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石渡太輔氏ら開発陣がシリーズと歩んだ20年を振り返る。「GUILTY GEAR」シリーズ生誕20周年記念イベントレポート
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印刷2018/05/23 14:51

イベント

石渡太輔氏ら開発陣がシリーズと歩んだ20年を振り返る。「GUILTY GEAR」シリーズ生誕20周年記念イベントレポート

 2018年5月19日,「GUILTY GEAR」シリーズ20周年を記念したアニバーサリーコラボイベントが,東京・池袋のTheater Cafe & Dining“STORIA”にて開催された。

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 当日は「GUILTY GEAR」シリーズを統括するゼネラルディレクターの石渡太輔氏をはじめ,プロデューサーの山中丈嗣氏,バトルディレクターの関根一利氏,ディレクターの片野 旭氏が登壇し,歴代の「GUILTY GEAR」シリーズを振り返るトークコーナーや,来場者による「GUILTY GEAR」シリーズを使用した対戦企画,開発陣によるフリートーク,開発陣とのステージ撮影会が実施された。本稿では,開発陣とファンが20年の歴史を振り返り,大いに盛り上がったイベントの模様をお届けしていく。

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歴代GUILTY GEARを振り返ろう


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 「GUILTY GEAR」シリーズを振り返るトークコーナーでは,1998年5月に発売されたシリーズの原点である「GUILTY GEAR」から最新作となる「GUILTY GEAR Xrd REV 2」までが順に紹介された。


■初代「GUILTY GEAR」


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 「GUILTY GEAR」はキャラクターデザインや世界観,BGMなどすべてを石渡氏が担当したシリーズの原点となる作品。登場するキャラクターは,企画がスタートする前に石渡氏が書き溜めていた資料から選ばれている。

会場には初公開となる石渡氏の資料集が持ち込まれていた。イベント後には来場者に向けて閲覧する時間が設けられていた
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■「GUILTY GEAR X」


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 「GUILTY GEAR X」は,爆発的な人気を獲得したシリーズ初となるアーケードタイトル。当時は毎年多数の新作格闘ゲームがアーケードで稼働していたが,グラフィックスの美麗さに惹かれて「GUILTY GEAR X」を遊んだプレイヤーは多く,プレイヤーとして遊んでいた片野氏も「GUILTY GEARしかやらない人生が始まってしまった」と語るほど熱中していたとのこと。
 
 制作に関する小ネタでは,隠しキャラであるテスタメントとディズィーを出現させるパスワードが「MISOSOUP」だった理由を聞かれたところ,石渡氏は「とくに理由はなく,考えていた時に味噌汁が飲みたかったから(笑)」と回答していた。
 また,当時はさまざまなネーミングに関してもアバウトな部分が多かったようで,シリーズを代表するシステムである“ロマンキャンセル”も語感だけで「“コスメティックギャラクシー”にしたい!」という案が石渡氏から提案されたという。なお,こちらの案はさすがにおかしいという意見もあり,「ロマンキャンセルくらいならアリかな……」ということで今の形に落ち着いたと語っていた。


■「GUILTY GEAR PETIT」

■「ギルティギア プチ2」

■「GUILTY GEAR X ADVANCE EDITION」


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 続いて紹介されたのは携帯ゲーム機で発売された3作品。この中で「GUILTY GEAR X ADVANCE EDITION」は「GUILTY GEAR X」の移植作品ではなかったものの,ハチャメチャな部分が関根氏はお気に入りだったという。本作でしか見られない攻撃や必殺技も多数あり,それを見るだけでも価値はあると語っていた。


■「GUILTY GEAR XX」


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 「GUILTY GEAR X」からの正統な続編として登場したのが「GUILTY GEAR XX」となる。ほかの新作格闘ゲームが落ち着いていた時期で,多くの格闘ゲーマーが本作を遊んでいたと,関根氏は当時を振り返る。
 当時のプレイヤーからの評価も高く,「GUILTY GEAR」の1つの完成系が見られた作品だと開発陣も語っており,本作から実装されたシステムの“サイクバースト”は,今ではさまざまなゲームに近似したシステムが採用されている。
 また,本作から参戦したシリーズを代表する人気キャラクターのブリジットは,見た目は女の子だが,性別は男。いわゆる“男の娘キャラクター”なのだが,石渡氏は制作時にその設定を秘密にしており,一部のスタッフ以外は女の子と思ったまま制作に携わっていたとのこと。


■「GUILTY GEAR XX #RELOAD」


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 「GUILTY GEAR XX」を調整する形で登場したのが本作。本作のラスボスのイノは,初見ではまず対応できない攻撃を仕掛けてくるのが特徴。攻略が分からない稼働初期は倒せるプレイヤーは少なかったが,石渡氏曰く,「当時のCPU戦のようにアーケードで100円を入れて1人で遊ぶモードのボスキャラは攻略する過程も楽しんでもらいたかった」とのことで,難度を高めに設定したと語っていた。


■「GUILTY GEAR ISUKA」


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 格闘ゲームとしては異例となる2ライン制の4人同時対戦を実現した意欲作が「GUILTY GEAR ISUKA」となる。
 PlayStation 2で発売されたコンシューマ版には,ロボカイ2を育成できるファクトリーモードが搭載され,設定できる各種必殺技もロボカイ2仕様になるなど凝った部分も多く,関根氏はお気に入りのモードだったとのこと。
 また,当時の石渡氏は,格闘ゲームに成長要素はあってはならないと考えており,「ファクトリーモードは絶対やらせない」と言っていたが,開発スタッフの熱意に押される形で,「ロボカイにそういう要素はないから,ロボカイ2であれば……」とGOサインを出したと当時を振り返っていた。


■「GUILTY GEAR XX SLASH」


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 コンシューマ版の「GUILTY GEAR ISUKA」で登場したA.B.Aが1対1の「GUILTY GEAR」シリーズで初参戦を果たしたのが本作。
 なお,石渡氏はこの時期から「GUILTY GEAR 2 -OVERTURE-」の開発に移ったとのことで,以降は「BLAZBLUE」シリーズでお馴染みの森 利道氏が変わりにディレクションを務めていくこととなる。


■「GUILTY GEAR JUDGMENT」

■「GUILTY GEAR Dust Strikers」


 スライドは用意されていなかったが,PSPで発売された横スクロールアクションの「GUILTY GEAR JUDGMENT」と,ニンテンドー3DSで発売された縦2画面を使ったアクションゲームの「GUILTY GEAR Dust Strikers」も簡単に触れられていた。
 また,この時期に石渡氏の提案から,「GUILTY GEAR」のWebラジオ「ギルティギアのうぇぶらじおかもしれない…」が月2回配信され,後に「BLAZBLUE」シリーズの「ぶるらじ」でも活躍する近藤佳奈子さんが出演されていたとのこと。


■「GUILTY GEAR XX Λ CORE」


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 新システムの“フォースブレイク”や“スラッシュバック”が搭載され,より尖ったゲーム性が人気を博した本作。片野氏はスラッシュバックのシステムが大好きで,延々と10時間ほど練習していたこともあったと語っていた。
 また,本作において,ブリジットが持つクマのぬいぐるみの声を「ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ」のプロデューサーの井口屋タクミ氏が,A.B.Aが持つカギの声を森 利道氏がそれぞれ担当している。


■「GUILTY GEAR 2 -OVERTURE-」


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 石渡氏が「GUILTY GEAR XX SLASH」から「XX」シリーズを離れ,開発を進めていたのが「GUILTY GEAR 2 -OVERTURE-」となる。
 新しいジャンルのゲームを作りたいという気持ちがあり,乱戦などの意味を持つMelee(メレー)”と,キャラクターに“命令”を下すゲーム性から,「メーレーアクション」というジャンル名を決定したという。
 関根氏は,「GUILTY GEAR」シリーズで「X」と本作をとくにお気に入りのタイトルとして挙げており,対戦に熱中すると,頭がパンクしそうになるほど熱くなったので,常に冷えピタを貼りながら遊んでいたと当時の思い出を語っていた。


■「GUILTY GEAR XX Λ CORE PLUS R」


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 山中氏がプロデューサーを務めた「GUILTY GEAR XX Λ CORE」のアップデート版となる作品。セガのALL.Net P-ras MULTIから配信され,カード対応やプレイヤーズギルドが搭載されるなど,「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」に向けて,さまざまな試験的なことをしていたという。
 また,本作の稼働時にプレイヤーから「GUILTY GEARの完全新作は出ないのか……」といった反応をされることもあったが,水面下では,「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」のプロジェクトが進行しており,山中氏は「新作ですげぇやつ作ってるよ!」とプレイヤーに伝えたい気持ちがあったと語っていた。


■「GUILTY GEAR Vastedge」


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 シリーズ初のパチスロ作品となる本作。また,スマートフォン向けにも配信されている。「GUILTY GEAR 2 -OVERTURE-」と「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」の間の時系列となっており,ソルとシンの2人旅の物語が描かれている。
 また,本作の開発を進めるうえで,スタッフにパチスロで遊ぶ人がほとんどおらず,ノウハウもなかったので,近くのお店に遊びに行って勉強をしていたとのこと。


■「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」


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 25周年記念で開催された“ARC SYSTEM WORKS FESTIVAL”で満を持して発表されたのが,新たな「GUILTY GEAR」シリーズとなる「Xrd -SIGN-」となる。


 また,当日の会場では,これまでのオフラインイベントでも公開されている「GUILTY GEAR Xrd」プロトタイプムービーが披露された。

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プロトタイプといっても完成度は高く,関根氏は偽ソルの仕様書を書きたいと語っていた
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 制作に関しては,現在のロマンキャンセルの仕様に固まるまではかなり時間がかかったとのこと。また,石渡氏はダウン中にもロマンキャンセルを発動できるようにしたいなど,関根氏が少し困ってしまうような注文をしてくることもあり,当時を振り返るといろいろと大変だったという。
 ほかにも,ブラウン管から液晶モニターへの転換期だったので,液晶モニターの環境に合わせたゲームシステムやバランスにすることを念頭に置いて開発を進めていたと語っていた。


■「GUILTY GEAR Xrd -REVELATOR-」


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 「GUILTY GEAR Xrd -REVELATOR-」では,人気投票によって追加されたディズィーなど6キャラクターが新たに参戦した。
 関根氏は人気投票で誰が選ばれるか分からない状態だったので,ある程度いろいろなキャラクターの仕様の構想を進めていたと当時を振り返る。また,ディズィーの仕様は社員旅行のときに石渡氏と沖縄で話したとのこと。たまたまか分からないが,仕様の相談を出先ですることが多いと語っていた。

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■「GUILTY GEAR Xrd REV 2」


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 トークの最後を締めくくるのはシリーズ最新作「GUILTY GEAR Xrd REV 2」。
 本作では,新規プレイアブルキャラクターとして梅喧とアンサーが追加され,「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」稼働初期の13キャラクターから,実に倍近い25キャラクターが参戦を果たしている。


GUILTY GEARシリーズ 対戦コーナー


 続いて,初代「GUILTY GEAR」「GUILTY GEAR XX Λ CORE PLUS R」「GUILTY GEAR Xrd REV 2」の3作品を使用した来場者による対戦コーナーが実施された。参加者は石渡氏とのじゃんけんで残った4人が選ばれ,初代「GUILTY GEAR」など,初プレイタイトルとなる参加者もいたが,それぞれ和気あいあいと対戦を楽しんでいた。

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フリートークコーナー


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 本イベント最後のコーナーとなるフリートークでは時間が押したこともあり,来場者の質問に開発陣が答えていく形となった。この中で,「GUILTY GEAR Xrd」シリーズの3部作のうち,今はどのあたりなのか,という質問に対し,石渡氏は「2部作が終わったところ」と伝え,さらに「頭の中ではあと1部ですが,実はもうさらに……」と今後の展開を匂わせる発言を残していた。

 イベントの最後は,開発陣がそれぞれ以下のコメントを残して締めくくった。

片野氏:
「GUILTY GEARシリーズを終わらせないためにも尽力していきます」

関根氏:
「まずは目の前の25周年を目指してがんばります」

山中氏:
「これからも石渡さんを全力でサポートして,みなさんを楽しませるゲームやイベントを作っていきますので,今後ともよろしくお願いします」

石渡氏:
「これだけ近い距離でみなさんと楽しませてもらって,このシリーズを作ってきてよかったなと思いました。自分の子どもが自分より長生きするようなタイトルとなるように『GUILTY GEAR』というものをこれからも作り続けていきますので,よろしくお願いします」

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