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[インタビュー]「ゼンレスゾーンゼロ」は誰でも“動かしていて楽しい”を体験できる。シンガポールで行われたイベントで,コアなアクションゲーマーのプロデューサーに話を聞いた
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印刷2024/06/19 13:00

インタビュー

[インタビュー]「ゼンレスゾーンゼロ」は誰でも“動かしていて楽しい”を体験できる。シンガポールで行われたイベントで,コアなアクションゲーマーのプロデューサーに話を聞いた

 「原神」「崩壊:スターレイル」などで,近年大きなヒットを飛ばしているHoYoverse。その最新作となる都市ファンタジーアクションRPG「ゼンレスゾーンゼロ」PC / PS5 / iOS / Android。以下,ZZZ)が,2024年7月4日にグローバルで正式リリースとなる。すでに4000万人の事前登録者数を突破しているとのことで,世界的な注目度の高さがうかがえる。

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 そんなZZZのメディア向けイベントが,6月17,18日にシンガポールで行われた。各国のメディアを招待して行われたこのイベントでは,最新ビルドの試遊や,プロデューサーインタビューなどが実施された。メディア向けとはいえ,HoYoverseがこうしたイベントを一か所で開催するのは,かなり珍しい。

とりあえずシンガポールっぽい写真ということで,マーライオン公園。イベント会場は近くのホテルだった
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会場の様子
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 「ZZZの舞台なわけではなさそうなのに,なぜシンガポール?」と思うかもしれないが,HoYoverseは世界中のプレイヤーをサポートするために,シンガポール,モントリオール,ロサンゼルス,東京,ソウルにオフィスを構えている。

 そもそも,HoYoverseはブランド名であり,ブランド下にあるプロダクツのパブリッシングを担当している会社は中国のmiHoYoではなく,シンガポールのCOGNOSPHEREという扱いだったりするので,無縁な地どころか,ある意味で本拠地だ。イベントでは,シンガポールオフィスのツアーも行われたので,写真を掲載しておこう。

シンガポールオフィスの入口。実は,4Gamer読者ならおなじみ,ゲーマー向けデバイスのRazerの本拠地と同じビルだったりする。今回の趣旨とズレるので映していないが,入口の隣にRazer製品の展示コーナーがあって,「HoYoverseここなの!?」とびっくり
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天井に配置された「HoYoverse」の形のライトが特徴的な受付部分。さまざまなグッズや受賞の証も置いてある
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筆者は東京オフィスや上海のmiHoYoにもお邪魔したことがあるのだが,シンガポールオフィスにしかない面白い展示なのが,ブロックで作られた巨大パイモン。すごい再現度だが,きっと旅人よりデカい
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 さて,イベントでは,あらためてHoYoverseの紹介も行われた。「HoYoverseはゲーム会社ではありません」という,意外な一言から始まった説明によれば,同ブランドが目指しているのは「没入感ある仮想世界体験を提供すること」実は公式サイトでも明言している)であり,そのためのコンテンツはゲームに限らない。

 例えば,HoYoverseタイトルを追っている人であれば,傘下の音楽スタジオであるHOYO-MiXは,ゲーム内サウンドの制作だけでなく,オフライン/オンラインでのさまざまな音楽イベントを展開していることはご存じだろうし,HoYoLABは公式のコミュニティ製品として,多くのユーザーを抱えているといった具合だ。

世界中から集ったメディアを迎える,HoYoverseのグローバルPR責任者(左)とグローバルビジネス統括(右)
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 では,そんなHoYoverseによる新たな仮想世界体験であるZZZは,どういったものになるのか。本作のプロデューサーである李 振宇(リ・ジェンユー)氏が紹介した。

ZZZのプロデューサー李 振宇氏
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 ZZZの開発チームが立ち上がったのは,2020年のこと。開発当初,アクションゲームが大好きな李氏は,「アクションゲームは,慣れていない人が『難しいもの』としてラベルをつけてしまうような,参入ハードルの高さがある」ことを問題と捉えていたという。一方で,慣れた人にとっては,「高い難度や,革新的な要素がないと物足りない」となってしまう,慣れていない人との差が大きなジャンルでもある。

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 ただ,李氏の考えは,そうした「慣れた意見」とは逆で,難しさややり応えではなく,幅広い人が「動かしていて楽しい」と感じられるアクションゲームを作りたい,ボタンに触れてキャラクターが反応する喜びを感じてもらいたいと思ったそうだ。

 そうした思いを込め,ZZZは「活気ある雰囲気とユニークなアートスタイル」「スリリングなアクション戦闘」「没入感のある都市生活体験」という,3つのキーフィーチャーを元に開発が進められているという。

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 会場では,李氏にインタビューを行う機会も得られた。日本メディアの合同インタビューの後,10分の個別質問の時間が設けられる形となっていたので,その内容をまとめておこう。

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――今回,李さんはプロデューサーの立場を務めるのは初めてということですが,リリース直前を迎えてどんなお気持ちでしょうか。

李 振宇氏(以下,李氏):
 開発の途中はやはりさまざまなプレッシャーを感じます。開発当初は面白いゲームが作れるかどうか,プレイヤーにとって面白いものにできるかどうかが心配でした。しかし,リリース直前の今は,別の感覚です。良いものはさらに良いものに高められると感じています。

 まずは緊張感をもってリリースさせていただき,それからもっと面白いゲームを追及していければと思います。

――ZZZの開発チームは2020年に立ち上がったそうですが,そのころのHoYoverseさんは「崩壊3rd」がサービス中,「原神」はサービス直前か直後,「崩壊:スターレイル」は開発中だったかと思います。そうしたラインナップがすでにある中で,ZZZはどういった企画として始まったのでしょうか。

李氏:
 ZZZは,会社としては,明確な計画が存在していない状態からスタートしています。魅力のあるアクションゲームを作ることに憧れていたのですが,それを実現できるような,かなりの自由を与えられて開発させてもらえたんです。

 当時は,崩壊3rdをサービスしていましたが,私としては,もっといろいろな人,幅広い層にアクションゲームを楽しんでほしいと思っていたので,これが最初から掲げている目標です。

――数度のクローズドβテストを経て,舞台となる都市の広がりを感じています。これから,都市はどのように広がっていくでしょうか。

李氏:
 リリース後のバージョンでは,クローズドβテストにはなかったイベントや新しいコンテンツが入るのですが,メインストーリーを進めていただければ,さまざまな新しい場所に行けるようになります。

 例えば,2回目のクローズドβテストで,白祇重工の工事現場のような場所が登場しましたが,ほかの陣営の特徴が見られる場所などが増えていくことになります。

――ZZZのゲーム内ゲーム,ゲームセンターのコンテンツについて,今回の試遊(※インタビュー前に最新バージョンの試遊時間が設けられていた)で「ソウルハウンド」も「スネーク・デュエル」も新要素が追加されているのを見つけました。とくにソウルハウンドには,即死ギミックが追加されていてやられました(笑)。
 ゲームセンターのコンテンツは,既存のゲームのアップデートや,新しいゲームの追加は行っていくのでしょうか。


李氏:
 我々としては,ZZZのあらゆるところ,それこそ細かいところまで進歩させたいと,常に試みています。今回,ご覧になったゲームセンターの変化も,そのひとつです。リリース後のバージョンでは,ゲームセンターのコンテンツに対しても,さまざまな点で手を入れているので,今は直接遊べるのを楽しみにしていてください。

――テストを経るごとに,ニコの胸がどんどん小さくなっているのはなぜですか。

李氏:
 バージョンを経てふさわしい形にしていますので,最終的にそれに準ずることになります。

――以前,メディア向けにいただいたZZZグッズの中に,Nintendo Switchのソフト用のケースがあったのですが,Nintendo Switchやその後継機,あるいはXboxなどでの展開予定はありませんか?

李氏:
 現時点では,すでに発表しているプラットフォームでの展開,改善に集中しています。各プラットフォームに対しては,そのプラットフォーム上での体験が優れたものになるなら,今後可能性はあるかもしれません。

――幅広い層が遊べるアクションゲームにしたいとお話しされていましたが,そのうえで強く意識したことや導入したシステムを教えてください。

李氏:
 私自身,いろいろなアクションゲームを経験してきましたが,このジャンルの問題として,初心者にとってハードルが高いということがあると思っています。楽しさを感じられるようになるまで,時間をかけて学習していく必要があります。

 これをなんとかしたくて,ZZZではプレイヤーにとって魅力的な要素を細かく分けて,ゲームの早期で体験できるようにすることを意識しています。すぐに興味を持ってもらえる何かを見つけられれば,自ずと学習してもらえますから。

 よく,アクションゲームで「操作が簡単だから面白くない」「奥深さがない」という意見がありますが,我々の理念は逆です。ゲームの遊び方,基本となる部分は把握しやすいものにするべきですし,それを覚えるまでは,複雑なものを提供してはならないと考えています。

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4Gamer:
 もともとアクションゲームが好きで,難しいゲームよりも動かしていて楽しいゲームが作りたかったということですが,李さんが影響を受けたアクションゲームや,好きなタイトルはなんでしょう?

李氏:
 好きなものがいっぱいあって,一番を決めるは難しいんですが(笑)。「デビルメイクライ」シリーズ,「モンスターハンター」シリーズ,「ストリートファイター」シリーズ……ソウルライクも好きですし,ヴァニラウェアの「オーディンスフィア」や「ドラゴンズクラウン」も……。

4Gamer:
 横スクロールから死にゲーまで,本当に幅広く遊ばれていますね。それだけ遊んでいる李さんとしては,「動かしていて楽しい」アクションゲームとはどんなものだとお考えですか。

李氏:
 私としては,今あげたタイトルはどれも楽しい! となるんですが,この感覚は,人によって相当異なると思うんです。私はハードコアなプレイヤーですから,新しいアクションを遊んでも,すぐに楽しめるようになりますが,そういう人ばかりではないですよね。
 ですから,「動かしていて楽しい」ゲームは,遊びやすいゲーム,一般のプレイヤーの学習する速度をちゃんと考えているゲームだと思います。

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4Gamer:
 なるほど。次の質問はZZZの最大のウリはどこだとお考えですか,と思っていたのですが,そういうことでしたら,やはり先ほどお話しされていたプレイのハードルの低さになるのでしょうか。

李氏:
 あえてウリとするなら,ハードルが低いというよりは,「ハードルを徐々に上げていく曲線の作り方」でしょうか。

4Gamer:
 作り方というと?

李氏:
 プレイヤーがゼロからZZZを始めるとして,「ここまで遊ばないとゲームを続けてくれない点」があると思うんです。

4Gamer:
 途中で飽きて脱落してしまう的な。

李氏:
 はい。ですから,我々としてはその点までの間で,何かポジティブな感情を絶対に与えないといけません。そして,この点まで来た人には,今度はまた別のハードルが必要になります。

 例えば,キャラクターを動かして攻撃する気持ちよさを覚えたとしましょう。それなら,次は敵の攻撃への対応を覚えるというハードルを用意します。ZZZの場合,敵の攻撃を回避するにしても,いくつかの選択肢があります。普通に避けるだけでなく,「極限回避」(ジャスト回避)を狙うのか,あるいは「極限支援」(攻撃を食らうときにキャラ交代を押すと発動し,交代キャラに応じた効果が発生)を狙うのか。学習する余地があるんです。

 我々は,こうした徐々に越えられるハードルを用意して,プレイヤーが自信を持てるようにすることが大事だと考えていて,この体験を実現できるようこだわって作っています。

4Gamer:
 アピールするところが面白いですね。もっと直球で魅力的な部分は,ZZZにはいろいろとあると思うんですよ。
 個人的にとくに感心したのが連携まわり,キャラクター交代を軸にした作りです。ガチャでキャラクターを引くゲームな以上,アクションゲームとして各キャラクターが活躍できないと成立しないわけじゃないですか。それを,連携でいろいろなキャラクターを必然的に使うようなっていて,しかも交代まわりのシステムをうまく決められると有利だし,気持ちがいい。

李氏:
 キャラクターももちろん大事な要素なんですけど,結局のところ,全部つながっているんですよ。「ここまで遊ばないとゲームを続けてくれない点」までの間に,興味を持ってもらえるポイントは人それぞれです。キャラクターが好き,演出が好き,音楽が好き……いろいろな魅力を散りばめることで,ハードルを越えてもらえて,我々の作りたい曲線がうまくいくんです。だから,やはり一番のウリはこの曲線になるのかなと。

4Gamer:
 サービス後にじっくり体験するのを楽しみにしています。ありがとうございました。

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