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地獄で繰り広げられる超高速アクション。韓国の若手開発チームが挑む初作品「HellPunk: Purgatorium」
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印刷2025/10/20 14:23

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地獄で繰り広げられる超高速アクション。韓国の若手開発チームが挑む初作品「HellPunk: Purgatorium」

 タイのバンコクで開催された「gamescom asia × Thailand Game Show 2025」で,韓国のインディースタジオUrban Oasisが開発中のアクションローグライト「HellPunk: Purgatorium」のデモプレイを体験する機会を得た。本作は,行方不明の妹を探していた男が事故で地獄へ落ち,そこで繰り広げられる超高速アクションを描いた作品だ。

 会場では実機を前に,開発元のUrban Oasisでディレクターを務めるSangwoo Ji氏自らがプレイしながら本作の紹介してくれたので,その内容をお伝えしよう。

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 本作はローグライトゲームでありながらも,しっかりとしたストーリーが組み込まれている。主人公は行方不明の妹を探して世界中を旅していたが,事故に巻き込まれて地獄へと落ちてしまう。そして地獄で出会ったのが,嫉妬の悪魔「レビアタン」だ。彼女は本作におけるヒロイン的な存在として,物語の重要な位置を占めている。

 ローグライトゲームでストーリーを語るのは難しい。そこで開発チームが採用したのが,プレイヤーキャラクターが死ぬたびに新しいストーリーやセリフが表示される仕組みだ。ローグライトでは死亡がただのリセットになりがちだが,本作では死ぬことで物語が少しずつ明らかになっていく

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 本作は主人公の過去と妹との関係,そしてレビアタンという存在を軸に,地獄を舞台にした物語が展開される。何度も死を繰り返す中で,少しずつ真実が明らかになっていく構造は,ローグライトというジャンルに新しい価値を与えているかもしれない。

 開発チームが目指すのは,ハイスピードでクレイジーなアクションだという。実際にプレイしているところを見ると,主人公は驚異的な速度でステージ内を駆け抜け,モンスターを次々と薙ぎ払っていく。敵を倒すと血飛沫が舞い,モンスターの身体がバラバラになる演出が入る。ゴージャスでグロテスクな雰囲気を作り出すことが,開発チームの意図したところだ。

 このグロテスクな表現について,Ji氏は「Blasphemous」「Doom」といった作品からインスピレーションを得たという。そして本作のジャンルを,チームは独自に「ドームセールズ」と呼んでいる。これは,「Doom」のような残酷なアクションと,「Dead Cells」のようなローグライト要素を合わせた造語だ。この2作品の要素を掛け合わせたという表現は的を射ている。

 ちなみに,マップには落下死の概念がない。ハイスピードなアクションを追求するうえで,落下ダメージがあるとゲームプレイが妨げられるという判断からだ。プレイヤーは地形を気にせず思う存分暴れ回れる。スピード感を最優先したゲームデザインが,ここにも表れていると言えるだろう。

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 本作で最も重要なアップグレード要素が「ギア」だ。モンスターを倒すたびにランダムでギアがドロップし,プレイヤーの能力を強化できる。ギアには4種類のレア度があり,装着できる数には上限がある。

 獲得したギアは「ギア捜索体」で捜索したり,分解したりでき,分解して得られる「ギアピース」は能力のアップグレードに使用可能だ。限られた枠の中でどのギアを選ぶかという戦略性が,プレイの深みを生み出している。


 武器は複数種類用意されており,それぞれが2つのアクティブスキルと1つのパッシブスキルを持つ。Ji氏がデモで見せてくれたのは,ガントレットから刀への切り替えだ。武器チェンジはシームレスに行われ,状況に応じた立ち回りが可能になっている。各武器の個性を生かした戦い方が,プレイヤーに求められるわけだ。

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 また,モンスターを倒したり,攻撃を受けたりすることでゲージが溜まり,100に達すると必殺技「オーバーヒート」を発動できる。画面を派手に彩る必殺技は,まさにこのゲームの爽快感を象徴する要素だろう。

 通常ステージのほかに,より難度の高い「エリートステージ」が用意されている。エリートステージのモンスターはスーパーアーマーを持っており,攻撃してもひるまず,体力も多い。その分,報酬も豪華になっているという。リスクとリターンのバランスを考えながら,どのステージに挑むかを選択する楽しみがある。

 ステージクリア時の報酬として獲得できるのが「印章」だ。これはスキルをチェンジできるシステムで,4つのテーマに分かれている。多くのモンスターを倒せる範囲攻撃特化のスキルもあれば,単体攻撃だが強力になるスキルもあるという。それぞれが明確な個性を持っており,プレイヤーは自分のプレイスタイルに合わせて印章を選択し,戦略を組み立てることになる。

 ローグライトゲームの宿命として,死亡時にはギアやスキルチェンジといった一時的な強化要素はすべて失われる。しかし,死んでも残る永続的なアップグレード要素が用意されている。

 拠点となる「ベースキャンプ」では,さまざまなアップグレードが可能だ。バーでは1回のプレイ中のみ効果を発揮する「カクテル」を飲むことができる。ボスを倒して獲得した「血石」を使えば,身体そのものをアップグレード可能だ。身体そのもののアップグレードは死んでも失われず,確実に主人公を強化していく。何度挑戦しても,前回より少しだけ強くなっているという実感が得られる設計だ。つまり,アクションゲームが苦手なプレイヤーでも,繰り返しプレイすることで徐々に強くなり,いずれはクリアできるようになっている。

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 ゲームには多数のサイドクエストが存在する。ベースキャンプに出現するNPCから依頼を受け,特殊な条件を満たすことで新たな「カクテル」が開放されるのだ。

 クエストをクリアすると酒の原料となるアイテムが渡され,それをバーテンダーに届けることで新しいカクテルが飲めるようになる。まだ開発中とのことだが,こういった細かな要素の積み重ねが,ゲーム世界に深みを与えるだろう。

 また,「闇の商店街」のような場所では,「シャード」という通貨を使ってギアや印章を購入できる。シャードは敵を倒すことで獲得でき,ショップでの買い物のほか,身体改造にも使用される。ランダムドロップだけに頼らず,確実に欲しいアイテムを手に入れられる選択肢があるのは嬉しい。

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 本作のテーマは「七つの大罪」だ。それに合わせて,武器も7種類が用意される予定だという。ボスを倒すと宝石が手に入り,それを渡すことで新しい武器を作ってもらえる場所も実装予定だ。現時点では開発中とのことだが,テーマに沿った武器のラインナップは,プレイヤーの期待を高める要素となるだろう。各武器がどのような個性を持つのか,正式リリースが待ち遠しい。

 正式版のプレイタイムは10時間程度を想定しているという。チャプターは4まで用意される予定だ。現在,Steamでデモ版がリリースされており,無料でプレイ可能となっている。

 ちなみにUrban Oasisは現在4人のチームだ。全員がこのゲーム制作が初めての作品だという。開発期間は約1年10か月。2人は大学卒業後すぐに開発を開始し,プログラマーの2人はまだ大学生だ。

 両親からは会社に勤務したほうが良いのではという声もあったというが,海外のエキシビションで良い反応を得たこともあり,今は彼らの挑戦を後押ししている。
 2025年9月に開催された東京ゲームショウ2025に続き,11月には韓国のG-STARへの出展が決まっている。さらに,2026年3月にはTOKYO INDIE GAMES SUMMITへの出展も検討中だという。日本のゲームショウは韓国から最も近い海外の展示会であるため,積極的に出展していきたい意向のようだ。

 展示会への参加費用は,韓国のインディゲームエキシビション「BIC」でのキャンペーンに選ばれたことで支援を受けているという。韓国政府や地方自治体による手厚いインディーゲーム支援の恩恵を受けながら,彼らは着実に世界へと歩みを進めている。正式リリースまで,彼らの挑戦を見守りたい。

Sangwoo Ji氏(左)
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「gamescom asia」公式サイト


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