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[TGS 2018]プロゲーマー・ウメハラ氏インタビュー。今後の活動や国内のeスポーツについてアレコレと聞いてきた
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印刷2018/09/25 13:38

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[TGS 2018]プロゲーマー・ウメハラ氏インタビュー。今後の活動や国内のeスポーツについてアレコレと聞いてきた

 千葉県の幕張メッセで開催されている東京ゲームショウ2018の2日目,2018年9月21日に収録した,格闘ゲームのプロゲーマー,ウメハラ氏へのインタビューをお届けする。「ザ・ビースト」「リビングレジェンド」など数々の異名を持ち,長年トッププレイヤーとして輝かしい記録を残し続ける氏に,今後の活動や国内のeスポーツの現状などについて聞いてきた。

画像集 No.001のサムネイル画像 / [TGS 2018]プロゲーマー・ウメハラ氏インタビュー。今後の活動や国内のeスポーツについてアレコレと聞いてきた

ウメハラ氏の公式Twitter

「ストリートファイターV アーケードエディション」公式サイト


4Gamer:
 プロゲーマーとして活躍されているウメハラさんですが,プレイヤーとしてだけでなく,さまざまな活動をされています。現在の活動の目標はありますか。

ウメハラ氏:
 目標はあんまりないですね。小さい目標はもちろんあるんですが,性格的に少しずつ先に進んでいくことが性に合っていて,気が付けば先に進んだなってことは多いです。なので,大きな目標を定めて何か行動するってことはあまりないかなと。
 小さな目標というのも本当に小さいことで,例えば明日配信をするとして,「明日の配信を成功させよう!」とか,その程度のものです(笑)。

4Gamer:
 目標よりもスケールが大きくなりますが,夢はありますか。

ウメハラ氏:
 若かった時には,当時としては絵空事のような夢を結構持っていたんですけど,大体それって叶っちゃったんですよね(笑)。今は漠然と自分がやっていることが正しい方向に進んでいけばいいなって思ってます。夢というよりも,願いに近いかな。

4Gamer:
 ウメハラさんが企画されたイベントである「獣道」について聞かせてください。あれはどういった発想から生まれたものなのでしょうか。

※獣道……さまざまな格闘ゲームタイトルで行われる10本先取形式の対戦企画。賞金や副賞といった副産物は一切なく,己のプライドのみを賭けた真剣勝負が行われ,多くの格闘ゲームファンから注目を集めている。

ウメハラ氏:
 昔のゲームセンターでの勝ち負けってすごく曖昧で,自分が対戦相手よりも上だって思っていても,実はその対戦相手も自分のほうが上だと思っていたりしてたんですよ。それで当時……20年近く前になるのかな。後からどっちが勝った負けたと言うのは不毛だから,ごまかしようのない勝負をする真剣勝負の場を作るみたいなことがよくあったんです。「獣道」のルーツはそこですね。その頃は30戦勝負をすることが多くて,「これで自分が勝ったらお前はもう言い訳できねーぞ」ってなるわけです。

4Gamer:
 もともとはゲームセンターでの文化だったわけですね。

画像集 No.006のサムネイル画像 / [TGS 2018]プロゲーマー・ウメハラ氏インタビュー。今後の活動や国内のeスポーツについてアレコレと聞いてきた
ウメハラ氏:
 今の格闘ゲームシーンってそういう長期戦とか,1対1のガチって形式の勝負ってあまりなくて,みんな大会に向けて,短いスパンで満遍なく対策をして大会の優勝を目指すってことをしている。それはそれでいいんだけど,格ゲーの楽しみ方ってそれだけじゃないよってことはずっと思っていて,だから自分がガチのイベントを企画するときは,いつも長期戦の勝負にしていました。

4Gamer:
 かつての「GODSGARDEN Online」で行われた,通称・ウメゲームも10本先取ルールでしたね。

ウメハラ氏:
 ただ獣道は長期戦だけが売りではなくて,選手同士の対戦を成立させてストーリーを作るというのも大きなポイントです。それのヒントとなったのはオゴウクラハシの対決ですね。

※オゴウ氏,クラハシ氏……マンガ「ウメハラ FIGHTING GAMERS!」にも実名で登場するストリートファイターのレジェンドプレイヤー。ウメハラ氏のTwitchチャンネル「Daigo the BeasTV」で討論企画が組まれ,その後ウメハラ氏を含めた3つ巴の対戦が行われた。

ウメハラ氏:
 あれも台本とかなくて,マンガの編集さんから「クラハシさんがマンガの文句をTwitterでつぶやいているんですけど……」って連絡があって,見たら「オゴウに負けた記憶なし」とか書いてるわけですよ(笑)。それってさっき言った20年前のことと似てて,それならもう白黒付けようって。それで試合を配信したわけですが,平日にもかかわらず1万7000人くらいの人が視聴してくれました。そこであらためて「みんなこういう企画大好きだな!」って思って,そこから本格的に動き出したというのが,獣道のきっかけでした。

4Gamer:
 獣道の第3回を行う予定はありますか。

ウメハラ氏:
 もちろんやりたいと思っていますが,「この組み合わせが見たかった!」といったカードでなければやりたくないですね。獣道の“格”を落としたくない。

4Gamer:
 第2回ではウメハラさんもときどさんと対戦しました。再び自身が参戦する予定はありますか。


ウメハラ氏:
 自分が参加したいから出るって考えは一切無くて,視聴者が見たいカードを見せるというのが最優先です。自分が出るのが自然な流れであれば,また参戦すると思います。

4Gamer:
 9月24日には,「なんかイイカラオケ大会」が開催されるとのこと。あれはどういった企画なんですか?


ウメハラ氏:
 格闘ゲームに関係ない企画をなんでやるのか? って多くの人が思うでしょうが,それにもちゃんと理由はあります。
 元々ゲームセンターで格ゲーを遊んでいた人って,格ゲーが強いことがステータスではあったけど,それがすべてでは無かったんですよ。もちろんゲーム好きが集まるから強いことは大事だけど,話が面白いとか,歌がうまいとか,その人の魅力っていろいろとあるわけじゃないですか。

4Gamer:
 そうですね。

ウメハラ氏:
 それが今の時代だとオフラインで会うことが少なくて,格闘ゲームの強さだけを見られがちになっている。オンライン対戦はその究極で,人となりは一切見られず,ゲームがうまいかヘタかでしか判断されない。
 それは味気ないなって気持ちがずっとあって,ゲームのうまさを確認できる配信なんて今の時代いつでも見られるし,自分にも獣道っていうガチ企画があるんだから,それならコミュニティを支えてくれる人達が気軽に参加できて,活躍できる場を提供したいと思って企画したんです。

4Gamer:
 以前には「なんかイイコスプレ大会」もありましたけど,あちらはまだ,ぎりぎりゲームに関係あるのかなと思っていたんです。カラオケにした理由は何かありますか。

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 2016年4月16日,プロゲーマー・ウメハラ氏のストリーミング番組「Daigo the BeasTV」の主宰による「ストリートファイターV」の大会イベント「ウメハラ杯〜コスプレ限定大会〜」が,東京・渋谷のレッドブルホールにて開催された。ウメハラ氏も“太陽の塔”コスチュームで登場し,大いに盛り上がった会場の模様を,フォトレポートでお伝えする。

[2016/04/20 00:00]

ウメハラ氏:
 自分が人の歌を聴くのが好きだからですね(笑)。GO1とかえいたとかもエントリーしてくれていて,エントリー状況を見る限りでは盛り上がりそうで,自分も楽しみにしています。

4Gamer:
 先ほどオゴウさんやクラハシさんの名前も出ましたが,ウメハラさんの配信を見ていると,上の世代のスタープレイヤーに対するリスペクトを強く感じます。ウメハラさんにとって彼らはどういった存在でしょうか。

ウメハラ氏:
 みんな忘れがちだと思うんですけど,当時があったから今があるって僕はずっと思っていて。もちろん,昔ばっかり美化しても仕方ないんでバランスは大事なんですけど,自分の対戦感や単純にプレイヤーとしての実力を上げるということに,彼らは大きく影響しているんですよね。マンガで当時を題材にしたのも,そういう気持ちが強くあったからで。当時のことは今の若い子には分からないし,それを伝えることは自分にしかできない。だからやらないといけないことだと思っています。

4Gamer:
 彼らがいなかったら,今のシーンはなかったと?

ウメハラ氏:
 少なくともあの人達がいたから今の自分があるわけで。自分を応援してくれる人にも,彼らのことを知ってほしいという気持ちは強いですね。

4Gamer:
 プロゲーマーという職業が無かった時代と今では,格闘ゲームに対する価値観が変化しているように思えます。ウメハラさんは昔と比べて価値観は変化しましたか。

ウメハラ氏:
 昔のゲームセンターで遊んでいたときの価値観だと,大会も重要だったんですけど,それ以上に野試合の強さが一番でした。そういう環境で育ったから,大会よりも1対1で対戦した時の勝利にロマンとかプライドを感じることはあります。ただ,今はプロゲーマーとして活動していて,大会で勝たなくてはならない。プロゲーマーじゃなかったら,そんなことは気にしないんですけどね。

4Gamer:
 野試合で強いやつが最強という考えは,どの格闘ゲームにも存在したような気はします。

ウメハラ氏:
 1対1で勝負して,対戦相手に「こいつには敵わない」って思わせることが紛れのない強さだと思っているし,今でもその価値観は一切変わっていません。でも自分はプロゲーマーだから,そのこだわりは抑えてトーナメントで勝つことを優先している。ただ,獣道じゃないですけど,1年に1回くらいやらせてよってのはありますね(笑)。自分がやらなくてもいいからそういう試合を見たいというか。

画像集 No.004のサムネイル画像 / [TGS 2018]プロゲーマー・ウメハラ氏インタビュー。今後の活動や国内のeスポーツについてアレコレと聞いてきた

4Gamer:
 国内ではeスポーツ化の流れが急速に進んでいて,プロゲーマーを目指す若手プレイヤーも増えています。彼らになにかアドバイスはありますか。

ウメハラ氏:
 人生の話になるんですが,不幸になりたい人っていないと思うんですよ。全員共通で幸せになりたいという目的があるわけです。ただ,何がその人にとって幸せなのかは人それぞれで,強くなること,お金持ちになること,家庭を築くこと,有名になること,いろいろあります。だから他人の人生に対してアドバイスなんてできるわけがないんですよ。人によって幸せを手にする過程も違うわけですから。

4Gamer:
 アメリカのプロゲーマーのJustin Wong氏は,「今やっていることをやめてプロに専念するのはやめるべきだ」といった旨の発言を最近していましたね。

ウメハラ氏:
 Justinの伝えたいことって,お金だったり,将来の話だと思うんです。どちらも大事なことだとは思うけど,それだけが幸せの価値観ではないと自分は思います。若者がプロゲーマーに挑戦することを否定するつもりはありませんが,一方で「eスポーツバブルで小銭がもらえるからやってみよう」といった考えでは厳しいとは言いたい。そういった軽い考えでプロを目指しているのであれば,今辛かったとしてもまっとうな道を進んだほうがいいと思いますね。

4Gamer:
 ウメハラさんが格闘ゲームをプレイし続ける理由はなんでしょうか。

ウメハラ氏:
 なんでまだ格闘ゲームをやるの? って言われることはよくあるんですが,理由はいくつかあるんです。まずアイデンティティと言うか,自分を支えているのが格闘ゲームですよね。格闘ゲーム以外に何もないとは言わないけど,「どこの誰よりも」と誇れるものは格闘ゲームしかない。それが無くなるということは,自分の人生にとって大きな損失になると思える。格闘ゲームをやらない自分がどうなるのか怖いですよね。
 そんな意味を持つ格闘ゲームなので,やらせてもらえるのであれば,まだまだ続けていきたいです。

4Gamer:
 プロゲーマーとしてお金を稼がないといけないという部分もあると思いますが,例えば一生を不自由なく暮らせるお金を手にしても,その考えは変わりませんか。

ウメハラ氏:
 そうですね。格闘ゲームはずっと続けていくと思います。先にも話しましたが,大会で優勝することが自分にとっての最強ではないので。プロゲーマーという立場でなければ,強いやつとひたすら対戦するっていう,昔に戻りたいなっていう感覚は無くはないですね。
 一方で,Twitchで配信を始めて作りあげたコミュニティをすべて捨てるのは嫌だなって思うようになりました。活動を続けている理由も,気が付いたらお金の問題では無くなっていますね。

4Gamer:
 数々の大会で輝かしい成績を残しているウメハラさんですが,人生で最もうれしかった瞬間っていつなんでしょうか。

画像集 No.007のサムネイル画像 / [TGS 2018]プロゲーマー・ウメハラ氏インタビュー。今後の活動や国内のeスポーツについてアレコレと聞いてきた
ウメハラ氏:
 覚えているのは,見に行くだけの予定だったファミコンをなぜか親父がその場で買ってくれたことですね。これは今でもハッキリと覚えていて,気が狂うほどうれしかったです。

4Gamer:
 気が狂うほど(笑)。

ウメハラ氏:
 大人になってからはそんなにないかな。うれしいことって予想していないことが起きるからうれしいと思っているので。

4Gamer:
 格闘ゲームに限定した場合はどうでしょう。

ウメハラ氏:
 「ストリートファイターZERO3」の世界大会で優勝したときや,EVOで優勝したときだって,うれしかったことに違いはないですが,どれが一番というのは決められないですね。

4Gamer:
 「ストリートファイターV」について聞かせてください。発売から2年が経過し,Season3に突入しましたが,現在の競技シーンについてどう思いますか。

ウメハラ氏:
 全体的なレベルは間違いなく上がっていますよね。国内だけでなくて海外でも強い選手が変化していて。強い人が変わるのは,盛り上がっている証拠だからいいことですよね。あとは時間が経って平均レベルを見ると,日本がやっぱり強いなっていうのは感じます。

4Gamer:
 ここ直近ではsako選手の活躍が目立ちます。sakoさんの強みはどこにあるのでしょうか。

ウメハラ氏:
 「ストリートファイターV」は全体的に技術介入度の影響が低いタイトル,多くのプレイヤーがそこで勝負をすることを諦めていたんですけど,そこにメナトというキャラクターが出てきた。メナトは例外的に技術介入度の高いキャラクターなので,それがいずれ自分の武器になると思ったから,sakoさんは目を付けたわけですよね。それが今まさに開花しているんだと思います。
 技術介入度の高さで勝つというルートを選択して活躍しているわけだから,sakoさんからはオンリーワンな強さを感じます。

メナト
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4Gamer:
 ウメハラさんは何歳までトッププレイヤーとして活躍できると思いますか。また,昔と比べてどこか衰えた部分はありますか。

ウメハラ氏:
 技術的な衰えは一切感じなくて,気持ちが無くなったら引退すると思います。ただ気持ちの衰えも今はまったく感じないですね。
 ただ10代のときは格闘ゲームで勝ちまくって,「何か証明して自分という人間を世に出してやるぜ!」みたいな若さゆえのハングリーさがあったんですけど,それから20年近くたって人間的にも成長し,プロゲーマーとしても8年やってきた今,そういった気迫を今でも出していくのは難しいですね。

4Gamer:
 最後の質問になります。国内のeスポーツが今後どのように発展してほしいと思っていますか。

ウメハラ氏:
 自分がプロになったころとは違い,今のeスポーツに対する盛り上がりの中では,その発展について実は自分ができることはあまりないと思うんです。
 ただ今はブームだからいいけど,いざブームが終わった時に「間違ったところ」に着地していないようにしないと,とは思います。そういう間違った方向に進みそうになったとき,ストッパーになることが自分のコミュニティに対する役目だと自負しています。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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