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打ち込んだ文が現実になるホラータイピングゲーム「Dyping Escape」は,逃れられない破滅の回避方法を探る焦燥感を味わえる[BitSummit]
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Dyping Escapeは,2024年12月に公開されたフリーゲーム「Dyping」をベースに,多数の新要素を追加して製品化したアップグレード版だ。“ホラータイピングゲーム”という珍しいコンセプトと,それを生かした恐怖をそそる演出が話題を集め,オリジナル版は閲覧数35万回以上を達成している。
会場では,進化したDypingの最新バージョンを出展していたので,そのプレイレポートをお届けする。ホラー要素の強い作品なので,苦手な人は注意しつつ読み進めてほしい。
Heaviside Creations
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自ら打ち込んだ文章が
自分自身を破滅に導いていく
ゲームを開始すると,画面にプレイヤーを見つめる一対の“目玉”が浮かび上がる。目玉は不気味な雰囲気をまとっているが,礼儀正しい態度でプレイヤーへと語りかけてくる。
「あなたに 是非 タイピングゲームを してほしいのです」
最初は提示された文字列を打ち込んでいくだけでゲームが進行するが,だんだんと文字列に不穏な内容が出現しはじめる。タイプの流れを追いかける目玉の様子もまた,どこか底知れない印象がある。
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その流れでプレイヤーは「いかなる損害も受け入れる」という旨の文章をタイプさせられる。そして打ち込み終わるやいなや,目玉はそれを誓約書にしてプレイヤーへと突きつけてくる。
とはいえ,結局は普通に文字を打ち込むだけ。――と思いきや,さらに「PC内部への侵入」を許す文をタイプしてしまうと,画面の様子が一変。さまざまなデータが立ち並ぶ,不気味なサイバー空間に入り込んでしまう。
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つまり,ここで打ち込んだ文はプレイヤーの言葉となり,それが現実に“叶えられて”しまうのだ。万が一「私を殺してください」なんて文をタイプすれば,命をも奪われてしまうだろう。
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ここからは,目玉によるサディスティックな「いたずら」が始まった。CPUの部分的な破壊を命じたり,設定を書き換えてPCを乗っ取ろうとしたりと,プレイヤーの意図に反した文章を打ち込ませようとしてくる。
このままではマズいと画面上を見渡すと,画面の隅っこに不思議な姿をした1匹の猫がいることに気付いた。試しにマウスカーソルを動かして猫をクリックすると,危険な文章を無視する「スキップボタン」が出現。すかさずクリックすることで,なんとかPCの破壊を示唆する文章を回避できた。
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目玉は怒り狂うが,なぜスキップボタンが出現したのかは理解できていない様子だった。どうやら,目玉は画面に映る猫の姿を認識できていないらしい。その後も,カーソルの動きをロックされたり,メニューを開くのを止められたりしたが,その後も猫の力を借りることでどうにか切り抜けられた。
しかし,これで目玉の野望が潰えたわけではなく,さきほどの契約書も相手の手中だ。目玉にはまだ何かしらの計画があるようだが――。といったところで,体験版は終了となった。
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残念ながら今回は触れられなかったが,製品版ではここからローグライクモードへと突入する。そのモードでは,悪意ある文章を「切れ端」という手札を使って書き換えるなどの手段で危険を回避する,リプレイ性のある戦いを楽しめるという。これまでとは全く違う流れを体験できそうで,期待が高まる展開だ。
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タイピングゲームはそれほど珍しくないジャンルだが,その多くは文字を打ち込むという“動作”が重要な意味を持っている。しかし本作は「タイプする文字と,ゲーム自体に意味を与える」という設定が独自性を生み出している。
また,真っ黒な世界に浮かぶ目玉と,鳥肌が立つような演出の組み合わせによる恐怖感も本作ならではといえる。いずれもオリジナル版から強化され,ゲーム自体もまるっと違う内容になっているので,本作から遊んだ場合も違和感はないはずだ。
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オリジナル版は引き続きUnityroomで公開中だ。作品のコンセプトは共通しているので,とりあえず雰囲気を感じてみたい人は,そちらを遊んでみるといいだろう。
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Unityroom「Unityroom」作品ページ
「BitSummit the 13th」公式サイト
- 関連タイトル:
DYPING ESCAPE
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