
プレイレポート
[プレイレポ]明末期の中国を舞台にしたソウルライク・アクションRPG「明末:ウツロノハネ」は,独自のシステムが光る戦闘と成長要素が印象的だ
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舞台は明末期の中国,各地で派閥が争い,妖が跳梁跋扈する混乱の時代が訪れていた。
そんな中,主人公の女侠客「無常」は,感染した者を妖に変えるという羽化病に侵されてしまう。無常は剣術と「羽化の力」を使って,呪われた古蜀の地を探索し,埋もれた真実にたどり着くため戦うことになる。
明末期を舞台にした世界や独自の演出に引き込まれる。敵との攻防は気力管理が重要だ
今回はゲームを最初から始めたデータと,レベル22まで成長した状態(通常のプレイでは5時間ほどで到達できる進度とのこと)をそれぞれ1時間ずつプレイできた。
本作は中国のスタジオが自国をテーマとしているだけに,建物や小道具,衣服などが細かい部分まで作り込まれている。山の中腹に広がる洞窟や寂れた寺院,荒れ果てた町といった風景に目を奪われる瞬間が何度もあった。
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3D アクションという確立したジャンルに,独自の演出を積極的に取り入れているのも特徴と言える。フィールドのあちこちには「厨子」というチェックポイントがあり,ここでセーブやレベルアップを行える。
このシステム自体は定番だが,無常は厨子を使う際,「たがね」で手首を切り,吹き出た血を「奉血」して厨子を浄化し,たがねを頭上に掲げて祈る。
その様子にはオリエンタルな雰囲気が漂っており,人妖入り乱れる世界へ一気に引き込まれる演出だ。
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また,武器に属性を付与する「淬羽経脈」(さいうけいみゃく)は,ゲーム的な仕組みに中国的なエッセンスが取り入れられている。
この強化を行うには腕に鍼(はり)を刺し,その種類によって付与される属性が変化する。インタフェースも,鍼治療の病院で見るような腕の経脈図風になっているのが面白い。
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美しいフィールドでは,激しいバトルが繰り広げられる。無常は2種の武器を同時に装備でき,任意に切り替えられる。今回プレイできた中では,攻撃範囲が広い「刀」,威力が高い「斧」,リーチが長い「槍」が登場した。
武器は異なる「武器スキル」「流派攻撃」を持っており,乱戦ではガードできる斧を選び,敵が遠くで待ち伏せているなら槍の突進技で一気に間合いを詰めるなど,状況に応じて使い分けるのが重要だ。今回は体験できなかったが,流派攻撃は自由に付け替えられるそうなので,いろいろな組み合わせを試すのも楽しそうだ。
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無常が攻撃や回避を行うには気力を消費する必要があり,気力が枯渇しないよう慎重に立ち回るのはジャンルの定石だ。
しかし,本作は気力管理がシビアな設計になっており,プレイできたデータはどちらも,同ジャンルのほかのゲームに比べると気力の上限が低く感じられた。相手の動きをしっかりと見て,確実な一手を打つ意識が求められるだろう。
無常と相対する敵を倒すのも一筋縄ではいかない。賊が遠くから鉄砲で狙撃してきたり,奇襲を仕掛けてきたりと,あらゆる策略でこちらを倒そうとしてくる。
遠くから丸見えの路上に,敵が無防備に座り込んでいるので「簡単に倒せそうだ」と戦いを挑むと,これが囮で,死角から別の敵が襲い掛かってきたなんてことは,頻繁に起こる。
あるシーンでは戦っている最中に次々と増援が到来し,最終的には5人ほどと斬り合っていたこともあった。
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加えて,敵はそれぞれに個性的で厄介な能力を持っている。最序盤の雑魚である小男ですら,毒を蓄積する霧を吐くうえ,飛び掛かり攻撃を食らうと無常の顔にしがみついてしばらく殴り続けてくる。
鎧の兵士は,攻撃を当てても簡単にひるまないばかりか槍で広範囲攻撃をしてくるし,ゾンビのような村人は無常を拘束してくる。本作にはダウンや起き上がりの最中にも容赦なく攻撃を食らうので,とにかく敵から殴られないよう意識するのが重要になるのだ。
こう書くと厳しさばかりが強調されてしまうが,無常の側にも難局を切り抜けるだけの能力はしっかり備わっている。
攻撃範囲は全体的に広めだし,強攻撃は威力も高いので,使いどころを間違えなければ複数の敵を一気に倒せる。ただ,武器スキルと流派攻撃は発動中に攻撃を受けると簡単にひるんでしまうため,とりあえず出しておくという使い方は通用しない。
敵の背中からタメ強攻撃や落下攻撃を当ててひるませ,トドメの一撃(いわゆるバックスタブ)を叩き込むのも重要だ。
マップの中には複数の敵がたむろしている場所もあるが,うまく立ち回って奇襲すれば,一体ずつトドメの一撃で倒せたということもあった。
対複数戦や奇襲といった厳しい局面も多いものの,無常の能力もそれに対応しているし,敵の配置は練り込まれているため,セオリーを理解すればちゃんと戦い抜けるという印象だ。
本作にはさまざまな独自システムがあるが,中でも面白かったのが「須羽」(すわ)である。須羽は無常が特殊攻撃を使うためのリソースで,溜めると魔法のような「法術」,武器を切り替えつつ攻撃する「瞬息斬」が使えるようになるほか,武器スキルや流派攻撃が強化される。
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ポイントは,須羽の獲得条件が「敵の攻撃をギリギリで回避する『瞬身』を成功させる」「連続攻撃の途中にある,特定の攻撃を当てる」というリスクを含むのものであるというところだ。
前述の通り,本作では気力管理がシビアなうえに複数の敵に対するケースも頻発する。そのため,ギリギリでの回避を狙うにも,連続攻撃を当て続けるにも危険が伴う。
それだけに,須羽が絡む特殊攻撃はいずれも強力だ。法術は飛び道具やバフ,広範囲攻撃とさまざまなバリエーションがあり,戦いを有利にできる。
武器スキルや流派攻撃は気力なしでも発動できるようで,通常攻撃で気力を使い切ったところから連続技を続けられる。また,瞬息斬は武器を切り替えつつ攻撃できるため,使いこなせばいろいろな状況に対応できそうだ。
リスクを恐れず須羽を得れば,戦いがそれだけ有利になるので,ハイリスクハイリターンの攻防を好む人には嬉しいシステムといえるだろう。
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ボス戦にも触れておこう。今回は人型のボスと大型のボスという対照的な2体と戦えた。
1体目は「普元寺」に潜む小男だ。背中が曲がった小男という東洋的な怪僧のイメージで,中国を舞台とした本作らしいボスである。杖を武器に宙を舞ってこちらを翻弄してくる手ごわい敵で,何度も返り討ちにされてしまった。
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攻略の助けとなったのが,仲間NPCだ。ボス戦でのみ笛を吹くと仲間を召喚でき,一緒に戦ってくれる。耐久力があるうえにボスの注意を引きつけてくれるので,仲間が狙われている間は攻撃に集中できた。
仲間NPCとの共闘は3D アクションゲームの定番だが,ここまで頼れるのは珍しい。どのような条件で仲間が増えるか,倒された際にペナルティがあるかどうかは不明だが,いざというときに役に立ちそうだ。
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もう1体のボスは鉱山の奥にいる,カマキリを思わせる大型ボスである。巨体を生かしたのしかかりや,大きなカマを振るっての攻撃は迫力満点だ。
遭遇したのは試遊が終わるギリギリだったため,戦えた時間はわずかだったが,攻撃力も高く非常にやりがいのあるボスという印象を受けた。
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なお,このエリアには「陸紅柳」(りくこうりゅう)という隠しボスも存在したらしい。
道中では「人の肉を食べさせられて育った」など不穏なうわさも聞こえてきたのだが,結局見つけられなかった。ほかのエリアにもこうした隠しボスが用意されているのであれば,探索もやりがいがあるものになりそうだ。
強化システムや死亡時のギミックなど,定番要素にも独自の工夫が
3D アクションゲームの定番要素に,本作ならではの工夫が凝らされている点も見逃せない。
例えば,「パラメータを上げる」「スキルを開放する」という強化要素だが,本作ではこれらが「斗転星羽」(とてんせいわ)と呼ばれるスキルツリーに集約されている。
スキルツリーのノードには「パッシブスキルを習得する」「特定のパラメータが上がる」という2系統の効果があり,敵を倒して手に入れた「赤汞」(あかぎん)を支払うことでノードを開放し,パワーアップ効果を得られる。
パラメータ強化とスキル開放の強化は別々に設けられているゲームは多い。だが,本作ではそれが一体になっているため,どのツリーを開放していくかによって,ビルドがかなり変わってくることが予想される。
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またノードの中には,特定のノードを開放して得られる特殊なポイントや,特殊なアイテムを得て初めて開放できるものもあるようだ。ざっと見たところノード数もかなり多いようで,多彩なビルドを楽しめそうだ。
無常が倒されると,持っていた赤汞をその場に落としてしまい,改めて回収する必要がある。
ここまではお約束通りだが,本作では「心魔値」というギミックが加えられている。この心魔値は無常が倒される度に上昇していき,一定値に達すると特殊NPCが乱入し,撃退に成功すると報酬を得られるという。
残念ながらテストプレイでは乱入を体験できなかったが,ボスに倒されても心魔値が上がるのであれば,特殊NPCの報酬で無常を強化し,行き詰まりを打開するようなこともできるのかもしれない。
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ジャンルとして「ソウルライク・アクションRPG」を名乗るだけあり,シビアで歯ごたえのあるバトルというジャンルの基本を押さえつつ,斗転星羽や心魔値といった独自の要素が加えられている。オリエンタルな演出も施されており,中国系ソウルライクとして楽しめそうという印象だ。
刀・斧・槍のほかにはどんな武器があるのか,斗転星羽によるビルドはどのようなプレイ感をもたらすのか,無常の運命はどうなるのか……などなど興味の尽きない本作。製品版がどのような仕上がりになるのか,発売が楽しみだ。
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「明末:ウツロノハネ」公式サイト
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