「ICO」「ワンダと巨像」上田文人氏が率いるgenDESIGN,新作「gen ATLAS」を正式発表。巨大ロボットと未知の惑星を描くオープンワールドアドベンチャー
「ICO」「ワンダと巨像」「人喰いの大鷲トリコ」を手がけた上田文人氏率いるgenDESIGNは本日,Summer Game Fest 2026にて新作アクションアドベンチャー「gen ATLAS」を発表した。
genDESIGNは,「ICO」「ワンダと巨像」「人喰いの大鷲トリコ」を手がけた上田文人氏のスタジオだ。
gen ATLASは,2024年のThe Game Awardsで「Project Robot」として初公開されていたタイトルで,今回ついに正式タイトルが明らかになった。パブリッシングはEpic Gamesが担当する。
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「ICO」では手を取り合って進む少年と少女のつながりを,「ワンダと巨像」では巨大な存在との対峙を,「人喰いの大鷲トリコ」では巨大な生きものとの関係を描いてきた上田氏は,今度は巨大ロボットをどう描くのか。
![]() ICO |
![]() ワンダと巨像 |
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ロサンゼルスで開催されているSummer Game Fest Play Daysで上田氏に話を聞く機会も得られたので,その内容をお伝えしていく。
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創世,巨神,地図,第1頸椎――「gen ATLAS」に込められた言葉
まず上田氏に聞いたのは,今回正式に発表されたタイトル「gen ATLAS」に込められた意味についてだ。
「ATLAS」と聞くと,ギリシャ神話において天を支える巨神アトラスのイメージがまず浮かぶ。巨大ロボットが印象的に登場するトレイラーは,それを強く連想させるものだろう。
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上田氏によれば,「ATLAS」には複数の意味が重ねられているという。巨大な存在を想起させる言葉であり,地図や地形図,大地にも通じる。さらに,人体において頭を支える首の骨,第1頸椎も“atlas”と呼ばれる。
第1頸椎は,頭蓋を支える首の最上部にある骨で,脳と身体をつなぐ脊髄が通る位置にある。頭と身体の接続点とも言えるこの言葉が,ロボットヘッドの存在を強調する本作のタイトルに含まれているのは興味深い。
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改めて2024年のThe Game Awardsで公開された初報トレイラーを見返すと,主人公らしき人物が巨大な機械の“梯子”を登り,ロボットヘッドへと乗り込む場面がある。第1頸椎という意味を知ったあとでは,あの“梯子”もどこか巨大な骨のように見えてくる。
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「ICO」「ワンダと巨像」の上田文人氏の新タイトルプロジェクトが発表。名称未定ながらも上田氏らしさを感じるビジュアル
ゲームアワード授賞式「The Game Awards 2024」にて,「ICO」や「ワンダと巨像」を手掛けた上田文人氏の新作となるプロジェクトが発表された。genDESIGNが制作する本タイトルは名称未定ながらも上田氏らしさを感じるビジュアルで期待が高まる。
また,タイトルの冠詞のように付けられた「gen」についても,genesis(創世,起源),generate(生成する),gene(遺伝子)など,さまざまな言葉につながるものとして考えられているという。
スタジオ名であるgenDESIGNにも通じるものであり,genもATLAS同様に,ひとつの意味だけではなくいくつものイメージを重ねたものになっているようだ。
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続いて聞いたのは,本作の中心にいる巨大ロボットについてだ。
今回のトレイラーでも,巨大なロボットヘッドの存在は非常に象徴的だった。巨大なロボットの頭が何らかの身体や機械に接続され,物語が動いていく。そうしたイメージは,本作の核にあるもののように見える。
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上田氏によれば,作品を作るとき,そしてそれを見せるときには,まず誰もが直感的に興味を持てるモチーフを置くことを意識しているという。
「ICO」であれば少年と少女,「ワンダと巨像」であれば少年と巨大な存在,「人喰いの大鷲トリコ」であれば少年と巨大な生きもの。いずれも,シンプルに聞いただけでもその関係性がイメージできる。
では,その次に何をやるのかと考えたとき,そこに巨大ロボットというモチーフがあったのだという。
ここで気になるのが,今回の作品がこれまでの上田氏の作品とはかなり異なるSF的な世界観を持っていることだ。
「ICO」や「ワンダと巨像」,「人喰いの大鷲トリコ」には,古代遺跡めいた幻想的な空間や,時代性を特定しにくい寓話的な世界の印象が強かった。そうした作品を知る人ほど,今回のSF的なビジュアルには驚いたのではないだろうか。
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これについて上田氏は,巨大ロボットをテーマにするのであれば,その周辺にあるものも必然的にSFになっていくと話す。
ただし単純にSFへ寄せるというよりは,これまで自分たちが作ってきた作品にあった静けさや,自然物,遺跡のようなものの感触も残しながら作品世界を作り上げているのだという。
実際,トレイラーに映る世界も,無機質なSF一色というわけではない。広大な大地,取り残されたかのような巨大構造物,自然物と機械が同居するような風景は,これまでの上田氏/genDESIGNの作品にもあった静けさを思い出させる。
巨大ロボットという新しい題材を扱いながらも,そこにはgenDESIGNらしい空気が残されているように感じられた。
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トレイラーからは,広大な世界を探索するゲームであることも伝わってくる。
そこで,いわゆるオープンワールド作品として作られているのかを聞くと,決してオープンワールドのゲームを作ろうと思って作っているわけではないという。
本作の設計の基準にあるのは,オープンワールドという形式そのものではなく,“探検”だという。多数のクエストや高密度なインタラクションを用意するものではなく,プレイヤーがその世界を歩き回り,見たり,触れたりすること自体が体験になっていく。上田氏の言葉からは,そうした方向性がうかがえた。
映像では,シューティングのような場面も印象的だった。アクション性の高さや,プレイヤーに求められる腕前についても聞いてみると,上田氏は,そこまでシビアなアクション性が必要になる設計にはしていないと話す。
瞬時に操作できなければ死んでしまう,というようなゲームではないようだ。
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また,本作にはアクションシューティングだけでなく,パズルや探索の要素もあるという。ただし,上田氏の言う“パズル”は,単に何かを動かして形を作るようなものだけではない。わずかな手がかりから状況を読み解き,ゲームを進める方法を自分で探索し,発見していくようなものだ。
たとえば「ワンダと巨像」において,巨像の弱点を探し出す行為も探索と発見である。上田氏は,そうした意味での探索について語っていた。プレイヤー自身の認識やひらめきによって道が開ける感覚は,本作でも大切にされているようだ。
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とはいえ,プレイヤーが自分で見つける体験を重視する一方で,何も示されなければプレイヤーは迷ってしまう。反対に説明しすぎれば,世界の雰囲気や没入感を損ねるノイズにもなりかねない。このバランスについて聞くと,上田氏は,まさにその部分は現在「絶賛調整中」だと話していた。
広大な世界での探索を大事にする一方で,プレイヤーがどこへでも行けてしまうと,それはそれでゲームとして難しくなってしまう。それだけに,プレイヤーをうまく誘導する仕組みも重要となるわけだ。
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それではアクションゲームとしての作りはどうなのか。トレイラーでは巨大ロボットの身体や機械の上を,人間のキャラクターが駆け,飛び回るような場面もあった。これを見ると,「ワンダと巨像」のように,巨大な存在そのものがステージになる遊びを想像する人もいるだろう。
ただし,上田氏によれば,本作は「ワンダと巨像」のように,巨像の身体をダンジョンとして攻略するものではないという。
今回はより広い空間での探索とアクションが特徴となっており,ときに巨大な機械の上を移動することがあっても,それは,はしごや壁を一段ずつ慎重に登っていくようなものではない。映像にもあったように,勢いよく駆け上がっていく,よりダイナミックな体験として考えられているようだ。
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では,プレイヤーと思しき人間のキャラクターと,ロボットヘッドはどのような関係になるのか。
上田氏は,ロボットヘッドは相棒でもあり,乗り物でもあり,道具でもあり,ナビゲーターでもあると説明する。ただしその関係は,これまでの作品のように,どちらかがどちらかを守る,あるいは導くといったものとは少し違うようだ。
上田氏は,本作の主人公は人間側のキャラクターであり,同時にロボットヘッドでもあると話す。
「人喰いの大鷲トリコ」では,プレイヤーが主人公の少年となってトリコを見る,トリコとの関係を体験するという構造があった。一方,「gen ATLAS」では,この2つのキャラクターが置かれた状況を,プレイヤーが見るというイメージで制作を進めているという。
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同じ三人称視点のアクションアドベンチャーであっても,視点の置き方は過去作とは少し違うのかもしれない。人間とロボットヘッド,そのどちらか一方に完全に入り込むというより,2つの存在が並び立つ状況そのものを見つめる作品になるのだろうか。
2024年のThe Game Awardsで初報が公開され,今回正式発表となった本作は,Epic Gamesがパブリッシングを担当するタイトルでもある。Epic GamesとgenDESIGNのパートナーシップは,2020年に発表されている。
「ICO」「ワンダと巨像」の上田文人氏の新タイトルプロジェクトが発表。名称未定ながらも上田氏らしさを感じるビジュアル
ゲームアワード授賞式「The Game Awards 2024」にて,「ICO」や「ワンダと巨像」を手掛けた上田文人氏の新作となるプロジェクトが発表された。genDESIGNが制作する本タイトルは名称未定ながらも上田氏らしさを感じるビジュアルで期待が高まる。
そこで気になるのが,上田氏やgenDESIGNの作家性,主体性がどのように保たれているのかという点だ。
これについて上田氏は,パートナーシップによってクリエイティブ面に制約が生じているわけではないと話す。genDESIGNが作りたいものは尊重されており,パートナー側からの注文によって作品の方向性を変えなければならないようなことはないという。
そもそも「gen ATLAS」の原型となるアイデアは,「人喰いの大鷲トリコ」の完成後,genDESIGN内で検討されていた複数の企画案のひとつだったという。その中から,Epic Gamesとのパートナーシップのもとで進めるプロジェクトとなったのが,今回の「gen ATLAS」につながる企画だったということだ。
ちなみにシューティング要素について上田氏は,「Epic Gamesから入れてほしいと言われたものではないですよ」と,冗談めかして付け加えていた。
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現在の開発状況について聞くと,最後の追い込みに長い時間がかかることもあるゲーム開発において,現時点の完成度を数字で語るのは難しいという。
ただ,物語についてはおおよその終着点が見えているそうだ。もちろん,そこから満足できる形へと磨き込んでいく作業はまだ続いている。
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過去作を知らない新しい世代のプレイヤーに向けて,どのような体験を届けたいのかも聞いた。
これについて上田氏は,世代が変わったとしても,シングルプレイゲームに興味を持つ人たちが,物語や世界に入り込み,自分のペースで体験を進めていくことを楽しむ感覚は,そこまで大きく変わらないのではないかと話す。
むしろ本作では,これまでgenDESIGNの作品を知っている人たちのほうが,その変化をより強く感じるのではないか。過去作を知る人に向けて,世界観を少し変え,新しいことに挑戦することで,意外性を感じてもらえるのではないかと話していた。
今回の発表では,映像そのものの迫力も印象的だった。見どころを聞くと,上田氏が挙げたのは,やはり巨大感とスケール感だ。
ゲームの制作と並行してプロモーション映像を作ること自体が大変で,今回もなんとか発表に間に合って出せたという状態だったという。映像のクオリティをギリギリまで高めながら,ゲーム本編の制作も進める。その両立に苦労があったようだ。
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発表後の反響については,取材時点が発表翌日の夕方だったこともあり,まだ十分には追えていないとのこと。いまはまず,自分たちが発表できたことにホッとしているということだった。
筆者が,巨大ロボットが大きな柱のようなものをつかむシーンについて,「デカい」という感覚が一目で伝わる印象的な場面だったと話すと,上田氏は,そのシーンが多くのメディアで取り上げられていることは,開発側としても意外だったと明かした。
別のキーアート的なカットのほうが使われるのではないかと想定していたそうで,この反応もまた“いい意外性”として受け止めているようだった。
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発売を待つゲームファンへのメッセージをお願いすると,上田氏は「応援よろしくお願いします」と語った。応援の声は,上田氏やスタジオスタッフの士気につながり,より良いものを作る力にもなる。ぜひ注目して応援してほしいとのことだった。
「gen ATLAS」はまだ謎の多い作品だ。タイトルの意味,ロボットヘッドと人間の関係,広大な世界での探検,そしてSFでありながら上田作品を思わせる静けさを持つビジュアル。今回の取材でその一端をうかがうことはできたが,もちろんそれがそのまま“答え”になるわけではない。
きっと本作も,実際にプレイし,世界を歩き,見つけ,考えることで,少しずつ意味が立ち上がってくる作品になるのだろう。
時代や世代が変わっても,シングルプレイのアクションアドベンチャーだからこそ生み出せる体験がある。一方で,過去作を知っているからこそ感じられる驚きもある。その両方が「gen ATLAS」でどのように形になるのか。今後の続報を楽しみに待ちたい。
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