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「20代のPC離れ」からPCゲームの未来を救えるか? DLsiteの戦略と新たなクラウドゲーミング技術[IDC2025]
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2025年11月15日に開催されたインディーゲーム開発者向けのカンファレンス「Indie Developers Conference 2025」(IDC2025)にて,「手間ゼロで売上2倍! PCゲームのスマホ展開 同人市場で実証した戦略を、インディー開発者へ」というセッションが行われた。これは,DLsiteを運営するエイシスが取り組むPCゲームのスマホ展開,そして新たに打ち出したクラウドゲーミング技術について紹介するものだ。登壇したのは,DLsiteのスマホゲーム事業を担当する堀田敏稀氏である。
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PCゲーム市場は拡大しているのに,若年層はPCを持っていない
DLsiteは月間5.5億PV,グループ会社のサービスも含めて1560万を超えるユーザーを有し,2024年度のグループ年間売上は562億円にのぼる(その多くがDLsiteに由来するものだと推測される)――規模の大きさは国内プラットフォームとしては圧倒的だ。しかしDLsiteが直面するのは「同人ゲーム文化の継続的な発展をいかに実現するか」という大きなテーマである。
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背景には「若者のPC離れ」があるという。DLsiteが実施したユーザー調査では,特に若年層ほどPCの所有率が低い。10年後,20年後のユーザーは本当にPCでゲームを遊んでいるだろうか。PCゲームの規模が縮小する可能性を見据えると,プラットフォーム側でなんらかの手を打つ必要がある。
そこでDLsiteが考えたのは,「PC向けゲームをスマホで遊べることを,開発者の負担ゼロで実現すること」だった。
スマホでもあたりまえにゲームを遊んでもらうための条件として堀田氏は,
1.販売場所がある状態
2.コンテンツがある状態
3.スマホでプレイする選択肢をユーザーが受け入れている状態
という3点が不可欠だと説明する。
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プラットフォーム側でスマホ対応をすべて行う
まずDLsiteは「スマホゲーム専用フロア」を開設し,同人・商業・女性向けとは別にカテゴリを切り出した。続いてiOS/Androidアプリ「DL Play Box」を開発。これはDL Play Box向けに移植したPCゲームをスマートデバイスでプレイ可能にし,かつ購入履歴やデータを同期するというものだ。
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だが最大の壁はコンテンツの移植だった。
PCゲームをスマホ用に移植するには,UI/UXの再設計,メモリ管理,リソースサイズの最適化など,膨大な作業が発生する。堀田氏は「最も重要なのはテストプレイ」と強調する。主要OS・主要端末ごとの不具合検証,再現確認,返金対応まで含め,このプロセスは何度も繰り返される。
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こうした取り組みにより,DLsite内のスマホ市場規模は8倍に拡大し,若年層ユーザーの獲得にも成功しているという。移植作業はすべてプラットフォーム側が担っているため,開発者の負担はゼロ。収益アップにもつながった。
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成功例として紹介されたのが,あおぎり高校による「はらぺこランナーズ!!! ばくだん焼本舗コラボレーション」だ。本作はVTuberのうる虎がーる氏がほぼ一人で開発したタイトルで,スマホで配信を視聴していた人々を,そのままゲームへ誘導できた点が大きかった。
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移植対応はエンドレス。そこをクラウドで解決
ただし,これですべてが解決したわけではなかった。
移植の工数は膨大で,しかもリリース後も保守・検証・不具合対応が続く。DLsite上の同人ゲームは大量にリリースされるため,スマホ対応サービスは追いつかず,対応率は10%にとどまっていた。
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そこでDLsiteが次に着目したのがクラウドゲーミングだ。ゲームをサーバー側で動かし,映像としてユーザーに届ければ,端末ごとの移植作業が不要になる。端末固有の問題も発生しにくい。
ただしクラウドゲーミングは通常,運用コストが極めて高い。さらに料金はサブスクリプションモデルが主流で,買い切り文化の強い同人ゲームとは相性がよくない面がある。DLsiteは「クリエイターとユーザー間の応援する・される」という関係性を大切にしたいとも考えている。
それらの難題を解決したのが,スタートアップ企業・株式会社ブラックのクラウドゲーミング技術である。 エイシスは,ブラックのクラウドゲーミングシステム「OOParts Engine」を取得し,既存システムと統合の上,独自のシステムを構築した。ここからはブラックのCEOである小川楓太氏が説明を引き継ぐ。
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では,OOParts Engineはどうやってコストの問題を回避したのか。OOParts Engineは特許技術により,市販されているゲームデータをそのままアップロードするだけで,さまざまなデバイスからワンクリックでのプレイを可能にする。
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OOParts Engineは一般的なOSや仮想化環境を使わず,Linux,WINE,Kubernetes,Dockerといったライセンス費用のかからないオープンソースソフトウェアを使うことで低コスト化を実現している。
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WINEがWindowsアプリケーションをLinux上で動かし、それをDockerやKubernetesでコンテナ化することで、ゲームごとの環境を迅速かつ独立して展開できるわけだ。
要するに「コンテナ技術でシステムを効率よく動かせる」ため,使用するハードウェアのコストも抑えられる。その反面,保守管理などにコストがかかるものの,比較的高い技術力のある技術者を安価に確保できる日本のエンジニアリング環境と相性が良い。
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Steam DeckなどのSteamOS環境でも証明されているように,Linux上でも7割から8割のゲームは正常に動作するという(DLsiteの試算による)。もちろん互換性やコンポーネントの多さによる課題は残る。しかし,ユーザーの端末環境に合わせて移植作業を続けるより遥かに合理的である,という判断だ。
現状,インディーゲームの主な販路はSteamだ。多くの場合,Windowsで動作するゲームとして制作するため,日本国内だけでなく世界展開も視野に入れることになる。ただ,多数のタイトルに埋もれないために,結果としてよりグローバル向けの内容に寄せざるを得ないことも増える。デザインや倫理面の文化的制約も生じやすく,スマホ世代へのリーチも難しい。
そしてこうした課題は,サブスクリプション型のクラウドゲーミングサービスでも本質的には解消されない。
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一方,OOParts Engineと統合したDLsiteの配信システムの場合はデバイスを選ばずゲームを遊んでもらえ,買い切り型にも対応,さらに日本独自の表現も守りやすい。PCゲーム文化を軸に活動するインディーゲーム開発者にとっても,新しい販売手段となる可能性を秘めている。
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DLsiteが目指しているのは,ゲーム文化の継続的な発展を実現するための「技術的負荷の肩代わり」のようだ。
またエイシスは,DLsiteというプラットフォームのカラーに合う合わないに関わらず,幅広いゲーム開発者のスマホ市場へのチャレンジを支えたいとも考えている。
「ご自身のゲームをスマホで動かしてみませんか?」
堀田氏は,いわゆる「同人ゲーム」だけではなく,広いゲーム開発者に向けてそう呼びかけ,セッションを締めくくった。
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