意味では「Answers」へのこだわりは元々強かったです。だからいつから,という感じではなくて,今回改めてハイデリン・ゾディアーク編という旧「FFXIV」から続いているサーガを一回完結させようというときに,どうしても外せない曲だと感じていました。
4Gamer:
パッチ6.0では声優さんの演技も素晴らしかったです。声優のキャスティングは,吉田さんが決められているのでしょうか。
吉田氏:
いいえ,僕ではないです。僕がストーリーをライティングしているなら僕が決めるべきでしょうが,そこはシナリオを書いた人が,思う声を当ててほしいと思っています。そのフィーリングは大切にするべきなので,「FFXIV」の場合だと声優さんの収録にも,僕は立ち会わないです。
4Gamer:
立ち会わないというのは,吉田さんが忙しいから信頼しているスタッフに任せているとか,そういう理由ではないということですね。
吉田氏:
そうですね,それは僕のポリシーと言いますか(笑)。僕がその場に立ち会ってしまうと,僕の性格からすると僕が思うニュアンスで演技指導をしてしまいますし,それでシナリオライターが込めた想いと変わってしまうこともあり得ます。でも僕はプロデューサー兼ディレクターだから,もし僕が現場にいたら,声優さんも,サウンドディレクターも,僕の反応を見ちゃうんです。例えシナリオライターがこれでOKだと言っても,他の人たちが「吉田さんはどうですか」となってしまう。シナリオライターの責任は,自身の描いた物語をプレイヤーの皆さんに届けることなので,そのディレクションもしっかりやるべきだっていうのは,僕のこだわりです。ですので,この10年間で収録には一度も立ち会っていないのです。
4Gamer:
一度もないのですか。それはちょっと意外です。
吉田氏:
もちろん収録された音声を全部実装して,通しチェックをして,ニュアンスを調整しようとしている段階で「むむ……これはちょっと違う方が良かったかもね……」みたいな事はあります。ですが,僕が感じたことは恐らくシナリオライターも感じているはずですし,それはそれで次の糧になるから経験すべき,と思っているのです。僕が何でもかんでも先回りしてディレクションしてしまうと,仮にシナリオライターが「ここのニュアンス,ちょっと違うな」と思ったとしても,それは僕の責任にできてしまいます。
僕は若い頃に,自分で作ったゲームのボイスディレクションをさせてもらった経験もあるので,それもあって声優さんについてはシナリオライターが自分でやるべきというのが,結構強い想いとしてありますね。
4Gamer:
では吉田さんは,声優のキャスティングに関してはほぼノータッチということでしょうか。
吉田氏:
声優さんに出演を依頼する時は,まず声のイメージをシナリオライターに出してもらいます。もう「絶対この人なんだ」という人がいる場合はその人にお願いすることが多いですが,「こういう声質の人がいい」というイメージくらいならば,何人かの声優さんのサンプルから決めるという感じです。僕は最終的にリストを見て「大御所だらけになってる! すごいお金かかるじゃん。だから検討し直して!」ってする役ですね(笑)。うちの第三開発事業本部は,予算にめちゃくちゃうるさいので……。逆に事前に約束した予算内であれば,何も言わずOKします。最近はオーバーしてくること,ほとんどないと思います。
4Gamer:
「FFXIV」でそういう理由で没になることがあるんですね。
吉田氏:
「FFXIV」だからこそ,です。たくさんのプレイヤーが遊んでくれていて儲かってるから,予算規模をどんどん上げて良し,ではないのです。もちろん上げるべき範囲では上げていますが,天井知らずは絶対にダメだということです。今は人気があって多くの皆さんに遊んでもらっているから,ガンガンお金を使っていいではなくて,仮にこの先少しずつコミュニティサイズが小さくなってきて安定運用に入ったとき,今かけているお金と同等の金額をかけられなくなるかもしれない。そんな未来は来ないほうがいいに決まっていますが,もしも今後そうなった際に「ものすごく出演料の高い声優さんにはもうお金が払えないので,この役を誰かに交代してもらわないといけないい」というようなことには,絶対させたくないのです。
4Gamer:
運営型のタイトルだからこそのキャスティング,という感じですね。そこまで考えて声優さんを選んでいることに驚きました。
吉田氏:
1年でも1日でも長く開発と運営を続けていきたいからこそ,その感覚は麻痺しないようにしなければいけないと考えています。旧「FFXIV」からずっとキャストさんの最終チョイス,ディレクションをしてくださっている外部の方がいらっしゃるんですが,その方と僕らは圧倒的な信頼感で結ばれていますし,コスト感覚も共有できています。その方がこちらのリクエストを見て,予算も知った上で「この人でどうですか」というキャスティングをしてくださっていて,そこで最終合意をとる,という感じです。
リーン役の市ノ瀬加那さんなども「この人はすごくオススメなので,ぜひに!」というふうにご提案いただきました。その他の重要なNPCのキャスティングについても,非常にこだわりをもってご提案いただけているんです。
あとは,できるだけ「FFXIV」をプレイしてくださってる声優さんで,出たいと言ってくださる方にお願いしたい,というのはあります。思い入れが強い方のほうが,長く良い演技を続けていただけるだろうと思っているからです。
4Gamer:
思い当たるのはヘルメス役の松岡禎丞さんですね。かなりプレイされていて,出演を熱望されていたとか。
吉田氏:
松岡さんは熱心にFFXIVをプレイしてくださっていて,出演されている番組内で「出たい!」とおっしゃっている映像も拝見しましたので(笑)。珍しく僕たちの方から,「松岡さんになんとかお願いできないでしょうか?」とご提案させていただきました。僕たちが1から10まで「FFXIV」のことを説明しなくても,「解ってる,解ってる,大丈夫」というのは,大変ありがたいのです。声優をキャスティングしてくださっている方も,声優業界でどなたが「FFXIV」をプレイしているかを常にウォッチしてくださっていて,そういうところから決めてくれることも多いです。
4Gamer:
話が変わりますが,6.0の開発はフルテレワークがほとんどだったと思います。苦労された点などありますか。
吉田氏:
大体,8割ぐらいのスタッフが在宅で作っていたのですが,同じフロアにいればおそらく解消していた問題が後になって出てきた,というケースはありましたね。
4Gamer:
例えば,どのようなことでしょう。
吉田氏:
同じフロアで仕事をしていると,お互いの空気感なども感じ取れる。でもテレワークだとそれが感じにくいのです。例えば,高い集中力を発揮して作業をしているスタッフというのは,同じ空間内にいればそれが伝わります。しかし,在宅での勤務の場合にはそれがわからない。お構いなしにチャットなどで声をかけて作業を中断させてしまったり,逆に見えないからと気を使いすぎて声をかけるのに時間が掛かったり,最悪の場合は細かい確認を省いて作ってしまったりとか。
4Gamer:
ああ,「この人,いま声かけても平気かな」みたいな温度感ですね。
吉田氏:
それぞれに作業をしているアートワーク,マップモデリング,ボスキャラクター,環境設定,バトルプログラムなどを経て,すべてを実際につなげてみたら,ストーリー上と一貫性がなく,どれもこれも微妙にズレているということが,大小はありますが多かったですね。これはオフィスで同じように作業していたら,「ちょっと来て感想が欲しい」といった具合に,短時間の相互確認で,これまでは無くせていたズレでした。今までこのレベルのズレはほとんど起こらなかったのです。遠慮から来るチグハグ感もあれば,遠慮がなさすぎて絶えずチャットなどが飛んできて,リーダー陣が「仕事にならない」と悲鳴を上げたりとか。そのあたりは結構苦労しました。
4Gamer:
スクウェア・エニックスは会社全体でテレワークを導入していますが,今後も開発はテレワーク中心で行われるのでしょうか。
吉田氏:
せっかく働き方が改革できましたし,基本的にはそうなります。ただ,例えば一つのセクションで,「よし,ここは大事なタイミングだから,みんな3週間出社して,一気に詰めちゃおう」といったことはできるシステムにしてあります。会社組織ですので,「各セクションやプロジェクトの都合を優先する」という形にしていますが,原則的には働き手に意思を確認し,「オフィスをベースにするか,在宅をベースにするか」柔軟性を持ちつつ決められる,というのが基本になっています。
パッチ6.1で新たな物語が始まる
幕開けはお茶会……?
4Gamer:
パッチ6.0の話が盛り上がってしまいましたが,話題をパッチ6.1に移していきたいと思います。まずメインストーリーが次に何をするのか全然わからないのですが,パッチ6.1で最初にやることはなんでしょうか。
吉田氏:
がらんどうになった石の家で,タタルとお茶会すること……です(笑)。
4Gamer:
先日公開されたスクリーンショットの場面ですね。その先は……。
吉田氏:
言えないです。「さて,どうしますか」というところから,二人で話をするくらいです。
4Gamer:
タタルさんに仕事を斡旋してもらうとか?
吉田氏:
いいえ,「せっかく落ち着いたから,ゆっくり世界でも見てきたら」程度だと思ってください。
4Gamer:
パッチ6.1〜6.5の間で綴られる物語は,パッチ7.0に向けた次の物語への立ち上がり期間のような,ちょっとゆったりしたイメージになるのでしょうか。
吉田氏:
ゆったり,というイメージではないです。パッチ6.xシリーズでも,大きな物語があって,それに決着をつける予定です。パッチ6.1のラストを見ていただけたら,「おぉ,こう来るのか……」と感じていただけるのではないかと思います。次の拡張パッケージではどんな場所へ向かい,どういう物語になるのかという伏線の張り方やキャラクターの登場のさせ方は,これまで経験を積んできましたので,今回もしっかり行います。
4Gamer:
パッチ6.0のストーリーには本当に感動したのですが,これは旧「FFXIV」から10年ぐらいの積み重ねがあったことも大きいですよね。この先のストーリーに,また同じぐらいの感動や驚きを期待してもいいのでしょうか。
吉田氏:
あのレベルに到達するには,また8年ぐらい掛かるんじゃないでしょうか(笑)。
4Gamer:
そうなりますよね。長いなぁ(笑)。
吉田氏:
ただ今回,パッチ6.1から始まる「新たなる冒険」という物語は,これまでプレイヤーの皆さんが,物語を通じて作ってきた平和とか,人間関係とか各キャラクターの想いというものの上に存在します。キャラクターの深掘りや,長い間旅をしてきたこのキャラクターとまた一緒に驚きたい,新たな発見をしたい,というところは変わらずそのままつながっていきます。
そういう意味では,何もかもが積み上げのスタートだった「新生エオルゼア」とは全然違うと思います。だからと言って「パッチ6.0の衝撃と感動が,毎拡張ごとに来ます」とは,さすがに言い辛いです(苦笑)。
それでも拡張パッケージは,毎回大きなひとつの物語で,泣いたり笑ったりできるものを! と,常にそういった意気込みで制作しています。ただその一方で,色々な謎が解き明かされていって「そうだったのか」と膝を打ったり,重ねてきた想いが解放されたりするカタルシスは,積み上げないと出来ないことだと思っています。僕らにやれることは相変わらずで,最高火力のシナリオやゲーム体験で,皆さんの感情をぶん殴りに行くことだけです。ですので,また新たな高みに至るまで,プレイヤーの皆さんには一緒に歩み続けていただけると嬉しいです。
4Gamer:
とても楽しみにしています。
ちなみにパッチ6.0で,新しい地名がいくつか出ましたが,その土地には今後行けると思って良いのでしょうか。
吉田氏:
とあるキャラクターが煽り気味に言っていましたね(笑)。「FFXIV」では,サベネア島やオールドシャーレアン,イシュガルドなど,シナリオ上に名前だけが出ていた大半の場所は,いずれ行けると実現性にこだわってきました。南方メラシディアはまだ行けていないですが,「FFXIV」チームは執念深いので,言ったからにはある程度ご期待いただいて良いのではないかと……。
4Gamer:
期待しておきます。
吉田氏:
ただもちろん,3パッチぐらいで全部行けるとは思わないでくださいね!
4Gamer:
気長に待っています(笑)。
そういえば先日,フリートライアルが再開されましたが,やはり新規アカウント数は伸びているのでしょうか。
吉田氏:
順調に伸びている状態です。ここからパッチ6.1に向かってプロモーションやPR活動がいろいろ始まるにつれて,動きがさらに大きくなると思います。
4Gamer:
だいぶ混雑も落ち着いているように思いますが,パッチ6.1で3つに分けられたインスタンスエリアや,自動ログアウトの仕様を元の状態に戻す予定はありますか。
吉田氏:
そのあたりは「そろそろ戻しても良い数字だね」という話をしているので,パッチ6.1リリース初期の混雑状況を見た後,できるだけ早く解除しようと思っています。
ちなみに,混雑が落ち着いたというよりも,皆さんのプレイスタイルが平常時に戻ったという感じです。連日長時間ログインしている状態が落ち着いて,2日に一度くらいのログインになった人や,1回のログイン時間が1時間半になった人など,ログインする人とログアウトする人の回転が生まれ,サーバーの収容人数は増えていないですが,プレイヤーのログインが集中するという時間が減りました。
新アライアンスレイドが登場
エオルゼアに残された謎が解き明かされる
4Gamer:
新しいアライアンスレイド「ミソロジー・オブ・エオルゼア」ですが,久々にオリジナルのアライアンスレイドです。見どころを教えてください。
吉田氏:
「暁月のフィナーレ」ではハイデリン・ゾディアーク編という大きな答え合わせをしたわけですが,その中でもまだ残っている,“エオルゼア十二神”とはなんだったのか,というのがストーリーの根幹になります。
第七霊災でルイゾワがバハムート封印のため,祈りの力も使った上でエオルゼア十二神を喚んだようにも見え,さらには光の戦士たちを未来へと飛ばすため,時神アルジクの力を発動させているのですが,これは本当に十二神の力だったのか? など,パッチ6.0で拾い切れていない,まだ世界に残っている謎なので,そこを綺麗に解き明かしていきます。世界設定が好きな人や,物語が好きな人にとっては,大きな楽しみの一つになると思います。
4Gamer:
バトルの難度はいかがでしょうか。ここ最近は,アライアンスレイドもちょっと捻ったギミックが多かったように思います。
吉田氏:
今回バトルの内容は,第一弾ということもあり,極端に捻りが効いたものは少ないかもしれません。新しく24人でワイワイできるやつが来るのだと思っていただければ。もちろん,新ギミックも色々登場しますので,「うわーーーー!!!!」とはなる気がします(笑)。ご期待ください。
4Gamer:
「FFXIV」では,“蛮神”なども存在します。エオルゼア十二神も,昔この世界にいた神様なのでしょうか。
吉田氏:
ネタバレになるので詳しくは言えないですが,数字の意味などは,ちゃんと分かるようになるはずです。
4Gamer:
少し話が変わりますが,デノミによって,以前のアライアンスレイドが若干難しくなっているように感じます。調整される予定はありますか。
吉田氏:
デノミ実施前に一通り全部確認して,「ちょっとクリアタイムが伸びているかも」というところは6.0開発中に全チェックを行っていますが,ピンポイントな調整は入れるかもしれません。もし気になるポイントがありましたら,ぜひフィードバックいただけると助かります。難度やクリアタイムに合わせて,アライアンスレイドの報酬は調整させていただいているので,報酬などを調整する予定は今のところありません。
新PvP「クリスタルコンフリクト」は
プレイ時間5分程度で気軽に遊べるコンテンツ
4Gamer:
パッチ6.1では新PvP「クリスタルコンフリクト」が追加されます。まずはルールについて教えてください。
吉田氏:
プレイヤーが5対5の2チームに分かれて競うPvPコンテンツです。相手を倒した回数やダメージなどを競うのではなく,マップの中央にある,クリスタルの台座を移動させ,相手の陣地に押し込めば勝利となるルールです。今回,PvPにおけるすべてのジョブのアクションを見直し,全てのジョブに回復手段を用意しました。これにより,マッチングの際のロール縛りを無くし,どのジョブでも気軽に参加できることを目指しました。これまでは回復役となるヒーラーロールの負担が大きかったのですが,これによりカジュアルかつガチで遊べる,というところを目標にしています。
対戦時間も5分とし,それでも勝敗が付かなければサドンデスが発生し,短時間で勝敗が付くということも念頭に置いています。
4Gamer:
公開されたスクリーンショットでは,ロケーションがいくつかあるように見えました。マップが複数存在するのでしょうか。
吉田氏:
初期から,3マップ実装します。何もマップギミックがない,シンプルなマップ。それから,火山帯で空から溶岩が降ってきて,通路に沿って爆発するマップ。あとは,嵐が来て風に巻き上げられつつ戦うマップです。戦うマップは数十分で自動的に切り替わるというループが続きます。
4Gamer:
シーズン制が導入されるようですが,報酬についてはどのようなものが用意されるのでしょうか。
吉田氏:
シーズン制は新PvPである「クリスタルコンフリクト」のランキング争いに用いられるものです。今回はこれ以外にPvPコンテンツ全体の目標になる”シリーズ”という新しい概念を作りました。図が無いため今は説明が難しいのですが,次回のプロデューサーレターLIVE(以下,PLL)で図解を交えてこれらの仕組みもお伝えしようと思っています。
4Gamer:
現在は「フィースト」が閉鎖されていますが,今後はどうなるのでしょうか。
吉田氏:
今のところ未定です。「閉鎖します」というお話をしてから,「フィーストはフィーストで残してほしい」というお声をいただいていますが,現在PvPアクションを全調整してしまっており,フィードバックが割れてしまう点も怖いですし,何よりマッチングが割れてしまうのも怖いんです。PvPを一生懸命やってくださってる方達には,一旦クリスタルコンフリクトのほうを盛り上げていただけるとうれしいです。
それらがうまく回り始めて,それでもやっぱりPvPのバリエーションとしてフィーストがあっても成立すると感じられたら,再開という可能性もゼロではないですが,今のところはまずPvPに参加するプレイヤー人口自体をさらに増やすことを目標としています。
ソロプレイのサポートを強化
FFXIVのストーリーを気兼ねなく遊んでほしい
4Gamer:
先日行われた第68回PLLでは,ソロプレイのサポートについて発表されました。MMORPGでありながら,ソロプレイを強化していく目的はなんでしょうか。
吉田氏:
「ファイナルファンタジー」シリーズの一つとして非常に評判の良い「FFXIV」のストーリーを,気兼ねなくパッチ6.0まで遊んで欲しい。それに尽きます。
最近よく,「MMORPGらしさがなくなるのではないか」という不安の声をお見掛けするのですが,「FFXIV」はメインストーリーだけのゲームではないですし,メインストーリーが終わったあとにさまざまなコンテンツを遊ぼうと考えると,やはりマッチングは必要になりますから。あくまで,「MMORPG」と聞いただけでプレイを敬遠する方,「シナリオがソロで遊べるなら,シナリオだけでもプレイしてみたい」という方にお応えするのが最大の目的です。
しかし,そこで自身のキャラクターを気に入り,ストーリーに没入し,もっと世界を知りたい,楽しみたい,と感じた時にそれらのプレイハードルは格段に下がっているはずです。もちろん,ストーリーを追っていくうちに,ふとしたきっかけからマルチプレイを体験する方だっているだろうし,そうやってベースの人口を増やし,結果的にMMORPGやオンラインマルチプレイは面白くて怖くないとお伝えしていきたいというのが,僕の本当の目標なんです。
4Gamer:
今までソロプレイだった人がいきなりマッチングに来るのが心配,という声もあるのかと思います。
吉田氏:
「突然スキルの低い人が来るかも」という心配をされているのかと思いますが,誰でも最初は理解が追い付かなくて当然ですし,インスタンスダンジョンや蛮神戦がスキップできるわけではありません。むしろインスタンスダンジョンをご自身のペースでしっかりNPCとプレイすることで,ジョブの扱いについては一定以上の知見が溜まると思います。今までのマッチングでも,4人用インスタンスダンジョンで1人が全然スキルローテションを解っていなくても,残りの3人が頑張れば何とかなったということは多かったと思いますが,そういった機会が減る可能性もあるかなと思っています。
4Gamer:
たしかに,現状では周りの熟練プレイヤーが先行して,初心者の方はただそれに付いていくだけになりがちでした。
吉田氏:
その点は先ほどもお話しした通り,コンテンツサポーターの機能を使ってダンジョンへ行けば,気兼ねなく落ち着いて練習できますし,自分のペースで進められます。自分がDPSならば攻略速度を上げるために範囲攻撃を使ってみようとか,そういった試行錯誤もしやすくなると思います。なので,僕はむしろ,初心者の方のプレイヤースキルはソロプレイの充実で,より上がるのではと考えています。
4Gamer:
誰にも頼れないからこそ,自分のプレイヤースキルが磨けるということですね。
吉田氏:
そうです。そしてソロプレイで練習しつつ,自分のプレイに自信が付いてきたら,シナリオ上の8人コンテンツだけではなく,「ちょっと極にチャレンジしてみよう」とか,「今までやっていなかったレイドに行ってみよう」とか,遊びの幅を広げられるのではないでしょうか。
4Gamer:
それが先ほど言っていたMMORPGとしての遊びに結び付けるための,ソロプレイの充実,ということですね。
吉田氏:
はい。僕の目標は,一人でもみんなでも遊べるRPGです。一人で遊んでも楽しいけど,みんなで遊んだらもっと面白いよ,というゲームにしたいので,「FFXIV」の全てが一人で遊べる……というのを目指しているわけではないのです。
4Gamer:
メインストーリーを進めるために,アライアンスレイド「クリスタルタワー」シリーズが必須コンテンツになっていますが,いずれはソロでできるようになるのでしょうか。
吉田氏:
24人中,23人がNPCというのは,さすがに現時点では想定していません。PLLでお話させていただいた通り,パッチ6.xシリーズではメインストーリー上の4人用インスタンスダンジョンと4人用討伐・討滅戦を優先対応させていただき,8人用討伐・討滅戦は,パッチ7.0以降になりますが随時対応します。つまり長期的視野に立って色々なものを進めていく,という形をとります。その中で,クリスタルタワーシリーズについては,まったく別の対応を行う可能性もありますが,そうだとしてもそれは7.0以降になると思います。
4Gamer:
そういえば,アルテマウェポン破壊作戦が4人用コンテンツになりますが,パッチ6.1で登場する幻アルテマウェポン破壊作戦は8人用コンテンツです。今後,こういったメインの討滅戦と幻討滅戦のズレは出てくるのでしょうか。
吉田氏:
確かに,メインストーリー上のアルテマウェポン破壊作戦は4人用になりますが,「究極幻想アルテマウェポン破壊作戦」がなくなるわけではありません。もし幻の予習をしたいなら,究極幻想アルテマウェポン破壊作戦に行っていただければ大丈夫です。
ちなみに,メインストーリー上に存在しているモグル・モグやラーヴァナなどを4人用にしていく予定はありません。8人用のままにしておいて,いずれコンテンツサポーターに対応していく予定です。
DCトラベルは通常時なら数十秒から数分!
DCの壁を気にせず多くの人と遊べるように
4Gamer:
第69回PLLでは,ワールドリグループの振り分けについても発表されました。新しいメテオDCに振り分けられたワールドは,どういった基準で選ばれているのでしょうか。
吉田氏:
基本的には,そのワールドをホームにされている方のログイン時間やログイン傾向,エンドコンテンツなどの高難度コンテンツを遊ぶプレイヤー数などを拝見して,極端な偏りが発生しないように考えました。
例えば,深夜帯に人が多いワールドばかりがメテオに集まってしまい,朝方にマッチングしにくいとか,そういったふうにならないよう,すごく気を付けて組ませていただきました。レイドをやっている人たちも一定数いるし,カジュアルに遊んでいる人たちもいて,さまざまな面でバランスを取っています。
4Gamer:
ゲーム内でDC間を移動できるDCトラベルも実装されますが,場合によっては移動に30分ほどかかるとのことでした。
吉田氏:
すみません。その点は僕が慎重に言い過ぎたのが悪かったです。DCトラベルは,普通に使用する分には,数十秒から2〜3分程度で移動可能です。
4Gamer:
えっ,3分ですか?
吉田氏:
はい。ただ,ワールド間テレポを実装した直後のことを思い出してほしいのですが,新パッチが来たこともあって,ログインが混雑した状態で,さらに皆さんがワールド間テレポをお試しになったこともあり,ワールド間テレポでさえ10分以上の待機が発生するなどしました。ですので,そういったお試しや,パッチ直後の混雑も踏まえ,そのような時は移動に30分かかることがあります,とお伝えしたかったのです。
また今回の仕組みは,例えばマナからガイアに遊びに行こうと思ったときに,ガイアのどこのワールドに行くのかも申請するのですが,そのワールドで大きなユーザイベントをやっていて,そのワールドがものすごく混んでいる場合,当然ですが待ちが発生するので5〜7分かかる,ということはあり得ると思います。
4Gamer:
それでも5〜7分レベルなんですね。
吉田氏:
DCトラベル実装時には,相当多くの方がそれを試そうとされるのは間違いなく,恐らく最大級のトラベル混雑が発生すると思っています。その際に,「快適だと聞いていたのに,めちゃくちゃ移動に時間がかかるじゃないか!」ということにならないよう,悪い意味で予防線を張ってしまったのです。結果,そういう「やたら時間がかかって気軽なものではないらしい」と誤解を与えてしまったのは,本当に申し訳なかったです。
また,別のDCのフレンドさんなどと約束をしていても,移動をその約束の直前に行おうとしていた場合,たまたま“ログイン戦争”のタイミングに当たってしまうと約束の時間が守れなくなったりしますし,「絶対にこの時間に,このDCの,このワールドにいなければならない」ということであれば,その前日のログアウト時にでも移動させておいたほうが確実です,ということをお伝えしたかったのです……。実装後もしくは,実装前の最後の注意点としてお知らせする,というのでも良かったと反省していて,本当に先回りが過ぎました。運営を長く続けている経験から来るものですが,こうした予測がかえって不安を煽ってしまうと痛感しました。すみません。
DCトラベルは何やらすごく大変で,そう簡単には行ったり来たりできないものらしい,と受け止められてしまったのは,完全に僕のせいです。そうではありませんので,ご安心いただけますと幸いです。こういったインタビューを含め,今後出すテキストでもきちんとお伝えさせてもらおうと思っています。
4Gamer:
なるほど,ちょっとホッとしました。
吉田氏:
あと,DCを一回移動してしまえば,ワールド間テレポはこれまでと同じです。基本的にはフリーカンパニーチャットとクロスワールドリンクシェル(以下,CWLS)からの通知が来ないという以外は,ワールド間テレポとほぼ変わらないです。
4Gamer:
DCトラベルで,例えばメテオDCに遊びに行ってコンテンツに申請したら,メテオDCの人たちとマッチングするという認識で良いのでしょうか。
吉田氏:
はい。その通りです。
DCトラベルが実装されれば,誰でも自分に合った募集を探すためにDCを切り替えてパーティ募集を見に行けるようになるので,今までよりも理想のパーティを探しやすくなると思っています。
4Gamer:
新しいことや大きな変化があるとき,どうしても不安が先行しがちですが,吉田さんの考えとしては,もっと希望があるものだということですね。
吉田氏:
はい。ワールドリグループでメテオDCに移動をしていただく皆さんに「お前が何を言おうが,移動させられるほうは嫌だよ」と言われてしまえばもちろんそれまでなんですが……。DCを4つにすることで,今よりも相当多くの方が同時にログインできるようになり,それぞれのDCはさらに活発になります。その上で,DCトラベルを使い,4つのDCを自由に旅して色んな遊び方ができるという点は純粋なメリットですし,よりプレイが豊かになっていく方向だと考えています。このあたりもまた改めてメリットをお話ししていきたいです。
4Gamer:
最終的には,DCの壁もなくなれば良いのでしょうけれど。
吉田氏:
現在の構造的に壁そのものを取り除くことは難しいですが,僕もそうなっていけばいいなとは思っています。最終的には物理DCの壁もなくなって全ての「FFXIV」プレイヤーが一つのコミュニティの中にあるようになるのが,僕の理想です。
4Gamer:
改めて確認しておきたいのですが,DCトラベルより前にワールドリグループが実施されることはないんですよね。
吉田氏:
はい。DCトラベルの実装とワールドリグループは同時に行われ,それによって論理DC内はすべて行き来可能になります。
4Gamer:
ちなみにそれを実装する時期については,今お話しいただけますか。
吉田氏:
パッチ6.18がターゲットになっています。
4Gamer:
パッチ6.18の中で,DCトラベルとワールドリグループの両方が来るのでしょうか。
吉田氏:
はい,同時実装になります。ワールドリグループの移動に伴って,元のデータセンター配下のワールドへ,ホームワールドを変更しようかどうか,ギリギリで悩んでいるという方は,ぜひデータセンタートラベルをお試しいただいてから,変更をご検討いただければと思います。
4Gamer:
分かりました。それでは最後に,パッチ6.1を楽しみにしているプレイヤーへのコメントをお願いします。
吉田氏:
まずはパッチ6.0でもある「暁月のフィナーレ」までお楽しみいただき,ありがとうございます。
僕自身はリリースの2週間延期や大きな混雑という,課題の残る部分があったにせよ,チームとして,プロジェクトとして,非常に大きな足跡を残せた拡張パッケージだったと思っています。これ以上の成果を望むと罰が当たるというぐらいの状態にまでたどり着けたと思います。これはひとえにプレイヤーの皆さんが,長らく我々を支援して来てくださったからに他なりません。本当にありがとうございます。
今回,信じられないくらい世界中のさまざまなゲームアワードもいただきました。これらを誇りにしつつも,ここがゴールではありませんから,また皆さんと一緒にこの先10年,色んなチャレンジに取り組んでいって,もっともっと「FFXIV」を大きくしていきたいと思っています。
ぜひ,その新たなスタートとなるパッチ6.1を皆さんと一緒に楽しんでいきたいですし,パッチ6.2から更に新しいコンテンツも展開していきますので,これからも驚きと新鮮さに満ち溢れた「FFXIV」を,共に楽しんでいただけるとうれしいです。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「ファイナルファンタジーXIV」公式サイト
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