
インタビュー
[インタビュー]「オーバーウォッチ 2」×「新機動戦記ガンダムW」コラボ,明日開幕。北米人気も高いウイングとのコラボに,開発チーム大興奮
1995年4月7日にTV放送を開始した新機動戦記ガンダムWは,今年30周年を迎えた。北米ではじめて放送されたガンダムシリーズでもあり,日本だけでなく,海外でも人気を集めている作品だ。
北米では,4月2日にオーバーウォッチ公式Xが,ガンダムシリーズ公式Xにリプライをつけていることで,ファンの間ではコラボへの伏線ではないか,とささやかれていた。
30 years of epic battles and legendary storytelling. Happy Anniversary, Gundam Wing ??
— Overwatch (@PlayOverwatch) April 1, 2025
30周年記念プロジェクトも始動しており(関連記事),1年間を通じて多くのファンに向けた企画を実施していく予定で,今回のコラボもこの一環として行われる。
コラボで登場するモビルスーツとヒーローの組み合わせは下記のとおり。
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アメリカで高い人気を誇るガンダムWは,アメリカ・カリフォルニアに拠点を置くBlizzardのスタッフたちにもかなり人気で,コラボ企画に参加したいと手を上げるスタッフが大勢いたという。
そんなコラボ開発の舞台裏について,アートディレクターのDion Rogers氏と,アソシエイト・ディレクター兼プロダクトマネージャーのAimee Dennett氏に国内メディア合同でインタビューを実施した。
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――ガンダムWの30周年にあわせて始動したコラボだと思いますが,今回の企画はバンダイナムコエンターテインメント側から持ちかけられたものでしょうか。
Aimee Dennett氏:
実は以前,バンダイとは別のIPでのコラボ経験があり,普段からこんなコラボどうかな,といった話をよくしていました。私たちが「ガンダムとコラボしてみたい」と伝えていたところ,ちょうどガンダムWの30周年が近いと教えてくれて。タイミング的にも完璧で,理想的な機会でした。
私たち開発チームは,ほぼ全員がガンダムシリーズの大ファンですから。
――ガンダムWは,アメリカで初放送されたガンダムシリーズで,絶大な人気を誇っています。コラボが決定したときの開発チームの反応は,どのようなものでしたか。
Dion Rogers氏:
アーティストに限らず,開発チーム全体がガンダムシリーズに対して,強い情熱を持っています。とくにガンダムWと聞いたときは,参加したいと手を上げる人が続出しました。
ガンダムWだけでなく,ガンダムという作品全体が,私たちのアートスタイルやストーリーテリング,文化的な感覚にも大きな影響を与えてきたので,その世界で創作できることに,皆とても興奮していました。
――ガンダムWを日本でリアルタイム視聴していた人たちは,今やいい大人という世代です。オーバーウォッチにはさまざまな年齢層がいると思いますが,今回のコラボはとくにどの世代に響くと思いますか。
Aimee Dennett氏:
私たちは,さまざまなタイプのプレイヤーに楽しんでもらえるよう,幅広いコラボを展開しています。若い世代向けの企画もあれば,ノスタルジーを感じさせる企画もあります。
ガンダムWは歴史のあるIPで,たしかに懐かしさはありますが,最終的にどの年齢層をターゲットにするかは,あまり重要にしていません。もっとも大事なのは,プレイヤーたちがゲーム内でその世界観を体験でき,自分らしさを表現できることが一番大事だと思っています。
Dion Rogers氏:
ちなみに,コラボスキンのデザインを担当したスタッフの1人は,高校時代にガンダムの同人誌を描きまくっていたほどのファンで,コラボ決定に大喜びしていました。
――今回,ガンダムWファンに向けた特別な仕掛けやメッセージなどはありますか。とくにファンに注目してほしいポイントや工夫したところがあれば教えてください。
Dion Rogers氏:
たくさん仕込んであります。開発チーム全体が本当にガンダム好きで,スキン制作のときは,実際にガンプラを購入して組み立てて,それを資料として活用しました。
リーパーの場合は,ガンダムデスサイズをベースにしています。リーパーは鎌を使いませんが,このコラボでは取り入れたいと思い,特定のアニメーションやプレイ・オブ・ザ・ゲーム(POTG)で鎌を出す,という方法で取り入れています。
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マーシーについては,はじめて全身を完全に覆い,顔が見えなくなるという,完全にロボット化したスキンです。挑戦的なデザインでしたが,ウイングガンダムゼロとの相性が抜群で,モデルを見てもらえれば納得してもらえると思います。
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Aimee Dennett氏:
ほかにも注目してほしいポイントが2つあります。1つは,ロビー背景です。バンダイを通じて,ガンプラのパッケージイラストを担当したアーティストに依頼し,オーバーウォッチ版を描いてもらいました。
もう1つは,先ほど触れたPOTGが「Endless Waltz」へのオマージュになっていることです。本編のアニメーションをできるだけ忠実に再現しているので,ぜひこれらにも注目してほしいです。
■「新機動戦記ガンダムW Endless Waltz」
TVアニメ版の続編・完結版として制作されたOVA(全3話)。主要ガンダムのデザインは一新されており,「ウイングゼロ」と言っても,人によって思い浮かべる姿が異なることもある。
――今回選ばれた4機体は,どのようにしてヒーローとの組み合わせを決定したのでしょうか。ダブルガトリングガンを使うマウガとヘビーアームズの相性は良さそうに感じますが,なぜ選ばれなかったのでしょうか。
Dion Rogers氏:
今回のコラボにあたって,アートチームだけでなく,開発チーム全体からさまざまな提案がありました。ヘビーアームズ×マウガ案も出ていたのですが,ほかのスキンと比べて何か物足りない印象になってしまいました。
一方で,エピオン×ラマットラは,変形要素も共通していて素晴らしい組み合わせでしたし,トールギス×ソルジャー76に関しては,チーム内でも,これは絶対に入れたい,という強い希望がありました。
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Aimee Dennett氏:
「マウガ」と「ヘビーアームズ」と聞いた瞬間,通訳される前に何を聞かれたかわかるほど,私たちもいろいろ考えていました。
コラボでは,「このヒーローとこのモビルスーツは,絶対に合うはず」と思っていても,実際に形にしてみると,何かがしっくりこないことがあります。トールギス×アナという案もありましたが,最終的にしっくりきたのがソルジャー76でした。
こうしたコラボに関しては,やはり試行錯誤が欠かせません。
――今回のスキンは全身が機械の体ということもあり,スキンの造形が大きく違います。制作していくうえで難しかった点はなんでしょうか。こだわりの箇所も含めて教えてください。
Aimee Dennett氏:
今回のコラボは,参加を希望するスタッフが非常に多く,開発プロセス自体がとても楽しいものになりました。
Dion Rogers氏:
開発は,バンダイとも密接に協力しながら進めました。
通常,オーバーウォッチのスキン制作では,ヒーローが別作品のキャラクターのコスプレをしている,というような設定でデザインします。しかし,今回はガンダムのかっこよさ,世界観の魅力を全面に出したかったので,いつも以上に踏み込んだ表現を目指しました。
多くのガンプラを購入して組み立てて,関節や内部構造などの資料を作成しました。ゲーム内モデルには制限があるものの,モビルスーツの見た目をできる限り正確に再現し,ヒーローの見た目をガンダムよりに仕上げています。
いつものコスプレ的なアプローチからさらに1歩進めて,モビルスーツの魅力を忠実に再現したい,という開発チームの熱意を形にする,挑戦的な開発になりました。
――高い機動力を持つトールギスと,スプリントで走るソルジャー76のイメージがとてもマッチしています。トールギスのスキン開発エピソードを,詳しく教えてください。
Dion Rogers氏:
先ほども触れましたが,アナとトールギスの組み合わせも試しました。武器が似ているので,相性良さそうに見えたのですが,うまくいきませんでした。大半のヒーローにとって,体を完全に置き換えるのは,はじめての試みだったので,多くの課題がありました。
ソルジャー76は,シルエットフォルム的に一番トールギスと近く,実際にスキンを作ってみると彼の動きや能力とも親和性が高く,かなりしっくりきました。
今回のコラボスキン制作に関しては,ソルジャー76を含め,何度も描き直しています。ガンダムの細部は豊かで,多くのパーツがあります。
一方で,オーバーウォッチはディテールが少ないというわけではありませんが,独自のスタイルと様式美があります。ガンダムの外観とオーバーウォッチのアートスタイルを融合させるのは,かなり難しい挑戦でした。
正確に再現したかったので,何度も描き,コンセプトを練り,チーム全体で確認を繰り返しながら,最適な方向性を決めていきました。そんな中で,最初に開発陣が納得のいくレベルまで描けたのが,ソルジャー76でした。
ラマットラやマーシー,リーパーにも適用すべき適切なディテールのレベルを示す指針にもなったので,とても感慨深いです。
Aimee Dennett氏:
ほかにも興味深かった点をあげると,モビルスーツのデザインは,TV版とEndless Waltz版があることです。
トールギスをはじめ,TV版とEndless Waltz版それぞれのデザインで比べてみました。どの方向性に進むにしても,4機体すべてを統一しよう,という話になり,今回のコラボではEndless Waltz版を採用しています。
――今回のガンダムコラボの人気が出て,もしガンダムコラボの第2弾があるとしたら,どのガンダムユニバースのどの作品とコラボしたいですか。個人的には,赤い彗星を彷彿とさせるD.Vaが見てみたいです。
Dion Rogers氏:
開発者10人に聞いたら,10通りの答えが返ってくるくらい,ガンダムファンはそれぞれの推し作品があります。個人的には「水星の魔女」とのコラボをやってみたいですね。もちろん,ほかにも魅力的な作品がたくさんあるので,機会があればまた挑戦したいです。
Aimee Dennett氏:
私も同じ気持ちです。ただ,私にとってガンダムWはとても特別な作品で,今回それが実現できて本当に夢のようでした。実は今回,D.Vaのデザインもいくつか試してみたんですが,うまくいかなくて見送っています。
私たちは本当にガンダムが大好きなので,もっと関わっていきたいと思っています。
「オーバーウォッチ 2」公式サイト
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