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戦車戦の概念を覆す「World of Tanks: HEAT」。Wargamingが挑む新境地を体験してきた[gamescom]
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印刷2025/08/22 13:42

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戦車戦の概念を覆す「World of Tanks: HEAT」。Wargamingが挑む新境地を体験してきた[gamescom]

 ドイツ・ケルンで開催中のゲームショウ「gamescom 2025」のWargamingブースに,同社の新作「World of Tanks: HEAT」PC / PS5 / Xbox Series X|S)が出展されていた。クリエイティブ兼プロダクトディレクターのArtyom Yantsevich氏に話を聞き,アルファ版をプレイできたので,World of Tanks: HEATの概要と印象をお伝えしよう。

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「World of Tanks: HEAT」クリエイティブ兼プロダクトディレクター Artyom Yantsevich氏
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 本作は,Wargamingが約3年の開発期間を費やして生み出した,新作のスタンドアローンタイトルだ。同社はこれを「タクティカルビークルシューター」と定義している。

 従来の「World of Tanks」が重厚で戦術的な戦車戦を描いていたのに対し,本作はまったく異なるアプローチで開発された。Yantsevich氏の表現を借りれば,プレイヤーは車両に乗り込んだスーパーマンとなり,10対10のアリーナPvPマッチで激しい戦いを繰り広げることになる。

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 実際にプレイしてみると,その違いは歴然としていた。車両の動きは驚くほど軽快で,ダッシュなどもでき,ヒーローシューターをプレイしているかのような感覚だ。とはいえ,戦車戦の本質――装甲の厚薄を見極め,地形をいかし,チームと連携する――はしっかりと残されている。

 この絶妙なバランスこそが,「『World of Tanks』のDNAを継承しながら,まったく新しい体験を生み出す」という,開発チームが目指した目標の結実なのだろう。

 World of Tanks: HEATの開発は,新しい自社製エンジンをゼロから構築することから始まった。Yantsevich氏が強調したのは,これが真の意味でのクロスプラットフォームエンジンだということだ。Xbox版もPlayStation版も,フォークや別バージョンではなく,すべてがネイティブアプリケーションとして動作する。

 さらに重要なのは,マルチスレッドアーキテクチャの採用だ。GeForce GTX 1060からXbox Series S,PS5 Pro,そしてハイエンドPCまで,実に幅広いハードウェアをサポートするため,最適化とパフォーマンスに徹底的にこだわったという。

 この新エンジンにより,Wargamingとして初となる,ローンチ時からの完全なクロスプレイとクロスプログレッションが実現した。外出先ではSteam Deckで遊び,帰宅後にPS5で続きをプレイする――そんなシームレスな体験が,すべてのプラットフォームで可能になる。

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 エンジンチームと開発チームが密接に連携できることも大きな利点だ。必要に応じて機能を迅速に実装し,ツールやパイプラインを強化できる。そして何より,物理演算を細かく調整することで,「World of Tanks」らしい戦車の操作感を維持しながら,新しいゲームプレイを実現できたのだという。

 ゲームプレイのキモとなるのが「エージェントシステム」だ。各エージェントは「アサルト」「ダメージディーラー」「マークスマン」「ディフェンダー」という4つの役割に分類され,それぞれが複数の専用車両を所有している。

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 Yantsevich氏は,このシステムをRPGのサブクラスになぞらえて説明してくれた。例えばディフェンダーは騎士のような役割だが,重装甲の騎士もいれば,より機動性を重視したタイプもいる。

 具体的な例を挙げると,典型的なディフェンダーは,M1 E1(エイブラムスの前身となる改良版)を主力車両とする。このエージェントの究極アビリティは砲撃支援の要請で,戦場に強力な援護射撃を呼び込む。車両自体も,APS(アクティブ防護システム)や砲塔搭載のガトリングガンといった固有のアビリティを持つ。

 一方,マークスマンクラスのエージェントは,Leopard 1A6を駆る長距離戦のスペシャリストだ。究極アビリティで敵車両の弱点を可視化し,デコイやトラップといった車両アビリティで戦術的な優位を築く。まさに弓を持つ射手のようなアーキタイプである。

 興味深いのは,同じディフェンダークラスでも「エンバー」と呼ばれるエージェントは,まったく異なる戦い方をする点だ。改良版M60を駆り,シールドを爆破して地雷原を作り出すなど,敵を常に牽制し続けるブロウラー的な役割を担う。

 プレイヤーは同じエージェントでも異なる車両を選択でき,究極アビリティは共通だが車両アビリティは変化する。この仕組みにより,状況に応じた柔軟な戦術選択が可能だ。

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 世界観も従来シリーズとは一線を画している。舞台は第二次世界大戦後の架空の時代。もし人類が戦後,軍事技術の発展にだけ注力していたらという仮定のもとに構築された世界だ。

 Yantsevich氏によれば,開発チームは70%の現実性と30%のIf要素というバランスを目指したという。プレイヤーには地に足のついたリアリティを感じてもらいつつ,同時に想像力をかき立てるような要素も楽しんでもらいたいという思いが込められている。

 この設定により,試作車両や実験的なデザインの車両が数多く登場する。単に現代の軍隊が保有する車両を再現するのではなく,技術発展の可能性を探求した結果が,本作の多彩な車両ラインナップに反映されているのだ。

 Wargamingは本作で,視覚的な卓越性の境界を押し広げることを目指したという。車両の細部に至るまで徹底的に作り込まれており,装甲の質感,可動部の動き,泥や傷の表現など,戦車ファンも納得のクオリティを実現している。

 マップデザインも従来の戦場再現に留まらない。開発チームは「技術的な驚異」をコンセプトに掲げ,巨大なビーコンを持つ太陽光発電所や,空に向けて巨大なレーザーを放つ北極の科学研究施設など,SF的な要素を積極的に取り入れた。単に世界各地の風景を再現するのではなく,より幅広い層のプレイヤーにとって興味深い環境を作り出すことに注力したのだという。

 実際にプレイしたマップでは,複雑に入り組んだ地形と垂直方向の構造が印象的だった。高低差をいかした立体的な戦闘が可能で,上から奇襲をかけたり,下から敵の死角を突いたりと,従来の戦車戦ではあまりなかった戦術が要求される。

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 本作のゲームモードは,「コンクエスト」「ドミネーション」「キルコンファーム」「プラント&ディフューズ」などが採用されている。しかし開発チームは,これらを単なるモードではなく「アクティビティ」として設計した。

 これは,同じマップでも異なる勝利条件によってまったく違うゲーム体験が生まれるという考え方だ。例えば,あるマップはドミネーションモードだと拠点防衛が中心となるが,キルコンファームモードでは機動戦が重要になる。マップの同じ地理的要素が,モードによって異なる意味を持つのだ。

 筆者が体験したドミネーションモードでは,マップ上の5つの拠点を奪い合い,先に2000ポイントを獲得したチームが勝利する。拠点の占領には時間がかかるため,いかに効率的に複数の拠点をコントロールするか,チームの連携と役割分担が試される。

 続いてプレイしたキルコンファームモードは,5対5の少人数戦だった。倒した敵の位置にドロップするタグを回収することでポイントを獲得するルールで,より動的でスピーディーな展開となる。個人技が光る一方で,味方のタグを守ったり,敵のタグ回収を妨害したりといったチームプレイも重要だ。

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 車両のカスタマイズシステムも充実している。外観の変更はもちろん,モジュールと呼ばれるパーツを装着することで,車両の性能を微調整できる。

 Yantsevich氏は,これをストック版(初期状態の車両)とトップ版(モジュールを揃えてフル開発した最強状態)という従来の考え方ではないと強調した。パワーの総量は同じに保ちながら,プレイヤーが自分のプレイスタイルに合わせて,あるパラメータを下げて別のパラメータを上げるといった調整が可能なシステムなのだという。

 例えば,装甲を少し薄くして機動性を上げたり,火力を抑えてリロード速度を向上させたりといった具合だ。これにより,同じ車両でもプレイヤーごとに異なる個性が生まれる。

 さらに興味深いのは,将来的な他IPとのコラボレーションも視野に入れている点だ。実際にアルファ版では,かなり実験的なスキンやテーマも確認できた。単なる色違いではなく,テーマに基づいた大胆なデザイン変更も可能なようだ。

 ビジネスモデルについて,Wargamingは明確な方針を持っている。本作も基本プレイ無料のFree-to-Playモデルを採用するが,パワーアドバンテージとなる課金要素は一切販売しないという。

 プレイヤーの腕前が勝敗を左右する公平な環境の提供――これは同社が長年守り続けてきた哲学だ。課金要素は外観アイテムやバトルパスなどに限定され,ゲームバランスに影響を与えることはない。この方針こそが,「World of Tanks」シリーズが長年愛され続けている理由の一つだろう。
 
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 アルファ版を実際にプレイしてみて,最初に感じたのはカジュアルさだ。本作ではリスポーンが可能になったことで,一度のミスが致命的にならず,より積極的なプレイが推奨される。

 しかし,単にカジュアル化したわけではない。むしろゲームスピードが上がったことで,瞬時の判断がより重要になった。装甲の厚い部分と薄い部分の見極め,地形をいかした立ち回り,アビリティの使用タイミング――これらすべてを素早く判断し,実行する必要がある。

 特に印象深かったのは,各車両の弱点システムだ。すべての車両には固有の弱点が設定されており,そこを狙うことで大ダメージを与えたり,デバフを付与したりできる。

 筆者が使用したディフェンダーのAPSも,使いどころが肝心だ。敵の集中砲火を受けそうなタイミングで発動すれば,チームの盾として大きな貢献ができる。しかしクールダウンが長いため,無駄づかいは許されない。

 本作の開発には,Wargamingのベテランと業界の主要タイトルを手がけた人材が結集している。ビリニュス,ワルシャワ,ニコシア,ベオグラードなど各地に分散したチームが,約3年をかけて一つのビジョンを形にしてきた。

 Yantsevich氏との対話を通じて感じたのは,開発チーム全体に共有された明確なビジョンと,それを実現するための情熱だ。「World of Tanks」のDNAを維持しながら,まったく新しい体験を作り出すという困難な課題に,チーム一丸となって取り組んできたことが伝わってきた。

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 「World of Tanks: HEAT」は,戦車戦というジャンルに新たな可能性を示す作品だ。タクティカルビークルシューターという新ジャンルの開拓,エージェントシステムによる戦術の多様性,新規エンジンによる技術的な革新――これらすべてが融合することで,従来の戦車ゲームファンはもちろん,より幅広い層にアピールできる作品に仕上がっている。

 もちろん,現時点ではまだアルファ版であり,製品版に向けてさらなるブラッシュアップが必要だろう。特にバランス調整やマッチメイキングシステムなど,オンラインゲームの根幹となる部分は,クローズドベータでのフィードバックが重要になるはずだ。

 しかし,gamescom 2025で体験した限りでは,本作が戦車戦というジャンルに新風を吹き込む可能性を十分に感じられた。Wargaming CEOのVictor Kislyi氏が語った「シリーズのまったく新しいビジョン」という言葉に偽りはない。クローズドベータ,そして正式リリースの日が今から待ち遠しい。

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