新川氏が日本一ソフトウェアを退職したのは,2022年8月のこと。それからしばらく動きが見えなかったが,今年4月1日に,自身が代表を務めるスーパーニッチの設立をアナウンスした(関連記事)。
東京ゲームショウ2025には,そんな新川氏が関わっているタイトルが複数出展されている。これは良い機会ということで,「なぜ辞めたんですか?」から,現在の活動まで,いろいろと聞いてみた。
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社長を辞めてでもものづくりがしたかった
4Gamer:
本日はお時間をいただきありがとうございます。新川さんがこうやって表に出てくるのは,久しぶりですよね。日本一ソフトウェアを退職されてから,しばらく潜伏されていましたし。
新川宗平氏(以下,新川氏):
そうですね。新川宗平としてXアカウント(リンク)を作って,スーパーニッチの公式ページを公開したのが,今年の4月1日,エイプリルフールになります。
4Gamer:
再びお話しをうかがえる状態になったということで,けっこうさかのぼりたいのですが……そもそも,なぜ日本一ソフトウェアの社長を辞めたのかは,聞いても大丈夫でしょうか。
新川氏:
辞めたのは3年前,49歳のときだったんですが,もともと私は新卒第1期組として入社して,それから営業,広報,そして企画とやってきました。シナリオを書いて,プロデュースして,自分で売りに行って。そんなことを続けていたら,13年経って社長に就任したんですよ。
でも,社長になってからも,とにかく現場が好きだったので,営業も開発も続けていたんです。
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4Gamer:
社長になってからのプロデュースタイトル,いろいろありましたよね。
新川氏:
ただ,45歳ぐらいのとき,さすがにいつまでも社長が現場にいるのはよくない,若い人が育ちにくい,といった話が経営陣の中で出まして。
それは確かにそのとおりで,いつまでも居座っちゃいかんなと,現場から外れていったんです。でも,そうすると,当然作る仕事が減りますよね。
4Gamer:
そして,会社経営側の仕事が増えていきますよね。
新川氏:
言い方は悪いですけど,自分的には,これがつまらないんですよ。ゲームが作りたくてこの業界に入ったのに,作れなくなるというのが,思っていたより効いたんです。なんだか空虚な気持ちになってしまって。
それで,50歳手前になって,残りの人生を考えたときに,ゼロからになってもいいから,ものづくりをやりたいとあらためて思いまして。
経営者として会社を成長させていく自信もないですし,足手まといにもなりたくないということを,会長にお話しして,辞めさせていただいたという経緯になります。
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4Gamer:
辞めてからの準備というか,次にやりたいことは決めていたんですか?
新川氏:
いえ,けっこう急な話だったので,新しい会社の準備をしていたとか,ネタを仕込んでいたということは,一切ありません。先に辞めちゃいました(笑)。
ただ,何かを作りたくて辞めたわけですから,作りたいものはいっぱいあったんです。なので,ゲーム以外のことにもどんどんチャレンジして,エンターテインメント全方向で世の中に出していく会社として,スーパーニッチを作りました。
4Gamer:
スーパーニッチの初動としては,何から動かれたんですか?
新川氏:
いろいろなタイトルの準備ですね。まず作ることと,サポートすることの2つに仕事を分けました。作るほうでは,ちょうど時を同じくして,ゲーム会社社長から独立された,喜多山浪漫さんという小説家がいらっしゃいまして。
4Gamer:
時を同じくして。
新川氏:
その方の小説をプロデュースして,コミックやゲームにしていく,コンテンツ展開の裏方をやっていました。
サポートするほうでは,私のこれまでの経歴などを買っていただいた企業さんから,社外取締役をやってほしい,プロデューサーをやってほしい,会社の業績がよくないので立て直してほしいという依頼があり,それらを受けていました。
4Gamer:
……それは,ものづくりがしたいという当初の目的と,外れてきていませんか?
新川氏:
私も,最初はそう思っていました。でも,お手伝いをしていくうちに,結局,その会社の代表作になるものを作らなくちゃいけない,そのためには一緒に作っていくのが一番うまくいくというのが分かってきたんです。
結果的に,喜多山浪漫さんの作品をプロデュースする仕事と,それ以外の会社さんのタイトルをプロデュースする仕事に分かれていった感じです。
4Gamer:
具体的には,どんなタイトルに関わってこられたのでしょう?
新川氏:
ホロライブのカバーさんが,ゲーム事業に乗り出して,シー・シー・エム・シーという子会社でインディーゲームブランド「holo indie」を展開しているのですが,私はそこの外部プロデューサーみたいな形でお手伝いしています。「ホロライブお宝マウンテン」などがそうですね。
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4Gamer:
今回の東京ゲームショウでも,新川さんがプロデューサーを務めるタイトルが出ていますよね。
新川氏:
はい。ハピネットさんとジェムドロップさんのブースにある「エトランジュ オーヴァーロード」が一番大きなタイトルになります。それと,holo indieの「#ホロリバーシ」と「MYRIAD DEATH -ミリアッドデス-」,アニメ会社のゼノトゥーンさんと一緒に組んで作った「PIXEL DASH: Toast of Destiny」。
ほかにも,映像出展ですけど,小林良綱さんと作った「宇宙銀河ウォーズ」,アークシステムワークスさんの「デモンズナイトフィーバー」なんかもあります。
4Gamer:
めちゃめちゃ多いですね!? 新川さんは,基本的にプロデューサーとして関わっているんですか?
新川氏:
そうですね。昔からディレクションはあんまりやりません。私はプログラムも,絵も,音楽もできないので,お話を書くんです。自分の作りたいもののストーリーやキャラクターを全部文章にして,それを仕様書みたいな形で渡してゲームにしてもらう。ディレクターとタッグを組んで作るタイプの人間ですね。これは,日本一ソフトウェアの頃から変わっていません。
目指せ生涯現役
4Gamer:
それにしても,久しぶりにお話しをうかがいましたが,すごく楽しそうにしていらっしゃいますね。
新川氏:
はい! もうこうなったからには,生涯現役でいこうと思っています。日本一ソフトウェアで26年やらせてもらったので,独立してからも絶対26年はやりたいです。
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4Gamer:
それは確かに,生涯現役じゃないと足りないですね(笑)。
新川氏:
もう楽しくて仕方がないので,余裕で行けるんじゃないかと思っています。楽しいと体も元気になりますし。
今は,これまでにできなかったこともやっているので,余計に新鮮で楽しいです。最近はボードゲームも作っていて,11月のゲームマーケットで2作品ほど出す予定があります。
4Gamer:
サークル側と企業側,どちらですか?
新川氏:
サークルさんと組んでやっています。1つはモザイクがかりさんとリリースする「うんこ探偵」です。モンタージュ的に組み合わされたうんこを当てるってゲームなんですけど,キャラクターデザインは大川ぶくぶ先生が担当しています。
もう1つは,スピカデザインさんと組んだ,鬼ごっこのボードゲーム「魔王クエスト」になります。
4Gamer:
となると,新川さんが普通にサークル側に座っていたり……?
新川氏:
いると思いますね。
ボードゲームは,短期間,低コストでゲームの面白さを表現して世に出せるという部分で,デジタルゲームとは違った楽しさがあります。
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4Gamer:
新川さんとしては,どういったボードゲームが好みなのでしょう?
新川氏:
シンプルで分かりやすいものですね。言葉が通じない人同士でも遊べるぐらい,シンプルなものが好きです。
あと,最近興味を持っているのが,音楽です。先日,初音ミクの「マジカルミライ」に行ったのですが,ボカロPの皆さんがCDの即売会をやっているクリエイターブースがすごく楽しくて。次のマジカルミライでは,私もそこにいると思います(笑)。
4Gamer:
やはりプロデュースする形で?
新川氏:
そうです。こういう感じの曲を一緒に作りましょう,とできたらいいなと思っています。
4Gamer:
ところで,あれもこれもとものすごいバイタリティですけど,スーパーニッチに社員っていらっしゃるんですか?
新川氏:
いえ,私1人です。会社って体にしていますけど,実質フリーですね。このままずっと1人会社にしようと思っています。
4Gamer:
では,もう本当にやりたいことだけをやっているわけですか。
新川氏:
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スーパーニッチの子会社として,ゲームを作れてもどう売っていいか分からない,というクリエイターをサポートするキマイラ機関と,出版レーベルのキマイラ文庫も作りましたが,これらも私1人になります。
私は,ものづくりが好きですけど,ものづくりをしている人も好きなんです。自分の気に入ったものを作っている人には,早く次の作品を見せてほしいので,こうしたサポート事業もやっています。
4Gamer:
ある意味,ものすごく熱心なファンですね(笑)。
新川氏:
先ほどお話しした「宇宙銀河ウォーズ」はキマイラ機関から出るんですが,これを作った小林良綱さんは,とくに応援したくて。
4Gamer:
小林さんって,「魔界戦記ディスガイア」の「魔剣良綱」の元ネタですか?
新川氏:
そうです。私はこの人を天才だと思っているんですが,20年ぐらいゲーム業界から離れていらっしゃいました。この人がゲーム業界に戻ってこないのは,もう損失ですよ。ところが,私が退職したタイミングで,ちょうどゲームをまた作りたいと思っていたみたいで,一緒にやれることになって嬉しいです。
4Gamer:
新川さんのいろいろなタイトルを遊んできた身としては,新川さんらしいタイトルも楽しみだったりします。
新川氏:
そういう意味では,「エトランジュ オーバーロード」と「デモンズナイトフィーバー」は,かなり自分の作家性が入っているので,ぜひお手に取っていただければと思います。
4Gamer:
分かりました。本日はありがとうございました。




















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