住人が殺されないように地縛霊は時を遡る。人生介入型見守りゲーム「事故物件だよ！うらみちゃん」をプレイ［WePlay2025］

　「事故物件だよ！うらみちゃん」（PC）は，PC向けに2026年リリース予定のインタラクティブフィクションゲームだ。WePlay Expo 2025に出展されていた試遊版の感想をお伝えしよう。



　舞台となるのは，ごく普通のアパートの一室。そこに暮らしているのは，平凡なOLの「野呂井さん」だ。なお名前の読みには「呪い」と「のろい（遅い）」の二重の意味がかけられており，印象的なネーミングとなっている。


　しかし，冒頭でプレイヤーは息絶えた野呂井さんと，現場検証を行う警察官の姿を目の当たりにする。アパートの大家さんは部屋の外で「呪われている」と嘆き，アパートの取り壊しを決意してしまう。

　だが，それは地縛霊である主人公「うらみちゃん」およびサポーターの鬼火「おねびぃ」にとっては由々しき事態だ。アパートが潰されたら，彼らもまた消滅してしまうからだ。そこでおねびぃは，過去へと戻って未来を変えるという策を提案する。

「オバケ」の噂は聞いたが，うらみちゃんの存在に気付いていないようだ	カレンダーから過去へ遡ることができる
ラップ音を発生することに成功	日記の内容が変わった

　過去に戻るためには条件がある。野呂井さんは引っ越し時に「オバケがでる」という噂を耳にしており，幽霊の存在を多少気にしていたらしい。その関心を利用して，うらみちゃんが過去へ遡り，その存在を認識させられれば，未来を変えられるかもしれない。

　過去へ戻ったらうらみちゃんは，野呂井さんが帰宅してから就寝するまでの3時間のあいだに，さまざまな異変を起こして自分の存在を認識させなければならない。序盤は家具をノックして「ラップ音」を出すといった小さな異変しか起こせず，野呂井さんが集中していると気づいてもらえない場合もある。


　画面左下には野呂井さんのスケジュールが表示される。行動の流れを把握し，次に何をするのかを見極めたうえでミッションを達成することが重要だ。例えば，野呂井さんを玄関へ誘導したい場合，テレビを見ている間は玄関の物音に気付かないため，トイレに向かうタイミングを狙ってノックを仕掛けると，狙い通りに誘導できるといった感じである。

　ノック以外にも，うらみちゃんは念力を使って異変を起こせる。電話を勝手に鳴らす，冷蔵庫の扉を突然開けるなど，突発的な出来事で驚かせることが可能だ。念力の扱い方はノックと同様，野呂井さんの状態を見極めることが鍵となる。

野呂井さんが疲れたりイライラしたりするとメンタルゲージが下がる。0になるとなにもしなくなってしまうので，メンタルケアもしっかり行うように

　ミッションをクリアすると，野呂井さんを驚かせた度合いに応じて経験値を獲得できる。うらみちゃんがレベルアップすると，新しい念力が使えるようになり，霊力も増えていくようだ。

　当夜のミッションを完遂すると，残りの時間を驚かせて遊ぶことができる。かわいそうな野呂井さんだが，経験値がもらえるので致し方なく驚かせようとする。

うらみちゃんが野呂井さんを驚かせる行為は，どこか子どもの悪戯のよう無邪気さがあり，微笑ましさすら感じられる

絵に描いたようなハードボイルド刑事が登場

　過去を書き換えて現在へ戻ると，ささやかな変化として，現場にハードボイルド風の刑事が登場していた。しかし，まだ死の運命を覆すには至らず，日記を頼りに再び別の日へと遡り，少しずつ過去の出来事を変えていくこととなる。

　このように，現在と過去を行き来しながら驚かせることで，最終的に運命を変えていくという過程自体が本作の特徴となっている。どうやって驚かせようかと，工夫を凝らす試行錯誤はとても楽しい。

記憶を失った伝説の地縛霊であるうらみちゃんと，いかにも犯人っぽいキャラクターがストーリーへの興味をかき立てる

　また，野呂井さんがなぜ命を落としたのか，うらみちゃんとおねびぃの過去について，ストーリー面でも続きが気になってしかたがない。製品版の発売が待ち遠しいタイトルだ。