［プレイレポ］「くにおくんの三国志だよ満員御礼！！」はシリーズキャラクターと三国志の世界観が融合。関羽（くにお）や赤兎馬の育成も楽しめる

　アークシステムワークスは本日（2024年11月7日），新作アクションRPG「ダウンタウンスペシャル　くにおくんの三国志だよ満員御礼！！」（PC / Nintendo Switch / PS4）を発売した。


　本作はケンカやスポーツなど，さまざまなジャンルで活躍する正義の不良「くにお」とその仲間たちが出演する「くにおくん」シリーズの最新作で，2021年に発売された「くにおくんの三国志だよ 全員集合！」の続編だ。舞台となるのは，中国の後漢時代の物語である三国志。前作では「赤壁の戦い」までが描かれたが，本作ではその続きの物語が展開される。

　本稿では「くにおくん」と三国志（演義）が合体した独特の世界観や，習得する必殺技や計略，強化するパラメータでバトルスタイルが大きく変化する主人公の関羽（くにお）の育成など，本作の魅力を紹介していく。

「ダウンタウンスペシャル　くにおくんの三国志だよ満員御礼！！」公式サイト

「赤壁の戦い」以降の魏呉蜀の争いを「くにおくん」らしいテイストで明るく描く

　本作は「くにおくん」シリーズの中でも，とくにストーリーを重視したスタイルのタイトルとなる。プレイヤーは三国志屈指の猛将である関羽（くにお）を操作し，劉備（ごうだ）率いる蜀の立場から三国志の物語と，ヤンキーたちがハチャメチャに暴れ回る「くにおくん」シリーズが融合した世界で，戦いに身を投じていく。

　魏呉蜀の戦いがヤンキーで言うところの「チーム抗争」に置きかわっており，三国志の世界をコミカルに描いているのが本作の特徴で，また「くにおくん」シリーズと三国志を少しでも知っている人であれば，武将，文官，軍師などへのキャラクターのキャスティングに思わずニヤリとしてしまうはずだ。

プレイヤーキャラクターは関羽（くにお）。ストーリーの進行に必要なイベントやバトルをこなしていく

基本的に武将には「くにおくん」シリーズでおなじみの不良たちが，文官や軍師系の人物には女性キャラクターがキャスティングされている

　本作は「くにおくんの三国志だよ 全員集合！」の続編にあたるため，前作を未プレイの場合，関羽たちが置かれている状況がイマイチ把握できずに戸惑ってしまうかもしれない。ただ，このあたりの問題は街の住人に積極的に話しかけたり，ギャラリーの「キャラクター図鑑」や「三国志豆知識」を見たりすることである程度は解消できる。

　とくに三国志豆知識は，三国志で起こる事象が簡潔にテキストにまとめられており，ゲームを楽しむためにとても役立つ資料となっている。三国志は好きでもともともともと詳しいという人も，一見の価値はあるのでチェックしておこう。

前作では「黄巾の乱」から「赤壁の戦い」の顛末までが描かれており，本作は劉備陣営が荊州を奪取する時期から始まる。三国志を取り扱ったゲームとしては，なかなかトリッキーな開幕といえる

ギャラリーモードから見られるキャラクター図鑑と三国志豆知識では，三国志に基づいた人物の評伝，用語の解説などがまとめられている

　三国志を理解するためのゲーム内資料が充実している点からも分かるとおり，本作は「くにおくん」シリーズならではの「ヤンキーもの＆コメディ要素」を大事にしつつも，「三国志の物語を再現」することにも驚くほどに力を入れている。

　とくにゲーム序盤〜中盤（1〜3章あたり）は，関羽以外の人物の思惑や行動，戦の結果といった部分は，三国志ベースで話が進んでいく。そのため三国志のファンにとっては，「もし関羽が蜀攻めに参加していたら……」「もし関羽が劉備以外の人間の意見に耳を傾けていたら……」といったような，if展開が味わえるようになっている。

　一方で話が進んでいくと，ある程度は歴史の流れから外れていくのだが，ここからは「くにおくん」シリーズならではのぶっ飛びつつも熱いストーリーが展開されていく。どちらのストーリーも本作でしか味わえないテイストの物語が展開されるので，「くにおくん」シリーズか三国志，どちらかだけでも気になるポイントがあれば，プレイしてみることをオススメしたい。

本作が扱っている時期の三国志は，人気や知名度のある武将が次々と命を落としていくタイミングとなる。本作では登場人物が死亡することは基本的にないのだが，元の武将が死んだ段階まで話が進むと，なにかしらの理由で前線からは離脱してしまう

本作の関羽は歴史上では最期の戦いとなった「樊城の戦い」から生還するため，以降の展開は三国志から逸脱していく。劉備がリーダー，関羽が特攻隊長のごとく突き進んでいく熱血ストーリーへと移行する

理想の関羽を育成して敵将をなぎ倒せ！

　フィールドの移動中やストーリー内でたびたび起こるバトルは，関羽をどう育成するかによって，プレイ感覚が大きく変わるのが特徴となっている。関羽は敵と戦い，経験値が一定以上溜まるとレベルアップしていくが，その際に伸ばすステータス，どんな技を覚えるかなどは，プレイヤーが自由に決められる。

　バトルの難度は適宜ステータスを強化しておけばザコ敵で苦戦することは少ないくらいの塩梅だが，一部の名のある敵将の攻撃はなかなかに強烈で，ガードや回避を使いつつ，隙を突いて攻撃を叩き込んでいかないと勝つのは難しい。プレイヤーのアクションゲームの腕前や，レベル上げのための戦闘やサブクエストをどれだけこなすかにもよるが，ゲーム序盤から終盤まで，ある程度の緊張感を持った状態でバトルを楽しめるはずだ。

関羽はレベルアップするとステータスを伸ばせるポイントを得る。体力の最大値が上がる打たれ強さを伸ばしつつ，よく使う必殺技のタイプに合わせたステータス（パンチ，キック，武器，投げ）にポイントを振るのがオススメだ

必殺技は一撃でダウンを奪える攻撃や飛び道具を覚えておくと，火力の高い相手に対しても堅実に戦えるようになる

名のある武将の必殺技は即死級の威力を秘めていることも。予備動作が見えたら距離をとって，必殺技の隙に反撃を叩き込みたい

　さらに本作では，関羽のレベルアップだけでなく，相棒の「赤兎馬（せきとバイク）」をカスタマイズして強化していく育成要素も加わっている。赤兎馬は画面中央上部のバイク型ゲージが溜まっていると呼び出すことができ，搭乗しているあいだは完全無敵となるため，まとまったダメージが取れるだけでなく，緊急回避の手段としても有効だ。

　同じく発動時に無敵時間がある各種計略，超必殺技なども使っていけば，1対多数の戦闘やボス戦においても戦闘不能になる頻度は大きく下げられるはず。関羽と赤兎馬の育成を楽しみつつ，三国志らしい派手なアクションを存分に堪能しよう。

長時間，無敵状態を維持しながら多数の敵にダメージを与えられる赤兎馬。ゲージの回復も早く，気軽に使っていける

赤兎馬は装備によって見た目も大きく変化する

前作では切り札的存在だった計略も相変わらず便利。知力のステータスを上げておけば，大きなダメージソースとしても期待できる

　三国志という題材をしっかり生かしたストーリーと，自由度の高いキャラクター育成＆バトルが堪能できる「ダウンタウンスペシャル　くにおくんの三国志だよ満員御礼！！」。街の人々の依頼を達成していくサブクエスト，おまけ効果が備わった装備品を集めるハック＆スラッシュ要素，初回プレイ時ではクリアが困難な戦いが発生する「硬派」ルートへの分岐といったやりこみ要素も用意されている。
　「くにおくん」シリーズ，三国志のファンはもちろん，長めに遊べるアクションゲームを探している人にも前作と合わせてオススメできるタイトルだ。

2周目以降のプレイを想定した，難度「硬派」ルートも用意されている

「ダウンタウンスペシャル　くにおくんの三国志だよ満員御礼！！」公式サイト