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ちょっと想像してみてほしい。おぬしは巨大な四足歩行戦車の操縦士。それも800mm連装長距離砲を積んだ規格外のバケモノじゃ。
コックピットの正面には車のフロントガラス程度の小さな窓が一応ついておるが,そこから広大な戦場のすべてを見渡すことなんて到底できない。
戦車の内部から一歩も外に出られず,頼りになるのは油の匂いが染み付いたむき出しの歯車と,一枚の大きな地図だけじゃ。
普通,メカゲーといえば,コックピットから外を広く見渡し,爽快に撃ちまくるものじゃろ?
でもこのゲームは違う。戦局の大部分は直接視認できず,すべては「情報」から読み取るしかないのじゃ。
信じられんかもしれぬが,それが今回紹介する「IRON NEST: Heavy Turret Simulator」のすべてじゃ。そして,これがとんでもなく最高なのじゃよ。
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ミッションが始まると,司令部から「偵察兵から見て敵は〇度の方向,距離〇キロ」といった情報が飛んでくる。それを確認したら,巨大な地図が広げらた机に向かい,定規で線を引く。
複数の観測情報から線を伸ばし,それらが交差した場所……そこが,敵がおる「はず」の座標じゃ。いわゆる三角測量というやつじゃな。
「はず」ということは,つまり「たぶんこの辺だろう」ということ。そのままイチかバチかで砲撃を仕掛けることもできる。
じゃが,もし補給コストを払う余裕があるなら,指定地点に偵察機を飛ばしたり,照明弾(フレア)を撃ち込んだりして,より正確な情報を集めることもできる。
限られたリソースを支払って「確実性」を買うか,手持ちの不完全な情報と度胸だけで引き金を引くか。その選択が委ねられておるからこそ,一発の重みが変わってくるわけじゃな。
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そんでもって敵の位置を割り出したら,いよいよ砲撃の開始じゃ。
もちろんこの世界に,現代的なコンピューターなんてものは存在せん。ハンドルを回し,ガチャガチャと音を立てるディーゼルパンク全開のアナログ機械に,距離や方角の数値を打ち込んでいくのじゃ。
すべての準備が整って「ドカン!」と砲弾を撃ち出すと,地図の上に備え付けられたルーペのような機械が動き出す。
これが,今飛んでおる砲弾の軌跡をリアルタイムで追ってくれるのじゃ。
自分が計算した座標に向かって,ルーペがじりじりと進んでいくのを見守るこの時間こそが,このゲームの醍醐味と言ってもいいかもしれぬ。「頼む,ワシの計算合っててくれ!」って祈りながらな。
着弾するとその周囲の状況が地図上に書き込まれる。みごと敵に命中していればドクロマークが付くのじゃが,もしずれていたら「距離の入力ミスか?」と慌てて数値を修正し,再び引き金を引く必要がある。
といった具合で「計算→入力→発射→弾道確認→修正」という泥臭い試行錯誤を繰り返し,それまで見えていなかった敵に砲弾を命中させた瞬間……この孤独で油臭い鉄の箱の中で,思わず声が漏れるほどの極上の快感を味わえるのじゃ。
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ゲームの舞台は1920年代後半のスペインを思わせる架空世界で,王政軍と共和主義者が争う泥沼の戦場じゃ。
余計なBGMはなく,聞こえるのはディーゼルエンジンの震動と重厚な機械音だけ。漂ってくる油と鉄の匂いまで感じられそうなくらい,雰囲気が作り込まれておる。
そして,外の景色が限定されておるからこそ,想像力と判断力が極限まで試される。
この巨大メカが扱える弾薬は,なんと約30種類にも及ぶ。広範囲を吹き飛ばす榴弾(HE弾)や,ピンポイントで装甲を貫く徹甲弾(AP弾)のほかにも,発煙弾や照明弾など,状況に応じた選択肢が山ほど用意されておるのじゃ。
補給はコスト制のカードで管理されておって,何を使うかの判断が戦局を左右するわけじゃな。
前線では,味方と敵が入り乱れておることもある。そこに威力の高い範囲攻撃をブチ込めば,味方もろとも消し飛ぶかもしれぬ。
コストを払って照明弾を撃ち上げて正確な情報を集め,弾種を切り替えて敵だけを狙撃するか。それとも,ペナルティ覚悟でまとめて吹き飛ばすか。
凄惨な爆発を直接見るわけじゃないからこそ,慣れてくると「味方を巻き込んだ」という事実に対して感覚が麻痺してくる自分に気づく。このドライな距離感が,恐ろしいほどの没入感を生み出しておるわけじゃな。
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これだけ聞くと,「なんだか難しそうなシミュレーションなんだな」と身構えるかもしれぬ。じゃが安心してほしい。
見た目こそ複雑な計器が並んでおるが,やるべき基本サイクルはとてもシンプルにまとまっておる。最初のミッションを終えるころには,大体の勝手は理解できておるはずじゃ。
現状はソロプレイ専用じゃが,将来マルチプレイが実装される予定があるらしい。
一人が地図で線を引いて,もう一人が観測データを取り,もう一人が砲撃のトリガーを引く。そんな協力プレイができるのであれば,それはそれで絶対に面白いはずじゃ。
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「IRON NEST」は,派手な爆発やムービーシーンでプレイヤーを満足させるゲームではない。じゃが,もしおぬしが機械や軍事,ディーゼルパンクの世界観に惹かれるなら,あるいは「情報と計算だけで戦場を支配する」というロマンを理解できるなら,絶対にプレイすべき作品じゃ。
小さな窓とアナログな計器に囲まれた鉄の箱の中で,おぬしの想像力はどこまでも広がるじゃろう。さあ,歯車を回す時間じゃ!
























