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[E3 2019]「DOOM Eternal」開発者インタビュー 。「ビデオゲームであることに誇りを持っているのが,『DOOM Eternal』なのです」
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印刷2019/06/12 19:48

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[E3 2019]「DOOM Eternal」開発者インタビュー 。「ビデオゲームであることに誇りを持っているのが,『DOOM Eternal』なのです」

 E3 2019のBethesda Softworksブースに,id Softwareの新作タイトル「DOOM Eternal」PC/PlayStation 4/Xbox One/Nintendo Switch)がプレイアブル展示されている。このたび,同作のディレクターを務めるマーティ・ストラットン(Marty Stratton)氏とクリエイティブディレクターのヒューゴ・マーティン(Hugo Martin)氏にインタビューする機会を得たので,その模様をお届けしたい。

一般客が入ることのできるイベントフロアのブースのシアター前には,長い行列ができていた。ここには,25年以上にわたる「DOOM」の歴史を物語る陳列棚が設置されており,順番を待つファンを飽きさせない,良い趣向が施されていた
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「DOOM Eternal」公式サイト


 仕切り直しとなった2016年の「DOOM」に続くシリーズ最新作となる「DOOM Eternal」は,地上に出現した地獄の軍団から人類を守る,ドゥームスレイヤーとなって戦うFPSだが,物語にはそれほど重きを置かない,アクションを重視した作品になっている。
 E3会場では,火星の衛星にある基地から,ダメージを受けすぎてマントルが剥き出しになった火星へ向かおうとするシーンがプレイできた。「ポゼスド」「レヴェナント」と呼ばれるデーモン達をなぎ倒しつつ,火星に向かう宇宙船に乗り込むため,自らを大砲で撃ち出すというド派手な場面へと続くあたりまでの内容が楽しめたのだ。

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 本作では,FPSでは古典的ともいえる「プッシュ・フォワード」というゲームメカニクスが採用されており,ヘルスの回復や弾丸の補充を行うためには,常に戦って前進していかなければならない。自分の無双っぷりに疑問を感じて足を止めようものなら,たちまち相手に取り囲まれて死んでしまうので,動き続けることが基本ルールとなる,アドレナリン系アクションなのだ。

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コンボにしやすいさまざまなアビリティや移動方法が追加


 「DOOM Eternal」ではヘビー・キャノンロケットランチャープラズマライフルなど,シリーズではおなじみの,いわゆる「ビッグ・ファッキン・ガン」を含めて,8つの武器を携えてプレイでき,2016年の「DOOM」に登場した「クルーシブル」も,至近距離用のエネルギー系武器として登場している。「DOOM II」以来の伝統である,扇形に多数の弾丸を放つスーパーショットガンにグラップリングフックを装備した「ミートフック」により,相手を近くに引き寄せてショットガンをお見舞いするといった戦闘も可能だ。セカンダリーで粘着爆弾を撃てるが,この爆弾は任意のタイミングで爆破させられ,これを利用してオブジェクトの背後にいる敵を爆風で吹き飛ばしたりもできる。

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 肩にマウントしているという設定の火炎放射器は,移動しながら複数の相手に放つことが可能だ。燃えている間,敵はスタン(足踏み)状態になるので,ここで弾丸を撃ち込んだりなどのコンボ技が楽しめる。敵を真っ二つにできるチェーンソーも有効で,主人公のハンパない最強っぷりが堪能できる。
 チェーンソーで叩き切れば弾丸がこぼれ落ち,火炎放射器でキルすればアーマーが補充され,「モータルコンバット」のフェイタリティを思わせる「グローリーキル」を繰り出せばヘルス回復アイテムが周囲に散らばるといった感じで,敵を倒せば倒すほど,ゲームが有利に進んでいく。グローリーキルを続けると,無敵の「Rage」モードが発動するのだ。

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 移動(トラバーサル)も進化しており,グラップルダブルジャンプウォールクライム,さらに壁から突き出した棒を使って移動するモンキーバーなどが用意されている。さすがに「アサシン クリード」や「スパイダーマン」のようなスムーズさはないが,プレイのスピードを殺すことなく高速で移動できるという印象だ。

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 試遊したデモでは前作同様,プレイヤーの進行ルートから少し離れた場所に,これみよがしなクエスチョンマークのついた地点が数多くあった。とはいえ,移動方法の追加もあってか,そこへ行くまでの難度も上がった印象で,なんとか到達しようと躍起になったものの,微妙にジャンプが届かなかったり,初見では絶対に分からないようなトラップが仕掛けられていたりして,筆者は何度もあえなく落命してしまった。うまく到達できれば「1UP」が手に入るで,プレイに十分慣れてから再挑戦してみたい。


「DOOM Eternal」の開発者インタビュー

「ビデオゲームであることに誇りを持っているのが,『DOOM Eternal』なのです」


ゲームディレクターのマーティ・ストラットン氏(右)と,クリエイティブディレクターのヒューゴ・マーティン氏(左)
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 以上が「DOOM Eternal」の試遊の模様だが,長らくオリジナル作品を超えようと苦闘してきたシリーズ作品が,いよいよ完成の域に達し,開発者の自信のようなものも感じられる仕上がりになっているというのが筆者の印象だ。
 インタビューに答えてくれたストラットン氏とマーティン氏の言葉の端々にも,そうした自信を感じることができた。

4Gamer
 2016年の「DOOM」は非常に好評だったようですが,改めてファンの評価を教えてください。

マーティ・ストラットン氏(以下,ストラットン氏)
 本当に素晴らしいものでした。自分達が納得できる仕上がりになったのでリリースしたのですが,多少の不安はありました。ありがたいことに,ファンの反応がその不安をかき消してくれましたね。YouTubeやRedditなどの書き込みでは真剣に,改善すべき点を語ってくれたり,あるいは我々を大笑いさせてくれたりなど,このブランドをとても愛してくれている様子が伝わってきました。25年以上の長い歴史を持つシリーズだけに,これ以上のファンコミュニティは望めないと常に感謝しています。

4Gamer
 そんな「DOOM」から3年が経過して,「DOOM Eternal」がリリースされるわけですが,「DOOM 2」にしなかったところに,id Softwareの意志のようなものが感じられます。「エターナル」(永遠)とは,どのような意味なのでしょうか。

ヒューゴ・マーティン氏(以下,マーティン氏)
 簡単に言って,ドゥームスレイヤーの“永遠の闘争”を表現したものです。ですが,ただのメタファーではなく,長い伝統を持つブランドであることも意味しているのは,お分かりになるでしょう?

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4Gamer
 DOOMは永遠なり,ですね。「DOOM Eternal」を開発するうえで,前作のファンのフィードバックはどのような役割を果たしましたか。

マーティン氏
 言うまでもなくファンのさまざまな意見は参考にしていますが,クリエイティブな部分で最終的な判断を下すのは我々です。そうした創造性の自由は維持したいですから,我々の考えたDOOMがまず基本になっています。そのうえでファンの意見を参考にした部分といえば,アリーナ(中ボスや多くのデーモンと対戦する,アリーナ状の場所)が登場して以降,繰り返しが多かった前作の反省から,今回は後半部分を特に入念に制作しました。戦闘だけでなく,レベルデザインも飽きが来ないように工夫しています。

4Gamer
 公開されたトレイラーを見る限り,地獄だけではなく天界のような,シリーズ従来作では見慣れない場所やクリーチャーも数多くいるようです。

ストラットン氏
 前作の後半で,AIに割けるリソースがなくなってしまったのは事実です。具体的なことはまだ発表していませんが,「DOOM Eternal」の第3章では,常に新しいクリーチャーと対峙していくことになるはずで,ゲームを開始したときと同じくらい,新鮮なチャレンジを与えてくれるでしょう。

あまり地獄に見えない風景だが,ストラットン氏の語る“第3章”と関係があるのだろうか
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4Gamer
 それは大きな情報ですね。ところで移動関係もかなり進化した印象ですが,そのようにした理由を教えてもらえますか。

マーティン氏
 簡単に説明すれば,アリーナ以外のエリアを楽しくするためです。プレイすればお気づきになるように,今回は高低差のあるマップデザインになっていますが,これにより,アリーナ以外の戦闘エリアをより興味深いものにすると共に,シークレットの場所をより複雑かつ挑戦的にすることができたと思います。もちろん,スピーディなアクションが中心であることに変わりはありませんが,プレイのペースにもバラエティを持たせることができたのではないでしょうか。

 今回の試遊では紹介していませんが,ある程度ゲームを進めた時点で,インタラクトが可能なオブジェクトが3タイプ,登場します。我々開発チームの間では,シュータブル(撃てる),プッシャブル(押せる),そしてパンチャブル(パンチできる)と呼んでいるのですが,こうした破壊可能なオブジェクトが登場することで,さらにマップの広がりが感じられるはずです。

4Gamer
 それも目新しい点ですね。パズル,と形容していいのでしょうか。

マーティン氏
 うーん,パズルかも知れませんが,DOOMシリーズであることは崩さないように心がけています。常にアグレッシブにプレイすることが解決への道,というシステムですから,プレイヤーが戸惑うようなことはしません。3つの破壊を組み合わせると面白いことができるな,と感じてほしいですね。

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4Gamer
 なるほど。今の話を含めて,シークレットの存在やチェーンソーなどの特殊攻撃でバラバラとアイテムが落ちてくることなど,グラフィックスのレベルは非常に現代的ですが,クラシカルなゲームっぽさも残している印象です。

ストラットン氏
 そうですね。ゲームであるからこそ,ゲーム的なものを活用することに躊躇していないというべきでしょうか。要は「プレイヤーにはあまり考え込んでほしくない」ということなのです。
 人間というのは,考え込んだところでストップしてしまいます。マップを移動したり,目の前で動いているものはすべて銃撃したりして,プレイヤーに立ち止まってほしくありません。戦闘でもパズルでも,アグレッシブに解決してほしいというのがシリーズの一貫した中核だと考えています。任天堂の宮本 茂さんのゲームのように,ビデオゲームであることに誇りを持っているのが「DOOM」なのです。

4Gamer
 それは非常に興味深いとらえ方ですね。話題を変えますが,非対称型のマルチプレイモードになるという,「バトルモード」について詳しく説明してもらえますか。


マーティン氏
 残念ながら,あまりお話できませんが,前作「DOOM」では,プレイヤーが一時的にデーモンになるマルチプレイモードを評価してもらえました。「バトルモード」はそれをさらに前進させたものになり,2人のプレイヤーがジェットパックを装備したレヴナントや頑丈なマンキュバスになり,1人のプレイヤーがドゥームスレイヤーになるという対戦スタイルです。さらにデーモンチームは手下のデーモン軍団を繰り出すこともできます。ドゥームスレイヤーはさまざまな武器を使い,至近距離の戦闘にも強いので,デーモン側の2人は連携する必要があり,どちら側でプレイしても非常に奥深い内容になっています。

4Gamer
 それは,ゲームバランスをとるのが難しそうです。

マーティン氏
 そうですね。対戦であれキャンペーンであれ,どんなモードでも楽しく,かつ挑戦的にプレイできるようにするのは難しいことです。バトルモードの場合,ドゥームスレイヤーの基本アビリティはキャンペーンと同じで,周囲に肉づけしていると表現できます。見ているだけでも面白いですし,少なくともテストの段階では「負けても楽しかった」と思える対戦になっています。

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4Gamer
 マッチの構成は,どうなっているんでしょうか。トーナメントのような形式でプレイするのは難しそうですが。

ストラットン氏
 詳細については続報を楽しみにしてください。と言っても,そう長く待つ必要はないかもしれませんが(笑)。

4Gamer
 8月に予定されている「QuakeCon」,いや「DOOMCon」で詳しい情報が発表されるのですか。

ストラットン氏
 正式名称は,「QuakeCon」のままですよ。Bethesda Softworksのプレスカンファレンスで発表した「DOOMCon」というのは,イベント内イベントのようなものです。昨年(2018年)12月で25周年を迎えた「DOOM」シリーズですが,1994年の「Doom II: Hell on Earth」からちょうど25年,さらに,2004年の「DOOM 3」からは15年になるなど,シリーズは節目の年を迎えています。これまでDOOMを愛してくれたファンのためにも,お祝いをしたいと思っているのです。

4Gamer
 分かりました。本日はどうも,ありがとうございました。

 「DOOM Eternal」の発売は,11月22日が予定されており,対応機種はPC(SteamおよびBethesda.net)とPlayStation 4,Xbox One,Nintendo Switchとなっている。さらに,サービス開始の時期は明らかではないものの,Googleのクラウドゲームサービス「Stadia」でもプレイが可能だ。DOOMらしさを崩さない王道FPSであり,FPSジャンルに新たな標準を打ち立てそうな予感も漂う本作については,今後も新情報を楽しみにしていたい。

新たにアナウンスされた「DOOM Eternal: Collector’s Edition」には,なんと被れるドゥームスレイヤーのヘルメットが同梱される。欲しい!
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