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750Hz表示対応で世界最速の座を奪取! HKCのゲーマー向けディスプレイ「ANT257PF」をCOMPUTEXで発見
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HKCは,日本市場での認知度こそ低いものの,Amazon.co.jpで目にしたことのある人は少なくないだろう。Amazon.co.jpで,やたらと価格の安いディスプレイ製品を販売している企業である。
HKC自体は,特定メーカーから委託されてODM製品を開発したり,あるいは自ら開発した製品を大手メーカーブランドで販売するOEM事業を得意としているメーカーだ。
Amazon.co.jpでは,HKC製品もなくはないが,近年は「KOORUI」という自社ブランドを立ち上げて,安価なディスプレイの販売に注力している。それに加えてHKCは,ゲーマー向けディスプレイブランドとして「ANTGAMER」を立ち上げており,中国市場ではそれなりに高い人気があるそうだ。
COMPUTEX 2025では,ANTGAMERブランドの2製品と,HKCの一般消費者向けディスプレイが目に留まった。
世界最速がもう更新? 750Hz表示のゲーマー向けディスプレイが登場
HKCブースで注目を集めていたのは,ANTGAMERブランドから登場した世界最速を謳う垂直最大リフレッシュレート750Hzのゲーマー向けディスプレイ「ANT257PF」だ。
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つい先日,ASUSTeK Computerが,垂直最大リフレッシュレート610Hzのゲーマー向けディスプレイ「ROG Strix ACE XG248QSG」(以下,XG248QSG)を,世界最速ディスプレイであると発表したばかりだが,COMPUTEX 2025会期中に新記録が樹立(?)されたことになる。
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映像パネルの仕様を踏まえると,ASUS製品と素性が同じように思えるのだが,ANT257PFの画素応答速度は,公称値で最大1msとなっており,XG248QSGの公称値である0.1msよりも遅い。
ただし,ASUS側の公称値には注釈が付いており,「最小0.1ms」となっているのだ。では最大値はどうなのかと調べたところ,XG248QSGは最大0.7msとなっていた。つまり,この情報の範囲では,最大応答速度の面で素性が異なることになる。
ただ,垂直最大リフレッシュレート750Hzの表示に必要な画素応答速度は,1/750秒,つまり約1.3msだ。ANT257PFの最大応答速度1msでも下回っているので,理屈上はぎりぎり750Hz表示を実現可能ということになる。
ANT257PFの画質に関しても触れておこう。
パッと見た範囲では,XG248QSGと比べて,大きな違いはなさそうに見えた。担当者によれば,デジタルシネマ向け色空間規格「DCI-P3」のカバー率は95%とのこと。ネイティブコントラスト比は1000:1だ。
バックライトシステムはエッジ型白色LEDで,最大輝度は450nit。HDR映像表示は,簡易対応相当のVESA「DisplayHDR 400」準拠となっている。TN型液晶ディスプレイとして,とくに突出したところはない。
映像入力インタフェースは,DisplayPort 1.4入力×1とHDMI 2.1入力×2,3極3.5mmミニピンのヘッドフォン出力端子が1基となっている。なお,フルHD解像度の750Hzであれば,DisplayPort 1.4とHDMI 2.1のどちらも,DSC無しの非圧縮伝送が可能である。
さて,XG248QSGの北米市場におけるメーカー想定売価について,ASUS担当者は「799〜1199ドル」と語っていた。下限価格であれば,ちょうどANT257PFの北米価格と一致する。とはいえ筆者の予想では,HKCがANT257PFを北米市場で発売するときには,おそらくXG248QSGの実勢価格の下を狙ってくることだろう。
最大リフレッシュレート540Hzバージョンは599ドルで発売
ANTGAMERからは,ANT257PFの下位モデル的な製品「MG25G15FY」が,同時に発売されると発表されている。
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ANT257PFとMG25G15FYは,主なスペックやデザインはすべて同じ。TN型液晶パネルやバックライトシステム,画面サイズと解像度,画素応答速度,発色性能,HDR表示性能などは同じだ。インタフェースの数や仕様もすべて同じだ。
そんな両製品の違いは3点ある。
1点めは,MG25G15FYの垂直最大リフレッシュレートは540Hzであること。540Hzになると,必要な画素応答速度は1.9msにまで上がるので,最大1msの本製品の液晶パネルなら,十分に対応できる。
2点目の違いは,スタンド部のデザインだ。MG25G15FYのスタンドは,3点支持で直立する方式で,ANT257PFのスタンドにあったLEDイルミネーションは省略されている。
3点めの違いは価格。北米市場におけるメーカー想定売価は599ドル前後(税別,約8万5800円)となるそうで,ANT257PFより200ドルも安い。
eスポーツのプロゲーマーならともかく,ハイアマチュアゲーマーであれば,垂直最大リフレッシュレート540Hzでも十分すぎる性能だ。
32インチサイズの8K IPS型液晶ディスプレイが950ドル!?
最後に紹介するのは,格安の8Kディスプレイ「T9000 Ultra」だ。先にメーカー想定売価をいってしまうと,なんと950ドル前後(税別,約13万6000円)。8Kディスプレイとしては破格に近い。
こちらはゲーマー向けブランドではなく,HKC本体のブランドで発売予定の製品だ。
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解像度は8Kなので,7680×4320ピクセルとなる。映像パネルはIPS型液晶パネルで,画面サイズは32型だ。ドットバイドット表示時の表示イメージは,16インチ4Kパネルの4枚分に相当する。
画素応答速度は6〜7ms。最大リフレッシュレート60Hzにおける必要応答速度は16.67msなのだから,十分な値だ。
バックライトはエッジ型白色LED。LEDタイプは,広色域型を採用しているとみられ,デジタルテレビ向け色空間規格「BT.2020」のカバー率90%以上を謳う。現実世界の色彩を99%再現できるというBT.2020のカバー率が90%以上というのは,この価格帯製品にしては立派だ。
最大輝度は400nitで,HDR表示はDisplayHDR 400準拠である。
映像入力インタフェース類は,DisplayPort 1.4入力×1,HDMI 2.1入力×2,DisplayPort Alternate Mode対応のUSB Type-C×1(USB PD 90W対応)の4系統だ。また,3極3.5mmミニピンヘッドセット出力端子も備えている。
AppleのMacとの接続も可能なので,映像編集や,2D/3Dグラフィッカー,デジタル写真のビュワー用としても引き合いが強そうな製品である。
こちらも2025年7月あたりの発売を予定している。日本市場に投入するかどうかは不明だが,いつものように,日本のAmazonでの販売に期待したい。筆者も1台欲しくなったので,7月から定期的に,本製品名で検索するつもりだ。
HKC 公式Webサイト
4Gamer.netのCOMPUTEX 2025特集ページ
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