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中世の宴で騒いだり,城や要塞に行ったり。チェコで「キングダムカム・デリバランスII」の舞台を巡ってきた
2月5日に発売されたKCD2は,中世のボヘミア地方を舞台にしたオープンワールドRPGであり,今回のツアーでは,ゲーム中で登場するチェコ内のさまざまな場所を巡った。
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また,Warhorse Studiosやチェコ政府観光局の協力で,「Kingdom Come: Deliverance Live」(以下,KC:D live)という取り組みも行われている。これは,いわば一般に向けた“聖地巡礼”ツアー。KCD2にまつわる場所の観光や,さまざまなアクティビティに参加できる有料ツアーで,英語にも対応している。
KC:D liveに関係する場所も含めて,いろいろと見てきたので,写真をメインにチェコの様子をお伝えしていこう。
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さて,まずは簡単にチェコの紹介から。チェコは通称であり,正式にはチェコ共和国だ。北にポーランド,東にスロバキア,南にオーストリア,西にドイツという場所にあり,日本からの直行便は存在しない。今回は,カタールのドーハにあるハマド国際空港で乗り継ぎしてチェコに向かったが,ほぼ丸一日移動に費やしてようやく到着するスケジュールだった。
面積は7万8866平方キロメートル,だいたい北海道ぐらいであり,人口は1051万人(2022年3月末)。使用されている通貨はチェココルナで,観光であればクレジットカードがあればだいたいなんとかなるが,有料トイレなどの使用時に現金が必要になるので,ある程度は持っておいたほうが安心である。言語はチェコ語だが,都市部では基本的に英語が通じると思っていい。
また,ヨーロッパの国々となると,なんらかの宗教を信仰しているイメージもあるが,チェコは無信仰が68.3%(2021年の統計)となっており,このあたりは日本に近い。
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旅行先のウリとしては,やはり中世ヨーロッパの趣が現在まで残っていることだろう。プラハ城などで有名な首都のプラハをはじめ,さまざまな歴史的な建造物が残っている。また,現存する城の数は1000を超え,壊れている城も650ほどある。さらに要塞は1200以上も存在する(と今回のガイドさんが説明していた)とのことで,中世好き,あるいはファンタジーな景観が好きという人なら,たまらないものがあるだろう。
数年前までは,物価が安くて旅行しやすい! と言えたのだが,現在のチェコはそうでもない。日本と同じぐらいか,ちょっと高いぐらいである。とはいえ,ほかの旅行先に選ばれやすい欧州諸国に比べると安いので,その点も魅力と言える。
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プラハ
ざっくり説明したところで,まずは首都のプラハから。KC:D liveとは関係ないのだが,チェコに来てここを観光しないという選択肢はないだろう。今回は残念ながら足を運べなかったが,世界で最も大きな古城であるプラハ城が街を見下ろしている。
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プラハは,歴史地区全体が世界遺産に登録されており,ほぼ全市が世界遺産という珍しい街だ。観光名所となっている旧市街,のちにできた新市街(新といっても,できたのは700年前だとか!)があり,RPG好きなゲーマー的には,お世辞抜きでどこを見ても絵になる。
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旅行と言えば,やはり気になるのはグルメ。チェコはビールが有名であり,国民1人あたりの年間消費量が世界一だという。昼から飲むのも普通らしい(さすがに,仕事があるのに酔っぱらうのはまずいが)。
とくに有名なのが,1842年から生産されているラガービール「ピルスナー・ウルケル」だ。黄金色のビールを,冷やして,ジョッキでグイっといく。日本と同じじゃんと思うかもしれないが,そもそも日本のビールのほとんどがピルスナーであり,その元祖がピルスナー・ウルケルである。そりゃ,うめえよ。
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プラハ観光の後,夕食はピルスナー・ウルケルをプラハで初めて出したというレストランで食べたのだが,まずはこの前菜を見てほしい。
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肉,肉,肉,チーズ,チーズ,ちょっと野菜。ぜ,前菜……? と疑問符が浮かぶが,チェコ人は肉をたくさん食べる。そもそも,チェコに海はないので,魚よりも肉の国だ。とにかくビールが進んでしまう。
個人的な感覚だが,チェコの食べ物はかなり日本人の舌に合うと思う。海外に行くと,「おいしいんだけど,もうちょっと塩気がほしい」とか,微妙に物足りない経験をしたことがある人は少なくないと思うのだが,そのあたりチェコは,味が薄く感じることはなかった。かといって,奇抜な味わいなわけでもなく,どれもイケる。そしてビールが進む。グルメ面でのオススメ度は高い。
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クトナー・ホラ
続いては,こちらも有名観光地であるクトナー・ホラ。銀山で発展した街であり,KCD1のときに行われたツアーでも詳しく紹介している(関連記事)。KCD2の後半で出てくる「クッテンバーク」がこの街であり,ゲームに登場する場所を見るならとてもオススメだ。
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クトナー・ホラで有名な場所はいくつかあるが,その1つがセドレツ納骨堂だ。人骨でできたシャンデリアや塔などが飾られている場所で,もともとは死者を弔うため,ここに集まった大量の人骨で装飾を制作したことが始まりなのだという。KCD2の時代では,まだこの装飾は完成していないが,骨を集めるクエストが登場する。
なお,セドレツ納骨堂は観光地として有名になった結果,死者を弔う場所にも関わらず配慮のない撮影を行う観光客が増えたため,現在は内部の撮影は禁止となっている(掲載写真は提供してもらったもの)。
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クトナー・ホラのシンボルと言えるのが,聖バルボラ教会だ。鉱山労働者の守護聖人である聖バルボラを祀る教会であり,ゴシック様式の非常に美しい建築である。聖バルボラ教会の建築が始まったのは,1388年のこと。完成は1906年と,完成までに500年以上かかっているため,KCD2の時代では現在のような立派な姿ではない。
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今回はKCD2でのツアーなので,よりマニアックなところも見ていこう。KCD2のプレイヤーがクトナー・ホラに足を運ぶなら,「あ,ここゲーム内で見た」とそこかしこで気付くはずだ。
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マレショフ要塞
せっかくKCD2ゆかりの地を巡るのだから,観光地ではないところも見てみたい。そう思うのが人の性というものだろう。
というわけで,お次はクトナー・ホラ近郊の村であるマレショフへ。ここにはマレショフ要塞があり,KC:D liveにも組み込まれているのだが,個人的には今回のツアーでここがイチオシだ。
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要塞に到着すると,石壁に作られた大きな木の扉が。「ギィィィ」と期待通りの音が鳴り響くと,中から中世衣装をバッチリ着込んだ男性が現れたではないか。彼こそ,この要塞の持ち主であるオンドジェイ・スラチャーレク氏であり,KC:D liveの仕掛け人でもある。もともとは,アメリカの大学を出てA.T. カーニーなどで働いていたそうだが,27歳のとき城に住みたいと思い立ち,20年近くかけて要塞を修復したという,とんでもない人物である。
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以前は,この要塞に貴族が住んでいたものの,火事によって住居ではなくなり,その後は麦の倉庫として使われていたという。スラチャーレク氏が,この要塞を村から買い取ったのは2002年のことだ。
氏はほかにも,要塞の近くで,中世のテントに泊まれるグランピング施設や,ビールの醸造所も運営している。
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要塞見学は非常に楽しいが,ここで最高の体験となったのが,薄暗い雰囲気たっぷりな食卓で行われる,中世メニューの宴だ。今回のツアーで出たメニューと,KC:D liveのメニューはおそらく同じではないと思うのだが,公式サイトではキジの胸肉や猪のロースト,黒ビールで煮込んだ鹿肉などが記載されている。
こんなの,KCDファンかどうかは関係なく,ゲーマーなら楽しいに決まっている。ガチの要塞で行われるファンタジー宴だよ!?
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トロスキー城跡
ツアーの最後は,チェコで最も訪問者の多い城の1つであるというトロスキー城跡だ。そう,ゲーム序盤で訪れることになる,あのトロスキー城である。
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トロスキー城は,2つの峰に塔が建てられた,外観が非常に特徴的な城だ。その名前は,日本語で瓦礫という意味であり,塔がある玄武岩の岩山のせいで,最初から壊れているように見えることが由来だという。見た目は瓦礫のようでも,一帯を見渡せる高台に建築されており,さらに2つの塔があるため,守りは非常に強固だったそうだ。
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ファンタジー好きにはたまらない古城ホテルも
KCD関連の地を巡るツアー自体はトロスキー城でおしまいなのだが,最終日に参加メディアはお城に宿泊している。現存している城や要塞をホテルとして運営している,いわゆる古城ホテルというやつだ。KCD2やKC:D liveとはまったく関係がないところではあるが,写真を載せておこう。
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古城ホテルと言えばドイツが有名だが,先述したとおりチェコにはたくさんの城や要塞が残っているので,もちろん古城ホテルもある。「城に泊まれる」というだけでファンタジー好きならテンション爆上がりは間違いないが,古城ホテルの醍醐味は,やはり城内探索だろう。
宿泊した古城ホテルは,マレショフ要塞と違って「ザ・中世」といった感じのプランではないものの,それでも普通のホテルでは味わえない非日常感は,たまらなく楽しいものだ。
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以上,チェコツアーの模様をお届けしてみた。数日の滞在だったが,中世を感じさせるもので溢れているし,日本と比べて物価がすごく高いわけでもないし,治安も比較的良い(人の多い場所でのスリには注意したほうがいいとのこと)し,ご飯はおいしいし,リップサービス抜きにとても良い旅行先だと思う。
KCDの聖地巡礼がしたい人なら,KC:D liveの公式サイトをチェックしてみよう。今回訪れた場所以外にも,さまざまな体験が紹介されている。KC:D liveのガイドさんいわく「日本からプラハの空港に来てくれれば,バスでピックアップするよ!」とのことなので,英語ができるKCDファンなら,ぜひチェコへ。
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「Kingdom Come: Deliverance Live」公式サイト
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