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  • 発売日:2024/10/25
  • 価格:3000円(税込)
    ※2024年10月25日アーリーアクセス開始
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印刷2024/11/02 09:00

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新作ローグライクアクション「Windblown」は,名作「Dead Cells」から何を継承し,何を新たに生み出すのか? アーリーアクセス版から探る

 傑作「Dead Cells」を手がけたMotion Twinによる新作,「Windblown」のアーリーアクセスが2024年10月24日にスタートした。

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 本作は,最大3人のプレイヤーがフィールドを縦横無尽に駆け巡り,激しい戦いを繰り広げるローグライクアクションだ。

 主人公は,電光石火の如くダッシュできる特殊装備「パルサー」を背負い,空に浮かぶ島々を駆ける冒険者「リーパー」の1人。しかし島々は,巨大な渦「ヴォルテックス」と,そこから出現するモンスターたちによって壊滅の危機にある。主人公は,かつてヴォルテックスと戦って散ったリーパーたちの力を借り,島々を救うため死を越えて戦い続けるのだ。

空の世界は巨大な渦「ヴォルテックス」に脅かされている
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島のあちこちには,戦いに倒れた「リーパー」たちの記憶が霊魂のような形で留まっており,彼らから特殊能力「ギフト」を受け取れる
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 前述したように,本作を開発しているのは,傑作「Dead Cells」を手がけたインディーゲームデベロッパのMotion Twin。2024年8月の「Dead Cells」ファイナルアップデートから,わずか2か月での新作登場ということになった。

 「Dead Cells」は横スクロールのシングルプレイゲーム,「Windblown」は見下ろし視点でマルチプレイ対応と,見た目やゲーム性は大きく異なる。だが,両作ともにローグライクアクションであり,ゲームの面白さは「Dead Cells」から受け継いでいるようにも感じられる。

「Dead Cells」は2017年にリリースされて大ヒットし,近年のローグライクブームの立役者の1つとなった
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 「Windblown」は「継承」「新生」という2つの側面を持っているのではないか。そこで本稿では,「Windblown」のさまざまな要素について,この2つのキーワードから見ていこう。

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スピーディで爽快な移動は健在


 キャラクターの移動については,「Dead Cells」から「継承」した部分が大きい

 「Dead Cells」の特徴の1つは,スピーディな移動と,多少のズレなら調整してイメージ通りの動きをさせてくれるアシスト機能にあるが,この点は「Windblown」でも同様だ。

 まず目を引くのが,ダッシュの爽快さだろう。高速なうえ,使用後はキャラクターの移動速度がアップするため,とても軽快に移動できる。

 宙に浮く島を渡るときにもダッシュを使う。スクリーンショットでは,いわゆるジャンプアクションのように見えるので「踏み切り位置を調整する必要があって,ミスすると落ちるアレか」と思うかもしれないが,そうではない。本作ではどんなタイミングでダッシュボタンを押しても,ミスにはならないのだ。


 ゲームを進めると,ダッシュボタンを押しっぱなしにするだけでダッシュが連続発動し,スピーディに移動できる「バンガーパルサー」という能力も解禁される。浮島や段差を稲妻のように駆ける様は,正に電光石火と呼ぶに相応しい。本作では,普通にプレイしているだけで,RTA(Real Time Attack)並みの超スピードとなるのだ。

ジャンプアクションが苦手な人は見るだけで嫌になりそうな地形だが,ダッシュボタンを連打するだけで飛び移れて,落ちることはない
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ダッシュによる移動は,高低差も関係なし
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「継承」と「新生」要素が入り混じったバトル


 「Windblown」の華となるバトルでは,「継承」と「新生」が入り混じっている

 「Dead Cells」では入り組んだ地形で戦っていたが,「Windblown」は一転して広いフィールドがバトルの舞台になり,「突っ込んでくる敵の後方から,射撃型の敵が援護する」といったように,複数の敵が連携することも多い。

「Windblown」のバトルは広いフィールドで展開
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「Dead Cells」は,建物内の入り組んだ場所で戦うことが多い
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 複数の敵との戦い自体は「Dead Cells」にも存在したが,「Windblown」ではフィールドが広いうえに段差がダッシュボタン1つで突破できるため,プレイ感としては「どの敵から無力化するか」の判断に集中しやすいと感じた。

 このあたりはGDC 2019の講演において,「Dead Cells」の操作性を追求するコンセプトとして語られた「プレイヤーに挑戦してほしいところに,プレイヤーの意識を集中させたい」に通じるところがあり,Motion Twinのポリシーが感じられる。

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 2018年にリリースされた「Dead Cells」は,ローグライクでメトロイドヴァニアという異色の組み合わせを果たし,世界中のファンから「最高」という賛辞が惜しみなく送られた作品だ。ただ,開発元にとっては「最後の挑戦」であり,彼らの知見とこだわりを徹底的に詰め込んだタイトルでもある。GDC 2019で行われた開発者による講演の模様をお届けしよう。

[2019/03/25 18:01]

 また,プレイを進めれば,HPが一定の割合以下になった敵に大ダメージを与えてとどめを刺す「結晶化」のフィーチャーが解禁され,バトルのテンポはさらによくなっていく。これは「Dead Cells」でHPが15%以下になった敵が即死するパッシブスキル「無慈悲」の「継承」と言えるだろう。

HPが一定以下になった敵に「結晶化」を決めれば,ほぼトドメとなる大ダメージを与えられる
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 「Dead Cells」では,ランダムに出現する2種(+1)の武器を使い分けられるが,「Windblown」も,同じくランダムに出現する2種の武器で戦う。武器にはそのときによって変わるオプション(特殊効果)が付与されており,相性がいい組み合わせならシナジーが生まれ,高い戦果を挙げられる……というのも共通点だ。

 だが,「Dead Cells」で2つの武器のシナジーを発揮させるのは運頼みのところがあった。敵を「炎上」させる「炎の焼き印」と,炎上した敵へのダメージが上がる「油を塗った剣」のような特性を持つ武器が偶然揃うか,ランダムで付与される効果が噛み合う必要があったのだ。

「Dead Cells」の武器はランダムで出現し,オプションの効果もランダムで付与。ゲーム内通貨を払ってオプションを変えることもできるが,それも運頼み
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こちらも「Dead Cells」より。複数の武器にシナジーを組めるオプションが付けば,バトルの効率はアップする
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 「Windblown」では,2つの武器からシナジーが生まれるシステムを「継承」しているのに加え,「新生」要素である「オルターアタック」が登場。いつでもシナジーを生み出せるようになった。

 片方の武器でコンボを出し切った際,もう一方の武器で攻撃すると,特殊攻撃であるオルターアタックが発動。オルターアタックの発動中は基本的に無敵となり,さらに特殊な効果を持つものもある。ボスの攻撃をオルターアタックの無敵時間で回避しつつ,一撃をねじ込むような戦い方も可能だ。

 今にも敵の攻撃が繰り出されそうな一瞬,オルターアタックが間に合うことに賭けるか,ダッシュで逃げるか……という判断を迫られ,なかなかにスリリングなバトルが楽しめる。

オルターアタックはゲームを進めるとどんどん強化されていく。画像のシグナルが表示されたときに出せるのは,コンボを3回出し切った後に使える「大連鎖オルターアタック」
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 オルターアタックは武器ごとに異なる技が用意されている。「サシミ包丁」なら,前方に自動の斬撃が一定時間放たれ,「リズムボウガン」の場合は強力な矢を発射,「ブーメラン」は身体の周囲で刃を回転させ,「クナイ」は無数のクナイをばらまくなど,その効果は多彩だ。

 もちろん前述したように,オルターアタックは単体では使えない。もう片方の武器でコンボを出し切らなければならないという制約があると言い換えていいだろう。いくらオルターアタックが強力でも,相方となる武器のコンボが5段だの6段だのと長ければ,発動にはそれだけ時間がかかり,危険が伴う。

 そのため,武器の選択には「オルターアタックを重視するか否か」という,本作ならではの判断基準が加わる。
 例えば,スタート時に装備しているサシミ包丁は,レベルが低いうえにオプションも付与されていない貧弱な品だ。しかし攻撃アクションが素早いうえにコンボも3段で終わるため,オルターアタックを発動させるにはもってこい。オルターアタック用にサシミ包丁をキープしつつ,もう片方の武器を取り換えていくのもありだ。

「名刀オオガラス」のオルターアタックは,縦に高速回転しながら敵を切り刻む強力な攻撃。だがもう一方のコンボが長いと,出しにくくなる
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 一口にシナジーといっても,まったく別の考え方が用意されているのが面白い。そして,オルターアタックは前述した「相方となる武器のコンボを最後まで出し切る」というルールさえ理解していれば,初見の武器でも使いやすいため,シナジーに関するハードルは「Dead Cells」よりも低い。

 武器の特性やオプション効果の知識が問われる「Dead Cells」のシナジーと逆を行くのがオルターアタックであり,「継承」でありつつ「新生」とも言える。このあたりはゲームデザインの面白さと言えるだろう。

 ゲームを進めるとオルターアタックの新たな性質も解禁されていき,コンボを複数回出し切った後のオルターアタックが高火力になる「連鎖オルターアタック」「大連鎖オルターアタック」などに進化していく。

 だが,現状のアーリーアクセス版ではともかく,今後のアップデートで難度が上がりすぎると,火力を出すために逃げ回りながら武器を空振りしてオルターアタックだけを狙うような戦い方になりかねず,ゲームのテンポを悪くする必須の手間(スラングでいうところの「儀式」)になる可能性がなくもない。「Windblown」のコア部分であるだけに,慎重な調整が望まれる。


武器は変わらず面白い。今後のボリュームアップに期待


 武器については「Dead Cells」から「継承」した側面が強い。それぞれにアクションとしての手触りが違ううえ,ひとネタが仕込まれているため,アクション好きにはたまらないだろう。

 例えば「テレポートスピア」は先端を当てるとクリティカルヒットになるので,これが発動条件となったオプションや「ギフト」(成長要素の一つ。詳しくは後述)と組み合わせると効果が高い。

 アクションとしての立ち回りがローグライク要素にも影響を及ぼすゲームデザインは「Dead Cells」そのままだ。現時点での武器の種類は「Dead Cells」より少ないが,アップデートで増えていくことだろう。

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“かゆいところに手が届いた”成長システム


 「Dead Cells」では,主人公が持つ「暴虐」「戦術」「生存」という3つのパラメータを伸ばす「スクロール」がマップにランダムで配置されていた。ゲーム内に登場する武器やスキルはいずれかのパラメータに依存しており,高いほど武器の効果がアップする。

 そのため,能力値は武器選びにも直結していた。暴虐のパラメータを上げまくった後に,生存に依存する強い武器が出て,泣く泣くあきらめることもあったのだ(これもローグライクにおけるランダム要素の面白さではあるが)。

 また,成長システムとしてはパッシブスキルである「変異」もあり,こちらは最大3種を自分で選んで装備できた。

「Dead Cells」では,「スクロール」で3つの能力を伸ばしつつ(上),パッシブスキル「変異」(下)を選んで装備できた
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 「Windblown」では,「Dead Cells」のようなパラメータはなくなり,「ブースト」を手に入れると「体力」「ダメージ」「クリティカル」「攻撃速度」といった能力からランダムに3つが選ばれ,この中から1つを選んでパワーアップする仕組みに。また,どの武器を使ってもパワーアップの恩恵を受けられるようになり,武器を気軽に取り換えやすくなった。

 パッシブスキルの「ギフト」は,「Dead Cells」の「変異」を「継承」したものと言えるだろう。装備枠は4つ+1(まれに,バイオーム内のショップでその時限りの追加装備枠が売っている)まで増やすことができ,主人公の強さに直結する。中には「攻撃速度が大きくアップするが,受けるダメージが増加する」といったように,強力だが副作用のある「ヘックスギフト」も存在し,プレイがより奥深くなっている。

 また,変異が各ステージクリア後にしか手に入らず,付け替えにはゲーム内通貨が必要だったのに対し,ギフトはゲーム中頻繁に出現し,自由に取り換えることができるのも大きな違いだ。武器に応じた柔軟なセッティングが可能になり,戦略性が高まった。

全体的に,「Windblown」でのパワーアップは「Dead Cells」よりシンプルになった印象だ
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スキルシステムは継承するも,“便利なアレ”は姿を消す


 「Windblown」の主人公は,武器のほかに「秘宝」を2つ装備できる。これはランダムオプションが付与されるクールタイム制の補助装備で,「Dead Cells」のスキルシステムからの「継承」要素と言えそうだ。

 爆発物を投げる「グレネード」,周囲の敵を凍らせる「フロスト・ノヴァ」,敵を吸引する「デトネード」など,その効果はさまざま。中には範囲内にいる味方の武器に「燃焼」の効果を付与する「燃焼のオーラ」のように,マルチプレイ向けのものもあり,これは本作ならではだ。

 なお,「Dead Cells」で便利だった砲台設置系のスキルはなくなっており,後述する「サドンデス」と合わせ,しっかりアクションの腕前を磨いてほしいという本作のコンセプトがうかがえる。

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ゾンビアタック問題に新たな回答を示したマルチプレイ


 マルチプレイは「Dead Cells」には存在しなかった,「Windblown」の「新生」要素で,オンラインで最大3人のパーティを組み,ヴォルテックスに挑める。

 仲間の元へワープする機能もあるので,はぐれることは少なく,ダッシュによる移動が素早いので,バトルからバトル,さらにバトルという感じで,バトルに集中できる。こちらも,前述した「プレイヤーに挑戦してほしいところに,プレイヤーの意識を集中させたい」という考え方から生まれた可能性は高いだろう。

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 マルチプレイはシナジーにおいても新たな面白さをもたらしている。仲間がどんな武器やギフトを選んだかを把握できるため,パーティメンバー間でシナジーを構築することも可能。例えば仲間が「燃焼」の状態異常を与える武器を持っているなら,自分は燃焼で発動するオプションを持つ秘宝を選ぶなど,「Dead Cells」とは一味違ったプレイを楽しめる。

仲間がどんな武器やギフトを選んだかは画面で確認できる
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 マルチプレイタイトルでは,仲間どうし助け合える一方で,お互いを蘇生しあい,無理矢理に強敵を倒す「ゾンビアタック」が問題視されることもある。「Windblown」ではこのテーマに関し,「サドンデス」という回答が提示されている。

 仲間が倒された場合,残されたプレイヤーはサドンデス状態に突入。決められた数の敵を倒せれば,仲間は無事に復活するが,その前に攻撃を食らうと即死してしまう。この即死は本当の即死だ。ブーストで体力をどれだけ伸ばしていても関係ないし,一種のバリアである「シールド」を張っていても無駄だ。

 何らかの条件下で即死させられる状態になるが,その分報酬を得られる,というフィーチャーは「Dead Cells」における「呪い」と同じで,これは形を変えた「継承」要素といえそうだ。

「Dead Cells」で「呪い」をかけられるのは,呪いの宝箱(中には貴重なアイテムがある)を開けたり,呪いの効果がある武器(その分威力は高い)を装備したりといったときで,多くは避けられるものだった
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「Windblown」の「サドンデス」状態は強制的なものなので,プレイヤーに選択肢はない
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 サドンデスはボス戦において影響が大きい。多彩で激しい攻撃のどれに触れてもアウトになってしまうため,パーティの1人が倒されると,残りの2人も道連れになってしまうことがほとんどだ。

 これを避けるためには,パーティ全員がゲームシステムを理解し,しっかりとした腕前を持っている必要がある。バイオーム(ステージのようなもの)をクリアしても,回復薬は補充されないという仕様が,この傾向に拍車をかけている。

 「Dead Cells」でも,回復に制限がかかる「ボス・ステムセル」や,回復すると難度が上がる「瘴気」といった上級者向けの仕様があったが,このあたりはMotion Twinのゲーム作りにおける方向性と言えるだろう。

 話は少々横道に逸れるが,多くのマルチプレイタイトルにおいて,自分が倒された後は,仲間の活躍を見ていることしかできないため,その時間がストレスになっている人は多いだろう。

 開発者にも「ゲームに勢いを付けて,切りよく終わらせるべきである」という考える人は多く,「ゼビウス」「ドルアーガの塔」の遠藤雅伸氏(関連記事)や「Magic: The Gathering」のヘッドデザイナーであるMark Rosewater氏(外部リンク)はその大切さを語っている。

 話は「Windblown」に戻るが,そうした意味において,サドンデスは切りよくゲームを終わらせて,次のプレイへ挑めるようにするための仕様と言える。

 その一方,この仕様についてはSteamのコミュニティでも肯定と戸惑いの声がみられる。「ひとまずはうまい人に助けてもらい,その後に自分の腕前を上げていく」のもマルチプレイのスタイルであるため,これを難しくするサドンデスについてさまざまな意見が出るのは必然と言えるだろう。「Dead Cells」では,アップデートでコミュニティの声を取り入れてきただけに,「Windblown」でどのようなかじ取りをしていくかが注目される。


見た目は対照的な世界だが,根底は似ている?


 「Windblown」の世界観は,「Dead Cells」と明確な差別化が図られている。

 「Dead Cells」では呪われた城が舞台で,バイオームも城の中や洞窟,下水道などダークめなものが多かった。

「Dead Cells」の拠点は牢獄。主人公が倒れると,首切り斧のそばで復活する。ボスやバイオームもダークな雰囲気満点だ
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 一方「Windblown」の舞台は,空に浮かぶ島々という風光明媚な場所。拠点となる「アーク」ではさわやかな風に草がなびいているし,他のバイオームも神秘的だったり明るかったりと,「Dead Cells」と対照的だ。

 主人公を始めとしたキャラクターたちも動物の擬人化で,バイオームの合間には風船を付けた巨大な鯉がアイテムを飲み込んでアークへ持ち帰ってくれたり,みんな揃って温泉に浸かって回復したりと,可愛らしさが強調されている。

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「Windblown」の雰囲気は明るめで,特に拠点は「Dead Cells」と同じスタジオのゲームとは思えない
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リーパーたちは大砲から発射されてヴォルテックスに赴くのだからコミカルだ
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 その一方,死んだ主人公が身体を乗り換えながら戦い続けるというアウトラインは「Dead Cells」と同じだ。プレイ中にアバター(見た目)を変えられるが,これは「仲間が集めてきた死体に乗り移る」という設定だし,1プレイを終えて拠点で復活する際には,毎回嘔吐する描写が入るなど,「Dead Cells」よりも生々しい(こちらはオプションでOFFにすることも可能)。

倒れた主人公は死体に乗り移って復活。アバターを変更する施設には「集めた死体を使う」という説明がされている
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 「Dead Cells」の死と再生が限りなくドライに行われるのに対し,「Windblown」ではこれにドラマ性が与えられている。ゲーム起動時のオープニングアニメでは,女性ボーカルによるエモーショナルな曲とともに,主人公と仲間たちの死別,悲しみとともに再生する主人公といった情景が描かれる。また,アーリーアクセスでの最終ボスがオープニングアニメに登場しているといった仕掛けも施されている。物語性における「継承」と「新生」と言えるだろう。



「Windblown」のオープニングでは,仲間が惨殺されて主人公は内なる力に覚醒。その後何らかの出来事が起こり,拠点で喪失の悲しみとともに目覚める
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オープニングで主人公は,巨大な容器に入った謎の人影を目撃する。その手前にいるのは,背中のパルサーから見るに,どうやらリーパーのようだ
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アーリーアクセスの最終ボス。オープニングと同様,巨大な容器に謎の人影が入っている
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容器から出てきたのは,なんと巨大なリーパーだった。主人公たちと同様の装備を持ち,苛烈な攻撃を仕掛けてくる
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「Dead Cells」の面白さや魅力をロジカルに抽出したのが「Windblown」


 こうして「Dead Cells」と「Windblown」を見渡してみて感じるのは,「『Windblown』は『Dead Cells』の面白さや魅力をロジカルに抽出して作られたゲームである」ということだ。

 ここで抽出された「Dead Cells」の魅力とは,操作性の良さ,スピード感あふれるゲーム展開,ランダム性,武器やオプションのシナジー。ここに新たなフィーチャーを加えられたのが「Windblown」ではないだろうか。

 「Windblown」はアーリーアクセスが始まったばかり。ボリュームに関しては,まだまだ「Dead Cells」と比べるまでもないが,マルチプレイや明るい世界観など「Windblown」ならではの魅力も多い。

最初は明るかったバイオームも,後半ではダークな雰囲気が増してくる
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ステージ間にはショップがあり,購入の際は支払額を自分で決められる。つまり,仲間との割り勘が可能というわけで,よく考えられたシステムだ
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 「Dead Cells」を楽しめた人なら「Windblown」も刺さるはずだし,アクションやローグライク,マルチプレイ好きであれば,本作をチェックしてみるといいだろう。

アーリーアクセス版のエンディング。旅はひとまず終わったが,コンテンツはアップデートで増えていく。「Dead Cells」では7年かかっただけに,「Windblown」の旅路も長いものとなりそうだ
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