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印刷2022/12/29 12:00

インタビュー

【PR】祝・「ラグナロクオンライン」20周年,現役運営スタッフ記念座談会。これまでの苦難とこれからのROで実現したいことを聞いた

前に走り続けた20年。良くも悪くも記憶に残るROの思い出は?


4Gamer:
 10年前くらいだと,ユーザーカンファレンスやシンポジウムもわりと頻繁にやってましたね。

松尾氏:
 ワールド統合を発表するときは,秋葉原でカンファレンスをやりました。

中村氏:
 ワールド統合の発表は10周年のときなのかな。秋葉原UDXシアターでやって,確かそのときに発表したのは,セカンドコスチュームだったような。

松尾氏:
 そうです。RJCとセットだったと思います。

中村氏:
 ルーンナイトを発表するから雄一郎さんに2日で描いてもらったんだよね。

4Gamer:
 すごい無茶ぶり(笑)。ルーンナイトと言えば,オフラインイベントの最中に「(グラフィックスが)いまから変わります」みたいなのがあったような。確かプレイヤーから「カッコ悪い」と言われて変わったんですよね。

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 12月26日,東京・秋葉原で開催されているイベント「秋葉原PCゲームフェスタ」において,「ラグナロクオンライン パーティ&カンファレンス」が開催された。カンファレンスでは,さまざまな新要素について公開されたほか,ルーンナイトの新グラフィックスを,公開したその日に実装するというサプライズ発表も行われた。

[2010/12/27 11:46]

松尾氏:
 それはセカンドコスチュームの前ですね。

中村氏:
 あー,あった。ルーンナイトの新グラフィックスを「本日実装です。これからです」で,ドーンとやりました。そのあとのスキル調整もそうですが,プレイヤーさんからの反響も大きくて,あとからいろいろ対応したんです。

4Gamer:
 システムリニューアルのときは,プレイヤーの間でも,いろいろと論議されていた記憶があります。

中村氏:
 3次職のリニューアルはシステム面が一番変わったときですからね。あれだけ準備していても,不具合がけっこうありましたし,プレイヤーさんに納得いただけなかった部分も多かったですね。

4Gamer:
 担当者は胃が痛かったのでは……。

栗山氏:
 そうですね……今回の4次職実装に関連して,関係者に「なぜ,あのときにこうしたのか」といった話をいろいろ聞いたのですが,先ほども話したように,当時はこちらの意見が(Gravityに)なかなか伝わらなくて大変だったそうで。

中村氏:
 ただ,当時はプレイヤーさんと直接話せる機会が多くて,それが解決に向けて活きたこともあります。

4Gamer:
 そう考えると,やっぱりオフラインイベントの存在は大切ですね。

中村氏:
 はい。もちろん,今でもプレイヤーさんの声は大切にしたいと思っていて,ブログ上では投稿された新しいコメントが非公開となっていますが,ちゃんと受け付けてはいるので,誰かがほぼ毎日見ているんですよ。

4Gamer:
 外からはコメントが見えないけれど,運営からは確認できていると。では,意見・要望はそちらにも,といったところですね。

栗山氏:
 ぜひ! それにしても懐かしいですね。ずっと走り続けているので,こうしてふり返ることってないんですよね。

4Gamer:
 まさに前に走り続けたという感じですね。

松尾氏:
 イベントがない分,最近はふり返る機会もなかったですし。

4Gamer:
 確かにイベントだと話すネタを探すでしょうから,いろいろと振り返るいいタイミングになっているのかもしれませんね。先ほどはオフラインイベントについての思い出をいろいろ聞いてきましたが,この20年間でやって良かったというゲームイベントや施策はどうでしょう。

中村氏:
 施策で言うと,エイプリルフールに思い入れがありますね。時勢の影響でできなかった年もありますが,ほぼ毎年,私が担当なんですよ。2010年のエイプリルフール「RAGNAROCK FESTIVAL」で結成されたG-SHINE(ガンホー社員によるヘヴィメタル音楽集団)が2014年のガンホーフェスティバルで演奏していたのは,記憶に残っているプレイヤーさんもいるのではないでしょうか。当時作ったユニットとして,今でも社内で語り草になっていますね。
 あれでROのアレンジもアリだねとなって,アレンジ曲を出して盛り上がり,その後にエレメンタルチューンズというアレンジ集の入ったパッケージの発売につながりました。けっこう有名どころのアレンジャーに作ってもらったんですよね。

4Gamer:
 悪ノリが意外な方向に。

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栗山氏:
 僕は深淵の回廊や無限の迷宮という,高難度のイベントコンテンツのシリーズを作っていたので,そちらに思い入れがあります。プレイヤーさんからのフィードバックがけっこうあり,いまもプレイされている方が多いので,アップデートしてすごくよかったと思っているんですよ。

4Gamer:
 栗山さんは,高難度コンテンツが好きだったりするんですか?

栗山氏:
 好きというわけではないのですが,作れる人が限られているからそういうのが多く回ってくるという役回りですね。ただ,深淵の回廊を作っていたときは,8月ごろだったんですけど,部屋が暑く暑くて死にそうになったという記憶も……。

4Gamer:
 それはつらい(苦笑)。

中村氏:
 日差しが強すぎて空調が効かなかったんだよね……。

栗山氏:
 オフィスの空調の調子が悪くて,意識が朦朧とする中,変なテンションで作っていた気がします。皆さんの想像だと,こういうコンテンツは何人かで開発していて,検証して,公開されるというイメージだと思うんですけど,実態は高難度コンテンツを遊ぶプレイヤーさんが少ないので,割り当てられるリソースも少ないんです。

4Gamer:
 いきなり内情をぶっちゃけますね(笑)。

栗山氏:
 なので,僕が1人でモンスターやNPCの配置,会話内容,Web告知などを指定しなくてはならないので,時間はいくらあっても足りないんです。でも,この仕事は先ほどのオフラインイベントもそうですが,フィードバックを直に受けられるのが楽しみでもあるので,そういうところでモチベーションを保って楽しく仕事をしています。
 ただ,2013年のティアマト攻城戦というレイドコンテンツでは,とんでもないことやらかしまして……。

中村氏:
 何かあったっけ?

栗山氏:
 ROには,BOTプログラムのようなものでテスト環境に負荷をかける方法がなくて,通常のテスト環境ではとりあえず想定通りに遊べたのですが,実際に入れてみたら,重くて動かなかったんですよ。

4Gamer:
 あー……。

栗山氏:
 急遽,臨時メンテナンスで敵の数を減らしたりして,ラグの発生原因となる仕様を見つけては潰して対処しました。あのときの臨時メンテナンスではご迷惑をおかけしたなと。それ以来,レイドコンテンツはかなり気を付けて作らなきゃと思いつつ,どうやって作ろうかを考えています。

4Gamer:
 なるほど。そういうのは佐藤さんにも負担がかかりそうですね。

栗山氏:
 そうですね。少しいい話っぽくなっていますが,実際のところ僕もわりと無茶なことを言っていて。「作っておいたから,○日で検証してね!」と短期間でお願いして。

佐藤氏:
 ホント,無茶苦茶でしたよ(笑)。

4Gamer:
 となると,佐藤さんには,マズかった話を聞いたほうが……良さそうでしょうか?

佐藤氏:
 いえいえ。私の企画ではないんですけど,やって良かったことはありますよ(笑)。

4Gamer:
 おお,どんな企画でしょう。

佐藤氏:
 Breidablik(ブレイザブリク)の施策ですね。6か月くらいで,ROの初期からを再現しようというもので検証が大変でした。
 最初は本当に人が来るのかなとも思っていたんですけど,初日はサーバーがパンクするぐらいに人が来てくれて。そのまま定着して通常ワールド化しましたが,いまでもBreidablikは一番プレイヤーが多くて,あの施策があったおかげで,いまもROが続いていると言っても過言ではないと思います。

中村氏:
 あれは,β時代の1次職までしかない状態から実装が始まって,マップもプロンテラとイズルードだけ。そこからマップを広げたり,職業を増やしたりして……変化が激しいので,毎週Webの情報も更新していましたね。

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4Gamer:
 そうなりますよね(笑)。そして佐藤さんは,連日そちらの検証をすることになったわけですね。

佐藤氏:
 それもですけど,通常ワールドに入るアップデートの検証もやっていたので,あのときはすごく大変でしたね。

4Gamer:
 ああ,そちらのアップデートが止まるわけじゃないですから,それはそうですよね。

佐藤氏:
 メンテナンスも別で,通常ワールドとBreidablik,さらに別仕様のUrdrワールドと,3つの違う仕様のワールドを,毎週同じ日に検証しなくてはいけないので。

4Gamer:
 そりゃ大変だ……。

佐藤氏:
 あと,人が多いからこその問題もありまして。メモリアルダンジョンが混雑で入れなくなることが,よくあるんですよ。

中村氏:
 人が多いところに,人は集まりますから。なので,Breidablikを半分にして別のところにプレイヤーを割り振ろうって,ときどき冗談交じりで言っていますね。

佐藤氏:
 ダメ,それはダメです(笑)。

4Gamer:
 いやいや……(笑)。

栗山氏:
 MMORPGは,人と一緒に遊びたいとまでは言わなくとも,誰かと触れあいたいからやっているところもありますから,人が多い場所(ワールド)にどうしても集中していくんです。でも,そのせいで通常のワールドと負荷が違いすぎて,同じコンテンツを実装しても,トラブルが起きるのはBreidablikみたいなことになるんです。

4Gamer:
 そこまで負荷に差が出ているんですね。

中村氏:
 実は,現状でもBreidablikだけサーバーのスペックは高いんですよ。でもプログラム上の限界があるので,どうしてもメモリアルダンジョンの順番待ちが発生してしまって,それを見ると忍びないなという気持ちで。

4Gamer:
 なるほど。それでポロっと「半分に」というのが出ちゃうわけですね。

中村氏:
 もちろん,そんなことはできないですし,できる限りの対応は続けていきます。

4Gamer:
 無茶ではない方向で,ぜひ頑張ってください。では,松尾さんはどうでしょう。

松尾氏:
 コスたまの販売を始めてから10年ぐらい経ちますが,衣装が入ってからは着せ替えの遊びでオシャレの幅が広がって,ROの楽しみ方の1つになったと思います。その衣装もデザインコンテンストの入賞作を採用するんですが,我々の“できる”範囲を飛び越えてくる作品が非常に多くなって。

4Gamer:
 あー,システム上で再現が難しいデザインなどはありそうですね。

松尾氏:
 そうなんです。ですが,私もGravityも「実現は難しいけれど,プレイヤーさんも喜ぶし,入れてあげたいよね」と思いながら作成しています。その結果というか,Gravityもそのためのシステムを作ってくれてますし,2Dチームも意欲的に取り組んでくれて。コスたまを続けて良かったなと思っています。

4Gamer:
 ちなみに,デザインコンテストはどれくらいの頻度で行われているんですか?

中村氏:
 2年に1回ぐらいです。

松尾氏:
 2008年のバルーンハットが最初ですね。それでも開催のたびに斬新なアイデアの応募がいっぱいあって,本当にプレイヤーさんに支えられている,プレイヤーさんが作っているコンテンツだと思います。

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中村氏:
 コスたまだけでどれくらいの衣装があるんだっけ? 

松尾氏:
 1回10種類で,若干の被りはあるけど,イベントごとに追加衣装もあったりするので,デザインコンテンストの採用作品も含めると,3000種類以上はあると思います。組み合わせで考えたら2人と同じ見た目のキャラクターはいないんじゃないかな。いまはシナモン()でいっぱいですけど。

※「シナモロール」とのコラボで追加された「[衣装]シナモンのリュック」

「シナモロール」×「ラグナロクオンライン」20周年記念ドリームコラボで入手できた衣装。イベントは12月27日に終了している
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4Gamer:
 いやあ,無料でもらえますからね(笑)。

松尾氏:
 それでも,頭の3部位と肩の1部位での組み合わせ,さらに最近は髪の毛に見えるウィッグみたいな衣装もあるので,そこまで考えると,そうそうファッションがかぶることはないんじゃないですか。

4Gamer:
 衣装装備ができて,一気にファッションの幅が広がった感じですよね。

中村氏:
 でも,ドットでこれだけの衣装作るのは,なかなか大変なんですよ。3Dと違って,8方向は全部作らなきゃならないですし,アニメーションさせるならそれを作る必要もあるので。

松尾氏:
 全部手打ちドットですからね。8方向×アニメーションが8フレームなので,すごい数にふくれ上がります。しかも人間とドラムでは装備したときの見た目が違うので,その分の絵も必要ですし。さらに,戦闘待機や戦闘不能時のグラフィックスも異なるので……。あれも全部手打ちで作っていて,いや本当に2Dチームに感謝です。

中村氏:
 コンテストの応募作品の中には,戦闘不能時にはこうしたいですというのもあるよね。

松尾氏:
 このモーションのときはこうしてほしい,という要望が書かれたものもありますね。ただ,制作時間がありますので,あまりに細かいと実現が難しくて。採用できないのは申しわけないと思いますね。

栗山氏:
 でも,松尾がうまく解釈して,Gravityとの交渉で作ってもらっていることも多いですよね。

松尾氏:
 やっぱりプレイヤーさんの作品をそのまま渡して,「はい,作ってください」ではなく,ドット化したときに私のほうでも手直しして,「ここを簡略化してください」「ちょっとサイズを変えてください」と制作を依頼をしています。

佐藤氏:
 松尾がいなくなったら,グラフィックスはヤバいよね。1人でほとんどやっているし,代わりがいなくて。

栗山氏:
 そうなったらコスたまは終了です(苦笑)。Gravityも松尾の采配,判断を信じて世界に実装するアイテムの参考にしているから,いなくなるとコスたまおよびほかの実装アイテムにも影響が出かねなくて。
 コスたまは販売物ですけれど,今回はどんなアイテムが入ってきて,どんなコーデができるのかというのを毎月楽しみにしてくれているプレイヤーさんもいるので,作れなくなるとROの遊び方が1つ減ってしまうなと。

4Gamer:
 コスたまって,海外でも販売されているんですか?

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中村氏:
 日本で依頼したものを,まず日本で出すんです。それを見た海外のプレイヤーが動画を作ったりして「これ,すごく羨ましいんだけど」と話題になって,しばらく経つと海外でも(販売されて)使われるようになるという感じですね。

松尾氏:
 最近はそのスパンが短くなってますよね。海外運営との「これ,もう出していいですか」「もうちょっと待ってから出してください」みたいなやり取りも多いです。

4Gamer:
 各国で情報を共有しているわけではなく?

栗山氏:
 ええ。日本の公式サイトを見ているだけじゃなくて,プレイヤーさんがまとめているサイトをチェックして,こんなのが日本で入ったようだと(笑)。それを少しでも早く入れたいということらしいです。何よりも日本でのアイテムを作ってくれている数が多いんですよね。

松尾氏:
 そう,かなり多い。

栗山氏:
 実際にアップデートされる衣装の何割だろう。もう半分以上に松尾さんが関わってない?

松尾氏:
 ほとんどに目を通しているね。

栗山氏:
 なので,衣装は日本のデザインを多く使っているという感じですね。

佐藤氏:
 ロイヤリティもらってもいいんじゃない?

一同:(笑)

松尾氏:
 Gravityの2Dチームもずっと同じメンバーで動いてるみたいなので,信頼関係が確立してるんじゃないかと思います。セカンドコスチュームを作っていたときに揉めたり,こっちの意図が伝わらず違うものが上がってきて,何度もやり取りしてお互いに険悪だったりしたこともありましたが,今ではこっちがふわっと言ったことでもそれ以上で返してくれて。
 最近も,納期が過ぎても上がってこないからどうしたのかと連絡したら,「(企画が)良かったので気合いを入れました」とチーム長からメッセージが返ってきたこともありました。深淵の回廊とか,すごく気合いを入れてくれているよね。

栗山氏:
 あれはすごかった。深淵の回廊でモンスターを発注したんですけれど,「こんなんじゃダメだ。もっとこうするべきだ」とデザインを直してきて,最終的に完成したものは本当にいい仕上がりになっていました。

松尾氏:
 20thアニバーサリーパッケージのミステリーウイングも,日本で出した衣装では最大のサイズだったので苦戦されていましたが,ギリギリまで調整してもらってなんとか形にしてくださったんです。

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中村氏:
 キャラクターの横幅で言うと約3倍のサイズですね。

4Gamer:
 そんなですか。まだゲームの中で見たことないので探してみます。

佐藤氏:
 ぜひお買いあげよろしくお願いします。必ず手に入るので(笑)。

4Gamer:
 あ,はい(笑)。
 
栗山氏:
 でも,Gravityの気合いが入りすぎているのは,いつもヒヤヒヤしています。おかしいな? 今日も来ないなって。

4Gamer:
 やっぱりそうですよね。あえて先ほどはツッコミを入れませんでしたが,納期が過ぎるのは不安になりますよ(笑)。

松尾氏:
 はい(笑)。でも,大丈夫かなと思っているところに「できました!」と来たものを見ると「こんなものを作っていたのか!」とリテイクの必要がないくらいに素晴らしいものが上がってくるんですよね。

佐藤氏:
 グラフィックスで言えば,「天使の忘れ物」という動く天使のヘアバンドを実装したときに,なぜか麦わら帽子が動くようになったことがありました。動いちゃいけないアイテムのはずが,動くのが面白かった。

4Gamer:
 それは検証から抜けていたんですか?

佐藤氏:
 それとは少し違って,検証の対象とは関係のないアイテムが動いてしまったんですよ。良くない不具合ですけれど,むちゃくちゃ面白かった思い出があります。

松尾氏:
 昔はそういう穴が多かったよね。ここ10年で整備されたからか,最近はなくなりましたけど。

これからROの未来に向けてやってみたいこと


4Gamer:
 というところで,そろそろ終わりの時間ですが,プレイヤーさんに今だからこそ話しておきたいことってありますか? あれは謝っておきたい! などでも。

中村氏:
 今だから謝りたいというか,いつもすみません状態です。私自身が,基本的に何かあったらお詫びの準備をしなきゃというタイプなので。近年のやらかしとなると……2018年9月のワールド倉庫のときだね,一番ひどかったのは。

一同:あー。

中村氏:
 ワールド倉庫を実装したときに,Breidablikがおかしくなり,あのときは20日ぐらいまともに遊べなくて,本当に申しわけありませんでした。いったんワールド倉庫を止めて,露店を別ワールドに作るきっかけにもなったのですが,あのときは日数分のプレイチケットをお渡ししましたね。
 サービス運営の都合でゲームができなくなる状況はあり得ないので,あのときは本当に反省しました。どう手を加えてもうまくサーバーが動いてくれないというのが続いて,あのときは苦しかったです。

栗山氏:
 あの補填が,これまでで最大のものですね。

4Gamer:
 大きな,とくにサーバーをまたぐような要素のアップデートになると,いろいろな要因が複雑に絡み合っていて,原因特定も難しいですし怖いですよね……。そんなこともありつつ,またこれからの10年を進んで行くわけですが,皆さんがROでやってみたいことを教えてください。

栗山氏:
 単純にやってみたいことはたくさんあるんですけれど,4次職がまだ韓国でもアップデートされていないときに「ROでどんなものを作ってほしいですか」みたいなヒアリングがあったんです。そのときに,「Warcraft III」のMODから始まった「League of Legends」のように,ROでもMOBAみたいなものができないかとか,ものすごい数のカードイラストがあるので,それを使ったカードゲームが作れないかと,いくつかアイデアを伝えています。

4Gamer:
 20年分の資産があるわけですから,それらを使ったゲーム内ゲームができると楽しそうです。

栗山氏:
 そうなんですよ。どうしてもROは戦闘系コンテンツに寄りがちで,復帰した人がすぐ遊べるものが限られているんです。そういう横の広がりのあるコンテンツができませんか,とお願いしているので,もしGravityが採用してくれれば,積極的にローカライズして,日本にも早い段階で入れたいと思います。

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4Gamer:
 実現を楽しみにしています。

松尾氏:
 私はオフラインイベントがやりたいです。まだ難しいんですけれど,小さいものからでいいので,戻していきたいですね。ROプレイヤーさんは,イラストや同人誌,動画,コスプレなどもそうですが,ゲーム外で活動をしてくださる方がすごく多くて,そういった方がもっと輝けるコンテストやキャンペーン,創作者にスポットを当てた企画をやってみたいと思います。

佐藤氏:
 オフラインイベントは私も開催したいですね。開催までは苦しいんですけど,プレイヤーのみなさんの笑顔を見ると疲れも吹き飛びます。

中村氏:
 私はやりたいことと言うか,ROを20年やってきたことで,親子で遊んでいますというケースも聞いています。なので,ここまできたら3世代を制覇したいですね。親,子,孫の3人が同時にROで遊んでもらえるくらい,長く運営するのを目標にしたいと思っています。
 実は,老人ホームにパソコンごと売り込もうと社内で言ったことがあって,それは実現できませんでしたが,いろいろな形で,高齢の方にも触れてほしいんですよね。指を使うことで認知症の予防にもなりますし。広い層に遊んでもらえるようにしたいと考えています。

4Gamer:
 3世代だと,50代のプレイヤーがいれば,もう実現していてもおかしくないのかな?

中村氏:
 サービス開始時に30歳ぐらいだったプレイヤーのお子さんが生まれたとして,その子はいま20歳で,さらに10年もすれば,お孫さんがゲームを遊び始めて,3世代でということになります。

4Gamer:
 すでに2世代で遊んでいて,祖父,祖母に勧めてとかなら,すでにあってもおかしくないですが,親から子へ,そして孫へという受け継がれる形での同時プレイは夢がありますね。
 では,最後に本作プレイヤーに向けてメッセージをお願いします。

佐藤氏:
 では,私から。
 正直なところ,サービスが20年も続くとは思っていなかったのですが,これだけ長く続いている由緒あるオンラインゲームの運営に自分が携わっていることをすごく誇りに思いますし,貴重な体験をさせていただいています。
 それもこれも遊んでいるプレイヤーさんのおかげで成り立っているもので,皆さんがいる限り,これからも,どこまでもやっていきますので,末永くよろしくお願いします。

栗山氏:
 一時期,露出できないくらいにいろいろやっていたので,なかなか生存報告ができませんでした。

中村氏:
 辞めたんじゃないかって噂が出ていましたね(笑)。

栗山氏:
 辞めてないですよ(笑)。至らないことばかりですけど,細々とではありますが皆さんが楽しめるように努力して,誠心誠意がんばって今後もアップデートしていきますので,末永くよろしくお願いします。

松尾氏:
 実は,アニバーサリーのカウントダウンをBreidablikでプレイヤーの皆さんとイベント会場で楽しませてもらいました。0時になった瞬間に歩くこともできないぐらい花火を上げてくれて,それを見た瞬間,数か月前から続く20周年を迎える準備で溜まっていた疲労が全部ふっとびました。本当に頑張って良かったです。
 佐藤と被るのですが,ROで楽しんでくださっている方がいる限り頑張っていこうと思いました。これからも皆さんが楽しめるイベントやキャンペーンを企画していこうと思いますので,今後もROに遊びに来てください。

中村氏:
 ROの話題やニュース記事で,「20周年なんだ,すげぇ」と久しぶりに遊んでくださったり,「シナモロール」とのコラボをキッカケに遊んでくださったりといった方が,いま多いです。
 2023年の2月末まではキャラクターが育成しやすい長期イベント“ミミミのミッションマスター”や,“モンスター大討伐2022”が実施中なのでチャンスだと思って,離れていた方も,初めての方も,遊んでいただければすごく嬉しいです。
 そういう小さなキッカケで遊んでくださった方が集まって,ROを20年間続けてこられました。そんな皆様に感謝しつつ,運営を続けていければと思っていますので,これからもよろしくお願いします。

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