企画記事
「ブルプロ」最後に魚を1000匹釣って,マグナカツオにリベンジした
2023年6月14日のリリースから数えて,548日間の提供となった。
2019年,ブルプロがお披露目されたとき,世のゲーマーたちは革新的かつ美麗なアニメ調グラフィックスに大いに注目した。ローンチはそれから4年後のこと。「ブルプロはこれからだ!」と期待に胸を膨らませたのは,開発陣だけでなく,我々も同じだっただろう。
多くの期待を背負って歩んでいたブルプロが,己の進退を決断したのは2024年8月末のことだ。1周年記念の超大型アップデート「Beyond」により,ゲーム性がハクスラ方面に方向転換された直後。「ブルプロはどんどん改善されて,いいゲームになっていくのだろうな」と思っていた矢先に,突然の余命宣告。これにはとても驚いた。
皮肉にも,このときが「ブルプロが最も注目された瞬間」だったように思えたのは,潜在的な関心が大きかったことの証左であろう。
こうしてサ終を迎えるにあたり,私にはブルプロで,惑星レグナスでやり残していたことがあった。それは,高難度ミッションをクリアすることでもなく,カワイイ自キャラを撮り尽くすことでもない。
最も希少な魚「マグナカツオ」を釣り上げることだ。
というのも,私は1周年のときに掲載した「釣りしながらブルプロの1年を振り返る記事」で,「来年は(1周年時に釣れなかった)マグナカツオにリベンジする!」と宣言していた。しかし,当の2周年がなくなってしまった。なので,私もブルプロのように方向転換した。
「サ終までに魚を1000匹釣って,マグナカツオを獲ってやる!」と。
「BLUE PROTOCOL」は今日で1周年! 急に釣りしながら“この1年のブルプロの変遷”を振り返ってみた
「BLUE PROTOCOL」が1周年! 特設サイトが準備されちゃったり,ローズオーブが配られちゃったり,すっかり記念ムードのなか,ゆっくり釣りでもしながら“この1年でどう変わってきたのか”振り返っていこうじゃないか。
本稿は,サ終日というセンチメンタルな日に,ブルプロのイイ思い出を語るでもなく,「終わらないで!」と声を上げるわけでもなく,ただただ配信初日に,数々のチュートリアルクエストをほったらかし,ひとり釣りをしていた自分への,自分のためだけのアンサーである。
僕はおまえに会いたいだけなんだ」
これは,私の人生で最初で最後の“終活釣り日誌”だ。
ブルプロの釣りって,なんのためにあったんだろ
そもそも,ブルプロにおける釣りは,冒険者の街「アステルリーズ」の釣りスポットで行えるミニゲームの1つだった。
釣りには竿・リールなどのフィッシングギアや,生き餌・疑似餌などを選んで使いこなすような深いゲーム性はない。竿を振り,仕掛けを海に落とし,「!」マークが出たらフッキングして釣りバトルに突入。テンション(糸の張り)に気をつけながら,魚影のある方向に竿を倒し,逃げられないよう慎重にリールを巻いていけば釣り上げ成功となる。
ある意味,往年のオンラインゲームでよく見られた,「とりあえずコンテンツとして入れといた釣りゲーム」の類型である。
一応,釣った魚は「売却専用アイテム」のため,金策に用いることはできた。けれど稼ぎ効率が最悪なうえ,釣り中も操作が多いため,ゲーム内チャットですら利用しづらい(今どきはボイスチャットが主流だろうが,古くからのMMOファンはいまだにテキストチャットを愛するため)。
称号などのアチーブメント要素はあるが,ゲーム的なメリットはほぼなし。完全に“暇を持て余した物好きの遊び場”である。
※なお,釣ったアイテムは「生活コンテンツなどで用途を増やす」予定だったそうだが,その前にブルプロの旅は終わりを迎えた
釣れる魚は「アステルコアジ」「クジャクカサゴ」「アオゾラスズメダイ」「タイリクシマフグ」「レグナスアンコウ」「マグナカツオ」の6種と,これらのコンパチ(名称違いの大型サイズ)だ。
なかでも最上級に希少なマグナカツオは,釣れる確率が“0.1%”などとウワサされるほど,まさに幻の1匹だった。
そんなマグナカツオを釣るとしても,闇雲に0.1%の奇跡を追えば虚無に至ること間違いなしだった。そのため,約3か月前に“1000匹釣り”のルールを思いついた。「毎日ログインついでに10匹ほど釣れば,確率的にちょうどマグナカツオが釣れるだろう」という見立てだ。担当編集には「前世でどんな罪業を背負ったの?」と気味悪がられた。
ちなみに「もしも釣れる確率が0.1%なら,1000匹釣っても釣れる確率は60%ぐらいしかないんじゃ?」なんて知的な物言いは禁句だ。私の腕であれば,0.1%を1000回やれば100%なのである。
これは釣り中の良きオトモとなってくれた学マスのガシャで導き出した,私だけが知る必勝の方程式だ。
釣り糸垂らして2か月。マグナカツオは影もなく
終活釣りをスタートしてから2か月ほど経ち,肌寒い空っ風がアステルリーズを冬の装いに変えていたころのこと。
私は「1000匹も釣らなくても,すぐに釣れちゃって,うへへラッキー,みたいになるだろう」と甘い予測を持っていた。
だが,釣った魚は気付けば700匹を超えていた。そこまでの道のりをレポートするにも,魚は6種類しかいないようなものなのだ。いかに色気のない釣果報告となるかは容易に想像できるだろう。
おかげで思考も非常にマズかった。当時は「なんで最高レアの魚がマグロじゃなくてカツオなんだろ」とか,「カツオよりタイのほうが好きなんだよな」とか,どうでもいいことばかり考えていた。もっとやる気を出せと思うなら,キミも700匹釣ってみよう。“たどり着く”ぞ。
とはいえ,確率は収束するものだ。
方程式を信じて,釣りを毎日続けた。
その副産物というわけではないが,ブルプロではサービス終了の発表後に,有償通貨のローズオーブやガシャチケットが大量に配られてきた。おかげで,サービス中はかなわなかった大盤振る舞いができて,たくさんの服を確保することで,着せ替えがとても楽しくなった。
なぜ冒険者たちはブルプロで釣りをするのか
ブルプロの釣りは(PC版の場合)[A][D]キーで竿を操作し,[左クリック]でリールを巻く。この操作の都合上,基本的に両手を使う必要がある(※)。もちろん,竿の操作には画面を見ている必要があるため,ほかの作業をしながら,なんてことも基本はできない。
釣りアクションとしては深みのないゲーム性に,お手軽な釣りコンテンツとしても劣悪な操作性は,さすがに評価しづらかった。
※私は[Shift]キーに左クリックを割り当てて,釣りのミニゲームを片手でプレイできるようにしていた。だが,釣り上げ後に表示される「釣りを続ける」ボタンをクリックしないと次の釣りに移行できないため,釣り終わったあとにいちいちマウス操作する必要があった
そんな仕様だったのだが,ブルプロには意外と釣り人が多かった。私が釣りスポットに行くと,だいたい1人以上の先客がいた。
彼らはなんのために釣りをしていたのか。それは分からない。釣りはゲームのメインコンテンツとは完全に切り離されているため,普通にストーリー攻略や強化育成を進めていると縁もまったくない。
ゆえに彼らは,シンプルに釣りをしたかったのだと思う。
一方で「ブルプロの釣りはなんとなく楽しい」という気持ちは,実は分かる。先ほど書いたように,ゲーム的な恩恵も,操作的な気楽さも,特別なおもしろさもあったわけではないが,愛を詰め込んで生み出した自キャラが,レグナスで生活している感覚が心地よく,楽しかった。
ブルプロはオンラインアクションRPGで,アピールポイントもストーリーとアクションバトルだ。しかし,根本にある最大のウリは,革新を目指してこだわり抜かれた“アニメ調グラフィックス”である。
だからというのもおかしな話だが,私がプレイヤーとしてブルプロに一番熱量を注いだのは,遊びの目玉コンテンツではなく,写真撮影やキャラクタークリエイトのような非戦闘コンテンツだった。
開発陣のこだわりが詰まった世界で,こちらもこだわりを詰め込んだ自キャラを動かす。ときには他者と時間をともにして,写真を撮ったり,釣りに勤しんだりする。レグナスという世界で,そこにいる誰かと薄いつながりを感じながら“生きる”。それが私のブルプロだった。
ゆえに,釣りをしていた人たちもここで生きていたのだろう。世界の命運も追わず,戦って強くなることもせず,桟橋に集まっては釣りをしていた僕らもまた,惑星レグナスで生きていた。
ついに1000匹達成。マグナカツオは――
2024年の年末,最後に釣ったのはスズメダイだった。私はブルプロのおかげで,スズメダイという魚が大好きになった。
それから2025年の年始。私は三が日も真面目に釣りをしていて,ついに釣果が1000匹を超えた。結末は予想できていた。
マグナカツオはついぞ釣れることはなかった。たぶん,私のIDはマグナカツオが釣れない設定だったのだろう(そんなわけはない)。
「……1000匹がダメでも,1001匹目でなにかが変わるかも」
そう思って1匹多めに釣ったが,普通にフグだった。
最終的な釣果は,コアジ×299,マアジ×125,カサゴ×158,オオカサゴ×59,スズメダイ×154,オオスズメダイ×58,アンコウ×68,オオアンコウ×20,シマフグ×49,オオシマフグ×11の計1001匹だ。
釣りの最高レアが「マグロ」だったら,あと1000匹くらい追加で釣ろうと思えた。でもカツオなので1000匹で終わっておくことにした。
本音を言えば,めちゃくちゃ悔しい。だがタイムリミットだ。ブルプロはもう,のんきな釣り人を歓迎できるほどの時間を残していない。
それにだ。苦笑しながら「釣れずに終える」というのも,釣りの醍醐味である。だから,残念でもここで,終活を終わりにした。
思い返すと,ブルプロには「どうしてそっちを深掘りしたの……?」と思うような,あらぬ方向へのこだわりを感じることもあった。それよりも改善してほしいUIがたくさんあった。だから結果も納得した。
けれども,ブルプロならではの魅力があったのは確かだ。私は数々のオンラインゲームを転々としてきたタイプだが,これまで通ってきた作品たちと同じく,ブルプロにも特別なものを感じられた。
それは初めて目にした日から変わらず,今も感じている。
ブルプロで初めて自キャラにカメラを向けたとき,「うちの子の笑顔,かわいすぎない?」と思った。あれはなかなかに衝撃的な体験だった。それからの1年半,たくさんのSSを撮ってきたものだ。
ゲームについてなんだかんだ言いながら,いろいろ楽しませてもらった日々。お別れを迎える今日もまた,感謝の言葉しかない。
ついでに「最後までマグナカツオを釣れなかった」。この心残りも,惑星レグナスとの思い出として一緒に抱えていくのだろう。
ありがとうブルプロ。
またいつか,この世界で再会できると信じて。
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(C)BANDAI NAMCO Online Inc. (C)BANDAI NAMCO Studios Inc.
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