
プレイレポート
「仁王3」体験版インプレッション。サムライとニンジャを切り替えつつ戦う本作は確かに「仁王」であり,同時に「仁王」とは違った何かだ
![]() |
サムライとニンジャを切り替え,オープンフィールドで戦う新たな「仁王」
2017年から展開する「仁王」シリーズは,レスポンスの良いアクションと高い難度を特徴とした「ダーク戦国アクションRPG」だ。
史実とフィクションを絡めながら戦国の時代を描くストーリーテリングにも定評があるだけに,「仁王3」の舞台となる時代や主人公の素性が気になる人も多いと思うが,現時点では何の情報も明かされていない。
![]() |
![]() |
しかし,主人公は特異な能力を持っており,これがアクションRPGとしてのプレイフィールに大きな影響を及ぼす。それが「サムライ」と「ニンジャ」のスタイルチェンジだ。
これまでの主役はサムライの武器とニンジャの忍術を合わせて戦うことができた。今回は重厚なサムライスタイルと素早いニンジャスタイルを切り替えて戦う。大鎧のサムライが忍び装束のニンジャに,そして素早いニンジャが重厚なサムライへ変わる様は,まるで歌舞伎の早変わりかヒーローの変身のようだ。
変わるのは見た目だけではなく,特性から装備まで何もかもが切り替わる。[R2]を一押しすると「転心」が発動し,システムとプレイフィールがガラッと変わるのだ。
![]() |
サムライスタイルは地に足のついた重厚な戦い方を得意とする。刀や大太刀,槍といったサムライらしい武器を使い,攻撃や回避で使った「気力」は,タイミング良く[R1]を押す「残心」で一部を回復できるのは従来通りだ。
サムライスタイルで戦うと,新要素である「技研ぎ」ゲージが蓄積されていく。MAXになると次に出す「武技」(スキル)が強化されるのだ。
![]() |
もう一つの新要素が,ギリギリで攻撃を防ぐと発動する「捌き」だ。捌きが成功すると気力ゲージが回復し,技研ぎゲージや忍術ゲージも回復する。技研ぎによる爆発力と捌きの防御力,残心を使った気力管理に優れているのがサムライというわけだ。
![]() |
そして,ここで[R2]を押すとニンジャにスタイルチェンジする。ニンジャスタイルは二刀や鎖鎌といったニンジャ武器で戦う。移動速度と攻撃速度に優れており,手数で攻めることが可能だ。攻撃後,残心のタイミングで[R1]を押せば「霞」が発動し,残像を残して前後左右に素早く移動する。
残像は相手の注意を惹くため,残像を囮として敵の背後に回り込み,背後ボーナスの乗った攻撃ができる。逆に,気力を取り戻す残心は使えないため,気力管理がより重要になるだろう。
ニンジャスタイルもう一つの特徴が「忍術」で,「手裏剣」や小さな火弾を放つなどで遠距離攻撃ができる。これまでの忍術は回数制限付きで,チェックポイントに相当する「社」に行かなければ回復しなかったが,「仁王3」では相手に攻撃を当てることで少しずつ回復する。より気軽に,アグレッシブに忍術を使えるようになったわけだ。
![]() |
特に面白いのが,スタイルを変えると,武器だけでなく,防具もニンジャスタイル用に装備したものになる点だ。
高難度アクションRPGでは防具の軽い/重いでキャラクターの動きや気力消費,立ち回りが変化する。お気に入りのゲームで重装備のキャラクターと軽装備のキャラクターを作った人も多いと思うが,「仁王3」では重装備と軽装備でサムライとニンジャの装備を分けておけばいつでも切り替えられる。1人の主人公でいつでも“味変”ができ,2つの操作感を味わえるというわけだ。
そして,転心にはクールタイムなどの制限はなく,いつでも自由に行える。ニンジャスタイルで遠距離からありったけの手裏剣を投げつけ,相手を弱らせたところにサムライスタイルで一撃。サムライスタイルで敵の攻撃を凌いでから残心で気力を回復,ニンジャスタイルに切り替えて霞で背後に回り込み,再びサムライスタイルになって大太刀でバッサリ斬りつける……など,実に多彩な戦術を組み立てられる。
![]() |
[R2]は転心の他にもう一つ役割を持っており,それが「大技返し」だ。敵の大技はガード不能だが,この返し技ならカウンターできる(前作の「特技」に相当する技だが,操作方法が同時押しから[R2]単体になった)。気力を管理しつつ,油断せずに大技に備える緊張感は健在というわけだ。
上中下段で攻撃の性質が変わる「構え」システムや,ゲージを溜めることで一定時間無敵化し,気力を気にせずに戦える,「仁王」の「九十九武器」と「仁王2」の「妖怪化」に相当する「九十九化身」,シリーズの特徴的なフィーチャーも続投していたので,ファンには嬉しいところだろう。
![]() |
アクションとしてのプレイ感を支えるのが,Team NINJAらしいレスポンスの良さである。主人公が思った通りに小気味よく動いてくれるため,とにかくバトルが楽しい。
文章だと伝わりにくいところがあるため体験版を試してほしいのだが,転心の[R2]を連続で押しただけで筆者のいいたいことが伝わると思う。パワーのサムライとスピードのニンジャと特性もはっきり異なっているため,いろいろな遊びを試してみたくなるのだ。
![]() |
プレイの舞台が従来のステージ制ではなく,オープンフィールドになったことも大きな変化だ。オープンフィールドには人間や妖怪の敵がうろついており,戦っても逃げてもいい。空には巨大な妖怪(?)が浮いており,遠くに見える山や谷が探索の意欲をかき立ててくれる。
![]() |
今回は新アクションである2段ジャンプが登場しており,岩場を登ることも可能だ。チェックポイントである「社」,妖怪が集まった「拠点」,そして「地獄」や宝箱,お馴染みのマスコットである「木霊」や「すねこすり」を見つけるのが「仁王3」における遊びの一つとなるようだ。
![]() |
拠点に正面から戦いを挑むと何体もの敵が襲ってきてえらい目に遭わされてしまう。しかし,周囲を探すと忍び込める裏口があり,草むらに隠れたステルス状態から各個撃破していくことも可能だった。これまでよりも攻略の自由度が増したという印象だ。
![]() |
![]() |
攻略の報酬として,アイテムはもちろんのこと,忍術や武技を手に入れることができた。これまでもマップ内に隠れている木霊を見つければパッシブ効果が向上していたが,今回はフィールドの探索がより強さに直結するという印象を受けた(なお,敵に見つかっていない状態では走っても気力を消費しない)。
![]() |
![]() |
そして,より難度が高いのが地獄だ。小さなものは多くの敵が襲ってくる闘技場,大きなものはフィールドから隔絶されたダンジョンのような作りになっている。大きな地獄は地形も入り組んでおり,従来作のマップに近い雰囲気であるようだ。
![]() |
地獄でダメージを受けると主人公の体力上限が減少し,逆に攻撃を当てると減った体力上限がもとに戻っていくのも新しいシステムだ。試遊時間の関係から,大きな地獄における中長期的な影響は体験できなかったが,たとえ不利になっても,アグレッシブに戦うことで体力上限を取り戻せるというわけで,今回のコンセプトを示す要素といえるだろう。
![]() |
短い試遊ではあったが,「仁王」らしい濃密なバトルと新たな探索をともに楽しめた。レスポンスの良さとダークな雰囲気は「これぞ仁王」というべきもの。構え,残心,武技,返し技,九十九化身といったシステムはお馴染みのものなので,歴代作のファンならすぐに慣れるだろう。
同時に,スタイルチェンジやジャンプ,オープンなフィールドでの探索といったまったく新しい要素も取り入れられている。「仁王」から継承されたものに本作ならではの新要素が加わっており,「確かに『仁王』であり,同時に別の何かである」という独特のプレイフィールを味わえた。
「仁王」なのだが「仁王」と違うというか,「仁王」の操作性で新たな世界にアクセスしているというか,何とも不思議な感覚である。
![]() |
ただ言えるのは,これは確かに「仁王」であり,ファンとして待ちに待った続編であるということだ。
攻撃後の残心はもちろん,残心しつつ構えを切り替えて気力を回復する「流転」や,攻めるときに上段に構え,守るときには中段とし,避ける際には下段とするという構えの変更も指が覚えていたし,主人公はこれまでと同じ感覚で反応してくれた。
そのうえで,ニンジャにスタイルチェンジしたり,フィールドを疾走したり,あちこちを探索するという新要素も楽しかった。なんというか,続編を待ち焦がれすぎて少々情緒が乱れているが,気になる人はぜひとも体験版をプレイして見てほしい。
- 関連タイトル:
仁王3
- この記事のURL:
(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.