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Access Accepted第823回:10年を超える開発期間を経た「Skyrim」の大型MOD「Skyblivion」の行方
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印刷2025/04/21 16:52

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Access Accepted第823回:10年を超える開発期間を経た「Skyrim」の大型MOD「Skyblivion」の行方

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 「Skyblivion」といえば,「The Elder Scrolls IV: Oblivion」を「The Elder Scrolls V: Skyrim」上でプレイできてしまうという,10年以上にもわたって制作が続けられてきたファンメイドの大型MODだ。ところが,これまで数年にわたってウワサされてきたBethesda Softworks公式の「The Elder Scrolls IV: Oblivion」リマスター版のリーク情報が伝えられた。


MODカルチャーの中から生まれた壮大な「Skyblivion」プロジェクト


 コアなPCゲーマーにとって説明の必要はないだろうが,追加コンテンツやデータの改ざんをゲームソフトに加える「MOD」というゲームカルチャーがある。ファンメイドによるMODをインストールすることによって,ゲームプレイやアートワークを自分好みにしたり,グラフィックスを洗練させたり,さらにはユーザーインタフェースの改造,コンテンツやクエストの追加,さらにはキャンペーンや新しいゲーム(トータルコンバージョンと呼ばれる)なども楽しめる。

 MODコミュニティを能動的にサポートしてきたメーカーの1つがBethesda Softworksだ。現在,アツいMODコミュニティが形成されている「Starfield」はもちろん,「The Elder Scrolls」「Fallout」など同社のシングルプレイ用RPGシリーズは,バニラ(無垢の状態のオリジナル版)で遊ぶのでは物足りないと言っても過言ではないはず。
 本連載でも,14年前にリリースされた「The Elder Scrolls V: Skyrim」のMODについて,「第340回:Steam Workshopで開花する新世代MODカルチャー」や「第391回:Bethesdaに入社した19歳のMOD開発者」などで取り上げたことがある。

MODはゲームの長寿化やコミュニティの育成,新しい才能の発掘など様々な観点で,ゲームカルチャーの重要な位置を占めている
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 「The Elder Scrolls V: Skyrim」において,10年以上もの時間をかけて開発されているMODが,「The Elder Scrolls: Skyblivion」(以下,Skyblivion)だ。技術担当のZilav氏や,まとめ役であるRebelzize氏ら述べ65人にもおよぶ有志によって開発が続けられてきた「Skyblivion」は,「The Elder Scrolls V: Skyrim」のデータやアセットを活かして,「The Elder Scrolls IV: Oblivion」をまるごと再構築してしまおうというプロジェクトである。2025年1月1日付けの公式サイトのアップデートでは「2025年中にリリースされる」と報告しており,MOD開発もいよいよ佳境に入っている。

ここしばらくSkyblivionの情報は多くなかったが,公式リマスター登場のウワサによって,その存続が危ぶまれている
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公式リマスター版の情報が本当ならどうなる?


 ところが,先週になってから「The Elder Scrolls IV: Oblivion」の公式リマスター版(以下,Oblivion Remastered)が開発中であるという情報がリークされた。Redditで公開されたリーク情報によると,ゲームのマルチプラットフォーム化や開発補助を専門にするVirtuosの公式サイトからアクセスできるCMS(コンテンツ管理システム)の「WordPress」に添付されていたデータであるとし,いくつかの文書に加えてオリジナル作品との比較画像やパッケージアート,デラックス版の情報などで構成されていた。

おそらく公式サイト用の素材と思われる多くの画像が,ゲームメディア「Gematsu」などで公開されている。Bethesda SoftworksのCreation Engineではなく,Unreal Engineでリメイクされているためか質感がSkyrimとは異なる
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 シンガポールをヘッドクォーターとし,世界25か国に4200人もの雇用者を抱えるVirtuosに関しては,昨年の夏頃から元従業員の暴露発言により,Unreal Engineを使って「Oblivion Remastered」の開発を代行しているというウワサはあった。
 また,GamesBeatなどに記事を投稿するゲームライターのジェフ・グラブ(Jeff Grubb)氏は,「内部事情に詳しい人に確認した」として,「4月21日の週にシャドウドロップ(事前告知なしに突然リリースされること)される」と自身のYouTubeチャンネルにて発言している。それが本当なのであれば,近々発表されるのかもしれない。

 そうなると,心配になるのが「Skyblivion」だ。アマチュアクリエイターたちの情熱のみに突き動かされてきたプロジェクトだったが,今後はどうなるのだろうか。
 この件に対して,海外メディアのVG247がRebelzize氏にインタビューを行っている。彼は「公式リマスター版が本当なのであれば,まだ我々のプロジェクトを存続させてもらっているのは良いことだと思います」とし,今は同プロジェクトを公開できるよう,自分たちのビジョンにフォーカスしてポジティブな気持ちを保つよう心掛けていると話している。
 Bethesda SoftworksとXbox Game Studiosの視点から言うと,無料のMODで同じ内容のゲームが公開されれば競合になり得る。

 幸い,このMODクリエイターたちは「The Elder Scrolls Renewal」という長期的な視点での企画の元で結集しており,「The Elder Scrolls III: Morrowind」を「The Elder Scrolls V: Skyrim」で作り直すプロジェクト「Skywind」も並行して行っている。今後もMODコミュニティを盛り上げていってほしいところである。

「Skywind」も,昨年は2時間にわたるゲームプレイ映像が公開されるなど開発が続けられている。あとは,新しいゲームエンジンで開発されているであろう「Oblivion Remastered」が公開される前にリリースされることを願うばかりである
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著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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