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KRAFTONがNeptuneを傘下に。親子を逆転させて相互に成長を狙う
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印刷2025/05/01 12:00

業界動向

KRAFTONがNeptuneを傘下に。親子を逆転させて相互に成長を狙う

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 ゲームをはじめ様々な事業で成果を上げて急成長したNeptuneが,Kakao Gamesを離れてKRAFTONの傘下に入った。
 4月29日,KRAFTONはKakao Gamesが保有しているNeptuneの持分39.37%全量を買収することを発表し,これによりKRAFTONはNeptuneの筆頭株主となる。Neptuneの持つ持続可能な収益基盤と,経営陣の戦略的能力などに注目したという。
 日本ではそこまで知られていないであろうNeptuneがどのような会社なのかを含め,今回の買収劇の詳細を追ってみよう。

Kakao Gamesが保有しているオレンジの部分が,青(KRAFTON)に合併される(クリックすると,Google Translateにより日本語化された画像を確認できます
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Neptuneの中心はアドテク事業


 Neptuneは,ゲーム開発とサービスなどのゲーム事業,そして広告やマーケティングなどのアドテク事業を営んでいる企業である。2012年にNHN HANGAMEの代表だったチョン・ウク代表が設立し,2016年にスペック(SPAC)上場の形でKOSDAK市場にも進出した。
 設立初期には,モバイル野球マネジメントゲーム「NEXONプロ野球マスター」やカジュアルゲーム「Friends Sacheonseong」などを発表しており,現在の主力ゲームには「LINE パズル タンタン」,そして「Real Casino」や「Top Casino」などのソーシャルカジノゲームをはじめ,開発子会社で発表した多くのゲームがある。

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 その中には,Nimble Neuronが開発したMOBAバトルロイヤルゲーム「エターナルリターン」をはじめ,NFLY STUDIOが開発したモバイルゲーム「Infinite Stairs」,TREEPLLAの「Office Cat(大富豪の猫育成ゲーム - かわいいシミュレーション)」,PLAYHARDの「ウルル傭兵団」,Prettybusyの「What in hell is bad?(地獄のどこが悪い?)」,EK Gamesの「F級勇者育成」など,日本でも知名度の高いものが多い。

Neptuneの子会社,Nimble Neuronが開発した「エターナルリターン」
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 さらに,広告収益化最適化プラットフォームである「AD(X)」および「AdPie」と,パフォーマンスマーケティング中心のデジタルマーケティングサービスである「Remake」,企業向けチャットソリューションである「KLAT」およびニュースキュレーションサービスである「News Pub」,報酬型広告オファーウォールサービスである「Point Pub」などの事業も展開している。

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 Neptuneの2024年の実績は,売上高1216億ウォン(約121億円),営業利益96億ウォン(約9億6千万円),当期純利益47億ウォン(約4億7千万円)だった。前年比で売上高は21.9%増加,営業利益は345.6%増加し,上場以来最大の年間営業利益記録を更新し,純利益がついに黒字転換に成功した。
 2022年に売上高294億ウォン(約29億円),営業損失286億ウォン(約28億円),当期純損失1705億ウォン(約170億円)を記録したのと比較すると,2年で飛躍的な成長を遂げたことになる。

 最も多くの売上を上げたのは,ゲームだ。カジュアルゲーム部門は745億ウォン(約74億円)で前年比18.2%上昇し,カジュアル以外のゲームは263億ウォン(約26億円)で前年比71.9%上昇している。
 このうち,カジュアルゲームの海外売上高は626億ウォン(約62億円)で前年比32.5%の増加で,カジュアル以外のゲームの海外売上高は,90億ウォン(約9億円)で前年比47%増加している。
 一方でアドテク事業の売上高は,179億ウォン(約17億8千万円)で前年比4.2%の減少だ。ゲーム事業と比較すると若干減少したものの,「Remake」の広告取引額が35.8%増加し,「KLAT」の売上が58.7%増加した。広告市場全体が低迷していることを考慮すると,目立つ成果だといえる。

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 Neptuneは,今年もこの路線を継続する計画だ。このため,グローバルで3000万ダウンロードを記録した「ペンギンの島」と,グローバル累計売上1000億ウォン(約100億円)を突破した「SOULS」を開発したFANTOMEを買収し,競争力の強化に乗り出している。

 それ以外にも,複数の新作を発表する計画だ。最近,韓国市場で多くの注目を集めているサブカルチャーゲームジャンルに進出するため,LEIYAN GAMEが開発した美少女収集型RPG「Anchor Panic(アンカーパニック)」を4月24日に発売した。
 その他,TREEPLLAの新作とパブリッシングゲームを順次発表する予定で,2024年12月に中国出版版号を取得した「Eternal Return(エターナルリターン)」の,年内中国ローンチを目指している。

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Kakao Gamesが持っていたが,経営効率化のために持分を売却


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 Neptuneの最大株主は,Kakao Gamesだった。
 2017年にKakao Gamesは,Kakao成長分かち合いゲームファンドと共同でNeptuneに100億ウォン規模の投資を行い,財務的に最初の縁を結んだ。Neptuneが開発するモバイルゲームを,Kakao Gameプラットフォームを通じてサービスするために行ったものだ。
 その後もKakao Gamesは,Neptuneに転換社債を購入するなどの方法で追加投資を続け,2020年12月には1935億ウォン(約193億円)規模の増資に参加,Neptuneの持分31.66%を確保し,ここで最大株主になった。Kakao Gamesの単一投資としては,過去最大規模だ。

 当時Kakao Gamesは,Neptuneとの戦略的事業提携強化,新規ゲーム開発協力,そしてAIとeスポーツなど関連産業投資を通じて事業の多角化を模索すると明らかにした。
 その一環として,メタバースゲーム開発会社であるHAEGINにNeptuneが300億ウォン,Kakao Gamesが100億ウォンなど,合計400億ウォン(約39億円)規模の戦略的投資を行ったりもしている。

 しかし最近になって,Kakao Gamesは経営効率化に取り組んでいる。運営型ゲームの売上減少と,新作の興行不振や発売遅延などにより,売上と利益が減少しているためだ。

最大株主変更を伴う株式譲受契約の開示(Neptune
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 効率化の一環として,スクリーンゴルフ事業など非収益事業に対する中断や保有持分の売却を進めてきた。今回のNeptune持分売却もその一環だ。
 Kakao Games側は,持分売却の理由について「ゲーム会社本来の競争力及び事業強化のための選択と集中基調に基づき,保有しているNeptune株式を売却する。モバイルをはじめとするPCオンライン,コンソールなど,グローバルゲーム事業の方向性にもっと焦点を当てて事業を進めていく予定」という立場を明らかにした。

 Kakao GamesがKRAFTONに売却する持分の金額は,1649億ウォン(約164億円)である。KRAFTONが従来から保有していたNeptuneの持分3.16%に,今回購入した39.37%を合わせて42.53%となり,最大株主となった。一方のKakao Gamesは,今回の売却ですぐに活用できる現金資金を確保できたというわけだ。


関係が逆転したKRAFTONとNeptuneで,どのようなシナジーが生まれるのか


 今回,KRAFTONが株式を取得することでNeptuneの筆頭株主となったが,8年前まではお互いの立場は逆だった。
 Neptuneは2017年1月にBluehole(現KRAFTON)に50億ウォン(約5億円)を投資し,包括的業務協約を締結して16万株を保有したことがある。この投資は,Blueholeが開発して2017年2月に発売した「PUBG: BATTLEGROUNDS」の成功と,それに伴うNeptuneの成長につながったというのが概ねの評価だ。
 PUBGがグローバルで大ヒットを記録したので,当時のNeptuneの時価総額も2倍以上に跳ね上がった。

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 その後,NeptuneはBluehole株の一部を香港系であるHTK INVESTMENTに売却して投資金以上のものを回収し,PUBGで成功したBlueholeは2019年にNeptuneに100億ウォンを投資して持分6.3%を確保し,相互関係をより強固にすることになる。

 ところで2017年の投資当時,NeptuneはBlueholeの時価総額を2074億ウォン(約2074億円)と評価したが,2025年現在のKRAFTONの時価総額は17兆ウォン(約1兆7千億円)を超えている。
 2024年基準でNeptuneが保有するKRAFTONの残余株式は約43万株であり,4月30日現在のKRAFTONの株価である37万ウォンで計算すると,1591億ウォン(約159億円)の価値がある。
 Neptuneを買収することで,自然と自分の株式も手に入れたことになり,結果的にKakao Gamesの持分売却価格は低く設定されていたという感じだ。

 さてKRAFTONは,今回の株式買収でNeptuneの筆頭株主となるが,買収後も現経営体制を維持する方針だ。これまで一貫した業績の流れと成長を続けているため,既存の経営陣の自律性と独立性を尊重するという方針だ。
 そして今回の買収は,ゲームラインナップの充実とアドテクの両方に比重を置いたものだという見方がある。Neptuneの保有ラインアップが大型ゲームよりカジュアルゲームに集中しているため,KRAFTONの立場では,これらのゲームは北米やヨーロッパより東南アジアはもちろん,特にインド市場に非常に適したラインアップだといえるからだ。

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 巨大なゲーム市場として脚光を浴びているインド市場で,Neptuneの高度化された広告収益化モデルを適用すれば,従来より収益性をさらに向上させることができる。特に「BATTLEGROUNDS MOBILE INDIA」の主な収益モデルがアプリ内決済と広告であるため,これらの大きな助けになるという見通しもある。
 これについてKRAFTON側は,「インドを含むグローバル市場で新しいビジネスモデルの適用を検討し,Neptuneが保有している技術及び事業経験をKRAFTONのゲームサービスに参考する案も一緒に検討する予定」と明らかにしている。
 今回のNeptune買収は,KRAFTONが目標とする「2029年までに売上高7兆ウォン(約7003億円)を達成する」という計画に大きく寄与するものとみられる。(著者:パク・サンボムザン・ヨングォン

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