
インタビュー
[インタビュー]「ジージェネエターナル」の大・快進撃。“ここまで”とは思ってなかった反響と,半周年の話を小島省吾氏に聞く
斬り捨てる選択肢はなかった
4Gamer:
ユニットの「開発」システムは理想通りにできましたか。
小島氏:
そこも最初の難題でしたね。本作の開発でも最初はボールからはじまり,最後にユニコーンガンダムに到達する,といった楽しみ方で開発関係を構築しようと検討しておりました。
ですがそうなると,作品の実装スケジュールもコンテンツの遊びやすさも,すべて担保するのが難しかったんです。
そこで開発経路図を作品ごとに切り分けたことで,ジージェネエターナルの運用面もより明確化されました。
4Gamer:
今気付きましたが,家庭用版のように「作品の垣根を越えた地続きの開発図」だと,考えるべきことが膨大になるんですね。
小島氏:
そうなんですよ。だから作品ごとに区切ったわけですね。
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4Gamer:
機体のパラメータも,例えば初代Gジェネでは2桁の値で表していて,シリーズを重ねるごとに桁数が増えていきました。私はいまだに「(LVをすこし上げた)ザクのHPが5桁」なのを見ると,うおっと思ってしまうオールドタイプですが,数値面のバランスはどう考えましたか。
小島氏:
桁数についてはゲーム的な事情が強いのですが,運営型であるジージェネエターナルでは基本,4桁〜5桁で提示するのがいいだろうと考えました。数値が与える印象と分かりやすさのバランス的にです。
4Gamer:
それと開発経路図についても。この図面を作るお仕事は,開発チーム内で一番楽しそうな業務に思えますが,どうなんでしょう。
小島氏:
そうですね。いや,そうでもないかもしれませんが(笑)。
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4Gamer:
なんて話は置いといて,従来作品では開発先が前後1つずつしか見えませんでした。そこにすべての図を導入した意図はなんでしょう。
小島氏:
当時,「これまでのジージェネよりも分かりやすく,見栄えもする開発図にしたい」と考えたからです。UI/UXとしても,直感的に分かりやすい樹形図ができたと思っています。
4Gamer:
また,ジージェネでは「開発先の数と幅をどこまで広げるか,あるいはせばめるか」が印象の決め手になるかと思います。
一例としては,「機動戦士ガンダム」ならMSV(モビルスーツバリエーション)を,「機動戦士Zガンダム」ならAOZ(ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに)を組み込むかどうか,などですね。
その点,本作ではなるべく作品の本筋で縛ろうとしているのが見て取れますが,どこまで網羅するかは議題に挙がりましたか?
小島氏:
それで言うと,「できる限りカバーしたい」の考えでした。ただ,すべてを入れ込んでしまうと,どうしてもバランスであったり,遊びの体感であったりで,よくない状態の懸念が生まれました。
また,制作スケジュールとしても隅から隅まで網羅するには厳しい部分があり,現在の開発経路図になっております。
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4Gamer:
派生作品も網羅すると,リリース時にハテナ顔を浮かべさせた「ル・シーニュ」(マンガ「機動戦士ガンダム エコール・デュ・シエル 天空の学校」の後半主役機)のように,知らないMSが爆増しますしね。
まあ,そうやって学ぶのもまたジージェネの醍醐味ですが。
小島氏:
あと,先ほど言ったように開発素材も関係します。開発経路図を広げるごとに,ゲーム内リソースの要求量が増えてしまうので。
4Gamer:
ああ。無限に隙間が生まれゆく1年戦争の派生をすべて取り入れたら,初代ガンダムの開発経路図は世界地図みたいになりそうな。
小島氏:
なので,そこも踏まえた形になっております。
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4Gamer:
遊び方についての自語りですが,私はジージェネを「図鑑を埋める遊び」と捉えているクチなんです。
だから従来作品では時系列に沿いいつも毎ステージ,部隊中の機体のレベルアップをきちんと調整して,開発と設計を進めまくって,とにかく図鑑の穴埋めを最優先とする。そうしているとシナリオを半分消化したあたりで図鑑をコンプし,そこで「ゲームクリアだ」となる。なので過去作は毎回,シナリオを半分くらい遊ばずに終えている始末です。
今回はそれをちょっとできませんが,システムにしっくりきているので遊び続けられています,というただの感想ですが。
小島氏:
分かります。僕も図鑑をコンプリートしたい派なので,そこまできっちりは詰めず,先に進めたいときは進行優先としていましたが,ジージェネでは似たような遊び方をしてきたタイプです。
皆さんのなかにもきっと,作品ごとの開発経路図をきっちり埋めてから次に進める,なんて人はいるでしょうしね。
4Gamer:
機体については,バトルアニメーションに力が入っていますよね。
小島氏:
僕らが「これはジージェネです!」と言いきるためには,絶対に完備しなければならなかったものがアニメーションでした。
本作ではクロスレイズの演出を流用させてもらっているものもありますが,URユニットのEX武装は完全新規で制作しています。
ここに関しては,プロジェクトの起案当初から手を抜くつもりはなく,コスト的に斬り捨てる選択肢もまったく考えなかったです。
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4Gamer:
EX武装は単一の武器のみならず,原作再現も取り入れていて,ある意味“スパロボ的な必殺技演出”に見えるのがいいですよね。
小島氏:
ありがとうございます。ただ,今回は従来作品と比較すると「敵機攻撃時はアニメーションなし」の仕様にしています。これはものすごく議論を重ねましたが,スマホで快適に遊んでもらうためには省略させていただくべきだろう,という結論になったからです。
そのぶん,自部隊の攻撃時に全力投入しているんです。
4Gamer:
ちなみに,アプリのクライアントデータの大半はアニメーションデータが占めていますが,今後も膨れていく一方で?
小島氏:
そこは申し訳ないのですが,膨れていく一方です。
一応,各所でお伝えしているとおり,本作ではオプション画面でアニメーションデータを削除できるようにしています。皆さん,端末の容量にはそれぞれのご事情があるかと思いますので,この機能をご活用いただきつつ,うまいことをお付き合いいただければ幸いです。
ストーリーイベントは常設化を検討
4Gamer:
お次はゲーム内イベントの話です。
まず,本作では「ストーリーイベント」が最も反響が大きそうですが,こちらの制作方針はどのようなものでしょう。
小島氏:
ストーリーイベントでは,まず原作の物語を楽しんでもらい,そのうえでゲームを有利に進められる報酬を用意しようと考えました。ですが,期間限定という縛り以外では,メインステージと大きな違いはありません。むしろ,メインステージと同じ力の入れ具合でやっています。
ストーリーも開発経路図も報酬用のコンテンツも,メインステージとは優劣をつけず,同じ熱量で作ってきました。
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4Gamer:
原作BGMも付きだして,臨場感がだいぶ高まりましたよね。
小島氏:
あれはもう関係各所に「どうにかできませんか!」と相談しまくって,どうにか搭載させていただけるようになりました。
4Gamer:
現状は(7月28日時点)「機動戦士ガンダムSEED ASTRAY」「機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY」「機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY」,そして8月に「SDガンダム外伝 ジークジオン編 ラクロアの勇者」のストーリーイベントが提供されます。
これらイベント提供枠に選ばれた作品は,メインステージ化もしくは恒常コンテンツ化される可能性はあるのでしょうか。
※本日2025年9月16日より,新たなストーリーイベント「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 月鋼」も開催
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小島氏:
現在,ストーリーイベントの常設化を検討中です。ガンダム大図鑑を名乗るうえで,触れられない作品があるのはよくないので,まずは運営型ゲームとして期間限定でやる。そのあとは常設化とするつもりです。
4Gamer:
ほかのイベント類だと「強敵襲来」「マップイベント」,そして近日開催の「ジェネレーションタワー」があります。そしてこれらには,テーマを提示するような“イベント機体”が設定されています。
例えば強敵襲来は,重箱の隅を突くようなラインナップですよね? マップイベントのほうは初回開催で「カトルとウィングゼロ」の組み合わせを提示し,「原作でこういう組み合わせあったよね」を見せる方向性に思えましたが。これらの選出基準はなんでしょう。
小島氏:
まず強敵襲来では,作品単体ではまだ実装が難しいものであったり,シナリオとしては入っていない作品の機体であったりを入れる形で選出しております。
マップイベントやジェネレーションタワーは,イベント機体というよりもゲーム的な遊びに重きを置いていくため,いずれも法則を設けているわけではなく,個々に選出したものと言えます。
どれもイベント自体にはブラッシュアップが必要ですが,今後も皆さんにニヤリとしていただける選出をがんばって準備します。
4Gamer:
マップイベント,最終的にエネルギーの消化の仕方が分からずで。
小島氏:
そういうところですね。遊びやすさの改善も進めたいと思います。
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4Gamer:
ジェネレーションタワーは今日の時点では実施前ですが,報酬がURキャラクター「ラクス・クライン」だと発表されました。
タワーは今後,UR相当の報酬を得られる,最も高難度でおいしいイベント,などと考えていいのでしょうか。
小島氏:
必ずしも一番おいしいイベントとしていくわけではありませんが,ほかとの差別化のために,喜んでいただける報酬は用意する予定です。
ただ,報酬はキャラクターとは限りません。
4Gamer:
サポーターも期待したい。
今後はこのゲームイベント3種を回していくのが,基本の運営サイクルでしょうか。あるいは違うものも考えていきますか。
小島氏:
今のところはこの現在のイベントサイクルを構築予定です。しかし,今もまだ検討段階と言えますので,今後の状況に応じてですね。
4Gamer:
あとは「マスターリーグ」。シーズン0では熱いアンケートが届いたかと思いますが,直近のシーズン2で課題はあらかた潰せましたか。
小島氏:
はじめに,シーズン0のときはアンケートで,本当に多くの方々からご意見をいただけました。皆さんには大変感謝しています。
そのうえでシーズン1,直近でシーズン2と開催しますが,当初の大きな課題はある程度は潰せたかなと思っています。編成の偏りも減ってきて,いろんな機体を活躍させられる遊びに近づけた感触があります。
もちろん,細部を含めるとまだまだ改善点が多いため,皆さんも意見や要望があったなら,ぜひともお送りください。
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4Gamer:
編成も遊びもだいぶ改善されましたよね。初回開催ではAIの“気まぐれ手加減”に地団駄を踏みましたが。
この点,改良されたAIは「最大火力を出すように変更」されましたが,改良型AIはマスターリーグ以外のコンテンツにも適用されないのでしょうか? メインステージなどでもときおり地団駄なのですが。
小島氏:
まずはマスターリーグの遊びを優先しておりました。そのほかの改善も含めて,今しばらくお時間をいただければ助かります。
4Gamer:
あと,マスターリーグの今後の課題は「タグ」でしょうか。
今のところはバラけていて,今後もタグ自体の新設が予想されますが,タグの整理は中長期的に見通しを立てているのでしょうか。
小島氏:
もちろんです。どの機体もキャラクターも,どのタグを付けていくかは先のことまで構想し,整理したうえで提供していきます。
4Gamer:
年数が経つごとに,整理が難しくなりそうですねえ。
小島氏:
そうですね。今後はさらに苦心することになりそうです。
でも,皆さんにご満足いただくためには手を抜けない部分ですから。これからもご納得いただけるよう,綿密に調整していきます。
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