
インタビュー
「Xbox 東京ゲームショウ 2025 ブロードキャスト」が示す,日本・アジア地域でのマルチスクリーン&デバイス戦略
![]() |
今年は合計25タイトルが紹介され,そのうち16本が日本やアジアのスタジオで開発された作品となる。日本だけで9タイトル,韓国で2タイトル,中国で3タイトル,シンガポールとマレーシアからもそれぞれ1タイトルが登場し,「アジア発のゲーム体験」を重視した構成となった。
さらに「Age of Mythology: Retold」における日本テーマの拡張コンテンツや「Call of Duty: Black Ops 7」の日本マップ,「Microsoft Flight Simulator 2024」の日本ワールドアップデートなど,日本を舞台にしたコンテンツの発表も相次ぎ,日本国内のユーザー,および日本に興味を持つ世界のユーザーに向けたトピックも強調されていた。
番組で紹介された主なタイトル
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
日本に関連するアップデート
・「Age of Mythology: Retold」
日本神話をテーマにした最新拡張「Heavenly Spear」
・「Call of Duty: Black Ops 7」
日本モチーフの新マップ
・「Microsoft Flight Simulator 2024」
日本テーマのワールドアップデート
・「Forza Horizon 6」
日本モチーフの舞台
番組の配信に先駆けて,Managing Director, Xbox Asiaの加藤芽奈氏にメディア合同でお話をうかがうことができた。
加藤氏は今年,日本だけでなくアジア全域のパートナーシップ,ゲームタイトルのグローバル展開にまで責任範囲が拡大。Xbox Play Anywhere戦略に沿ったクロスプラットフォーム,マルチスクリーン,マルチデバイスの将来性を,パブリッシャやデベロッパに伝えることにも力を注いでいるという。
![]() |
先日発表されたROG Xbox Allyについても期待が大きいそうで,加藤氏は「我々が進める戦略を体現できたコラボレーション」と語っていた。
Xboxプラットフォームは日本やアジア発のタイトルの展開を通して,どのような新しいユーザー体験をつくろうとしているのだろうか。
──この1年,お仕事の範囲が拡大される中で,得た経験や感想をお聞かせいただけますか。
加藤芽奈氏:(以下,加藤氏)
まず日本においては,パートナーの皆様と深く関わらせていただきました。Xboxが何を目指し,何を提供したいのかについて,たくさん対話を重ねています。その中で,Xboxならではのマルチスクリーン,マルチデバイスという特徴が,パートナーの皆様に非常に歓迎され,共感もいただけています。
ユーザーの方々も,複数のデバイスで遊べることをとても便利に感じており,その声がパブリッシャーにも届いている。それが,さまざまなタイトルがXboxに出てくる土壌になっていると感じています。
──特に期待されているタイトルなどは?
加藤氏:
やはり「ドラゴンクエスト」や「モンスターハンター」など,アイコニックなタイトルがXboxに登場することが楽しみです。日本のユーザーの皆さんに喜んでいただけることも,大変嬉しく思っています。
──日本はXbox ONEの時代よりもXboxコンソール(家庭用機)が伸びている珍しい市場ですが,それは加藤さんがより広い地域を担当されるようになった点も関係しているのでしょうか。
加藤氏:
どうでしょうか(笑)。ただ,日本のパートナーと活動を続ける中で,特に韓国や中国のパートナーが活躍していることを私も目の当たりにしていました。地域的にも近く,アジア全体を見るほうが効果的だという判断があったのではないでしょうか。
──グローバルの戦略をデベロッパに伝える際,工夫している点はありますか。本国からのメッセージをそのまま言うだけでは伝わらないニュアンスもあるかと存じます。
加藤氏:
もちろんです。伝え方や説明の視点を当地の文化に合わせて"ローカライズ"しています。同じワールドワイドの戦略でも,伝えるタイミングや方法,使用するデータなどを細かく調整することが重要です。
──現状,タイトルによっては日本語ローカライズが遅れたり,断片的になってしまうことがありますが,今後の改善については。
加藤氏:
最終的な判断はスタジオでしておりますが,我々としては日本のユーザーにしっかり届けたいという思いがあり,日々お願いし続けております。引き続きスタジオとコミュニケーションを重ね,ユーザーのニーズを伝えていきます。
──Xboxのコミュニティについては,今後どのように拡大していくお考えですか。
加藤氏:
現在は特にPCユーザーが増えており,コンソールだけでない遊び方が広がっています。データに基づいて,いかに多くの方に訴求するかが重要です。ゲームパスやハンドヘルド機の展開,Windowsデバイスでのプレイなど,マーケットシェアよりも“皆さんが持っているデバイスで遊べる環境”を整えることに注力しています。
先日発表した「Xbox Cloud Gaming」をLGエレクトロニクスの車載デバイスで遊べるようになる件など(関連記事),自動車やスマートテレビなどでもXboxを展開していく計画です。
──日本では特に,Cloud GamingやROG Xbox Allyなどが示している"広義のXbox"の概念がなかなか浸透しない現状があると思います。大規模な訴求のタイミングを探っている段階なのでしょうか。
加藤氏:
訴求方法は常に考え続けています。ROG Xbox Allyとのコラボレーションやスマートテレビ,車内でのプレイなど,遊べるデバイスを増やし,触れる機会を増やすことが,長い目で見れば"広義のXbox"の体現につながるかと思います。ですので,今後も注目していただければと思います。
──「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」が登場しますが,これまで特定のシリーズはXboxでの展開がとくに遅れる印象がありました。こちらも状況が変わっていくのでしょうか。
加藤氏:
ここ数年,スクウェア・エニックス様のマルチプラットフォーム戦略に沿って,Xboxもその仲間として加わる形で展開しています。まだまだキャッチアップが必要なフランチャイズ(シリーズ)もあると思いますが,今後は歩幅を合わせながら展開していければと考えています。
──ゲームパスへの「Clair Obscur: Expedition 33」や「ホロウナイト: シルクソング」といった注目作の追加は,日本のユーザーにも響いている感触ですか。
加藤氏:
そうですね。日本のユーザーの嗜好も変化してきたと感じます。以前は国内ゲームを主にプレイされる方も多い状況でしたが,今は世界中のゲームに触れる機会が増えています。特にゲームパスを通じて,グローバルにフィットした作品も,多くの方に楽しんでいただけています。
「Xbox 東京ゲームショウ 2025 ブロードキャスト」は,人気シリーズの最新作に加え,日本を舞台としたコンテンツや,新たなインディー作品まで幅広いラインナップが揃い,Xboxがアジア市場に注力している姿勢が強く打ち出された。
Xboxのゲームで遊べる環境は,コンソールに加えてPC,クラウド,ハンドヘルド,スマートTV,車載デバイスと,今後も広がり続けていく見込みだ。発表された作品群がどのようにユーザー層を広げていくのか,今後の動向にも注目したい。
4Gamerの東京ゲームショウ2025記事
- 関連タイトル:
Xbox Series X/S本体
- この記事のURL: