
インタビュー
[インタビュー]「ワンス・アポン・ア・塊魂」,シリーズらしさを大事にしつつも,新要素で新しい「塊魂」の面白さを引き出す
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4Gamer:
「ワンス・アポン・ア・塊魂」は14年ぶりの家庭用新作となります。さらに今年はスマホタイトルの「塊魂Rolling LIVE」も配信され,「塊魂」にとって激動の年になったと感じられます。
石田 遼氏(以下,石田氏):
直近で塊魂の2作品をリマスターした際に多くのユーザーの方から新作を待ち望んでいる声をいただきました。
根強いIPのファンがいらっしゃることが分かり,新作を検討し始め,10月の発売とお伝えできるようになりました。
4Gamer:
本作の概要について,あらためて聞かせてください。
石田氏:
王様と王子がいろいろな時代をタイムトラベルしつつ,塊にさまざまなモノを巻き込んでいくというお話です。「塊魂」シリーズでは世界観を大事にしなければいけないので,どんな世界で塊を転がすかは,かなり時間をかけて決めていきました。
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4Gamer:
タイムトラベルの設定が取り入れられた理由はなぜでしょうか。
石田氏:
企画を始める際に塊魂シリーズをよく知っている社員にヒアリングを行い,“塊魂らしさ”とは何かを議論しました。それを踏まえて,違和感なくプレイヤーの皆さんがワクワクできる設定を求めて,いろいろと考えていきました。過去作では想像上の世界で塊を転がしていくようなシチュエーションが多かったのですが,今回は「皆さんが具体的にイメージできる典型的な場所で塊を転がすのが一番楽しいんじゃないか」ということでタイムトラベルに決まったわけです。
4Gamer:
今回は日本,海賊船,ギリシャという3つのステージをプレイさせていただきましたが,巻き込むモノのバラエティが豊富で楽しかったです。ピックアップする国や時代はどうやって決めたのでしょう。
石田氏:
厳密な会議みたいなことはしていないですね。開発チームでアイデア出しをした際,「恐竜を塊に巻き込んだら面白くないですか?」「氷河期だと地面が凍ってるから,塊がスリップして別の遊びができそうですよね」と直感的に大筋が決まり,さらにテーマとして面白い時代や,ほかとは違った見え方がする時代をピックアップしていきました。
4Gamer:
出すモノはどのように決まりましたか。国も時代もさまざまですが,時代考証などは行ったのでしょうか。
石田氏:
厳密な時代考証をしたわけではなく,時代や場所を聞いて誰もが思い浮かべられるような品物をピックアップしていきました。なかには,ほかのステージとの被りや製作が難しいということでボツになったものもありました。
4Gamer:
ギリシャのステージで,仮面劇の仮面やギリシャで発明された凹面鏡が出てきて,場所に合ったモノが出てくるところにこだわりを感じました。
石田氏:
「塊魂」シリーズでは,真面目とユーモアの絶妙なバランスがポイントです。なので,ゲームに出すモノを選ぶときは,実在した事物をしっかり取り入れつつ,ちょっとふざけるような感じにしています。例えば,ジュラ紀のステージでは,「こんな恐竜いたんだ!」と驚かれるマイナーめな恐竜も登場させつつ,恐竜の着ぐるみを着た原始人も出して,ユーモアを際立たせています。
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4Gamer:
条件でステージが分岐していく新要素も確認できました。例えば海賊船ステージだと,水揚げされたタコを塊に巻き込めば海底ステージになり,放置しておくと敵の海賊船が襲ってくる……と,まったく異なった展開になりましたね。
石田氏:
分岐のどちらかが正解というものではないので,目的次第で分岐を選んでいただければと。何回も遊んでいろいろな分岐を楽しんでもらいたいです。
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4Gamer:
「塊魂」シリーズはルールが少し特殊なので,ステージづくりも大変だと思います。今回はどのような点に注意してステージを作られましたか。
石田氏:
昔からのファンから初めてプレイされる方まで,皆さんに満足いただけるような難度を目指していったので,大変なところはありました。そこで今回思いついたのが「評価を明示する」というシステムです。
これまでのシリーズでは評価基準を隠していたため,がんばったはずなのに王様から怒られることもあったと思います。今回は評価基準をスコアとして表示するようにしましたので,初めての方はクリアを目標にしていただいて,玄人の方はぜひ最高評価を目指していただきたいです。
4Gamer:
なぜか王様に怒られるのは「塊魂」のあるあるでしたが,評価基準が明示されたことで納得しつつ遊べるわけですね。「塊魂」シリーズは,これまで弾かれていた大きなモノも,いつの間にか巻き込めるようになっていた……という逆転の瞬間も魅力だと思います。ステージづくりはどのように進められたのでしょう。
石田氏:
今回も,過去作のステージを分析しつつ制作を進めました。何cm帯の大きさで巻き込めるのはこのルート,このステージの形だとこんなルートも試せるんじゃないか……といった流れでステージを作っていきました。
「みんな大好き塊魂」や「みんな大好き塊魂アンコール+王様プチメモリー」を作られた会社さんと一緒にやっていますので,ステージの作り方や,モノをローポリゴン風に表現するノウハウも受け継がれていますのでご安心ください。
4Gamer:
「塊魂」シリーズの味が受け継がれているわけですね。新要素として「アイテム」が導入されています。アイテムの概要について教えてください。
石田氏:
アイテムはゲームを派手にするというよりは,プレイヤーを助けたり補助したりすることがコンセプトになっています。ぜひ見ていただきたいのは「マグネット」です。周囲のモノが一気に引き寄せられてくるのは見ていて楽しいし,爽快で気持ちいいです。「レーダー」は補助の側面が強く,使うと一定時間メイツや「王様のプレゼント」「クラウン」といった隠し要素の場所を教えてくれます。
4Gamer:
直感的な操作の「塊魂」で,使うボタンが1つ増えるというのはなかなか大きなことなのではないでしょうか。
石田氏:
「塊魂」シリーズは直感的に遊べるのが大きな魅力です。アイテムを使うボタンを追加することについては議論もありましたが,「操作が増える以上の価値を与えられるだろう」ということで現在の仕様に落ち着きました。
4Gamer:
直感的に遊べるという部分についてはこれまでと同様なわけですね。
石田氏:
もちろんです。塊を気持ちよく転がすためのサポートとして能力を決めていきましたから,アイテムを使わないとクリアできないようなステージはありません。
ちなみに,恒例となっているウシクマステージ,「牛や熊を巻き込むと終了になってしまう」ルールは今回も登場し,ウシクマも出てきます。ここでは周囲に“サイズが小さい牛や熊関連のモノ”が散りばめられていて,意識して避けないと塊が小さいまま終わってしまうわけです。こんなステージでマグネットを使おうものなら,周囲にある“サイズが小さい牛や熊関連のモノ”も吸引してしまうので,かえってクリアが難しくなるでしょうね(笑)。
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4Gamer:
初見の人はとくに驚きそうです(笑)。今回はどんな特殊ルールがあるのでしょう。
石田氏:
PVにも登場している「砂漠に水をまいて緑の大地にしていく」というようなものもあります。多様な遊び方を用意させていただきましたので,「味変」しつつ長く遊んでいただければと思います。
4Gamer:
メイツたちの色や顔のデザインを変える「メイツカスタマイズ」も試せましたが面白かったです。
石田氏:
これまでも個性的なメイツたちがたくさん登場してきましたが,お気に入りのメイツをカスタマイズして自分だけのオンリーワンにできますので,より没入してプレイしていただけますよ。
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4Gamer:
カスタマイズしたメイツたちをほかのプレイヤーに見せることはできるのでしょうか。
石田氏:
オンラインでプレイする「スポーツ塊」モードでは,ロビー画面やリザルトでカスタマイズしたメイツが表示されますし,そこでエモートもできます。ほかのプレイヤーがカスタマイズしたメイツも見られますよ。
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4Gamer:
スポーツ塊モードは,どんなルールなのでしょう。
石田氏:
参加者が各々の塊を転がしていき,ポイントを競い合います。
4Gamer:
塊の大きさを直接競うわけではないんですね。
石田氏:
大きさではなくポイントですね。モノを巻き込んで塊を大きくしていくのは通常と同じですが,ポイントを得るには塊を「変換エリア」に入れなければいけません。変換エリアでは塊が小さくなるのと引き換えにポイントを獲得できるわけです。
4Gamer:
ポイントが大きさと引き換えになるのは面白いですね。
石田氏:
サイズが小さくなると大きなモノは巻き込めなくなります。また,ほかのプレイヤーの塊が大きければ,ぶつかったときに巻き込まれることになるでしょう。
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4Gamer:
巻き込まれるとそのままゴロゴロと転がされてしまうのでしょうか。
石田氏:
新たな場所に再出現するので大丈夫です。ちょっとのあいだ,相手を巻き込んで妨害できるような感じですね。
4Gamer:
想像するだけで面白そうでワクワクしますね。近年のゲームだと,オンラインモードで腕前に基づいたランクが付いたりしますが,本作ではどうなのでしょう。
石田氏:
段位はありますが,腕前に基づいてマッチングするようなものではありません。オンラインとオフラインを問わず,スポーツ塊で1位になると上がっていくもので,塊の新たなカラーを獲得できます。
4Gamer:
なるほど。名前は段位ですが,腕前を示すものではなく,塊のカラーを手に入れるためのものなんですね。スポーツ塊はオフラインの1人プレイも可能なのでしょうか。
石田氏:
可能です。オフラインですと1人プレイとなり,CPUと一緒に遊べます。通常のプレイの合間に気分転換するような遊び方をしていただければと思います。
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4Gamer:
1人でプレイして段位を上げ,新カラーを集めていくようなことも可能なわけですね。音楽の取り組みについても聞かせてください。「塊魂」シリーズでは「素敵ソング」としてさまざまなアーティストが登場するのが恒例ですが,今回も松崎しげるさんやさだまさしさん,新沼謙治さんといったジャンルを越えた超大物がフィーチャーされています。
石田氏:
「塊魂」シリーズの最新作として,過去作と肩を並べられるような内容の楽曲ということで,アーティストさんたちにお声がけをさせていただきました。今回のテーマはタイムトラベルなので,さまざまなジャンルの曲を入れています。メインは江戸時代なので,日本のテイストを厚めに入れて制作をしていきました。
4Gamer:
楽曲のファンも楽しめるものになりそうですね。既に予約がスタートしていますが,特に反響の大きな地域はありますか。
石田氏:
日本と北米,ヨーロッパやアジアといった地域で大きな反響をいただいています。北米については。ニューヨークの現代美術館で「塊魂」が展示されていますので,ニューヨーカーの皆さんに受けているという印象を受けます。
4Gamer:
「スポーツ塊」でニューヨーカーの皆さんと一緒に遊べる,なんてこともありそうです。東京ゲームショウ2025に試遊出展するとのことで,最後に遊びにくるファンにメッセージをお願いします。
石田氏:
試遊用として「急いで大きく 4」というステージをご用意させていただきました。指定の大きさにどれくらいの時間で達成できるかというベーシックなルールです。初期サイズが15mなので,いきなり家や建物を巻き込めるようになっています。いろいろなモノを巻き込んで転がしていく爽快なステージなので,そのハチャメチャさを楽しんでください。ちなみに,人が巻き込まれたときに上げるボイスも,シリーズの恒例として弊社の社員がアフレコをしていますので,そこも楽しんでいただければと(笑)。
初めての方でも遊んでいただきやすいのはもちろん,ずっとプレイされてきた方も楽しめるように,新しい機能や要素を詰め込んでいます。「塊魂」らしい,ちょっと変わって笑える雰囲気もそのままですので,ぜひ楽しみにしていてください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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「ワンス・アポン・ア・塊魂」公式サイト
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(C)Bandai Namco Entertainment Inc.
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