
インタビュー
[インタビュー]「FFXIV」の最新アップデートは過去最大級のボリュームに。パッチ7.2「永久の探求者」について吉田直樹氏に聞いた
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星を探索・発展させる「コスモエクスプローラー」などの新コンテンツが公開された「第85回FFXIVプロデューサーレターLIVE」の内容をお届け

スクウェア・エニックスは2月7日,同社が開発・運営するMMORPG「ファイナルファンタジーXIV」の情報番組「第85回 FFXIV プロデューサーレターLIVE」で,3月下旬に実装されるパッチ7.2「SEEKERS of ETERNITY 永久の探求者」の最新コンテンツ情報について詳細を公開した。本稿では,その内容をまとめて紹介しよう。
このパッチでは,レイドシリーズ「至天の座:アルカディア」の第2弾となる「クルーザー級」や,大規模な生活系/戦闘系コンテンツ,プレイヤーたちから愛される「事件屋ヒルディブランド」の黄金編など,非常に大きなボリュームのコンテンツが追加されるという。
その実装を前に,プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏にインタビューをしたので,その内容をお届けしよう。
※画面は開発中のもの
「ファイナルファンタジーXIV」公式サイト
顔の演技に注目のメインストーリー
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まず,パッチ7.1を振り返って,全体的な手ごたえ,プレイヤーの反応はいかがでしょうか。
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よろしくお願いします。いまパッチ7.2のP/Dチェックと呼んでいる最終チェック工程をやっているのですが,阿鼻叫喚の地獄絵図でして……。7.1のことを思い出そうとしても,7.2のことが浮かんでくる状況なんです(苦笑)。
4Gamer:
ああ,なるほど(笑)。お疲れさまです。
吉田氏:
思い出しつつですみませんが……全体として大きかったのは「滅」という新しいコンテンツだと思っています。多人数での高難度という新しい試みですが,今後の7.Xでも「みんなで遊べばもっと楽しい」というコンテンツ作りを目指していこうという方針があり,その試金石としての役割が大きかったからです。
4Gamer:
これまでに,「ソロでもプレイできる」「コツコツ遊べる」といったコンテンツは充実してきましたね。
吉田氏:
はい。システムも含めてその方向性は完成形に近づいているとは感じていますので,これからは「よりみんなでも,もっと楽しく!」という部分を強化していきたいと思っています。
ただ,拡張後のメジャーアップデート,いわゆる“X.1”と呼ばれるものについては毎回そうなのですが,拡張パッケージの開発自体にスタッフが全力投球しているので,スケジュールなど工程の観点から,どうしてもボリュームが少なくなってしまいがちです。
4Gamer:
規模が違いますから,それは仕方がないでしょうね……。
吉田氏:
そうした面から見ても,滅は非常に良いコンテンツになったと思います。かなり事前から準備を始めていましたが,まずは無事にプレイしていただけてよかったという点と,思っていた以上に受け入れていただいたという実感があります。
多くの周回を重ねていただいたり,何人でクリアできるかといったチャレンジもしていただいたりしています。
4Gamer:
こうした動きは開発段階から予想されていましたか?
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はい。「何人でクリアできるか」というところは,開発時のプレイ検証でも非常にこだわった部分の1つでした。滅というコンテンツを続けるかは,これ(滅暗闇の雲激闘戦)の評判次第と考えていたんですが,新たな滅をやりたいというお声も多くいただきましたので,今後またお応えできればいいなと思っています。
ただ,7.X自体が非常に大きなボリュームになっておりますので,現時点で具体的な計画があるわけではないということはお伝えさせてください。
あと,これはコンテンツではなく,運営上で皆様にご迷惑をおかけすることになりましたが……。僕自身,MMORPGを長くプレイしてきて,開発運営側がネガティブを先回りしてシステムを作るのはあまり好きではないのですが,ブラックリストの強化は世界中から長年要望が寄せられていました。
ただ,難しいことではあると理解しているものの,一時的にそうしたシチュエーションがあったとしても,話し合いでの解決や,ゲーム側からのペナルティという要素もあります。これを踏まえても,他人を完全にシャットアウトするといったレベルにまで機能を拡大したくなかった,というのが正直なところです。
とはいえ,(FFXIVの)規模も拡大して,世界中でプレイしていただいていることを考えると,強い拒絶機能というのは仕方がない部分なのかな,と。結果,アカウントに紐づけられているキャラクターは一括で処理されるシステムとなりましたが……。
4Gamer:
そこを持ちキャラの情報を引っ張り出すという。
吉田氏:
引っ張り出す,とは正確には違っていて,当該の外部ツールを使っているプレイヤーが出会ったほかのプレイヤーキャラクターのIDを外部に蓄積して……といったものです。このツールを使用している人が数十人であっても,一回のプレイですれ違うゲーム内キャラクター数は軽く数百を超えますので,それを蓄積して……というものです。
先日のPLLの冒頭でもお伝えしましたが,もちろん対策は取っていきます。ただ,根本的なことを言えば,このアップデートしたブラックリスト機能自体をゲームから取り外す,というのが一番の対策になってしまいます。
もちろん,先日のフォーラムでもお伝えしたとおり,これによってプレイヤーのみなさんの住所や支払情報といった個人を特定できるような情報には絶対にたどり着けません。ゲーム中でそういったデータのやりとりは,当然ですが行っていないからです。しかし,これから「みんなで遊べばさらに面白い!」というものを作ろうというときに,ブラックリストなどの機能は必要だとも思うのです。
「悪用されないようにシステムを作るのがお前らの仕事だろ」とはごもっともです。しかし,考えうるすべての手段を実行できるかと言われたらそうではないのも事実で,我々は法律を守ってシステムを作らなくてはなりませんが,破壊する側はお構いなしに攻撃してきたり,ツールを制作してきます。
僕自身,エンジニアとしても,開発者としても,企画者としても,ゲームは楽しいものですし,ポジティブな経験こそすべてと考えているので,今回の件は非常に複雑な心境で対応を指揮しています。この歳になって気づかされたというか,この仕事の楽しさと怖さを,あらためて思い知ったという感じです。
とはいえ,お話ししたように,機能をなくしてしまえばいい!とは思っておらず,できうる対策を重ねていきます。どうぞご安心ください。また,繰り返しとなりますが,お住まいの住所や決済情報等は,ゲームとはまったく切り分けて,安全に管理させていただいておりますので,この点もご安心ください。
4Gamer:
では,パッチ7.2「SEEKERS of ETERNITY / 永久の探求者」に戻りましょう。公開されたパッチアートはこれまでになかった印象を受けますが,どのような経緯でデザインされたのでしょうか。また,ストーリーの全体的な空気感を教えてください。
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吉田氏:
歴代のパッチアートは,これまで大部分が僕から発注ということが多かったのですが,チェック作業があまりにも多いことなどもあり,シナリオチームから素案をもらうことも増えてきました。今回も同じようにあまりの過密スケジュールだったので,「シナリオチームから発案しましょうか?」と提案してくれ,いくつかの案の中から煮詰めていくことになりました。
4Gamer:
なるほど。明らかにニュアンスが違っていたので話題になりましたね。
吉田氏:
今回は多面的なパッチになっていて,メインクエストの更新,友好部族,新たなフィールド探索型や生活系大規模コンテンツなど,山盛りになっています。構図の中に,「ディスプレイを複数出す」というアイデアがあり,「たしかにそれなら複数のコンテンツ」という表現もしやすいだろうということで,それを中心に発注しています。光の戦士のアクセスするあらゆる事象が映し出されている,というのは僕の大好きな映画「マトリックス:リローデッド」からのインスパイアです。
その分だけかなり無茶を言ってディスプレイの枚数を増やしてもらったのですが(苦笑)。アーティストが全体的な色づかいを従来とは変えたパターンを作ってくれて,これが非常によい仕上がりでした。それに合わせる形でロゴも調整しなおしてもらい,現在の形になっています。
スタッフの中から「尖りすぎかもしれませんが大丈夫でしょうか?」という意見も出ましたが,「どんどんチャレンジしていこう。多方向から考えたり試してみることが,今後につながっていくだろうから」と決めました。
4Gamer:
先日のPLLでは,7.2で実装されるメインクエスト中のキャラクターの表情に注目してほしいと述べていました。あらためて「顔の演技」に力を入れた理由を教えてください。
吉田氏:
7.0以前,そして7.0からでも描かれているように,「FFXIV」の世界では記憶と魂は別物になっています。仮に現実社会でもデジタル上に保存された記憶があったとすれば,記憶というよりは記録に近く,それそのものに善悪は存在しないと考えています。魂,もしくは意思によって行動が起きて,それが記憶として記録されるわけですが,記録そのものに善悪はない。その内容は外部から見て善悪を判断できるものだったとしても,記録自体は過去のものであり,それを引き起こしたのは魂,あるいは意志だからです。
では,人間の意思や感情はどこに存在している? やはり魂にあるのか? では,まったく同じ記憶から作られていた,あるいは再現されたアルゴリズムは魂と言えるのか,それとはまた別なのか……そんなことを考えながら,今後の物語を構築しています。
感情や意志,魂の表現として,底抜けの悪意,底抜けの能天気さみたいなものは,セリフ,声,動き,表情など,すべての要素によって成り立つのかな,と。ですので,カットシーンの演出ではいつも表情にもこだわるのですが,今回もさまざまなシーンでそうした工夫をしていますので,ぜひいろいろなキャラクターのいろいろな表情に,ご注目していただけたらなと思っています。
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4Gamer:
どんな表情を見せてくれるのか楽しみです。
吉田氏:
1つの表情を作るのに,どれだけコストを割けるかなのですが,たとえばシリーズ最新作である「FFXVI」だとフェイシャルキャプチャーという,現実の人の表情をそのままキャラクターに流し込んで,手作業で微調整していくというハイエンドの手法を使っています。しかし,これはリアルな人間の動きを忠実に再現することになるので,キャラクターが持つデータ量も膨大になってしまいます。MMOPRGで多数のキャラクターを同時に表現しなければならない「FFXIV」では,キャラクター一人ひとりにこうした膨大なデータ量を持つことができないのです。
ですので,「FFXIV」では大まかなニュアンスを作ったら,あとはキャラクターの骨格データと筋肉データをアニメーターがひたすら調整して表情を作っていきます。もちろん静止状態でなく動くわけですから,ものすごく時間がかかります。こうして作られた結晶を,いかに綺麗に見せるかにも注力していますので,今後もキャラクターの表情にはご注目ください。
4Gamer:
たとえばアサヒの表情もインパクトがありましたが,ヒルディも毎回すごいですからね。
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吉田氏:
ヒルディ! そうですね,よく考えてみるとヒルディシリーズの物語を作るたびに,チームのレベルが上がっているんです。「FFXIV」のフェイシャルはヒルディによって経験値を得て,クオリティが上がっています(笑)。
4Gamer:
そんな「事件屋ヒルディブランド」の黄金編ですが,暁月編のインパクトを超えるためにスタッフの皆様も力が入っているとうかがっています。世界観を守りつつ,「事件屋らしさ」「インパクト」といった要素のバランスを,どのように取っているのでしょうか。
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吉田氏:
たぶん,誰も世界観を守ろうとしていない気も……いや,ギリギリをせめぎ合ってるのかな(苦笑) ありえない動きをしたり,物理法則を無視したり……してますしねぇ。
4Gamer:
たしかに。少し表現を変えますが,世界観というよりは「これだけはやめよう」というルールみたいなものはあるのでしょうか。
吉田氏:
「強靭な魂」「無限の意思の強さを持っている」のはいいのですが,「なんか死んじゃったけど復活した」みたいなのはやめようという話はしました。ヒルディは死なないんですが,それは意思の強さだったり,魂の強さだったり,信じる心であったり。だからこそ,「なんか死んじゃう」ことも「なんか生き返る」こともない。
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そう考えると,具体的にどういう場面かと聞かれると難しいのですが,みんなちゃんとギリギリのラインは守っていると感じています。ちなみにUFOが出てきたのは,「6.Xは宇宙!? なら,UFO出せますね。だって宇宙に行きますから!」みたいな経緯でした(頭を抱えつつ)。
4Gamer:
さすがに何の脈絡もなくUFOは出さないと(笑)。プレイヤー目線から見ていると唐突に出てきましたが……。
吉田氏:
僕から特別な制約はつけていないのですが,ローポリヒルディも「ローポリブドウが妙な話題になってしまったし,いっそコピーした複製だから……ローポリヒルディ,アリか!?」といった具合で,みんな本当にギリギリのラインを守っている(?)という感じです。
守っていないと言ったほうが正しいのかもしれませんが,それが世界観を広げているという効果もありますので(笑)。
4Gamer:
プレイヤーには笑いを,チームには経験値を授けるヒルディブランドに今後も期待したいです。
話は変わりますが,実装当初から大きな話題を呼んだ,レイドシリーズ「至天の座:アルカディア」の第2弾「クルーザー級」がいよいよ実装されます。注目してほしいポイント,また制作時のコンセプトなどを教えてください。
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吉田氏:
もともと,今回のレイドシリーズのプロトタイプは仮名称で「天空闘技場」と呼んでいました。塔を駆け上がっていくタイプで,各階にはフロアマスターがいて……なんとなく察してくださる方も多いと思いますが,そこで「だとすれば,プロレスをモチーフにしていくのはどうでしょう?」というアイデアがあったのです。
4Gamer:
さっきのUFOの話じゃないですけど,これ(プロレス)も唐突に来ましたね(笑)。
吉田氏:
7.0の舞台は北米や中南米にインスパイアされていることもありますし,現実世界でも,世界中で根強い人気がありますから。ただ,プロレスをモチーフにするということは,キャラがしっかりと立っていないといけない。そこから組み立てられているので,今回もキャラはガンガンに立っています。前回も濃かったと思うのですが,楽しみにしていただければ。
4Gamer:
プロレスと聞くと,やっぱり実況も欠かせませんが,第1弾の実況は好意的な意見も多かったのではないでしょうか。
吉田氏:
コンセプトが定まった当初から,コンテンツサイドからもシナリオサイドからも「実況を付けたい」という意見が上がってきました。ただ,僕個人としては,8人でのレイドやアライアンスレイドにボイスを入れることは,あまり積極的ではないのです。あったほうが楽しくなるのは分かっているのですが……。
というのも,開発中に調整をしながら技のバランスを取っていくのですが,それよりはるか前の,とんでもなく早いタイミングでボイス収録を,それも多数の言語で収録しなければならないからです。ですので,いざバトルコンテンツの調整が始まって,よりダイナミックに技の内容を変えていこう,もっと面白くしよう!となった際,事前に収録したボイスがそれを妨げてしまうことも発生します。
それに合うように無理やり作れば,結果的に自分たちの首を絞めることになる。収録しなおしていたら,パッチのリリースタイミングが遅れてしまいますし,非常に難しいのです。
またレイド関連はシリーズとして続きますので,多数のボイスが存在するレイドに慣れてしまうと,「次のレイドにもボイス演出があるはず」と,それが定常化していきます。要所要所でバランスをとって制作をしていくことが,長く続いていく秘訣だと思っているのですが,今回は「それを分かっているうえで,どうしてもトライさせてほしいです!」という熱い提案があったので,「では,”今回は”OKね!」と許可しました(苦笑)
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4Gamer:
最悪,当初の意図が爆散していた可能性もあるんですね……。結果として成功でよかったように思います(笑)。
吉田氏:
そうですね,好評のお声をいただけてホッとしました。実況とは本来ニュートラルなものです。王者に対しても挑戦者に対しても平等なうえで,観客が楽しくなるように盛り上げる。それが実況の本質だと思っています。だからこそ,盛り上げのために両者を煽りますよね。
ですが,これをそのまま実況テキストに落とし込むと,プレイヤーのみなさんに対して,開発からの煽りに聞こえてしまいかねない。「おおっと,挑戦者,この程度の攻撃も避けられないかぁ!?」みたいな,煽りにしか受け取れないセリフは一切禁止,このような線引きは難しかったですね。
4Gamer:
それはたしかに(笑)。恐らくほとんどのプレイヤーは「プロレスを観る側」であって,「プロレスをする側」ではないでしょうし。
吉田氏:
そういう苦労はありつつも,僕たちとしても体験としては新鮮でしたし,判定が綺麗に動いて実況が流れるという部分も非常によい感触でした。プレイヤーの皆様から肯定的なご意見を多くいただけたのも嬉しかったです。
まずはキャラクターの濃さ,実況と攻撃や回避のマッチングという部分に注目していただきたいのと,7.0からの「難度を上げるのではなく,よりコンテンツのエキサイトメントを増やしたい」という方針が本格化してきた仕上がりになっているので,バラエティにも富んでいると思います。
音楽あり,ダンスあり,背景変化あり,マップごと暴れまわるやつあり,スピードで攻めてくるやつありと,盛りだくさんですので,ぜひ楽しみにお待ちください。
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4Gamer:
分かりました。
では,新たな討滅戦として「ゼレニア討滅戦」が実装されます。機械仕掛けのような外観が特徴的ですが,ネタバレにならない程度にどのようなテイストのボスなのかを教えてください。
吉田氏:
ノーマルのバトルのイメージとしては正統派かなと思います。あまり奇をてらってはいませんが,極は魔法の要素もうまく使われていますので,程よく仕上がったのではないかと思っています。
キャラクター性についてですが,バックボーンであったりストーリーであったりは,あえて多く語らないようにしています。あれこれ想像してもらえるような具合に落とし込んでいますので,あれこれ想像していただけると嬉しいです。
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2つの大規模な新コンテンツ登場。クレセントアイルは今後のパッチでサポートジョブのさらなる追加も
4Gamer:
新コンテンツ「コスモエクスプローラー」について,あらためて概要を教えてほしいのですが,過去の「イシュガルド復興・無人島開拓」といった生活系コンテンツからどのような学びを得たのか,そうした経験はどのように生かされているかもお聞きしたいです。
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イシュガルド復興に関してはリアルタイム性を重視して,自分たちの手でハウジングエリアをオープンさせるといった経験を楽しんでいただきたかったものです。
僕もMMOを長く遊ばせてきていただいていますが,システムでプレイヤーをサポートするという傾向は強くなってきています。MMORPGの創世記,当時の「ウルティマオンライン」などでは,システムでガンガンとサポートというよりは,プレイヤーみんなで世界を作っていくという感覚のほうが強かった。ですので,イシュガルド復興では,それを意識して各ワールドごとに進捗も違いますし,なんなら競ってもらうくらいの尖らせた仕様だったんです。
ただ,明確に異なるのはゴールが定められていたことで,ハウジングエリアというゴールがありました。完成形となるエリア・区画を制作して,そこから逆算する形でマップを壊してプレイヤーのみなさんに提供させていただく。その点,見た目の変化という点でも苦労しましたし,ハウジングエリアに合わせた遊びを作るというのも制約の1つでした。
4Gamer:
今回はゼロからコンテンツ制作に取り組める,と。
吉田氏:
はい。今回はゼロベースで広大なエリアに対して,プレイヤーのみなさんが作ったものがどのように増えていくか,変化していくかなので,絵的にも変化が分かりやすいものにしたかったのです。
ただ,探索や発展の間に,完成系は次第に見えてくる。「こういう感じになるんだろうなぁ」と。しかし,別の星に行けば,また違った見た目や環境の違いの面白さも提案させていただける。
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4Gamer:
いろいろなロケーションが楽しめそうで楽しみですね。
吉田氏:
作るほうは大変ですが,担当セクションからは,「せっかくなので思い切っていきたいです!」という力強いコメントももらえたので,よし頑張ろう!と。
4Gamer:
かなりのボリュームがありそうですね。
吉田氏:
すでに1人だけでコツコツ遊べるコンテンツとしては無人島開拓がありますし,今回は再び「みんなで遊んでより楽しく!」というものになっています。もちろん今回も1人でコツコツ……という遊び方も可能ではありますが,同じフィールドでみんなで星を発展させていく,という印象になっています。無人島開拓も開発経験としては非常に大きかったですし,今回はUIやシステムなどで大いにそれが役立ちました。
また,コスモエクスプローラーでは,かなり低いレベルからギャザラー&クラフターのレベリングに使えるようになっています。クラフター&ギャザラーのレベルアジャストを採用しているので,どのレベルのキャラでも楽しんでいただけると思います。
溜めた専用トークンでチケットを買って,突発事象にパワーローダーで乗り込む! といった感じのものもあり,これまで開発してきたさまざまな要素やシステムを取り入れています。
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4Gamer:
ロボットに乗るのは大抵みんな好きですから。
吉田氏:
ロボットの搭乗は抽選制ですが,内部的にはデータをカウントしていて,はずれが続くと抽選確率が上がる仕様になっています。もちろん1人でミッションをコツコツやるのもできますし,紹介したようにみんなで遊ぶこともできます。
また,「表彰システム」という,2日に1度その日のなかでもっとも貢献した人が表彰されるという要素を予定しています。
毎日やりたいというお声もあるのですが,体がもたない!死んじゃう!というお声もありますので。また,1度表彰されたら14日間は表彰が続きますし,その期間はどんなにポイントを獲得しても表彰されない仕様になっているので,より多くのみなさんにチャンスがある要素としました。ぜひ今後の開発にも活かしていきたいところですので,みなさんからのフィードバックをお待ちしております!
もちろん報酬は山盛りですし,ルーレット形式のくじもあります。中にはレア物確定チケットといったようなものもありますので,ぜひ楽しみにお待ちください。
4Gamer:
もう1つ,7.2期間中に大きなコンテンツである「蜃気楼の島 クレセントアイル」が実装されます。
「禁断の地エウレカ」「セイブ・ザ・クイーン」といったコンテンツの系譜に連なるものだと思いますが,コンテンツとしての差別化のポイント,プレイをするうえでのヒントなどがありましたら,ぜひ教えてください。
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吉田氏:
MMORPGの第1世代のグラインド型,何をするにも時間がかかる,時間を掛けたら掛けた分だけ強くなれるというゲームデザインは,唯一無二の面白さや熱狂を生みました。「FFXIV」は「World of Warcraft」以後の第2世代型です。
とくに新生直後は「これってMMOなのか」というお声も頂戴しました。ですので,第1世代の面白さをなんとか,「コンテンツのなかだけでも提示できないだろうか」と思ったのが,エウレカを作った発想でした。
時間がかかる,歩きまわるのも大変,モンスターに絡まれたらめちゃくちゃ危険,しかもデスペナルティまである……でも,そういった強烈さがあるからこそ記憶に残るんです。
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4Gamer:
ガッツリ濃い尖ったゲーム体験とでも言えばいいんでしょうかね。すべてが手探りでやっていかなきゃいけないという。
吉田氏:
尖らせてスタートしたからこそ,エウレカも当初はPLLでもけっこうネガティブなコメントが多かったです。しかし,バルデシオンアーセナルという僕らが当初からやりたかったことを実現できたことで,徐々に盛り上げていただけました。いまでも多くの方に楽しんでいただいています。
ただ,フィードバックとして「もっとFFXIVの良さを取り入れて」というお声が多かったのも事実で,それを取り入れたのが「セイブ・ザ・クイーン」に含まれる「南方ボズヤ戦線」でした。
たとえば,クリティカルエンゲージメントという遊びは,システマチックに作られており,だからこそギミックを持ったボスバトルが楽しめます。しかしその半面,「システマチックすぎて,拠点待ちの要素が大きすぎる」というお声をいただく形にもなりました。
今回はそういう意味だとその中間を狙っています。パーティでの探索を味わっていただくために,意図的に「ボズヤ」よりも利便性を落とした部分もあります。
ただF.A.T.Eだけで構築するのではなくて,広大なフィールドの中で,集まった人数でキリキリ舞のギミックをやるというクリティカルエンゲージメントの面白さは確実にありました。ですので,この要素は残しつつ,参加の方法をあえてシステムサポートせず,フィールド全体を使うという本来の意図に近づけています。
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また,武器強化コンテンツとしての側面があるのはお知らせしていますが,防具育成要素もあります。最終工程まで強化すると火力がすさまじいことになりますが,“けっこう”大変だとは思います……。ですので,我こそは!という自信のある方には,チャレンジしていただきたいです。
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4Gamer:
“けっこう”というのが,たまらない人にはたまらないかもしれないですね。
吉田氏:
サポートジョブの要素も大きくて,QAチームからもテストチームからも,ユニークさがあって面白いと意見をもらっています。ここでしか使えないからこそ,かなりピーキーでぶっ飛んだ性能をしているものも多くなっています。これらを駆使しつつ,探索エリアの中にあるフォークタワーの攻略に挑んでいただけたらと思います。
サポートジョブも初期から開いているのは,「すっぴん」以外に3つですが,アンロック分を含めれば,今回12のサポートジョブがあります。皆さんで情報交換しながらアンロックしていただいて,ナレッジレベルもサポートジョブもレベリングして。かつてやっていたように,パーティを組みながらひたすらチェインを回していくと効率が上がると思います(笑)。
みんなで探索感を持ってプレイしていただくために,あえて便利にしなかった部分もありますが,簡易エーテライトは最初からフリーにしてあります。ナレッジレベルが1でも行くことは可能なので,すべてのモンスターを避けて先に転送網の全開放を行う,というようなプレイも可能です。
また,パーティを組んだ際のナレッジレベルシンクも実装していますので,うまく活用していただけたらと思います。
4Gamer:
相当なボリュームになりそうですね。
吉田氏:
寝ないで遊んでくださる方も多いと思いますが,体調だけはご注意ください……。また,7.4でサポートジョブの追加を予定しています。パッチ7.5では今回と同じ規模の探索をもう1つ入れたいと計画していますので,7.Xシリーズをかけてじっくり遊んでくださると嬉しいです。
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4Gamer:
7.X中はめいっぱい遊べそうです。
では,最後に読者へメッセージをお願いします。
吉田氏:
まだまだご紹介したいものもあるのですが,過去最大級のメジャーアップデートになるので,今回はこのあたりでご容赦ください。
これまでは生活系コンテンツ,戦闘系コンテンツはメジャーアップデートを分けていたのですが,7.2Xシリーズでは同時進行で一緒に出していきます。これからのFFXIVを占うストーリー展開,「みんなで遊ぶ」を体現するコンテンツ,新しい戦闘ギミックの感覚など,今とこれからが交差する内容になっておりますので,ぜひ楽しみにお待ちください。
また,冒頭にもお話した皆様の安全性を担保することについては,言い方が不適切かもしれませんが,あらためて勉強させていただき,向き合う形となりました。
これも糧にして,皆様に楽しんでいただく物づくりへ,あらためて励んで参ります。引き続き,応援のほどよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました!
4Gamer:
ありがとうございました。
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- ライター:夏上シキ
- カメラマン:愛甲武司

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