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暗号資産口座1000万人超えが税制改正の追い風に? 「暗号資産税制改正:政府検討の方向性と実現目処」セッションレポート[WebX]
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モデレーターはYouTubeなどで活動を行っているJoe氏が務め,一般社団法人 日本暗号資産等取引業協会の代表理事 会長である小田玄紀氏,自民党所属の衆議院議員・小森卓郎氏,Pafinの代表取締役である斎藤 岳氏が登壇した。本記事ではそのレポートをお届けしよう。
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冒頭では,小田氏によって「暗号資産の税制改正の流れが,最近良い方向に変わってきている」という主張が行われた。
2024年4月末頃に暗号資産の国内口座数が1000万を超えたのだが,これが政府側の認識に大きな影響を与えたとのこと。
さらに,アメリカで大統領がトランプ氏になったことも,暗号資産にとって追い風になっているという。加えて,ビットコインETFが海外で先行して実現したことも,政府側の暗号資産に対する認識に影響を与えているようだ。
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衆議院議員の小森氏からは,2024年12月に自民党のデジタル本部,そして金融調査会と連名で,暗号資産を株式と同じ申告分離課税にしたい話,そしてこれまでの資金決済法から金融商品取引法に移して税制改正を行いたい旨の申し入れをした話が語られた。
税制大綱にも,「来年への検討課題」として暗号資産のことが文書として書かれたことも,大きな分岐点であるという。業法としてしっかり位置づけることや,きちんとした形で投資者の保護が行われること,そして取引業者などから税務当局にきちんとした報告が成されることが,文書の中では求められているそうだ。
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斎藤氏からは,業界団体がどういった税制改正の要望を出しているのかが語られた。斎藤氏いわく5つの要望を提出しているとのことで,中でもメイントピックは現在の総合課税の雑所得ではなく,一律20%の申告分離課税にしてほしいという点だという。
また,仮に暗号資産ETFが日本に導入された場合の税の不一致があってはならない点についても言及された。例えば,現物の暗号資産は総合課税なのに,ETFは証券なので申告分離課税となってしまうと,異業種間の競争環境に著しい不公平が生じることを斎藤氏は指摘する。その点も含めて,公正な環境となるような税制改正を行ってほしいとのこと。
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話題は,スタートアップの人たちが暗号資産関連のビジネスをする場合における,現状の税制の問題についても及んだ。
斎藤氏によれば,「現状で,日本でウォレット関連のビジネスをやる意味があるのか」という話になりかねないので,何とかしてほしいと主張する。
小森氏いわく,最近は暗号資産の分散投資対象としての正の側面が徐々に認められてきているという。
上場株式や投資信託は日本の経済社会で有意義な役割があるから申告分離課税になっているので,暗号資産も同様の認識になれば申告分離課税になる可能性はあるとのこと。
ただし,申告分離課税になるハードルも高く,セキュリティなどがしっかりしていないと申告分離課税にはできないという。
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現状ではさまざまな課題も残っているが,暗号資産の税制改正については徐々に実現には近づいているようだ。今後の展開に期待したい。
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