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レビュー
“圧倒的に好評”の「Rift of the NecroDancer」は,ジャンルが変わってもネクロダンサーだった。難関突破の快感を味わいやすいシステムに注目
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元となった作品は,カナダのBrace Yourself Gamesが手掛けた「Crypt of the NecroDancer」(以下,CotN)である。シンプルなインディーゲームながら300万本以上の売上を達成し,「ゼルダの伝説」とのコラボも果たした人気作品だ。
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「クリプト・オブ・ネクロダンサー」 |
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ゼルダの伝説とコラボした「ケイデンス・オブ・ハイラル:クリプト・オブ・ネクロダンサー feat. ゼルダの伝説」 |
本日配信のSwitch版「クリプト・オブ・ネクロダンサー」プレイレポート。新キャラのリーパー,Joy-Conでの“おすそわけ”でより楽しい作品に
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スパイク・チュンソフトは「クリプト・オブ・ネクロダンサー:Nintendo Switch Edition」の配信を本日(2018年2月1日)開始した。倒した敵を「ソウル」にして率いる新キャラクター「リーパー」や,Joy-Conを“おすそわけ”しての協力プレイなど,Switch版ならではの要素が詰まった本作を紹介しよう。
原作にあたるCotNは,ローグライクなダンジョン攻略とリズム要素を組み合わせた作品だったが,RotNではライン上をたどってやってくるオブジェクトに合わせてボタンを押す“いわゆるリズムゲーム”のスタイルが採用されている。
「せっかくの個性をわざわざ削っちゃうの?」と思う向きもあるかもしれないが,本作にはシリーズならではの要素がきっちりと取り入れられており,Steamレビューも圧巻の“圧倒的に好評”となっている。
果たしてCotNはどんな変化と進化を遂げて「Rift of the NecroDancer」というゲームの形が生まれたのか。本稿で掘り下げていこう。
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「Rift of the NecroDancer」公式サイト
たった3列なのに結構難しい! ビートを刻む多彩な魔物がやってくる
RotNの物語は,主人公ケイデンスが謎のリフト(裂け目)に飲み込まれるシーンからスタートする。裂け目の先には異世界――プレイヤーの目線からすれば地球――の整然とした町並みが広がっていた。
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しばらくは現地の文化に染まって生活していたケイデンスだったが,ふとした瞬間に開いたリフトからモンスターが溢れ出す場面に遭遇する。どうやら,リフトはケイデンス以外にもさまざまなものを“こちら側”に運び出しているらしい。
となれば,やることはこれまでと同じだ。ケイデンスの戦いに協力してくれる仲間を探し,リフトから出現するモンスターを撃退して,この騒動の元凶を探し出さなければならない。
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本作におけるバトルとは,すなわちリフトから溢れ出るモンスターの撃退だ。最奥にあるリフトからは3列のラインが伸びており,出現したモンスターはいずれかのラインに沿って移動してくる。手前まで到達したら攻撃できるので,位置に合わせた方向キーを押して撃退していこう。
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パッと見ではリズムゲームのノーツがモンスターに置き換わっただけに見えるかもしれないが,似ているのは見た目だけ。実際には多くの要素がCotNから引き継がれている。
まず,各ラインは複数のマスに分かれており,モンスターはマスの上をズイッズイッと1マスずつ進む形でやってくる。移動のタイミングは楽曲のビートと合致しているので“矢印と重なるタイミングでボタンを押す”というより“移動の拍に合わせてボタンを押す”という感覚に近い。
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それだけなら簡単なのだが,問題は奴らがモンスターだということ。モンスターは種別ごとに個性があり,斜めに踏み込んでくるゾンビや,1回のビートで2マス移動してくるハーピーなど,それぞれライン上で異なる動きを見せてくる。
加えて,耐久力のあるモンスターは攻撃を受けると1マス後ろに弾き飛ばされ,もう一度前へと踏み込んでくる。ノックバックの受け方もモンスターによって違い,すばしっこい「コウモリ」は弾き飛ばされた際に“斜め後ろ”に逃げるので,きちんと動きを予測しなければならない。
中盤に差し掛かると,1回のビートでボタンを2連打しないと倒せないモンスターや,ビートを半分ずらして移動してくるオフビート・モンスターなんかも出現しはじめる。これらが混ざって流れてくると,たった3ラインでもかなり歯ごたえのある難度になるのだ。
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ムズかしく見えても操作はシンプル。高そうなハードルを飛び越える爽快感
システムを理解してしばらく遊んでいると,ちょっと面白い現象が発生した。1回目のプレイでは「こんなの無理だろ!」と叫びたくなるほど難しく感じた楽曲が,2回目のプレイではスルッと攻略できてしまう,という状況が複数回起こったのだ。
この現象は,見た目における譜面の複雑さと,実際の操作の複雑さの乖離によって発生している。先述のとおりモンスターには個性があり,組み合わさると複雑な動きになるのは確かだが,それでも“素早すぎる操作”が求められることは少ない。
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モンスターが降りてくるラインは3本に限られており,そのペースもビートによって規定されているので,実際にプレイヤーが行う操作はかなりシンプルなのだ。そのため,1度でも経験して押し順を理解さえすればスルッと突破できることが多い。見た目がやたら高いハードルをピョンと飛び越えられてしまうようなもので,体感してみるとこれがかなり気持ちいい。
もちろん,中盤以降にはかなり難しい楽曲もあり,結構な回数のリトライが必要になる場面もあったが,そこまで絶望的な感覚はなかった。読み取りきれなかった部分を把握すれば突破できることが,体感で理解できるからだ。
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対処が難しい場面が1〜2か所だけであれば,発動から一定時間無敵になれる「バイブスパワー」を発動して駆け抜けるのもアリ。エフェクトをまとった敵を倒すとバイブスパワー発動に使うゲージがたまるので,そのタイミングだけミスらないように注意して操作したい。
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ストーリーモードを進めると新たな楽曲がアンロックされ,各楽曲を単体でも遊べるようになる。また,ストーリーを進行の報酬として入手できる「ダイヤ」を使えば,1曲単位でのアンロックも可能だ。収録楽曲は最初から一覧化されているので,好きな順番で遊びたい人は活用しよう。
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ありがたいのは,アンロックはチャプター区切りで行われるということだ。アンロック済みの楽曲は「練習モード」を選べるので,ストーリーの途上でなかなかクリアできない楽曲にぶつかっても自由に練習できる。パターンの習得がキモになるゲームだけあって,このあたりが柔軟に作られているのは素直に嬉しい。
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Rift of the NecroDancerは,オリジナル版の要素を“いわゆるリズムゲーム”のスタイルへと落とし込みつつ独自の進化を遂げた作品といえる。
譜面(モンスターの挙動)を読み解きさえすれば,操作自体の複雑さが小さめな本作の設計は,オリジナル版をプレイした人にとっては馴染み深く,本作で初めてシリーズに触れた人にとっては新鮮に感じられる,非常に理にかなった仕組みのように感じられた。
外伝作品らしいポップな雰囲気も魅力的かつ内容は非常にシンプルなので,シリーズを未履修でもまったく問題なく楽しめるだろう。CotNを知る人はもちろん,そうでない人も,新しいリズムゲームとして遊んでみてほしい作品だ。
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「Rift of the NecroDancer」公式サイト
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- プレイ人数:1人
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- :Rift of the NecroDancer
- コミカル
- ライター:蒼之スギウラ
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