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Epic対Apple,Googleのストア独占をめぐる裁判の今後について,ティム・スウィーニーCEOが現状と見通しを解説[Unreal Fest Tokyo 2025]
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印刷2025/11/14 17:57

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Epic対Apple,Googleのストア独占をめぐる裁判の今後について,ティム・スウィーニーCEOが現状と見通しを解説[Unreal Fest Tokyo 2025]

 本日(2025年11月14日)開催されたUnreal Engineの大型勉強会「Unreal Fest Tokyo 2025」のDay1にて,Epic Games CEOのTim Sweeney氏が日本メディアの記者会見に応じた。
 AppleおよびGoogleとのストア独占をめぐる法廷論争をメインに,Epic Gamesの今後についても語られた。

(左)エピック ゲームズ ジャパン代表:河崎高之氏
(右)Epic Games CEO:Tim Sweeney氏
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 Epic Gamesは本日(2025年11月14日),Unreal Engineの大型勉強会「Unreal Fest Tokyo 2025」のDay1を開催した。基調講演は,Epic Games CEOのTim Sweeney氏と,エピック ゲームズ ジャパン代表の河崎高之氏が順に登壇した。本記事では,Sweeney氏の講演を紹介する。

[2025/11/14 14:42]

――AppleおよびGoogleとの法廷論争は,今後どうなりますか。

Sweeney氏:
 まず,私たちは現在も世界中でAppleと争っています。アメリカでは,「開発者が独自の決済手段を導入することを妨げてはいけない」「その決済に手数料を課してはならない」という判決を勝ち取りました。

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 EUでは,Appleは競合ストアにもiOSを開放するように求められ,Epic Games Storeおよびフォートナイトの復帰が実現しました。
 日本でも同種の法律がもうすぐ施行されるので,Appleは日本でも同様に競合ストアを開放することが求められます。これが実現すれば,日本でもEpic Games Storeおよびフォートナイトを復帰させられると思います。
 早ければ,2026年1月くらいに復帰の可能性を見込んでいます。

――Googleとの和解について教えてください。

Sweeney氏:
 Googleとの和解については,連邦裁判所が和解を承認すれば,Androidが本来のオープンプラットフォームに戻るというフェーズにあります。
 Googleとは,「Androidを競合ストアにも開放する」「競合の決済サービスを許可する」「競合ストアのインストールを阻害するUIを削除する」ことを約束しています。

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[2025/11/06 20:42]

 この阻害UIについては,Appleは以前,EUに指示され,改善しました。当時,Appleは外部ストアのインストールに複雑な15ステップを要求しており,インストールを完了できるのは,100人あたり35人程度でした。
 改善後は,6ステップに短縮され,100人あたり75人が無事インストールを完了できるようになりました。
 Googleはこの阻害UIを,グローバルで削除することを約束しています。

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[2025/10/02 13:00]

 さらに,Googleのストア手数料は,一律30%だったのに対し,今後はストアを利用する場合は9%,Googleの決済システムを利用する場合はさらに5%の手数料という風に変更され,合計は14%で,もとの30%から大きく改善されることになります。
 和解内容については,まだ非公開の部分もあるので,裁判所の決定を受けてから,明らかにしていきます。

――日本のスマホ新法をどう評価していますか。また,Appleに法を遵守させるためには何が必要でしょうか。

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[2025/11/01 09:00]

Sweeney氏:
 日本の新しいデジタル競争法は非常に優れています。アプリストアと決済の競争を成立させるために,必要な要素がすべて盛り込まれているからです。

 問題は,Appleが新しい法律に対して,巧妙な抜け道を探し,不誠実な解釈で法律の縛りを弱めようとする傾向がある点です。実際に,EUではそれが1年以上続きました。

 日本ではそうならないことを願っていますが,Appleがどう対応するかは不透明です。法律の趣旨は明確なので,あとは日本政府が厳密に法を執行しないと,EUのように「罰金を払ったほうが得」という状況になる危険があります。

――2020年の訴訟以降,環境の変化はありますか。

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[2024/05/13 14:30]

Sweeney氏:
 私たちが戦いを始めて5年,世界は大きく変わりました。
 アプリストアとアプリ内決済における独占問題を,多くの開発者と各国の規制当局が理解するようになったのです。

 しかし,5年経った今でもAppleは開発者や消費者に不利な行動を続けており,多くの国で法律違反を続けています。企業として,Apple自身に長期的な損害をもたらすだろうという強い懸念もあります。
 改善の兆しはありませんし,Appleの姿勢が変わらない限り,規制当局は強制的に介入する必要があります。

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 一方,GoogleはAppleとは対照的で,かなり前向きです。
 彼らは,テキスト,画像,世界モデルのAIや検索エンジン,クラウドサービスなど,多くの分野で世界をリードしています。
 Androidを本来のオープンプラットフォームに戻し,競合ストアや決済サービスを自由に選べるようにする動きは非常に良い方向です。Googleの未来は明るいと感じています。

――基調講演では,メタバース構想についてもお話されましたが,メタバースがなぜ普及しないのか,普及するにはどのようなデバイスが必要かお聞かせください。

Sweeney氏:
 メタバースは非常に遅い動きで進化していますが,分断も進んでいます。「Roblox」「フォートナイト」「PUBG Mobile」「クロスファイヤ」「Minecraft」など主要な10個のエコシステムを合計すると10億人ほどのアクティブプレイヤーがいますが,アプリがバラバラで,つながりの力を十分発揮できていません。

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 また,デバイス面でも,とくに新興国では,スマートフォンの性能が不十分ですし,大画面での没入体験に比べても制約があります。
 VRやARには,潜在能力があるものの,価格や重量の点で一般普及には至っていません。

 しかし,メタバースの実現にVRやARは必須ではありません。スマホ,PC,コンソールだけでも数十億人規模のメタバースを実現できます。
 私は,この10年以内に,メタバースが本格的に立ち上がると考えています。

――Unreal Engineはゲーム以外の分野でも活躍していますが,その広がりを教えてください。

Sweeney氏:
 Unreal Engineがフォトリアル表現を実現可能にして以降,3D技術はゲーム以外の産業にも普及しました。
 映画,テレビ制作では,LEDパネルにUnreal Engineで作成したリアルタイム3Dシーンを映して,その前で俳優が演技するバーチャルプロダクションが普及し,クオリティと効率の両面で劇的な進化を遂げました。

 建築分野でも,ドアを配置して,さまざまな方向から確認するなど,リアルなシミュレーションができます。
 自動車業界でも同じく,プロトタイプを作る前の段階からUnreal Engine上で可視化を行うことで,全体を確認するほか,車載ディスプレイのレンダリングに活用されています。

 さらに,医療や消防,宇宙飛行などの専門性の高いトレーニングにも積極的に活用でき,リアルタイム3Dにおけるシミュレーションは強力な教育ツールとして利用されます。

――非ゲーム分野が伸びていますが,Epic Gamesの収益モデルは変化していきますか。

Sweeney氏:
 Epic Gamesの収益の大半は,ゲーム開発者からのものですが,映画,テレビ,建築など,非ゲーム分野での利用も急速に広がっています。
 産業向けの価格設定は,競争力を持たせており,低価格になっています。リアルタイム3Dを取り入れた企業が,最終的にゲームやフォートナイトのイベントなどの形で消費者にリーチできるパイプラインの拡大を重視しています。

 価格を引き上げても良いという意見もありますが,私たちはクロスオーバーの価値を優先しているのです。
 映画の世界観がゲームにも生かされ,フォートナイトでもそのコンテンツを展開するといった相互作用の将来的な価値が重要なのです。
 Epic Gamesは,目先の収益を最大化するより,世界的なデジタルエコシステムの構築を目指しています。

――本日は,ありがとうございました。

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